[コマンドプロンプト] tracertコマンドの使い方 – ネットワーク経路のリスト表示

tracertコマンドは、指定したIPアドレスやドメイン名に到達するまでのネットワーク経路を追跡し、各ルーターやゲートウェイの情報をリスト表示するためのツールです。

Windowsのコマンドプロンプトで使用され、ネットワークの遅延や接続問題の診断に役立ちます。

使い方は、コマンドプロンプトで「tracert [対象のIPアドレスまたはドメイン名]」と入力するだけです。

各ホップ(中継点)のIPアドレスと応答時間が表示されます。

この記事でわかること
  • tracertコマンドの基本的な使い方
  • 各オプションの詳細な説明
  • 実行結果の解釈方法
  • ネットワークトラブルシューティングの手法
  • 代替ツールの活用方法

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tracertコマンドとは

tracertコマンドは、Windowsのコマンドプロンプトで使用されるネットワーク診断ツールの一つです。

このコマンドは、指定したIPアドレスやホスト名に対して、データパケットが通過する経路を追跡し、各ホップ(中継点)での応答時間を表示します。

これにより、ネットワークの遅延や障害の原因を特定するのに役立ちます。

tracertは、ICMP(Internet Control Message Protocol)エコー要求を使用して、目的地までの経路を調査します。

各ホップの情報には、IPアドレス、ホスト名、応答時間が含まれ、これをもとにネットワークの状態を把握することができます。

特に、インターネット接続の問題や、特定のサーバーへのアクセスが遅い場合に、どの部分で遅延が発生しているのかを確認するために非常に有用です。

tracertコマンドの基本的な使い方

tracertコマンドの構文

tracertコマンドの基本的な構文は以下の通りです。

tracert [オプション] [ホスト名またはIPアドレス]

ここで、[オプション]はコマンドの動作を変更するための追加の引数で、[ホスト名またはIPアドレス]は追跡したい対象のアドレスを指定します。

tracertコマンドの実行手順

  1. コマンドプロンプトを開く: スタートメニューから cmd と入力し、コマンドプロンプトを選択します。
  2. tracertコマンドを入力: tracertの後に追跡したいホスト名やIPアドレスを入力します。

例: tracert www.example.com

  1. 実行結果を確認: コマンドを実行すると、経路情報が表示されます。

tracertコマンドの出力結果の見方

tracertコマンドを実行すると、以下のような情報が表示されます。

  • ホップ番号: 各中継点の順序を示します。
  • IPアドレス: 各ホップのIPアドレスが表示されます。
  • ホスト名: 可能であれば、ホスト名も表示されます。
  • 応答時間: 各ホップに対する応答時間(ミリ秒)が表示されます。

通常、3回の試行結果が示されます。

tracertコマンドのオプション一覧

以下は、tracertコマンドで使用できる主なオプションの一覧です。

スクロールできます
オプション説明
-dホスト名の解決を無効化
-h <数>最大ホップ数を指定
-w <ミリ秒>タイムアウト時間を指定
-4IPv4を強制使用
-6IPv6を強制使用

