C# コンパイラエラー CS1917 について解説:読み取り専用フィールド初期化エラーの原因と対策
C#で発生するコンパイラエラーCS1917は、読み取り専用の値型フィールドにオブジェクト初期化子で値を割り当てようとすると発生します。
読み取り専用フィールドはコンストラクター内でのみ初期化できるため、この方法ではエラーとなります。
構造体をクラスに変更するなど、別の初期化方法を検討してください。
読み取り専用フィールドの基本
読み取り専用制約の特徴
読み取り専用フィールドは、一度初期化されるとその後変更できない特性を持っています。
初期化は宣言時やコンストラクター内のみで可能となり、オブジェクトの状態が不意に変更されることを防ぐ役割があります。
また、読み取り専用であるため、外部からの意図しない更新を防止でき、コードの安全性や予測可能性が向上します。
値型フィールドと初期化ルール
値型(structなど)のフィールドを読み取り専用として宣言する場合、初期化方法にいくつかのルールが存在します。
- 宣言時に初期化する方法
- コンストラクター内で初期化する方法
値型はコピー動作が発生しやすいため、読み取り専用フィールドとして扱う際は初期化後の変更が禁止される点に注意が必要です。
宣言時に初期化してしまうと、オブジェクト初期化子でさらにフィールドを設定することができなくなります。
CS1917エラーの発生原因
オブジェクト初期化子利用時の問題
オブジェクト初期化子を利用すると、フィールドへの直接代入が発生します。
しかし、読み取り専用の値型フィールドにオブジェクト初期化子を適用すると、値型の場合はオブジェクト全体がコピーされるため、読み取り専用フィールドとして保持できなくなる可能性があります。
結果として、コンパイラーエラーのCS1917が発生します。
以下は、オブジェクト初期化子利用時にCS1917が発生するサンプルコードです。
using System;
namespace CS1917Example
{
public struct SampleStruct
{
public int number;
}
public class SampleClass
{
public readonly SampleStruct data = new SampleStruct(); // 読み取り専用フィールド
public static void Main()
{
// オブジェクト初期化子でのサブプロパティ割り当てによりエラー発生
SampleClass instance = new SampleClass { data = { number = 10 } }; // CS1917エラー
Console.WriteLine(instance.data.number);
}
}
}
(コンパイルエラー: CS1917が発生)
コンストラクター初期化との不整合
読み取り専用フィールドは、コンストラクターでの初期化のみ許可されるため、オブジェクト初期化子とコンストラクター内での初期化が競合する形になってしまいます。
この不整合が原因でコンパイラーはエラーを発生させます。
構造体固有の特性
構造体は値型であるため、フィールドが読み取り専用に設定されるとコピー動作が発生し、更新ができないという制約が厳しくなります。
構造体固有のコピー動作に起因して、オブジェクト初期化子による部分的な更新が許されなくなっているのです。
読み取り専用フィールドの制限
読み取り専用フィールドでは、フィールドが一度設定されると、その後の変更は許可されません。
コンストラクター以外の場所で変更しようとする試みがエラーに至るため、値型の場合も例外ではありません。
これにより、非コンストラクター内でフィールドの更新を試みると、CS1917エラーが発生することになります。
エラー修正方法と対策
コンストラクターによる初期化実装
CS1917エラーを回避するためには、読み取り専用フィールドの初期化をコンストラクター内で行う方法が推奨されます。
コンストラクター内で初期値を設定すれば、フィールドが初期化後に変更されることなく、安全に使用することが可能です。
以下にサンプルコードを示します。
using System;
namespace CS1917Solution
{
public struct SampleStruct
{
public int number;
}
public class SampleClass
{
public readonly SampleStruct data; // 読み取り専用フィールド
// コンストラクター内でフィールドを初期化
public SampleClass(int num)
{
data.number = num;
}
public static void Main()
{
// コンストラクターで初期化することでエラー回避
SampleClass instance = new SampleClass(10);
Console.WriteLine(instance.data.number); // 出力: 10
}
}
}
10
構造体からクラス型への変更
修正手順と注意点
読み取り専用フィールドが構造体の場合、値型特有の制約が厳しいため、場合によってはクラス型に変更する方法もあります。
クラス型に変更すると参照型となり、オブジェクト初期化子を利用してもコピーや更新の問題が発生しにくくなります。
修正手順は以下の通りです。
- 該当する構造体をクラスに変更する。
- コンストラクターや初期値の設定方法を見直す。
- オブジェクト初期化子を使用した際の挙動を確認する。
以下のサンプルコードは、構造体からクラスに変更し、オブジェクト初期化子を使用する例です。
using System;
namespace CS1917Solution
{
// 構造体からクラスに変更
public class SampleItem
{
public int number; // 読み取り専用ではなく、変更可能なプロパティにすることも可能
}
public class SampleClass
{
public readonly SampleItem item = new SampleItem(); // 読み取り専用フィールド
public static void Main()
{
// オブジェクト初期化子でのフィールド設定が可能
SampleClass instance = new SampleClass { item = { number = 20 } };
Console.WriteLine(instance.item.number); // 出力: 20
}
}
}
20
まとめ
この記事を読むと、読み取り専用フィールドの特性と値型フィールドの初期化ルールについて理解できるほか、オブジェクト初期化子使用時に発生するCS1917エラーの原因を把握できます。
さらに、コンストラクター内での初期化や、値型から参照型への変更といったエラー修正方法とその手順・注意点を学ぶことができます。