PHP-FPMの特徴と設定を解説

2025-02-20更新日: 2025-02-20

php-fpmはPHPのパフォーマンス向上を実現するために設計されたプロセスマネージャです。

Webサーバーとの連携でリクエスト処理を効率化する仕組みを提供しており、基本的な実行方法を理解している環境であれば、設定変更だけで効果を実感できる場面も多いです。

目次から探す

PHP-FPMの役割と特徴
- プロセスマネージャとしての基本機能
- パフォーマンス向上の仕組み
PHP-FPMの主要な設定方法
- 基本設定パラメータ
- ログ管理とエラーハンドリング
Webサーバーとの連携設定
- Nginxとの連携方法
- Apacheとの連携方法
トラブルシューティングと運用のポイント
- 典型的なエラー事例と原因分析
- 設定確認のチェックリスト
まとめ

PHP-FPMの役割と特徴

PHP-FPMは、PHPのリクエスト処理を効率化するためのプロセスマネージャとして動作します。

ここでは、PHP-FPMの基本的な機能とパフォーマンスの向上にどのように寄与しているかを解説します。

プロセスマネージャとしての基本機能

PHP-FPMは、以下のような基本機能を持っています。

PHPプロセスのプール管理

PHPリクエストを受けるたびに新たなプロセスを生成するのではなく、あらかじめ用意されたプロセスの集合体を効率的に利用し、リクエストを高速に処理します。

リクエストごとに独立したプロセスで実行するため、安定した動作が期待できる点

各プロセスが独立しているため、個別のエラーが全体に波及しにくく、セキュリティ面や信頼性の向上に寄与します。

以下は、PHP-FPMの設定ファイル(例：www.conf)の一部サンプルです。

コメントとして、設定内容の説明を日本語で記述しています。

; PHP-FPMプロセスマネージャの設定サンプル
[www]
; プロセスマネージャのモードを「dynamic」に設定(動的にプロセスを管理)
pm = dynamic
; 同時接続可能な子プロセスの最大数を設定
pm.max_children = 50
; 開始時に起動するプロセス数を設定
pm.start_servers = 5
; 最低限の子プロセス数を設定
pm.min_spare_servers = 3
; 最大の待機プロセス数を設定
pm.max_spare_servers = 10

上記設定では、リクエストの負荷に応じてプロセスを動的に起動し、PHP実行環境の効率を高めるように構成しています。

パフォーマンス向上の仕組み

PHP-FPMは、以下の仕組みによってパフォーマンスの向上を実現しています。

プロセスの再利用によるオーバーヘッドの軽減

新たなプロセス生成にかかる時間を短縮するため、既存のプロセスを再利用する仕組みがあります。

リクエスト数に応じた動的プロセス調整

プロセス数は動的に増減させることができ、需要に応じたリソースの最適化が可能です。

たとえば、同時リクエスト数が増加する場合、必要に応じてプロセスを追加し、負荷が低下すると自動で削減します。

数式によるパフォーマンス計算

プロセス数の最適な設定は、 $N_{max}$ (最大プロセス数)と実際のリクエスト数の比率を考慮して決定されます。

これにより、過剰なプロセスが生成されることを防ぎ、無駄なメモリ消費を抑えます。

以下は、動的プロセス管理の挙動をシミュレートするための簡単なPHPスクリプトのサンプルです。

<?php
// サンプルスクリプト：リクエスト数に応じた処理負荷をシミュレートする
$requestCount = 10; // サンプルリクエスト数
// 最大プロセス数(設定例)
$maxProcesses = 50;
// 各プロセスが処理可能なリクエスト数の平均値を算出
$avgRequestsPerProcess = $requestCount / $maxProcesses;
echo "平均リクエスト数: " . $avgRequestsPerProcess;

平均リクエスト数: 0.2

このように、PHP-FPMは動的なプロセス調整機能により、リソースの効率的な利用とパフォーマンスの向上を実現しています。

PHP-FPMの主要な設定方法

PHP-FPMの設定は、主にプロセスマネージャの動作やリソース管理、ログ出力に関するパラメータを調整することで実現されます。

以下では、各設定パラメータの具体例とサンプルコードを交えて説明します。

基本設定パラメータ

PHP-FPMの基本設定は、リクエストの処理効率や安定性を向上させるために重要です。

ここでは、プロセス管理やタイムアウト調整、リソース制限、メモリ管理に関する設定例を紹介します。

プロセス管理とタイムアウト調整

プロセス管理は、リクエストの処理効率を大きく左右します。

たとえば、pm.max_childrenやrequest_terminate_timeoutといったパラメータで、プロセス数やタイムアウトを調整することができます。

