[Python] 幹葉図を計算してmatplotlibで表示する方法
幹葉図(stem-and-leaf plot)は、データの分布を視覚化するための手法です。
Pythonでは、標準ライブラリに幹葉図を直接作成する関数はありませんが、matplotlib
を使って類似の視覚化を行うことができます。
まず、データを幹(stem)と葉(leaf)に分割し、幹ごとに葉をリスト化します。
その後、matplotlib
のplt.text()
やplt.bar()
などを使って、幹葉図のような形式でデータを表示します。
幹葉図とは
幹葉図(Stem-and-leaf plot)は、データの分布を視覚的に表現するための統計的手法の一つです。
データを幹(stem)と葉(leaf)に分けて表示することで、数値データの分布や形状を簡潔に把握することができます。
幹はデータの最上位の桁を示し、葉はその下位の桁を示します。
この方法は、特に小規模なデータセットにおいて、データの中心や散らばりを直感的に理解するのに役立ちます。
また、幹葉図はデータの個々の値を保持しつつ、全体の傾向を示すため、ヒストグラムや箱ひげ図といった他の視覚化手法と併用されることもあります。
Pythonで幹葉図を作成するための準備
必要なライブラリのインストール
幹葉図を作成するためには、Pythonのデータ処理や可視化に役立つライブラリをインストールする必要があります。
以下のライブラリを使用します。
ライブラリ名 | 用途 |
---|---|
NumPy | 数値計算やデータ処理 |
Matplotlib | グラフ描画 |
これらのライブラリは、以下のコマンドでインストールできます。
pip install numpy matplotlib
データの準備
幹葉図を作成するためには、数値データが必要です。
データはリストやNumPy配列として用意することができます。
例えば、以下のようなデータセットを考えます。
data = [12, 15, 12, 14, 18, 20, 22, 25, 30, 32, 35, 38, 40]
このデータは、幹葉図を作成するための基本的な数値データです。
幹葉図を作成するためのデータの前処理
幹葉図を作成する前に、データを適切に整形する必要があります。
具体的には、データを昇順にソートし、幹と葉に分ける準備をします。
以下の手順でデータを前処理します。
- データを昇順にソートする。
- 各データポイントを幹と葉に分ける。
- 例えば、数値
25
は幹が2
で葉が5
となります。
この前処理を行うことで、幹葉図を作成する際の基盤が整います。
幹葉図を計算する方法
幹と葉の分割方法
幹葉図を作成するためには、各データポイントを幹と葉に分割する必要があります。
一般的に、幹はデータの最上位の桁を、葉はその下位の桁を示します。
例えば、数値 47
は、幹が 4
で葉が 7
となります。
この分割を行うためには、数値を文字列に変換し、適切な桁数で分けることが重要です。
幹の計算方法
幹を計算するためには、データの各値から最上位の桁を抽出します。
Pythonでは、整数を10で割った商を使って幹を求めることができます。
以下のサンプルコードでは、幹を計算する方法を示します。
data = [12, 15, 22, 25, 30, 32, 35, 40]
stems =
# 幹を計算
print(stems)
[1, 1, 2, 2, 3, 3, 3, 4]
葉の計算方法
葉を計算するためには、データの各値から幹を引いた残りの部分を求めます。
具体的には、各値を10で割った余りを使って葉を求めます。
以下のサンプルコードでは、葉を計算する方法を示します。
leaves =
# 葉を計算
print(leaves)
[2, 5, 2, 5, 0, 2, 5, 0]
データのグループ化とソート
幹葉図を作成する際には、幹ごとに葉をグループ化し、各グループ内の葉をソートする必要があります。
これにより、視覚的にわかりやすい幹葉図を作成できます。
以下のサンプルコードでは、データをグループ化し、ソートする方法を示します。
from collections import defaultdict
# 幹と葉をグループ化
stem_leaf_dict = defaultdict(list)
for value in data:
stem = value // 10
leaf = value % 10
stem_leaf_dict[stem].append(leaf)
# 各幹の葉をソート
for stem in stem_leaf_dict:
stem_leaf_dict[stem].sort()
print(stem_leaf_dict)
defaultdict(<class 'list'>, {1: [2, 5], 2: [2, 5], 3: [0, 2, 5], 4: [0]})
このようにして、幹と葉を計算し、データをグループ化してソートすることで、幹葉図を作成するための準備が整います。
matplotlibを使った幹葉図の表示
matplotlibの基本的な使い方
matplotlib
は、Pythonでデータを可視化するための強力なライブラリです。
基本的な使い方は、まずライブラリをインポートし、データをプロットするための関数を呼び出すことです。
以下は、matplotlib
を使った基本的なプロットの例です。
import matplotlib.pyplot as plt
# データの準備
x = [1, 2, 3, 4]
y = [10, 20, 25, 30]
# プロット
plt.plot(x, y)
plt.show()
幹葉図のデータをテキストで表示する方法
幹葉図をテキスト形式で表示するには、幹と葉のデータを整形して出力します。
以下のサンプルコードでは、幹葉図のデータをテキストで表示する方法を示します。
for stem, leaves in stem_leaf_dict.items():
