コンパイラエラー

C言語コンパイラエラー C2948について解説

コンパイラ エラー C2948は、明示的にインスタンス化されたテンプレートクラスの特殊化で、例えばexternなどのストレージクラス指定子を使おうとするときに発生します。

エラーを解消するには、特殊化部分から不要なストレージクラス指定子を取り除く必要があります。

エラーの発生背景

明示的インスタンス化とテンプレート特殊化

テンプレートクラスは、汎用的なクラス定義を行うための強力な機能です。

様々な型に対して同じアルゴリズムを実装する際に利用され、コンパイル時に具体的な型が決定されます。

テンプレートの仕組みにより、多態性をコンパイル時に実現することができます。

テンプレートクラスの基本

テンプレートクラスは、型パラメータを利用してクラスや関数を定義する仕組みです。

以下のサンプルコードは、テンプレートクラス MyTemplate の基本的な実装例となります。

ここでは、テンプレートパラメータ T を用いてクラスメンバを定義しています。

#include <iostream>
// テンプレートクラスの定義
template <typename T>
class MyTemplate {
public:
    T value;
    MyTemplate(T v) : value(v) {}  // コンストラクタで値を初期化
    void display() {
        std::cout << "Value is: " << value << std::endl;
    }
};
int main() {
    // テンプレートクラスのインスタンス化
    MyTemplate<int> obj(10);
    obj.display();
    return 0;
}
Value is: 10

明示的インスタンス化の手法

明示的インスタンス化は、コンパイラに対して特定の型に対するテンプレートの実体化を強制するための手法です。

これにより、リンク時の重複コード生成を防ぐ効果があります。

下記のサンプルコードは、MyTemplate<int> に対する明示的なインスタンス化の例を示しています。

#include <iostream>
// テンプレートクラスの定義
template <typename T>
class MyTemplate {
public:
    T value;
    MyTemplate(T v) : value(v) {}
    void display() {
        std::cout << "Value is: " << value << std::endl;
    }
};
// 明示的インスタンス化(MyTemplate<int> の実体化をコンパイラに伝える)
template class MyTemplate<int>;
int main(){
    MyTemplate<int> obj(20);
    obj.display();
    return 0;
}
Value is: 20

ストレージ クラス指定子の役割

ストレージクラス指定子は、変数や関数の記憶域の特性や可視性(リンケージ)を制御するために利用されます。

一般的な指定子としては、externstatic などがあり、プログラム全体でのスコープ管理に役立ちます。

テンプレートにおいては、ストレージクラス指定子が明示的インスタンス化や特殊化と組み合わされると、意図しない動作を引き起こす可能性があります。

extern の利用例と注意点

extern 指定子は、変数や関数の定義が別の翻訳単位に存在する場合に用いられます。

以下は、extern を利用した関数宣言のシンプルな例です。

  • extern を正しく利用する例:
    • 関数のヘッダーまでは宣言し、実際の定義を別ファイルに記述する場合に利用します。
  • テンプレート特殊化に extern を記述すると、コンパイラがエラー C2948 を発生させる原因となるため、特殊化には使用しないよう注意する必要があります。

エラー C2948の原因

特殊化におけるストレージ クラス指定子の誤用

エラー C2948 は、以前に明示的インスタンス化されたテンプレートクラスの特殊化において、ストレージクラス指定子が添えられている場合に発生します。

テンプレート特殊化は、特定の型に対して既存のテンプレート定義を変更または上書きするために用いられますが、この場合においてストレージ指定子は許可されていません。

不適切なクラス指定子の記述例

以下のサンプルコードは、extern 指定子を伴うテンプレート特殊化の誤った実装例です。

コンパイラは、この記述によってエラー C2948 を検出します。

#include <iostream>
// テンプレートクラスの定義
template<typename T>
class MyTemplate {
public:
    T value;
    MyTemplate(T v) : value(v) {}
    void display() {
        std::cout << "Value is: " << value << std::endl;
    }
};
// 明示的インスタンス化(MyTemplate<int> の実体化)
template class MyTemplate<int>;
// 不適切なテンプレート特殊化(extern 指定子が使用されている)
extern template <>
class MyTemplate<int> {
public:
    int value;
    MyTemplate(int v) : value(v) {}
    void display() {
        std::cout << "Specialized value is: " << value << std::endl;
    }
};
int main() {
    MyTemplate<int> obj(30);
    obj.display();
    return 0;
}
Compilation error: error C2948: Storage-class specifier 'extern' is not allowed on explicit template specialization.

コンパイラのエラー検出メカニズム

コンパイラは、テンプレート特殊化の処理時に元のテンプレート定義と照らし合わせて矛盾をチェックします。

実体化されたテンプレートと特殊化の定義の間で、ストレージクラス指定子が異なる場合や、不要な指定子が含まれている場合にエラー C2948 を発生させ、修正を促します。

具体的には、以下の手順で検出が行われます。

  • 既に明示的にインスタンス化されたテンプレートの実体を解析する。
  • 特殊化部分で指定されたストレージクラス指定子を検出する。
  • オリジナルのインスタンス化と不整合がある場合、エラーを出力する。

エラー解消の方法

不要なストレージ クラス指定子の削除方法

このエラーを解消するためには、特殊化の記述からストレージクラス指定子(例: extern)を削除することが基本となります。

ストレージクラス指定子を取り除くことで、コンパイラはテンプレート特殊化を正しく認識し、エラーが解消されます。

正しいテンプレート特殊化の記述例

以下のサンプルコードは、不要なストレージクラス指定子を削除した適切なテンプレート特殊化の例です。

MyTemplate<int> の特殊化において、ストレージクラス指定子は使用していません。

この形式で記述することで、エラーが発生せず正しく動作します。

#include <iostream>
// テンプレートクラスの定義
template<typename T>
class MyTemplate {
public:
    T value;
    MyTemplate(T v): value(v) {}
    void display() {
        std::cout << "Value is: " << value << std::endl;
    }
};
// 明示的インスタンス化(MyTemplate<int> の実体化)
template class MyTemplate<int>;
// 正しいテンプレート特殊化(ストレージ クラス指定子を削除)
template <>
class MyTemplate<int> {
public:
    int value;
    MyTemplate(int v) : value(v) {}
    void display() {
        std::cout << "Specialized value is: " << value << std::endl;
    }
};
int main(){
    MyTemplate<int> obj(40);
    obj.display();
    return 0;
}
Specialized value is: 40

修正後のコード検証

エラー修正後は、ソースコード全体を再度コンパイルして、エラーが発生しないことを確認する必要があります。

コンパイルが成功した場合、特殊化が正しく有効になっているかどうか、また期待通りの動作をしているかをチェックしてください。

手順としては、以下の点に注意してください。

コンパイル動作の確認手順

  • コンパイラにて、修正後のコードをビルドする。
  • 明示的インスタンス化と特殊化が正しく適用され、エラー C2948 が発生しないことを確認する。
  • main 関数の実行結果で、正しい動作(例: 特殊化されたクラスの出力)が得られるか検証する。

まとめ

本記事では、C++のテンプレートクラスの基本と明示的インスタンス化、さらに特殊化におけるストレージクラス指定子の役割と誤用が原因で発生するエラー C2948 の背景を解説しています。

正しい特殊化の記述例と修正後のコード検証手順を通じて、エラー解消の具体的な方法を理解できる内容となっており、テンプレート利用時の注意点を学ぶことができます。

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