これらのオプションを使用することで、tracertコマンドの動作をカスタマイズし、特定のニーズに応じた情報を得ることができます。

tracertコマンドのオプション詳細

-dオプション:ホスト名の解決を無効化

-dオプションを使用すると、tracertコマンドは各ホップのIPアドレスをホスト名に解決することをスキップします。

これにより、ホスト名の解決にかかる時間を短縮し、結果を迅速に表示することができます。

特に、ホスト名の解決が遅い場合や、IPアドレスのみを確認したい場合に便利です。

tracert -d www.example.com

-hオプション:最大ホップ数の指定

-hオプションを使用すると、tracertコマンドが追跡する最大ホップ数を指定できます。

デフォルトでは30ホップまで追跡しますが、特定の条件下でホップ数を制限したい場合に役立ちます。

tracert -h 15 www.example.com

-wオプション:タイムアウト時間の指定

-wオプションを使用すると、各ホップに対する応答を待つタイムアウト時間をミリ秒単位で指定できます。

デフォルトでは、タイムアウトは500ミリ秒ですが、ネットワーク環境によってはこの値を調整することで、より適切な結果を得ることができます。

tracert -w 1000 www.example.com

-4オプション:IPv4を強制使用

-4オプションを使用すると、tracertコマンドはIPv4アドレスのみを使用して経路を追跡します。

IPv6が有効な環境でも、IPv4を使用したい場合にこのオプションを指定します。

tracert -4 www.example.com

-6オプション:IPv6を強制使用

-6オプションを使用すると、tracertコマンドはIPv6アドレスのみを使用して経路を追跡します。

IPv4が有効な環境でも、IPv6を使用したい場合にこのオプションを指定します。

tracert -6 www.example.com

これらのオプションを活用することで、tracertコマンドの機能をより柔軟に利用し、特定のニーズに応じた情報を得ることができます。

tracertコマンドの応用例

ネットワーク遅延の原因特定

tracertコマンドを使用することで、特定のサーバーへの接続時に発生する遅延の原因を特定できます。

各ホップの応答時間を確認することで、どの中継点で遅延が発生しているのかを把握し、問題のあるルーターやネットワーク機器を特定する手助けになります。

例えば、特定のホップで応答時間が急激に増加している場合、そのホップが遅延の原因である可能性が高いです。

特定のルーターやゲートウェイの障害確認

ネットワークのトラブルシューティングにおいて、特定のルーターやゲートウェイが正常に機能しているかを確認するためにtracertコマンドを利用できます。

経路上の各ホップを確認し、応答がない場合や異常な応答時間が表示される場合、そのルーターやゲートウェイに障害が発生している可能性があります。

これにより、迅速に問題のある機器を特定し、対処することができます。

複数の経路を比較して最適なルートを選定

tracertコマンドを使って、異なるサーバーへの接続経路を比較することができます。

複数のサーバーに対してtracertを実行し、各経路の応答時間やホップ数を比較することで、最も効率的なルートを選定することが可能です。

特に、負荷分散や冗長性を考慮する際に役立ちます。

海外サーバーへの接続経路の確認

海外のサーバーに接続する際、tracertコマンドを使用してその経路を確認することができます。

これにより、データがどのような経路を通っているのか、どの国や地域を経由しているのかを把握できます。

また、特定の国や地域での遅延や障害を確認するためにも有用です。

例えば、海外のサーバーに対して以下のように実行します。

tracert www.foreignserver.com

VPN接続時の経路確認

VPN接続を使用している場合、tracertコマンドを利用してVPN経由の接続経路を確認することができます。

これにより、VPNサーバーまでの経路や、VPN接続後のインターネットアクセスの経路を把握することができ、接続の遅延や問題の原因を特定する手助けになります。

特に、VPN接続時に遅延が発生する場合、どのホップで問題が発生しているのかを確認することが重要です。

tracertコマンドのトラブルシューティング

tracertが途中で止まる場合の対処法

tracertコマンドが途中で止まる場合、いくつかの原因が考えられます。

まず、ネットワークの問題やルーターの設定によって、ICMPパケットがブロックされている可能性があります。

この場合、以下の対処法を試みてください。

  • ファイアウォールの設定確認: 自身のPCやネットワーク内のルーターのファイアウォール設定を確認し、ICMPパケットが許可されているか確認します。
  • 別のネットワークで試す: 別のネットワーク環境でtracertを実行し、同様の問題が発生するか確認します。
  • ルーターの再起動: 問題が発生しているルーターを再起動し、正常に動作するか確認します。

