【C言語】正規表現を使って文字列を検索する方法

この記事では、C言語で正規表現を使って文字列を検索する方法について解説します。

正規表現とは、特定のパターンに一致する文字列を見つけるための強力なツールです。

この記事を読むことで、正規表現の基本概念や用途、C言語で正規表現を扱うための準備、そして実際の使い方について学ぶことができます。

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正規表現とは

正規表現(せいきひょうげん、Regular Expression)は、文字列のパターンを表現するための特殊な文字列です。

特定の文字列を検索、置換、抽出するために使用され、プログラミングやテキスト処理の分野で広く利用されています。

正規表現を使うことで、複雑な文字列操作を簡潔に記述することができます。

正規表現の基本概念

正規表現は、特定の文字列パターンを表現するための一連の文字と記号の組み合わせです。

以下に、正規表現の基本的な要素をいくつか紹介します。

  • リテラル文字: そのままの文字を表します。

例えば、aは文字aを表します。

  • メタ文字: 特別な意味を持つ文字です。

例えば、.は任意の1文字を表します。

  • 文字クラス: 角括弧[]で囲まれた文字の集合です。

例えば、[abc]abcのいずれか1文字を表します。

  • 量指定子: 直前の要素の出現回数を指定します。

例えば、a*aが0回以上繰り返されることを表します。

  • アンカー: 文字列の位置を指定します。

例えば、^は行の先頭、$は行の末尾を表します。

以下に、いくつかの基本的な正規表現の例を示します。

正規表現説明
a.baとbの間に任意の1文字がある文字列a1b、a_b
^abc行の先頭にabcがある文字列(例なし)
abc$行の末尾にabcがある文字列(例なし)
[0-9]1桁の数字0、1、2、3、4、5、6、7、8、9
a{2,4}aが2回から4回繰り返される文字列aa、aaa、aaaa

正規表現の用途と利点

正規表現は、さまざまな用途で利用されます。

以下に、代表的な用途とその利点を紹介します。

文字列の検索

正規表現は、特定のパターンに一致する文字列を検索するために使用されます。

例えば、テキストファイルから特定の単語やフレーズを見つける場合に便利です。

文字列の置換

正規表現を使って、特定のパターンに一致する文字列を別の文字列に置換することができます。

例えば、文書内のすべてのメールアドレスをマスクする場合などに使用されます。

文字列の抽出

正規表現を使って、特定のパターンに一致する部分文字列を抽出することができます。

例えば、ログファイルから特定の形式の日付やIPアドレスを抽出する場合に便利です。

入力の検証

ユーザー入力の形式を検証するために正規表現を使用することができます。

例えば、メールアドレスや電話番号の形式が正しいかどうかをチェックする場合に使用されます。

利点

  • 簡潔さ: 複雑な文字列操作を簡潔に記述できるため、コードの可読性が向上します。
  • 柔軟性: 多様なパターンを表現できるため、さまざまな文字列操作に対応できます。
  • 効率性: 正規表現エンジンは最適化されており、大量のデータに対しても高速に処理を行うことができます。

正規表現は強力なツールですが、その分、理解するためには少し学習が必要です。

しかし、一度習得すれば、さまざまな場面で非常に役立つスキルとなります。

次のセクションでは、C言語で正規表現を扱うための具体的な方法について解説します。

C言語で正規表現を扱うための準備

C言語で正規表現を扱うためには、適切なライブラリを使用する必要があります。

ここでは、代表的なライブラリであるPOSIX正規表現ライブラリとPCREライブラリについて紹介し、それぞれのインストール方法について説明します。

必要なライブラリの紹介

POSIX正規表現ライブラリ(regex.h)

POSIX正規表現ライブラリは、C言語で正規表現を扱うための標準的なライブラリです。

このライブラリは、UNIX系のシステムで広く使用されており、正規表現のコンパイル、実行、解放などの基本的な機能を提供します。

POSIX正規表現ライブラリを使用するためには、regex.hヘッダーファイルをインクルードする必要があります。

POSIX正規表現ライブラリの主な関数は以下の通りです:

