[Python/Pandas] mergeメソッドの使い方 – 2つ以上のリストを結合する
PythonのPandasライブラリにおけるmergeメソッドは、データフレームを結合するために使用されます。
SQLのJOIN操作に似ており、キーとなる列を基に2つ以上のデータフレームを結合可能です。
how引数で結合方法を指定でき、inner(共通部分)、outer(全データ)、left(左側優先)、right(右側優先)などがあります。
on引数で結合キーを指定し、異なる列名の場合はleft_onとright_onを使用します。
リストを直接結合する場合は、データフレームに変換してからmergeを適用します。
mergeメソッドとは
mergeメソッドは、Pandasライブラリにおいてデータフレームを結合するための強力な機能です。
このメソッドを使用することで、異なるデータソースからの情報を統合し、分析や処理を行いやすくすることができます。
特に、SQLのJOIN操作に似た形でデータを結合することができるため、データ分析において非常に便利です。
mergeメソッドは、以下のような特徴を持っています。
| 特徴 | 説明 | 
|---|---|
| 結合の種類 | 内部結合、外部結合、左結合、右結合が可能 | 
| キーの指定 | 結合に使用するカラムを指定できる | 
| 複数のデータフレーム | 2つ以上のデータフレームを結合できる | 
このメソッドを使うことで、データの整合性を保ちながら、必要な情報を効率的に取得することができます。
次のセクションでは、mergeメソッドの基本的な使い方について詳しく見ていきます。
mergeメソッドの基本的な使い方
mergeメソッドを使用することで、2つのデータフレームを特定のキーを基に結合することができます。
基本的な構文は以下の通りです。
import pandas as pd
# データフレームの作成
df1 = pd.DataFrame({
    'キー': [1, 2, 3],
    '値1': ['A', 'B', 'C']
})
df2 = pd.DataFrame({
    'キー': [2, 3, 4],
    '値2': ['D', 'E', 'F']
})
# mergeメソッドを使用してデータフレームを結合
result = pd.merge(df1, df2, on='キー')
print(result)このコードでは、df1とdf2という2つのデータフレームを、共通のカラム「キー」を基に結合しています。
on引数で結合に使用するカラムを指定します。
出力結果は以下のようになります。
キー 値1 値2
0   2  B  D
1   3  C  Eこのように、mergeメソッドを使うことで、共通のキーを持つ行が結合され、新しいデータフレームが生成されます。
次のセクションでは、結合方法の種類について詳しく解説します。
結合方法の種類
mergeメソッドでは、データフレームを結合する際にいくつかの異なる結合方法を選択することができます。
主な結合方法は以下の4つです。
| 結合方法 | 説明 | 
|---|---|
| 内部結合 | 両方のデータフレームに共通するキーを持つ行のみを結合します。 | 
| 外部結合 | どちらかのデータフレームに存在するすべての行を結合します。 | 
| 左結合 | 左側のデータフレームのすべての行と、右側のデータフレームの共通行を結合します。 | 
| 右結合 | 右側のデータフレームのすべての行と、左側のデータフレームの共通行を結合します。 | 
内部結合の例
内部結合はデフォルトの結合方法で、共通のキーを持つ行のみが結果に含まれます。
以下のコードは、内部結合の例です。
import pandas as pd
df1 = pd.DataFrame({
    'キー': [1, 2, 3],
    '値1': ['A', 'B', 'C']
})
df2 = pd.DataFrame({
    'キー': [2, 3, 4],
    '値2': ['D', 'E', 'F']
})
result_inner = pd.merge(df1, df2, on='キー', how='inner')
print(result_inner)キー 値1 値2
0   2  B  D
1   3  C  E外部結合の例
外部結合は、両方のデータフレームのすべての行を結合し、共通のキーがない場合はNaNで埋めます。
以下のコードは、外部結合の例です。
result_outer = pd.merge(df1, df2, on='キー', how='outer')
print(result_outer)キー 値1 値2
0   1  A  NaN
1   2  B  D
2   3  C  E
3   4 NaN  F左結合と右結合の例
左結合と右結合は、それぞれ左側または右側のデータフレームのすべての行を保持します。
以下のコードは、左結合と右結合の例です。
# 左結合
result_left = pd.merge(df1, df2, on='キー', how='left')
print(result_left)
# 右結合
result_right = pd.merge(df1, df2, on='キー', how='right')
print(result_right)左結合の結果:
キー 値1 値2
0   1  A  NaN
1   2  B  D
2   3  C  E右結合の結果:
キー 値1 値2
0   2  B  D
1   3  C  E
2   4 NaN  Fこのように、mergeメソッドを使用することで、さまざまな結合方法を選択し、データを柔軟に統合することができます。
次のセクションでは、2つ以上のリストを結合する方法について詳しく解説します。
2つ以上のリストを結合する方法
mergeメソッドは、2つ以上のデータフレームを結合することも可能です。
複数のデータフレームを結合する際には、まず最初の2つのデータフレームを結合し、その結果をさらに他のデータフレームと結合するという方法を取ります。
以下に具体的な例を示します。
import pandas as pd
# データフレームの作成
df1 = pd.DataFrame({
    'キー': [1, 2, 3],
    '値1': ['A', 'B', 'C']
})
df2 = pd.DataFrame({
    'キー': [2, 3, 4],
    '値2': ['D', 'E', 'F']
})
df3 = pd.DataFrame({
    'キー': [3, 4, 5],
    '値3': ['G', 'H', 'I']
})
# 最初の2つのデータフレームを結合
result = pd.merge(df1, df2, on='キー', how='outer')
# 結合した結果に3つ目のデータフレームを結合
result = pd.merge(result, df3, on='キー', how='outer')
print(result)このコードでは、最初にdf1とdf2を外部結合し、その結果をdf3と再度外部結合しています。
これにより、すべてのデータフレームの情報を統合することができます。
キー 値1 値2 値3
0   1  A  NaN NaN
1   2  B  D  NaN
2   3  C  E  G
3   4 NaN F  H
4   5 NaN NaN Iこのように、複数のデータフレームを結合することで、より多くの情報を一つのデータフレームにまとめることができます。
結合の方法は、必要に応じてhow引数を変更することで、内部結合や左結合、右結合なども選択可能です。
次のセクションでは、mergeメソッドのオプション引数について詳しく解説します。
mergeメソッドのオプション引数
mergeメソッドには、データフレームを結合する際に便利なオプション引数がいくつか用意されています。
これらの引数を活用することで、より柔軟にデータを結合することができます。
主なオプション引数は以下の通りです。
| 引数名 | 説明 | 
|---|---|
how | 結合方法を指定しますinner, outer, left, right。 | 
on | 結合に使用するカラム名を指定します。両方のデータフレームに共通のカラムが必要です。 | 