応答が * で表示される場合の原因と対策

tracertコマンドの出力結果で、応答が * で表示される場合、これはそのホップからの応答が得られなかったことを示しています。

主な原因と対策は以下の通りです。

  • ICMPパケットのブロック: ルーターやファイアウォールがICMPパケットをブロックしている可能性があります。

この場合、設定を見直す必要があります。

  • ルーターの負荷: 応答が遅れている場合、ルーターが過負荷になっている可能性があります。

しばらく待ってから再度実行してみてください。

  • ネットワークの問題: ネットワーク全体に問題が発生している場合も考えられます。

別のホストに対してtracertを実行し、問題の範囲を特定します。

tracertで特定のホップが表示されない場合の原因

tracertコマンドを実行した際に、特定のホップが表示されない場合、以下のような原因が考えられます。

  • ルーターの設定: 一部のルーターは、セキュリティ上の理由からICMP応答を無効にしていることがあります。

この場合、そのルーターは経路情報を返さないため、表示されません。

  • ネットワークの構成: 複雑なネットワーク構成やVPN接続を使用している場合、特定のホップが表示されないことがあります。

これにより、経路が隠されることがあります。

tracertがタイムアウトする場合の対処法

tracertコマンドがタイムアウトする場合、以下の対処法を試みることができます。

  • タイムアウト時間の延長: -wオプションを使用して、各ホップに対するタイムアウト時間を延長します。

例えば、1000ミリ秒に設定することができます。

tracert -w 1000 www.example.com
  • ネットワーク接続の確認: インターネット接続が正常であるか確認し、他のウェブサイトにアクセスできるか試してみます。
  • ルーターの再起動: ルーターやモデムを再起動し、接続の問題が解消されるか確認します。

これらの対策を講じることで、tracertコマンドの実行時に発生する問題を解決し、ネットワークの状態をより正確に把握することができます。

tracertコマンドの実行結果の解釈

各ホップのIPアドレスとホスト名の意味

tracertコマンドの実行結果には、各ホップのIPアドレスとホスト名が表示されます。

これらの情報は、データパケットが目的地に到達するまでに通過する中継点を示しています。

具体的には、以下のような意味があります。

  • IPアドレス: 各ホップのネットワーク機器の識別子で、データがどのルーターを通過しているかを示します。
  • ホスト名: 可能であれば、IPアドレスに対応するドメイン名が表示されます。

これにより、どのサーバーやルーターを経由しているのかがわかります。

ホスト名が表示されない場合は、-dオプションを使用してホスト名の解決を無効にしている可能性があります。

応答時間の見方とその重要性

tracertコマンドの出力結果には、各ホップに対する応答時間がミリ秒単位で表示されます。

通常、3回の試行結果が示され、各試行の応答時間が表示されます。

応答時間の見方は以下の通りです。

  • 応答時間の数値: 各ホップに対する応答時間を示し、数値が小さいほど迅速に応答していることを意味します。
  • 応答時間の変動: 各ホップの応答時間が大きく変動している場合、ネットワークの混雑や遅延が発生している可能性があります。

特に、特定のホップで応答時間が急激に増加している場合、そのホップがボトルネックになっていることが考えられます。

TTL(Time to Live)の役割

TTL(Time to Live)は、データパケットがネットワーク内で生存できる時間を示す値です。

tracertコマンドでは、各ホップでのTTL値が表示されます。

TTLの役割は以下の通りです。

  • ループ防止: TTLは、データパケットが無限にループするのを防ぐために使用されます。

TTLが0になると、パケットは破棄されます。

  • 経路の追跡: tracertコマンドでは、TTL値を利用して各ホップを追跡します。

最初のパケットはTTL=1で送信され、最初のルーターでTTLが0になると、そのルーターが応答します。

次にTTL=2のパケットが送信され、2番目のルーターが応答します。

このプロセスを繰り返すことで、経路が特定されます。

経路上の遅延や障害の特定方法

tracertコマンドの出力結果を分析することで、経路上の遅延や障害を特定することができます。

以下のポイントに注意して確認します。

  • 応答時間の急増: 特定のホップで応答時間が急激に増加している場合、そのホップが遅延の原因である可能性があります。
  • 応答がないホップ: 応答が * で表示される場合、そのホップからの応答が得られなかったことを示します。

