[Python] 複数フォルダをまとめて圧縮する方法

Pythonでは、複数のフォルダをまとめて圧縮するために、標準ライブラリのzipfileモジュールを利用することができます。

このモジュールを使用することで、フォルダ内のファイルを一つのZIPアーカイブにまとめることが可能です。

また、osモジュールを併用することで、ディレクトリの操作を行い、複数のフォルダを効率的に処理することができます。

これにより、バックアップやデータの転送を簡単に行うことができ、作業の効率化に役立ちます。

この記事でわかること
  • zipfileとshutilを使ったフォルダ圧縮の手順
  • 特定のフォルダを圧縮する際のパス指定や保存先の設定方法
  • 圧縮ファイルにパスワードを設定する方法や分割保存の手法
  • 圧縮速度と圧縮率を向上させるためのテクニック
  • 圧縮ファイルの形式変更や大量データ圧縮時の注意点

目次から探す

複数フォルダを圧縮する手順

Pythonを使って複数のフォルダを圧縮する方法には、主にzipfileモジュールとshutilモジュールを利用する方法があります。

それぞれの手順を詳しく解説します。

zipfileを使った圧縮手順

zipfileモジュールは、Python標準ライブラリの一部で、ZIPファイルの作成や操作を行うことができます。

以下に、複数のフォルダを圧縮する手順を示します。

import os
import zipfile
def zip_folders(folders, output_zip):
    # ZIPファイルを作成
    with zipfile.ZipFile(output_zip, 'w', zipfile.ZIP_DEFLATED) as zipf:
        for folder in folders:
            for root, _, files in os.walk(folder):
                for file in files:
                    # 各ファイルをZIPに追加
                    file_path = os.path.join(root, file)
                    arcname = os.path.relpath(file_path, os.path.join(folder, '..'))
                    zipf.write(file_path, arcname)
# 使用例
folders_to_zip = ['folder1', 'folder2']
output_zip_file = 'output.zip'
zip_folders(folders_to_zip, output_zip_file)

このコードでは、folders_to_zipに指定したフォルダをoutput.zipという名前のZIPファイルに圧縮します。

os.walkを使ってフォルダ内のすべてのファイルを再帰的に取得し、zipfile.ZipFileを用いてそれらをZIPファイルに追加しています。

shutilを使った圧縮手順

shutilモジュールは、ファイル操作を簡単に行うためのモジュールで、make_archive関数を使ってフォルダを圧縮することができます。

ただし、shutilは単一のフォルダを圧縮するため、複数フォルダを圧縮するには一工夫が必要です。

import shutil
import os
def zip_folders_with_shutil(folders, output_zip):
    # 一時ディレクトリを作成
    temp_dir = 'temp_dir'
    os.makedirs(temp_dir, exist_ok=True)
    
    # 各フォルダを一時ディレクトリにコピー
    for folder in folders:
        shutil.copytree(folder, os.path.join(temp_dir, os.path.basename(folder)))
    
    # 一時ディレクトリをZIPに圧縮
    shutil.make_archive(output_zip, 'zip', temp_dir)
    
    # 一時ディレクトリを削除
    shutil.rmtree(temp_dir)
# 使用例
folders_to_zip = ['folder1', 'folder2']
output_zip_file = 'output'
zip_folders_with_shutil(folders_to_zip, output_zip_file)

このコードでは、まず一時ディレクトリを作成し、そこに圧縮したいフォルダをコピーします。

その後、shutil.make_archiveを使って一時ディレクトリをZIPファイルに圧縮し、最後に一時ディレクトリを削除します。

output_zip_fileには拡張子を含めずに指定し、shutilが自動的に.zipを付加します。

どちらの方法も、Pythonの標準ライブラリのみを使用しており、追加のインストールは不要です。

用途に応じて使い分けることができます。

実践例:特定のフォルダを圧縮する

特定のフォルダを圧縮する際には、フォルダのパスを正確に指定し、圧縮ファイルの保存先やファイル名を設定することが重要です。

以下に、それぞれの手順を詳しく解説します。

フォルダのパスを指定する方法

Pythonでフォルダを圧縮する際には、対象となるフォルダのパスを正確に指定する必要があります。

絶対パスと相対パスのどちらも使用可能ですが、絶対パスを使用することで、スクリプトの実行場所に依存せずにフォルダを指定できます。

import os
# 絶対パスの指定
absolute_path = '/path/to/your/folder'
# 相対パスの指定
relative_path = 'folder'

絶対パスを使用する場合は、フォルダのフルパスを指定します。

相対パスを使用する場合は、スクリプトの実行ディレクトリからの相対的な位置を指定します。

圧縮ファイルの保存先を指定する

圧縮ファイルの保存先を指定することで、生成されたZIPファイルを任意のディレクトリに保存できます。

保存先のディレクトリが存在しない場合は、事前に作成しておく必要があります。

import os
# 圧縮ファイルの保存先ディレクトリ
output_directory = '/path/to/save/directory'
# ディレクトリが存在しない場合は作成
os.makedirs(output_directory, exist_ok=True)

os.makedirsを使用することで、指定したディレクトリが存在しない場合に自動的に作成することができます。

圧縮ファイル名の設定

圧縮ファイル名は、保存先ディレクトリと組み合わせてフルパスとして指定します。

ファイル名には拡張子.zipを付けることを忘れないようにしましょう。

import zipfile
def compress_folder(folder_path, output_directory, zip_name):
    # 圧縮ファイルのフルパスを設定
    zip_path = os.path.join(output_directory, f"{zip_name}.zip")
    