left_on | 左側のデータフレームで結合に使用するカラム名を指定します。 | 
right_on | 右側のデータフレームで結合に使用するカラム名を指定します。 | 
left_index | 左側のデータフレームのインデックスを結合キーとして使用する場合はTrueを指定します。 | 
right_index | 右側のデータフレームのインデックスを結合キーとして使用する場合はTrueを指定します。 | 
suffixes | 結合後の重複カラム名に付加する接尾辞を指定します。デフォルトは('_x', '_y')です。 | 
オプション引数の使用例
以下に、いくつかのオプション引数を使用した例を示します。
import pandas as pd
# データフレームの作成
df1 = pd.DataFrame({
    'キー1': [1, 2, 3],
    '値': ['A', 'B', 'C']
})
df2 = pd.DataFrame({
    'キー2': [2, 3, 4],
    '値': ['D', 'E', 'F']
})
# left_onとright_onを使用して結合
result = pd.merge(df1, df2, left_on='キー1', right_on='キー2', how='outer', suffixes=('_df1', '_df2'))
print(result)キー1 値_df1  キー2 値_df2
0   1    A  NaN  NaN
1   2    B  2.0  D
2   3    C  3.0  E
3 NaN  NaN  4.0  Fこの例では、left_onとright_onを使用して異なるカラム名で結合を行い、suffixes引数で重複するカラム名に接尾辞を付加しています。
これにより、どのデータフレームからの値かを明確に区別することができます。
これらのオプション引数を活用することで、mergeメソッドをより効果的に利用し、複雑なデータ結合を行うことが可能になります。
次のセクションでは、実践例として2つ以上のリストを結合するケーススタディを紹介します。
実践例:2つ以上のリストを結合するケーススタディ
ここでは、実際のデータ分析のシナリオを想定し、複数のデータフレームを結合するケーススタディを紹介します。
具体的には、顧客情報、注文情報、商品情報の3つのデータフレームを結合し、顧客ごとの注文内容をまとめたデータフレームを作成します。
データフレームの作成
まず、顧客情報、注文情報、商品情報のデータフレームを作成します。
import pandas as pd
# 顧客情報データフレーム
customers = pd.DataFrame({
    '顧客ID': [1, 2, 3],
    '顧客名': ['田中', '鈴木', '佐藤']
})
# 注文情報データフレーム
orders = pd.DataFrame({
    '注文ID': [101, 102, 103],
    '顧客ID': [1, 2, 1],
    '商品ID': [1001, 1002, 1003]
})
# 商品情報データフレーム
products = pd.DataFrame({
    '商品ID': [1001, 1002, 1003],
    '商品名': ['リンゴ', 'バナナ', 'オレンジ'],
    '価格': [100, 200, 150]
})データフレームの結合
次に、これらのデータフレームを結合して、顧客ごとの注文内容をまとめます。
まず、ordersデータフレームとcustomersデータフレームを結合し、その結果をproductsデータフレームと結合します。
# 注文情報と顧客情報を結合
merged_orders = pd.merge(orders, customers, on='顧客ID', how='inner')
# 結合した結果に商品情報を結合
final_result = pd.merge(merged_orders, products, on='商品ID', how='inner')
print(final_result)注文ID  顧客ID 顧客名  商品ID 商品名  価格
0  101    1  田中  1001  リンゴ  100
1  103    1  田中  1003  オレンジ  150
2  102    2  鈴木  1002  バナナ  200この結果から、顧客ごとの注文内容が一目でわかるデータフレームが作成されました。
顧客名、商品名、価格が含まれており、どの顧客がどの商品の注文を行ったのかが明確に示されています。
このように、mergeメソッドを使用することで、複数のデータフレームを効果的に結合し、分析に役立つ情報を整理することができます。
次のセクションでは、mergeメソッドを使用する際によくあるエラーとその対処法について解説します。
よくあるエラーとその対処法
mergeメソッドを使用する際には、いくつかの一般的なエラーが発生することがあります。
ここでは、よくあるエラーとその対処法について解説します。
KeyError: ‘キー名’
原因
指定した結合キーが、いずれかのデータフレームに存在しない場合に発生します。
対処法
結合に使用するカラム名が正しいか、またはデータフレームに存在するかを確認します。
カラム名は大文字小文字を区別するため、正確に一致させる必要があります。
# 例: キー名が間違っている場合
result = pd.merge(df1, df2, on='間違ったキー名')  # KeyErrorが発生ValueError: Length of values does not match
原因
データフレームのカラムに異なる長さのリストを代入しようとした場合に発生します。
対処法
データフレームを作成する際に、各カラムのリストの長さが一致していることを確認します。
# 例: 異なる長さのリストを使用
df = pd.DataFrame({
    'キー': [1, 2, 3],
    '値': ['A', 'B']  # Length mismatch
})  # ValueErrorが発生MergeError: DataFrame.merge requires both DataFrame to have the same number of columns
原因
結合しようとしているデータフレームのカラム数が異なる場合に発生します。
対処法
結合するデータフレームのカラム数が一致しているか、または必要なカラムが存在するかを確認します。
# 例: カラム数が異なる場合
result = pd.merge(df1, df2, on='キー')  # MergeErrorが発生TypeError: ‘NoneType’ object is not subscriptable
原因
mergeメソッドの引数にNoneが渡された場合に発生します。
対処法
引数に渡すデータフレームがNoneでないことを確認します。
データフレームが正しく作成されているか、または前の処理でエラーが発生していないかを確認します。
# 例: Noneが渡された場合
result = pd.merge(None, df2, on='キー')  # TypeErrorが発生予期しないNaN値
原因
結合の結果、片方のデータフレームにしか存在しないキーがある場合、NaN値が生成されます。
対処法
結合方法を見直し、必要に応じてhow引数を変更します。
外部結合を使用する場合は、NaN値が発生することを理解しておく必要があります。
# 例: 外部結合でNaNが発生
result = pd.merge(df1, df2, on='キー', how='outer')  # NaNが含まれるこれらのエラーを理解し、適切に対処することで、mergeメソッドをより効果的に活用することができます。
次のセクションでは、mergeメソッドを使用する際の注意点について解説します。
mergeメソッドを使う際の注意点
mergeメソッドを使用する際には、いくつかの注意点があります。
これらを理解しておくことで、データの結合をよりスムーズに行うことができます。
以下に主な注意点を挙げます。
結合キーの選定
- 一意性の確認: 結合に使用するキーが一意であることを確認してください。
 