  • regcomp(): 正規表現パターンをコンパイルします。
  • regexec(): コンパイルされた正規表現パターンを使用して文字列を検索します。
  • regfree(): コンパイルされた正規表現パターンを解放します。

他の正規表現ライブラリ(PCREなど)

PCRE(Perl Compatible Regular Expressions)は、Perlの正規表現と互換性のある強力な正規表現ライブラリです。

PCREは、POSIX正規表現ライブラリよりも多くの機能を提供し、より複雑な正規表現を扱うことができます。

PCREライブラリを使用するためには、pcre.hヘッダーファイルをインクルードする必要があります。

PCREライブラリの主な関数は以下の通りです:

  • pcre_compile(): 正規表現パターンをコンパイルします。
  • pcre_exec(): コンパイルされた正規表現パターンを使用して文字列を検索します。
  • pcre_free(): コンパイルされた正規表現パターンを解放します。

ライブラリのインストール方法

POSIX正規表現ライブラリのインストール

POSIX正規表現ライブラリは、ほとんどのUNIX系システムに標準でインストールされています。

そのため、特別なインストール手順は不要です。

ただし、開発環境によっては、開発用のヘッダーファイルやライブラリがインストールされていない場合があります。

その場合は、以下のコマンドを使用してインストールしてください。

# Debian系(Ubuntuなど)の場合
sudo apt-get install libc6-dev
# Red Hat系(CentOSなど)の場合
sudo yum install glibc-devel

PCREライブラリのインストール

PCREライブラリは、パッケージマネージャを使用して簡単にインストールできます。

以下のコマンドを使用してインストールしてください。

# Debian系(Ubuntuなど)の場合
sudo apt-get install libpcre3 libpcre3-dev
# Red Hat系(CentOSなど)の場合
sudo yum install pcre pcre-devel

インストールが完了したら、プログラム内でpcre.hヘッダーファイルをインクルードし、PCREライブラリをリンクするためにコンパイル時に-lpcreオプションを指定します。

gcc -o myprogram myprogram.c -lpcre

以上で、C言語で正規表現を扱うための準備が整いました。

次のセクションでは、POSIX正規表現ライブラリを使用した基本的な使い方について説明します。

POSIX正規表現ライブラリの基本的な使い方

基本的な関数の紹介

POSIX正規表現ライブラリを使用するためには、いくつかの基本的な関数を理解しておく必要があります。

ここでは、特に重要な3つの関数について説明します。

regcomp関数

regcomp関数は、正規表現パターンをコンパイルするために使用されます。

この関数は、以下のように使用します。

#include <regex.h>
int regcomp(regex_t *preg, const char *regex, int cflags);
引数説明
pregコンパイルされた正規表現を格納するための構造体へのポインタ。
regex正規表現パターンを表す文字列。
cflagsコンパイルオプション(例:REG_EXTENDED、REG_ICASEなど)。

regexec関数

regexec関数は、コンパイルされた正規表現を使用して文字列を検索するために使用されます。

この関数は、以下のように使用します。

#include <regex.h>
int regexec(const regex_t *preg, const char *string, size_t nmatch, regmatch_t pmatch[], int eflags);
引数説明
pregコンパイルされた正規表現を格納するための構造体へのポインタ。
stringマッチ対象となる文字列。
nmatchpmatch配列の要素数。
pmatchマッチ結果を格納するためのregmatch_t構造体の配列。
eflags実行時のオプション(例:REG_NOTBOL、REG_NOTEOLなど)。

regfree関数

regfree関数は、regcomp関数で確保されたメモリを解放するために使用されます。

この関数は、以下のように使用します。

#include <regex.h>
void regfree(regex_t *preg);
  • preg: メモリを解放するための構造体へのポインタ。

簡単な例:文字列の検索

ここでは、実際に正規表現を使って文字列を検索する簡単な例を示します。

正規表現パターンの定義

まず、正規表現パターンを定義し、それをコンパイルします。

#include <stdio.h>
#include <regex.h>
int main() {
    regex_t regex;
    const char *pattern = "^[a-zA-Z]+$"; // 英字のみの文字列にマッチするパターン
    int ret;
    // 正規表現パターンをコンパイル
    ret = regcomp(®ex, pattern, REG_EXTENDED);
    if (ret) {
        printf("正規表現のコンパイルに失敗しました\n");
        return 1;
    }
    // ここに続くコードを記述します
}

