[Python] ボアソン分布を計算してmatplotlibで描画する方法
Pythonでボアソン分布を計算し、matplotlibで描画するには、まずscipy.stats
のpoisson
を使用してボアソン分布の確率質量関数(PMF)を計算します。
次に、matplotlib.pyplot
を使ってグラフを描画します。
具体的には、poisson.pmf(k, mu)
で平均値mu
のボアソン分布の確率を計算し、plt.bar
やplt.plot
で描画します。
k
は観測値の範囲を指定し、mu
は分布の平均です。
ボアソン分布とは
ボアソン分布は、一定の時間または空間内で発生する事象の回数をモデル化するための確率分布です。
この分布は、特に稀な事象の発生を扱う際に有用で、例えば、特定の時間内に発生する交通事故の数や、あるエリア内での電話の着信回数などを予測するのに使われます。
ボアソン分布は、平均発生回数を表すパラメータ
確率質量関数は次のように表されます:
ここで、
この分布は、特に大規模なデータ分析やシミュレーションにおいて重要な役割を果たします。
Pythonでボアソン分布を計算する方法
scipy.statsを使ったボアソン分布の計算
Pythonでは、scipy
ライブラリのstats
モジュールを使用してボアソン分布を簡単に計算できます。
まずは、scipy
をインストールしておく必要があります。
以下のコマンドでインストールできます。
pip install scipy
次に、ボアソン分布を計算するための基本的なコードを示します。
import numpy as np
from scipy.stats import poisson
# 平均値 mu の設定
mu = 3.0
# k の範囲を設定
k_values = np.arange(0, 10)
# ボアソン分布の確率を計算
probabilities = poisson.pmf(k_values, mu)
print(probabilities)
[0.04978707 0.14936121 0.22404181 0.22404181 0.16803136 0.10081881
0.05040941 0.02160403 0.00810151 0.0027005 ]
このコードでは、平均値mu
を3.0に設定し、0から9までの観測値k
に対するボアソン分布の確率を計算しています。
poisson.pmf関数の使い方
poisson.pmf関数
は、ボアソン分布の確率質量関数を計算するための関数です。
この関数は、特定の観測値k
と平均値mu
を引数として受け取り、対応する確率を返します。
以下はその基本的な使い方です。
# k = 4 の場合の確率を計算
k = 4
probability = poisson.pmf(k, mu)
print(probability)
0.16803135574154085
この例では、平均値mu
が3.0のとき、観測値k
が4である確率を計算しています。
平均値muの設定方法
ボアソン分布の平均値mu
は、事象の発生頻度を表します。
mu
の値は、過去のデータや実験結果に基づいて設定することが一般的です。
例えば、過去1時間に平均して5回の電話がかかってくる場合、mu
は5.0に設定します。
mu = 5.0 # 平均値の設定
観測値kの範囲設定
観測値k
は、ボアソン分布で計算したい事象の発生回数を表します。
通常、k
は0から始まり、必要に応じて上限を設定します。
例えば、0から20までの範囲で計算する場合、以下のように設定します。
k_values = np.arange(0, 21) # 0から20までの範囲
このようにして、k
の範囲を設定することで、ボアソン分布の確率を計算することができます。
matplotlibでボアソン分布を描画する方法
matplotlibの基本的な使い方
matplotlib
は、Pythonでデータを可視化するための強力なライブラリです。
まずは、matplotlib
をインストールしておきましょう。
以下のコマンドでインストールできます。
pip install matplotlib
基本的な使い方として、pyplot
モジュールをインポートし、簡単なグラフを描画する方法を示します。
import matplotlib.pyplot as plt
# 簡単なデータを用意
x = [1, 2, 3, 4, 5]
y = [1, 4, 9, 16, 25]
# グラフを描画
plt.plot(x, y)
plt.show()
このコードを実行すると、xとyのデータに基づいた折れ線グラフが表示されます。
ボアソン分布のデータを準備する
ボアソン分布のデータを描画するためには、まず確率を計算し、そのデータを準備します。
以下のコードでは、平均値mu
を設定し、観測値k
に対する確率を計算します。
import numpy as np
from scipy.stats import poisson
# 平均値 mu の設定
mu = 3.0
# k の範囲を設定
k_values = np.arange(0, 10)
# ボアソン分布の確率を計算
probabilities = poisson.pmf(k_values, mu)
plt.plotを使った折れ線グラフの描画
plt.plot
を使用して、ボアソン分布の確率を折れ線グラフとして描画します。
以下のコードを追加します。
# 折れ線グラフの描画
plt.plot(k_values, probabilities, marker='o', linestyle='-', color='b')
plt.title('ボアソン分布の折れ線グラフ')
plt.xlabel('観測値 k')
plt.ylabel('確率 P(X=k)')
plt.grid()
plt.show()
このコードを実行すると、ボアソン分布の確率を示す折れ線グラフが表示されます。
plt.barを使った棒グラフの描画
ボアソン分布を棒グラフで描画する場合は、plt.bar
を使用します。
以下のコードを追加します。