    # ZIPファイルを作成
    with zipfile.ZipFile(zip_path, 'w', zipfile.ZIP_DEFLATED) as zipf:
        for root, _, files in os.walk(folder_path):
            for file in files:
                file_path = os.path.join(root, file)
                arcname = os.path.relpath(file_path, os.path.join(folder_path, '..'))
                zipf.write(file_path, arcname)
# 使用例
folder_to_compress = '/path/to/your/folder'
output_dir = '/path/to/save/directory'
zip_file_name = 'compressed_folder'
compress_folder(folder_to_compress, output_dir, zip_file_name)

このコードでは、compress_folder関数を使用して、指定したフォルダを圧縮し、指定したディレクトリに指定した名前でZIPファイルを保存します。

zip_nameには拡張子を含めずに指定し、関数内で.zipを付加しています。

これらの手順を組み合わせることで、特定のフォルダを効率的に圧縮し、任意の場所に保存することができます。

応用例

Pythonを使ったフォルダの圧縮は、基本的な操作だけでなく、さまざまな応用が可能です。

ここでは、圧縮ファイルにパスワードを設定する方法、圧縮ファイルを分割して保存する方法、そして圧縮ファイルを自動でアップロードする方法について解説します。

圧縮ファイルにパスワードを設定する

Pythonの標準ライブラリでは、直接ZIPファイルにパスワードを設定する機能はありません。

しかし、pyminizipというサードパーティライブラリを使用することで、パスワード付きのZIPファイルを作成することができます。

pyminzipのインストール

サードパーティ製なのでインストールが必要です。

pip install pyminizip
import pyminizip
def compress_with_password(input_folder, output_zip, password):
    # フォルダを圧縮し、パスワードを設定
    pyminizip.compress(input_folder, None, output_zip, password, 5)
# 使用例
input_folder = '/path/to/your/folder'
output_zip = '/path/to/save/compressed.zip'
password = 'your_password'
compress_with_password(input_folder, output_zip, password)

このコードでは、pyminizip.compressを使用して、指定したフォルダを圧縮し、パスワードを設定しています。

圧縮レベルは5に設定されていますが、0から9の範囲で調整可能です。

圧縮ファイルの分割保存

大きなファイルを扱う場合、圧縮ファイルを分割して保存することが有効です。

splitコマンドを使用することで、Pythonからシステムコマンドを呼び出して分割することができます。

import subprocess
def split_zip_file(zip_file, part_size):
    # ZIPファイルを指定サイズで分割
    subprocess.run(['split', '-b', part_size, zip_file, f"{zip_file}_part_"])
# 使用例
zip_file = '/path/to/save/compressed.zip'
part_size = '100m'  # 100MBごとに分割
split_zip_file(zip_file, part_size)

このコードでは、subprocess.runを使用してシステムのsplitコマンドを呼び出し、指定したサイズでZIPファイルを分割しています。

part_sizeには、分割サイズを指定します(例:100mは100MB)。

圧縮ファイルの自動アップロード

圧縮したファイルを自動でクラウドストレージやFTPサーバーにアップロードすることも可能です。

ここでは、boto3ライブラリを使用してAWS S3にアップロードする例を示します。

import boto3
def upload_to_s3(file_path, bucket_name, s3_key):
    # S3クライアントを作成
    s3_client = boto3.client('s3')
    # ファイルをS3にアップロード
    s3_client.upload_file(file_path, bucket_name, s3_key)
# 使用例
file_path = '/path/to/save/compressed.zip'
bucket_name = 'your-s3-bucket'
s3_key = 'uploads/compressed.zip'
upload_to_s3(file_path, bucket_name, s3_key)

このコードでは、boto3.clientを使用してS3クライアントを作成し、upload_fileメソッドでファイルを指定したS3バケットにアップロードしています。

bucket_names3_keyは、アップロード先のバケット名とキーを指定します。

これらの応用例を活用することで、圧縮ファイルのセキュリティや管理を強化し、効率的なデータ処理を実現できます。

圧縮のパフォーマンス向上

フォルダを圧縮する際には、速度や圧縮率を最適化することで、効率的なデータ管理が可能になります。

ここでは、圧縮速度を上げる方法、圧縮率を高める方法、そして大量データを圧縮する際の注意点について解説します。

圧縮速度を上げる方法

圧縮速度を上げるためには、圧縮アルゴリズムの設定を調整することが有効です。

zipfileモジュールを使用する場合、圧縮レベルを低く設定することで速度を向上させることができます。

import zipfile
def fast_compress(folder_path, output_zip):
    # 圧縮レベルを低く設定して速度を向上
    with zipfile.ZipFile(output_zip, 'w', zipfile.ZIP_STORED) as zipf:
        for root, _, files in os.walk(folder_path):
            for file in files:
                file_path = os.path.join(root, file)
                arcname = os.path.relpath(file_path, os.path.join(folder_path, '..'))
                zipf.write(file_path, arcname)
# 使用例
folder_to_compress = '/path/to/your/folder'
output_zip_file = '/path/to/save/fast_compressed.zip'
fast_compress(folder_to_compress, output_zip_file)