文字列の検索と結果の取得

次に、コンパイルされた正規表現を使って文字列を検索します。

const char *test_string = "HelloWorld";
    regmatch_t pmatch[1];
    // 文字列を検索
    ret = regexec(®ex, test_string, 1, pmatch, 0);
    if (!ret) {
        printf("マッチしました\n");
    } else if (ret == REG_NOMATCH) {
        printf("マッチしませんでした\n");
    } else {
        char errbuf[100];
        regerror(ret, ®ex, errbuf, sizeof(errbuf));
        printf("エラー: %s\n", errbuf);
    }
    // メモリを解放
    regfree(®ex);
    return 0;
}

この例では、HelloWorldという文字列が英字のみで構成されているため、正規表現パターンにマッチします。

エラーハンドリング

正規表現を使用する際には、エラーハンドリングも重要です。

ここでは、エラーコードの取得とエラーメッセージの表示方法について説明します。

エラーコードの取得

regexec関数がエラーを返した場合、そのエラーコードを取得することができます。

エラーコードは、regexec関数の戻り値として返されます。

int ret = regexec(®ex, test_string, 1, pmatch, 0);
if (ret) {
    // エラーコードを処理
}

エラーメッセージの表示

エラーコードを取得したら、regerror関数を使ってエラーメッセージを表示することができます。

if (ret) {
    char errbuf[100];
    regerror(ret, ®ex, errbuf, sizeof(errbuf));
    printf("エラー: %s\n", errbuf);
}

このようにして、正規表現のコンパイルや実行時に発生するエラーを適切に処理することができます。

実践的な例

ここでは、実際にC言語で正規表現を使った文字列操作の例をいくつか紹介します。

具体的には、複数のパターンを使った検索、文字列の置換、そして複雑な正規表現の使用方法について解説します。

複数のパターンを使った検索

複数の正規表現パターンの定義

複数の正規表現パターンを使って文字列を検索する場合、各パターンを個別に定義し、それぞれのパターンに対して検索を行います。

以下の例では、メールアドレスと電話番号のパターンを定義します。

#include <stdio.h>
#include <regex.h>
int main() {
    const char *patterns[] = {
        "[a-zA-Z0-9._%+-]+@[a-zA-Z0-9.-]+\\.[a-zA-Z]{2,}",
        "\\d{3}-\\d{4}-\\d{4}"
    };
    const char *text = "連絡先: [email protected] または 123-4567-8901";
    regex_t regex;
    int reti;
    char msgbuf[100];
    for (int i = 0; i < 2; i++) {
        reti = regcomp(®ex, patterns[i], REG_EXTENDED);
        if (reti) {
            fprintf(stderr, "正規表現のコンパイルに失敗しました\n");
            return 1;
        }
        reti = regexec(®ex, text, 0, NULL, 0);
        if (!reti) {
            printf("パターンが見つかりました: %s\n", patterns[i]);
        } else if (reti == REG_NOMATCH) {
            printf("パターンが見つかりませんでした: %s\n", patterns[i]);
        } else {
            regerror(reti, ®ex, msgbuf, sizeof(msgbuf));
            fprintf(stderr, "正規表現の実行に失敗しました: %s\n", msgbuf);
            return 1;
        }
        regfree(®ex);
    }
    return 0;
}