これが連続して発生する場合、ネットワークの問題やルーターの設定が原因である可能性があります。

  • 全体の経路の確認: 経路全体を確認し、どの部分で遅延や障害が発生しているのかを特定します。

特に、最初のホップから目的地までの経路を追跡することで、問題の発生場所を特定しやすくなります。

これらの情報をもとに、ネットワークの状態を把握し、必要な対策を講じることができます。

tracertコマンドの実行環境

Windowsでのtracertコマンドの実行方法

Windowsでtracertコマンドを実行するには、以下の手順を行います。

  1. コマンドプロンプトを開く: スタートメニューを開き、 cmd と入力してコマンドプロンプトを選択します。
  2. tracertコマンドを入力: コマンドプロンプトにtracertの後に追跡したいホスト名またはIPアドレスを入力します。
tracert www.example.com
  1. 結果を確認: コマンドを実行すると、各ホップのIPアドレス、ホスト名、応答時間が表示されます。

LinuxやmacOSでのtracerouteコマンドとの違い

LinuxやmacOSでは、tracerouteコマンドが同様の機能を提供しますが、いくつかの違いがあります。

スクロールできます
特徴tracert (Windows)traceroute (Linux/macOS)
コマンド名tracerttraceroute
デフォルトのプロトコルICMPUDPまたはICMP(オプションで指定)
オプションの形式-d, -h, -wなど-n, -m, -wなど
出力形式各ホップの応答時間が3回表示各ホップの応答時間が1回表示

これらの違いにより、コマンドの使い方や出力結果が異なるため、環境に応じたコマンドを使用する必要があります。

tracertコマンドが使えない場合の代替ツール

tracertコマンドが使用できない場合、以下の代替ツールを利用することができます。

  • PathPing: Windowsに標準で搭載されているツールで、tracertpingの機能を組み合わせたものです。

経路上の各ホップの応答時間とパケット損失を確認できます。

pathping www.example.com
  • WinMTR: Windows用のネットワーク診断ツールで、tracertpingの機能を統合しています。

リアルタイムで経路の状態を監視できます。

  • PingPlotter: グラフィカルなインターフェースを持つネットワーク診断ツールで、経路の可視化が可能です。

特に、ネットワークの遅延や障害を視覚的に把握するのに役立ちます。

これらのツールを使用することで、ネットワークの状態を把握し、問題の特定やトラブルシューティングを行うことができます。

よくある質問

tracertコマンドで「要求がタイムアウトしました」と表示されるのはなぜ?

「要求がタイムアウトしました」というメッセージは、tracertコマンドが特定のホップからの応答を受け取れなかったことを示しています。

主な原因は以下の通りです。

  • ICMPパケットのブロック: ルーターやファイアウォールがICMPパケットをブロックしている場合、応答が得られません。
  • ネットワークの問題: ネットワーク全体に問題が発生している場合、特定のホップで応答が得られないことがあります。
  • ルーターの負荷: ルーターが過負荷になっている場合、応答が遅れることがあります。

tracertコマンドで表示される * は何を意味する?

tracertコマンドの出力結果で * が表示される場合、それはそのホップからの応答が得られなかったことを示しています。

具体的な原因は以下の通りです。

  • ICMP応答の無効化: 一部のルーターはセキュリティ上の理由からICMP応答を無効にしていることがあります。
  • ネットワークの混雑: ネットワークが混雑している場合、応答が遅れたり、失われたりすることがあります。
  • ルーターの設定: 特定のルーターがICMPパケットを処理できない設定になっている場合も考えられます。

tracertコマンドでIPv6アドレスが表示されるのはなぜ?

tracertコマンドでIPv6アドレスが表示されるのは、対象のホストがIPv6アドレスを持っている場合や、ネットワークがIPv6を優先している場合です。

以下の理由が考えられます。

  • IPv6の優先設定: システムやネットワークがIPv6を優先している場合、tracertコマンドはIPv6アドレスを使用して経路を追跡します。
  • 対象ホストのIPv6対応: 追跡対象のホストがIPv6アドレスを持っている場合、IPv6経路が表示されます。

IPv6アドレスが表示される場合、-4オプションを使用してIPv4を強制的に使用することもできます。

まとめ

この記事では、tracertコマンドの基本的な使い方やオプション、実行結果の解釈、トラブルシューティングの方法について詳しく解説しました。

これにより、ネットワーク経路の追跡や問題の特定がどのように行えるかが明らかになりました。

ネットワークの状態を把握し、必要に応じて適切な対策を講じるために、ぜひtracertコマンドを活用してみてください。

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