重複したキーがあると、予期しない結果が得られることがあります。
- データ型の一致: 結合キーのデータ型が異なると、結合が正しく行われません。
 
例えば、整数型と文字列型のキーを結合しようとするとエラーが発生します。
結合方法の選択
- 適切な結合方法の選択: 
how引数で指定する結合方法inner,outer,left,rightは、データの特性に応じて適切に選択する必要があります。 
特に、外部結合を使用する場合は、NaN値が発生することを理解しておくことが重要です。
カラム名の重複
- 重複カラムの管理: 結合後に同じ名前のカラムが存在する場合、
suffixes引数を使用して接尾辞を付加することができます。 
これにより、どのデータフレームからのカラムかを明確に区別できます。
大規模データの処理
- パフォーマンスの考慮: 大規模なデータフレームを結合する場合、メモリ使用量や処理時間に注意が必要です。
 
必要に応じて、データをフィルタリングしてから結合することを検討してください。
NaN値の取り扱い
- NaN値の処理: 結合結果にNaN値が含まれる場合、これを適切に処理する必要があります。
 
fillnaメソッドを使用してNaN値を埋めることができますが、どのように処理するかはデータの特性に依存します。
データの整合性
- データの整合性の確認: 結合後は、データの整合性を確認することが重要です。
 
結合結果が期待通りであるか、データの整合性が保たれているかをチェックしてください。
これらの注意点を考慮することで、mergeメソッドを効果的に活用し、データの結合をスムーズに行うことができます。
次のセクションでは、記事の内容をまとめます。
まとめ
この記事では、Pandasのmergeメソッドを使用してデータフレームを結合する方法について詳しく解説しました。
具体的には、基本的な使い方から結合方法の種類、複数のデータフレームを結合する実践例、よくあるエラーとその対処法、さらには注意点に至るまで、幅広く取り上げました。
データ分析を行う際には、これらの知識を活用して、効率的にデータを統合し、分析を進めていくことが重要です。
今後は、実際のデータを用いてmergeメソッドを試し、さまざまなデータ結合のシナリオに挑戦してみてください。