複数パターンの検索と結果の処理

上記のコードでは、2つの正規表現パターンを定義し、それぞれのパターンに対して文字列を検索しています。

検索結果に応じて、パターンが見つかったかどうかを表示します。

文字列の置換

置換パターンの定義

文字列の置換を行う場合、置換前のパターンと置換後の文字列を定義します。

以下の例では、メールアドレスを「[メールアドレス]」に置換します。

#include <stdio.h>
#include <regex.h>
#include <string.h>
#define MAX 1024
int main() {
    const char *pattern = "[a-zA-Z0-9._%+-]+@[a-zA-Z0-9.-]+\\.[a-zA-Z]{2,}";
    const char *replacement = "[メールアドレス]";
    const char *text = "連絡先: [email protected]";
    regex_t regex;
    regmatch_t pmatch[1];
    char result[MAX];
    char buffer[MAX];
    int reti;
    reti = regcomp(®ex, pattern, REG_EXTENDED);
    if (reti) {
        fprintf(stderr, "正規表現のコンパイルに失敗しました\n");
        return 1;
    }
    strcpy(buffer, text);
    char *pos = buffer;
    result[0] = '\0';
    while (regexec(®ex, pos, 1, pmatch, 0) == 0) {
        strncat(result, pos, pmatch[0].rm_so);
        strcat(result, replacement);
        pos += pmatch[0].rm_eo;
    }
    strcat(result, pos);
    printf("置換後の文字列: %s\n", result);
    regfree(®ex);
    return 0;
}

置換処理の実装

上記のコードでは、正規表現パターンに一致する部分を置換後の文字列に置き換えています。

結果として、メールアドレスが「[メールアドレス]」に置換されます。

複雑な正規表現の使用

グループ化とキャプチャ

正規表現では、括弧を使って部分文字列をグループ化し、キャプチャすることができます。

以下の例では、日付形式(YYYY-MM-DD)をキャプチャし、年、月、日を個別に抽出します。

#include <stdio.h>
#include <regex.h>
int main() {
    const char *pattern = "(\\d{4})-(\\d{2})-(\\d{2})";
    const char *text = "今日の日付は2023-10-05です";
    regex_t regex;
    regmatch_t pmatch[4];
    int reti;
    reti = regcomp(®ex, pattern, REG_EXTENDED);
    if (reti) {
        fprintf(stderr, "正規表現のコンパイルに失敗しました\n");
        return 1;
    }
    reti = regexec(®ex, text, 4, pmatch, 0);
    if (!reti) {
        char year[5], month[3], day[3];
        snprintf(year, sizeof(year), "%.*s", pmatch[1].rm_eo - pmatch[1].rm_so, text + pmatch[1].rm_so);
        snprintf(month, sizeof(month), "%.*s", pmatch[2].rm_eo - pmatch[2].rm_so, text + pmatch[2].rm_so);
        snprintf(day, sizeof(day), "%.*s", pmatch[3].rm_eo - pmatch[3].rm_so, text + pmatch[3].rm_so);
        printf("年: %s, 月: %s, 日: %s\n", year, month, day);
    } else if (reti == REG_NOMATCH) {
        printf("パターンが見つかりませんでした\n");
    } else {
        char msgbuf[100];
        regerror(reti, ®ex, msgbuf, sizeof(msgbuf));
        fprintf(stderr, "正規表現の実行に失敗しました: %s\n", msgbuf);
        return 1;
    }
    regfree(®ex);
    return 0;
}

繰り返しと量指定子

正規表現では、繰り返しや量指定子を使って、特定のパターンが何回出現するかを指定できます。

以下の例では、1回以上の数字が続くパターンを検索します。

#include <stdio.h>
#include <regex.h>
int main() {
    const char *pattern = "\\d+";
    const char *text = "商品コード: 12345, 数量: 678";
    regex_t regex;
    regmatch_t pmatch[1];
    int reti;
    reti = regcomp(®ex, pattern, REG_EXTENDED);
    if (reti) {
        fprintf(stderr, "正規表現のコンパイルに失敗しました\n");
        return 1;
    }
    const char *pos = text;
    while (regexec(®ex, pos, 1, pmatch, 0) == 0) {
        printf("見つかった数字: %.*s\n", pmatch[0].rm_eo - pmatch[0].rm_so, pos + pmatch[0].rm_so);
        pos += pmatch[0].rm_eo;
    }
    regfree(®ex);
    return 0;
}