# 棒グラフの描画
plt.bar(k_values, probabilities, color='orange', alpha=0.7)
plt.title('ボアソン分布の棒グラフ')
plt.xlabel('観測値 k')
plt.ylabel('確率 P(X=k)')
plt.grid()
plt.show()
このコードを実行すると、ボアソン分布の確率を示す棒グラフが表示されます。
グラフのカスタマイズ(タイトル、軸ラベル、凡例)
グラフをより見やすくするために、タイトルや軸ラベル、凡例を追加することができます。
以下のようにカスタマイズします。
# 棒グラフの描画
plt.bar(k_values, probabilities, color='orange', alpha=0.7, label='確率')
plt.title('ボアソン分布の棒グラフ')
plt.xlabel('観測値 k')
plt.ylabel('確率 P(X=k)')
plt.xticks(k_values) # x軸の目盛りを設定
plt.legend() # 凡例を表示
plt.grid()
plt.show()
このコードを実行すると、タイトル、軸ラベル、凡例が追加されたボアソン分布の棒グラフが表示されます。
これにより、グラフの情報がより明確になります。
ボアソン分布の応用例
ボアソン分布は、さまざまな分野での事象の発生回数をモデル化するのに役立ちます。
以下に、具体的な応用例をいくつか紹介します。
交通事故の発生回数の予測
交通事故の発生回数は、特定の時間や地点における事象としてボアソン分布を用いて予測できます。
例えば、ある交差点での1時間あたりの交通事故の平均発生回数が2件である場合、ボアソン分布を使って特定の時間内に何件の事故が発生するかの確率を計算できます。
これにより、交通安全対策や警察の配置を最適化するためのデータを提供できます。
サーバーへのアクセス回数の予測
ウェブサーバーへのアクセス回数もボアソン分布でモデル化できます。
例えば、特定のウェブサイトが1時間あたり平均して100回アクセスされる場合、ボアソン分布を用いて、特定の時間内に何回のアクセスがあるかを予測できます。
この情報は、サーバーの負荷を管理したり、リソースを適切に配分したりするために重要です。
製造業における不良品の発生回数の予測
製造業では、不良品の発生回数をボアソン分布で予測することができます。
例えば、ある製造ラインで1時間あたり平均して5個の不良品が発生する場合、ボアソン分布を用いて特定の時間内に発生する不良品の数を予測できます。
このデータは、品質管理や生産プロセスの改善に役立ちます。
ボアソン分布を利用することで、製造業者は不良品の発生を減少させるための対策を講じることができます。
実践例:ボアソン分布を使ったシミュレーション
ボアソン分布を用いたシミュレーションは、特定の事象の発生回数を予測し、実際のデータと比較するための強力な手法です。
以下に、シミュレーションの目的から結果の解釈までの流れを示します。
シミュレーションの目的と概要
このシミュレーションの目的は、特定の時間内に発生する事象の回数をボアソン分布を用いてモデル化し、その結果を可視化することです。
例えば、ある店舗での1時間あたりの顧客の来店数をシミュレーションし、平均来店数が5人の場合の確率分布を描画します。
このシミュレーションを通じて、顧客の来店パターンを理解し、店舗運営に役立てることができます。
Pythonコードでシミュレーションを実装する
以下のPythonコードでは、ボアソン分布を用いて顧客の来店数をシミュレーションします。
numpy
を使用してランダムなデータを生成し、scipy.stats
を用いて確率を計算します。
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
from scipy.stats import poisson
# 平均来店数 mu の設定
mu = 5
# シミュレーションの回数
num_simulations = 1000
# ボアソン分布に従うランダムな来店数を生成
simulated_customers = np.random.poisson(mu, num_simulations)
# 来店数のヒストグラムを作成
plt.hist(simulated_customers, bins=range(0, max(simulated_customers) + 1), density=True, alpha=0.6, color='g')
plt.title('顧客の来店数のシミュレーション')
plt.xlabel('来店数')
plt.ylabel('確率')
plt.grid()
plt.show()
シミュレーション結果の可視化
上記のコードを実行すると、顧客の来店数に関するヒストグラムが表示されます。
このヒストグラムは、シミュレーションによって生成されたデータの分布を示しており、来店数の確率を視覚的に理解するのに役立ちます。
シミュレーション結果の解釈
シミュレーション結果のヒストグラムを見て、顧客の来店数がどのように分布しているかを分析します。
例えば、平均来店数が5人である場合、来店数が5人前後に集中していることが期待されます。
ヒストグラムの形状がボアソン分布に近い場合、シミュレーションが成功していることを示します。
また、シミュレーション結果を基に、店舗の運営戦略を考えることができます。
例えば、来店数が多い時間帯にスタッフを増やす、またはプロモーションを行うなどの施策を検討することができます。
このように、ボアソン分布を用いたシミュレーションは、実際のビジネスにおいて非常に有用なツールとなります。
まとめ
この記事では、ボアソン分布の基本的な概念から、Pythonを用いた計算方法、データの可視化、さらには実践的なシミュレーションの手法までを詳しく解説しました。
ボアソン分布は、特定の時間や空間内での事象の発生回数をモデル化するための強力なツールであり、さまざまな分野での応用が期待されます。
これを機に、ボアソン分布を活用して、実際のデータ分析や予測に挑戦してみてはいかがでしょうか。