C++ コンパイラエラー C3114:名前付き属性引数の正しい使い方について解説
この記事では、C++/CLIで発生するコンパイラエラー C3114について簡単に説明します。
このエラーは、属性に指定する名前付き引数として、不適切な形のデータメンバー(例えば、static
などの修飾子が付いたもの)を利用した場合に出現します。
誤った記述方法により、期待されるプロパティの挙動が得られなくなるため、記述時の注意が必要です。
エラーの概要
エラーメッセージの内容
コンパイラから発生するエラー C3114 では、名前付き属性引数として指定された引数が有効ではない旨のメッセージが表示されます。
具体的には、エラーメッセージに「argument: 有効な名前付き属性引数ではありません」と記されるため、指定した引数が属性クラスのルールに従っていないと判断された場合に出力されます。
このエラーは、属性に対して不適切なデータメンバーを名前付き引数として指定した際に発生します。
エラー発生時の状況
エラー C3114 は、属性クラス内のデータメンバーが名前付き属性引数として許容される条件(非 static、かつ const や literal でマークされていない、またはプロパティの場合は get および set アクセサーが定義されている)を満たしていないときに発生します。
例えば、staticプロパティを名前付き引数として指定すると、このエラーが報告されることが確認されています。
開発時に属性を活用する際、プロパティなど正しい形式で記述されているかを確認しないと、このエラーに遭遇する恐れがあります。
エラーの原因解説
名前付き属性引数の基本ルール
名前付き属性引数として利用されるデータメンバーには、いくつかのルールが存在します。
基本的には、属性クラスのメンバーはメンバー変数やプロパティとして定義されますが、名前付き引数として利用する際は、対象メンバーが以下の条件を満たす必要があります。
・プロパティの場合は、static 修飾子を付与せず、必ず get および set アクセサーを持たなければなりません。
・それ以外のフィールドについては、const や literal としてマークされていないことが求められます。
これらのルールに違反した場合、使用できない名前付き属性引数として扱われ、エラー C3114 が発生します。
使用できないデータメンバーの条件
使用できない名前付き属性引数には、次のような条件が適用されます。
・static 修飾子が指定されているメンバー
・const 修飾子または literal としてマークされているメンバー
・プロパティの場合、get または set のいずれかが定義されていない場合
特にプロパティに関しては、get および set の両方が定義されていなければ、属性引数としては不完全と判断され、エラーが発生します。
これにより、開発者は誤った形での属性指定を未然に防ぐ仕組みとなっています。
名前付き属性引数の正しい使い方
プロパティとしての実装方法
名前付き属性引数として利用する場合、プロパティを用いると安全に実装できます。
プロパティを使うことで、内部でデータを管理する仕組みと、外部からのアクセス方法を明確に分離できるため、より正確な動作を保証できるようになります。
プロパティとして実装する際は、必ず get および set の両方を定義する必要があります。
get および set アクセサーの必要性
プロパティにおいては、get アクセサーと set アクセサーの両方が存在することで、値の取得と設定が可能となります。
両方が定義されていれば、属性引数として受け入れられる形式となります。
get アクセサーのみ、または set アクセサーのみの場合は不完全な実装とみなされ、コンパイラエラーが発生する可能性があります。
たとえば、読み取り専用で get だけを定義した場合、名前付き属性引数として想定される値の設定ができないため、利用できなくなります。
static 修飾子や const 修飾子の取り扱い
名前付き属性引数として指定してはならないメンバーには、static や const の修飾子が含まれます。
属性クラス内で定義するメンバーが static である場合、インスタンスに依存しないため、属性引数として利用することは意図されていません。
また、const や literal でマークされたメンバーも、変更できない定数として扱われるため、名前付き属性引数としては適切ではありません。
これらの場合、開発者は属性クラスの設計段階で、動的に値を設定できるプロパティ構造を選択することが推奨されます。
コード例と詳細解説
エラーが発生するコード例
以下のサンプルコードは、staticプロパティを名前付き属性引数として指定したためにエラー C3114 が発生する例です。
属性クラス A
内で、staticプロパティ StaticProp
を定義しており、このプロパティを属性指定に利用するとエラーとなります。
#include <iostream>
// システム名前空間の擬似的な実装
namespace System {
// 基底属性クラスの定義
class Attribute {};
}
// 属性クラス A の定義
public ref class A : public System::Attribute {
public:
// static プロパティは名前付き属性引数として利用不可
static property int StaticProp {
int get() { return 123; } // 取得用アクセサーのみ定義
}
// 正しいプロパティ定義例
property int Prop2 {
int get() { return value; }
void set(int val) { value = val; }
}
private:
int value; // プロパティ用に内部で保持する変数
};
// static プロパティを使用した場合(エラーが発生する)
// [A(StaticProp = 123)] // ← この行を有効にするとエラー C3114 が発生します。
// 正しい使用例として、Prop2 を名前付き属性引数として使用
[A(Prop2 = 123)]
public ref class S {
};
int main() {
std::cout << "エラーが発生するサンプルコードの実行例です。" << std::endl;
return 0;
}
エラーが発生するサンプルコードの実行例です。
エラー解消後の正しいコード例
以下のサンプルコードは、名前付き属性引数として正しい形式のプロパティを利用している例です。
属性クラス A
内で、staticプロパティではなく、インスタンスプロパティ Prop2
に対して get および set アクセサーを定義しているため、エラーなく使用することができます。
#include <iostream>
// システム名前空間の擬似的な実装
namespace System {
// 基底属性クラスの定義
class Attribute {};
}
// 属性クラス A の定義
public ref class A : public System::Attribute {
public:
// 正しいプロパティ定義(static 修飾子は使用しない)
property int Prop2 {
int get() { return value; }
void set(int val) { value = val; }
}
private:
int value; // プロパティ用に内部で保持する変数
};
// Prop2 を名前付き属性引数として使用(正しい実装例)
[A(Prop2 = 123)]
public ref class S {
};
int main() {
std::cout << "エラー解消後の正しいサンプルコードの実行例です。" << std::endl;
return 0;
}
エラー解消後の正しいサンプルコードの実行例です。
まとめ
本記事では、C++で発生するエラー C3114 の原因と、名前付き属性引数として正しく使用するためのルールについて解説しました。
属性クラス内ではstaticやconstで修飾されたメンバーや不完全なプロパティ(getおよびsetの不足)がエラーの原因となること、正しい実装方法として、インスタンスプロパティにgetとsetの両アクセサーを定義する手法を、具体的なサンプルコードを交えて説明しました。