上記のコードでは、1回以上の数字が続くパターンを検索し、見つかった数字を表示します。

これらの例を通じて、C言語で正規表現を使った文字列操作の基本的な方法を理解できるでしょう。

正規表現を使うことで、複雑な文字列操作も簡単に実現できます。

PCREライブラリの使用方法

PCRE(Perl Compatible Regular Expressions)は、Perlの正規表現をC言語で使用できるようにするライブラリです。

PCREはPOSIX正規表現よりも強力で柔軟な機能を提供します。

ここでは、PCREライブラリの基本的な使い方と高度な機能について解説します。

PCREライブラリの基本的な使い方

PCREライブラリを使用するためには、以下の3つの関数を理解する必要があります。

pcre_compile関数

pcre_compile関数は、正規表現パターンをコンパイルして、後で使用するためのオブジェクトを生成します。

以下に基本的な使用例を示します。

#include <stdio.h>
#include <pcre.h>
int main() {
    const char *pattern = "hello";
    const char *error;
    int erroffset;
    pcre *re;
    // 正規表現パターンをコンパイル
    re = pcre_compile(pattern, 0, &error, &erroffset, NULL);
    if (re == NULL) {
        printf("PCRE compilation failed at offset %d: %s\n", erroffset, error);
        return 1;
    }
    // コンパイル成功
    printf("PCRE compilation succeeded.\n");
    // メモリを解放
    pcre_free(re);
    return 0;
}

pcre_exec関数

pcre_exec関数は、コンパイルされた正規表現を使用して文字列を検索します。

以下に基本的な使用例を示します。

#include <stdio.h>
#include <pcre.h>
int main() {
    const char *pattern = "hello";
    const char *subject = "hello world";
    const char *error;
    int erroffset;
    int ovector[30];
    pcre *re;
    int rc;
    // 正規表現パターンをコンパイル
    re = pcre_compile(pattern, 0, &error, &erroffset, NULL);
    if (re == NULL) {
        printf("PCRE compilation failed at offset %d: %s\n", erroffset, error);
        return 1;
    }
    // 文字列を検索
    rc = pcre_exec(re, NULL, subject, strlen(subject), 0, 0, ovector, 30);
    if (rc < 0) {
        printf("PCRE match failed.\n");
        pcre_free(re);
        return 1;
    }
    // マッチ成功
    printf("PCRE match succeeded.\n");
    // メモリを解放
    pcre_free(re);
    return 0;
}

pcre_free関数

pcre_free関数は、pcre_compile関数で生成されたオブジェクトのメモリを解放します。

上記の例では、pcre_free(re)を使用してメモリを解放しています。

PCREの高度な機能

PCREライブラリは、基本的な正規表現機能に加えて、いくつかの高度な機能も提供しています。

ここでは、非キャプチャグループと先読み・後読みについて解説します。

非キャプチャグループ

非キャプチャグループは、マッチングには使用するが、キャプチャ結果には含めないグループです。

これにより、不要なキャプチャを避けることができます。

非キャプチャグループは(?:...)の形式で表現されます。

#include <stdio.h>
#include <pcre.h>
int main() {
    const char *pattern = "(?:hello) world";
    const char *subject = "hello world";
    const char *error;
    int erroffset;
    int ovector[30];
    pcre *re;
    int rc;
    // 正規表現パターンをコンパイル
    re = pcre_compile(pattern, 0, &error, &erroffset, NULL);
    if (re == NULL) {
        printf("PCRE compilation failed at offset %d: %s\n", erroffset, error);
        return 1;
    }
    // 文字列を検索
    rc = pcre_exec(re, NULL, subject, strlen(subject), 0, 0, ovector, 30);
    if (rc < 0) {
        printf("PCRE match failed.\n");
        pcre_free(re);
        return 1;
    }
    // マッチ成功
    printf("PCRE match succeeded.\n");
    // メモリを解放
    pcre_free(re);
    return 0;
}