サンプル設定は以下のとおりです。

[www]
; 動的プロセス管理モードを採用
pm = dynamic
; 最大の子プロセス数の設定(例：\(N_{max} = 50\))
pm.max_children = 50
; 各子プロセスがリクエストを処理する最大時間を設定(秒単位)
request_terminate_timeout = 30s

上記の設定は、リクエストが30秒以上かかった場合にプロセスを強制終了する動作を設定しています。

これにより、応答が遅いリクエストによってサーバー全体のパフォーマンスが低下することを防ぎます。

リソース制限とメモリ管理

PHP-FPMでは、リソースの無駄遣いを防ぐために、各プロセスのメモリ使用量を制限することができます。

php.iniの設定でmemory_limitを調整することで、1プロセスあたりのメモリ使用量を管理できます。

以下は、php.iniにおけるサンプル設定です。

; PHPの1プロセスあたりのメモリ制限を128MBに設定
memory_limit = 128M

この設定は、各プロセスが128MBを超えるメモリを使用しないよう管理し、サーバー全体の安定性を維持するための基本設定となります。

ログ管理とエラーハンドリング

PHP-FPMでは、ログ管理やエラーハンドリングを適切に設定することで、障害発生時の原因追及や運用上のトラブルシューティングをスムーズに行うことができます。

ログ出力設定

ログ出力設定は、エラーや警告を記録するための重要な項目です。

設定ファイルにより、エラーログやアクセスログの出力先を指定することができます。

以下はログ出力設定のサンプルです。

[www]
; エラーログの出力先を指定
php_admin_value[error_log] = /var/log/php-fpm/www-error.log
; ログレベルを指定(例：warning以上をログ出力)
php_admin_flag[log_errors] = on

この設定により、PHP-FPMのエラーが/var/log/php-fpm/www-error.logに出力され、運用中に問題の早期発見が可能となります。

エラー対応のポイント

エラー対応では、エラー内容をきちんと把握し、適切な対策を講じることが重要です。

以下は、エラー対応時に注意すべきポイントです。

エラー発生時のプロセス再起動のタイミングを確認する
ログに記録されたエラーメッセージから、原因となる設定値や外部要因を割り出す
設定ファイルのシンタックスエラーを検出し、すぐに修正する

これらのポイントを押さえておくと、エラー対応が迅速になり、サービスの安定稼働に繋がります。

Webサーバーとの連携設定

PHP-FPMは、Webサーバーと連携させることで、より高速かつ効率的なPHPの実行環境を提供します。

ここでは、NginxとApacheとの連携設定について、具体的な設定サンプルとともに説明します。

Nginxとの連携方法

NginxとPHP-FPMを連携させる場合、主に以下のような設定を行います。

Nginxの設定で、PHPのリクエストをfastcgi_passでPHP-FPMに渡すように指定する。
fastcgi_paramを用いて、環境変数や必要なパラメータを渡す。

以下は、Nginx側のサンプル設定です。

server {
    listen 80;
    server_name example.com;
    root /var/www/html;
    location ~ \.php$ {

        # PHP-FPMのソケットを指定

        fastcgi_pass unix:/run/php/php-fpm.sock;
        fastcgi_index index.php;
        include fastcgi_params;
        fastcgi_param SCRIPT_FILENAME $document_root$fastcgi_script_name;
    }
}

上記の設定により、.phpで終わるリクエストはPHP-FPMに転送され、適切にPHPスクリプトが実行されるようになります。

Apacheとの連携方法

ApacheとPHP-FPMを連携させる場合、mod_proxy_fcgiを利用して、FastCGIプロトコルでPHP-FPMにリクエストを転送します。

以下は、Apacheでのサンプル設定です。

<VirtualHost *:80>
    ServerName example.com
    DocumentRoot "/var/www/html"
    <FilesMatch \.php$>

        # PHP-FPMのソケットまたはTCP接続先

        SetHandler "proxy:unix:/run/php/php-fpm.sock|fcgi://localhost/"
    </FilesMatch>
</VirtualHost>