print(f"{stem} | {' '.join(map(str, leaves))}")
1 | 2 5
2 | 2 5
3 | 0 2 5
4 | 0
幹葉図を棒グラフ形式で表示する方法
幹葉図を棒グラフ形式で表示するには、matplotlib
のbar関数
を使用します。
以下のサンプルコードでは、幹葉図を棒グラフとして表示する方法を示します。
# 幹と葉の数をカウント
stem_counts = {stem: len(leaves) for stem, leaves in stem_leaf_dict.items()}
# 棒グラフのプロット
plt.bar(stem_counts.keys(), stem_counts.values())
plt.xlabel('幹')
plt.ylabel('葉の数')
plt.title('幹葉図の棒グラフ')
plt.show()
幹葉図のカスタマイズ(色、フォント、サイズなど)
matplotlib
では、プロットの色、フォント、サイズなどをカスタマイズすることができます。
以下のサンプルコードでは、幹葉図のカスタマイズ方法を示します。
plt.bar(stem_counts.keys(), stem_counts.values(), color='skyblue')
plt.xlabel('幹', fontsize=14)
plt.ylabel('葉の数', fontsize=14)
plt.title('幹葉図の棒グラフ', fontsize=16)
plt.xticks(fontsize=12)
plt.yticks(fontsize=12)
plt.show()
完全なサンプルコード
以下は、幹葉図を計算し、matplotlib
を使って表示する完全なサンプルコードです。
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
from collections import defaultdict
# データの準備
data = [12, 15, 22, 25, 30, 32, 35, 40]
# 幹と葉の計算
stem_leaf_dict = defaultdict(list)
for value in data:
stem = value // 10
leaf = value % 10
stem_leaf_dict[stem].append(leaf)
# 各幹の葉をソート
for stem in stem_leaf_dict:
stem_leaf_dict[stem].sort()
# 幹葉図のテキスト表示
for stem, leaves in stem_leaf_dict.items():
print(f"{stem} | {' '.join(map(str, leaves))}")
# 棒グラフのプロット
stem_counts = {stem: len(leaves) for stem, leaves in stem_leaf_dict.items()}
plt.bar(stem_counts.keys(), stem_counts.values(), color='skyblue')
plt.xlabel('幹', fontsize=14)
plt.ylabel('葉の数', fontsize=14)
plt.title('幹葉図の棒グラフ', fontsize=16)
plt.xticks(fontsize=12)
plt.yticks(fontsize=12)
plt.show()

このコードを実行することで、幹葉図をテキスト形式で表示し、さらに棒グラフとして視覚化することができます。
応用例
大規模データセットでの幹葉図の作成
幹葉図は、小規模なデータセットに適しているとされていますが、大規模データセットでも有効に活用できます。
データを適切にグループ化し、幹と葉を計算することで、全体の傾向を把握することが可能です。
例えば、数千から数万のデータポイントを持つ場合、幹を大きな桁数に設定し、葉をその下位の桁にすることで、視覚的にデータの分布を示すことができます。
これにより、データの中心や散らばりを簡単に理解できます。
幹葉図と他のグラフ(ヒストグラム、箱ひげ図)との併用
幹葉図は、ヒストグラムや箱ひげ図と併用することで、データの理解を深めることができます。
例えば、幹葉図でデータの分布を視覚化し、ヒストグラムでその分布の密度を確認することができます。
また、箱ひげ図を使ってデータの四分位数や異常値を示すことで、データの全体像をより明確に把握できます。
このように、複数の視覚化手法を組み合わせることで、データ分析の精度を向上させることができます。
幹葉図を使ったデータの異常値検出
幹葉図は、データの異常値を視覚的に検出するのにも役立ちます。
幹葉図を作成することで、データの分布が一目でわかり、通常の範囲から外れた値(異常値)を簡単に特定できます。
例えば、幹葉図の葉の部分に極端に小さいまたは大きい値が存在する場合、それは異常値である可能性があります。
この手法は、データクリーニングや前処理の段階で非常に有用です。
幹葉図を使ったデータの分布分析
幹葉図は、データの分布を分析するための強力なツールです。
データの中心、散らばり、偏りを視覚的に示すことができるため、データの特性を理解するのに役立ちます。
例えば、幹葉図を用いてデータの対称性や偏りを確認することで、正規分布に従っているかどうかを判断できます。
また、データの分布がどのように変化しているかを観察することで、トレンドやパターンを見つけることができます。
これにより、データ分析や意思決定において重要な洞察を得ることが可能です。
まとめ
この記事では、幹葉図の基本的な概念から、Pythonを用いた作成方法、さらには応用例まで幅広く解説しました。
幹葉図は、データの分布を視覚的に表現するための有効な手法であり、特に小規模なデータセットにおいてその効果を発揮します。
これを機に、実際のデータ分析に幹葉図を取り入れて、データの傾向や特性をより明確に把握してみてはいかがでしょうか。