先読みと後読み

先読みと後読みは、特定のパターンの前後に特定の文字列が存在するかどうかを確認するために使用されます。

先読みは(?=...)、後読みは(?<=...)の形式で表現されます。

#include <stdio.h>
#include <pcre.h>
int main() {
    const char *pattern = "hello(?= world)";
    const char *subject = "hello world";
    const char *error;
    int erroffset;
    int ovector[30];
    pcre *re;
    int rc;
    // 正規表現パターンをコンパイル
    re = pcre_compile(pattern, 0, &error, &erroffset, NULL);
    if (re == NULL) {
        printf("PCRE compilation failed at offset %d: %s\n", erroffset, error);
        return 1;
    }
    // 文字列を検索
    rc = pcre_exec(re, NULL, subject, strlen(subject), 0, 0, ovector, 30);
    if (rc < 0) {
        printf("PCRE match failed.\n");
        pcre_free(re);
        return 1;
    }
    // マッチ成功
    printf("PCRE match succeeded.\n");
    // メモリを解放
    pcre_free(re);
    return 0;
}

以上が、PCREライブラリの基本的な使い方と高度な機能です。

PCREを使用することで、C言語でも強力な正規表現を活用することができます。

パフォーマンスと最適化

正規表現を使った文字列検索は非常に強力ですが、パフォーマンスに関する注意点や最適化の方法を理解しておくことが重要です。

ここでは、正規表現のパフォーマンスに関する注意点、効率的な正規表現の書き方、そしてメモリ管理と最適化について解説します。

正規表現のパフォーマンスに関する注意点

正規表現のパフォーマンスは、パターンの複雑さや入力文字列の長さに大きく依存します。

以下の点に注意することで、パフォーマンスの低下を防ぐことができます。

  1. バックトラッキングの回避:
  • バックトラッキングは、正規表現エンジンが一致するパターンを見つけるために複数のパスを試行するプロセスです。

過度なバックトラッキングはパフォーマンスを著しく低下させる原因となります。

  • 例: (a|b)*c のようなパターンは、長い文字列に対して多くのバックトラッキングを引き起こす可能性があります。
  1. 非効率なパターンの使用:
  • 非効率なパターンは、不要な計算を増やし、パフォーマンスを低下させます。
  • 例: .*a のようなパターンは、文字列全体をスキャンするため、効率が悪いです。
  1. 入力文字列の長さ:
  • 長い入力文字列に対して複雑な正規表現を適用すると、処理時間が増加します。

入力文字列の長さに応じた適切な正規表現を使用することが重要です。

効率的な正規表現の書き方

効率的な正規表現を書くためのいくつかのポイントを紹介します。

  1. 具体的なパターンを使用する:
  • 可能な限り具体的なパターンを使用することで、正規表現エンジンが一致を見つけるための試行回数を減らすことができます。
  • 例: \d{4} は、4桁の数字を具体的に指定しているため効率的です。
  1. アンカーを使用する:
  • アンカー(^$)を使用して、文字列の先頭や末尾に一致させることで、検索範囲を限定し、パフォーマンスを向上させることができます。
  • 例: ^abc は、文字列の先頭に abc があるかどうかをチェックします。
  1. 非キャプチャグループを使用する:
  • キャプチャグループ(())は、マッチした部分を記憶するために使用されますが、非キャプチャグループ((?:))を使用することで、不要なメモリ使用を避けることができます。
  • 例: (?:abc|def) は、キャプチャを行わずに abc または def に一致します。

メモリ管理と最適化

正規表現を使用する際のメモリ管理と最適化についても考慮する必要があります。

  1. メモリの解放:
  • 正規表現ライブラリを使用する際には、使用後にメモリを適切に解放することが重要です。

特に、regfree 関数を使用してコンパイルされた正規表現パターンを解放することを忘れないようにしましょう。

regex_t regex;
regcomp(®ex, "pattern", 0); // 正規表現の使用
regfree(®ex); // メモリの解放
  1. メモリリークの防止:
  • メモリリークを防ぐために、正規表現の使用後に必ずメモリを解放することが重要です。

特に、動的に割り当てられたメモリを適切に管理することが求められます。

  1. 効率的なメモリ使用:
  • 正規表現のパターンや入力文字列が大きい場合、メモリ使用量が増加する可能性があります。

効率的なメモリ使用を心がけ、必要に応じてメモリ使用量を監視することが重要です。

以上のポイントを押さえることで、正規表現を使った文字列検索のパフォーマンスを向上させ、効率的なプログラムを作成することができます。

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