このコードでは、zipfile.ZIP_STOREDを使用して圧縮を行わずにファイルを格納することで、圧縮速度を最大化しています。

圧縮率を高める方法

圧縮率を高めるためには、圧縮アルゴリズムの設定を調整し、圧縮レベルを高く設定することが有効です。

zipfileモジュールでは、ZIP_DEFLATEDを使用して圧縮率を高めることができます。

import zipfile
def high_compress(folder_path, output_zip):
    # 圧縮レベルを高く設定して圧縮率を向上
    with zipfile.ZipFile(output_zip, 'w', zipfile.ZIP_DEFLATED) as zipf:
        for root, _, files in os.walk(folder_path):
            for file in files:
                file_path = os.path.join(root, file)
                arcname = os.path.relpath(file_path, os.path.join(folder_path, '..'))
                zipf.write(file_path, arcname)
# 使用例
folder_to_compress = '/path/to/your/folder'
output_zip_file = '/path/to/save/high_compressed.zip'
high_compress(folder_to_compress, output_zip_file)

このコードでは、zipfile.ZIP_DEFLATEDを使用して圧縮率を高めています。

圧縮率を高めることで、ファイルサイズを小さくすることができますが、圧縮に時間がかかる場合があります。

大量データの圧縮時の注意点

大量のデータを圧縮する際には、いくつかの注意点があります。

以下に、考慮すべきポイントを示します。

  • メモリ使用量の管理: 大量のデータを圧縮する際には、メモリ使用量が増加する可能性があります。

システムのメモリ容量を確認し、必要に応じてメモリを増設することを検討してください。

  • ディスク容量の確保: 圧縮ファイルの保存先に十分なディスク容量があることを確認してください。

圧縮中に一時ファイルが生成されることもあるため、余裕を持った容量を確保することが重要です。

  • 処理時間の見積もり: 大量データの圧縮には時間がかかることがあります。

処理時間を見積もり、必要に応じて圧縮作業をスケジュール化することを検討してください。

これらのポイントを考慮することで、大量データの圧縮を効率的に行うことができます。

圧縮速度と圧縮率のバランスを取りながら、最適な設定を選択してください。

よくある質問

圧縮ファイルが大きすぎる場合の対処法

圧縮ファイルが大きすぎる場合、以下の方法で対処することができます。

  • 圧縮率を高める: 圧縮率を高めることで、ファイルサイズを小さくすることができます。

zipfileモジュールを使用する場合、ZIP_DEFLATEDを指定して圧縮率を高めることが可能です。

  • 不要なファイルを除外: 圧縮対象のフォルダ内で不要なファイルを除外することで、圧縮ファイルのサイズを削減できます。

特に一時ファイルやバックアップファイルなどを除外することを検討してください。

  • ファイルの分割: 圧縮ファイルを分割して保存することで、個々のファイルサイズを小さくすることができます。

splitコマンドを使用して、指定したサイズでファイルを分割することが可能です。

圧縮率を調整する方法

圧縮率を調整するには、使用する圧縮アルゴリズムや圧縮レベルを変更することが有効です。

  • 圧縮アルゴリズムの選択: zipfileモジュールでは、ZIP_STORED(無圧縮)やZIP_DEFLATED(圧縮)を選択することができます。

圧縮率を高めたい場合は、ZIP_DEFLATEDを使用します。

  • 圧縮レベルの設定: 一部のライブラリでは、圧縮レベルを数値で指定することができます。

例えば、pyminizipでは0から9の範囲で圧縮レベルを設定でき、数値が大きいほど圧縮率が高くなります。

圧縮形式を変更する方法

圧縮形式を変更することで、異なる圧縮アルゴリズムを使用することができます。

Pythonでは、tarfileモジュールを使用してTAR形式の圧縮を行うことが可能です。

  • TAR形式の使用: tarfileモジュールを使用することで、TAR形式での圧縮が可能です。

tarfile.openを使用して、w:gz(gzip圧縮)やw:bz2(bzip2圧縮)などの形式を指定できます。

  • 他のライブラリの利用: gzipbz2などのモジュールを使用することで、異なる圧縮形式を利用することができます。

これにより、用途に応じた圧縮形式を選択することが可能です。

まとめ

Pythonを使ったフォルダの圧縮は、標準ライブラリやサードパーティライブラリを活用することで、さまざまな方法で実現できます。

圧縮速度や圧縮率の調整、パスワード設定や分割保存など、応用的な操作も可能です。

この記事を参考に、あなたのプロジェクトに最適な圧縮方法を選び、効率的なデータ管理を実現してください。

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