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[Python] Open3Dライブラリの使い方 – 3D(ポリゴンやモデルデータ)処理

Open3DはPythonで3Dデータを扱うためのライブラリで、点群、メッシュ、ボクセルなどの3Dデータ処理をサポートします。

主な機能には、3Dデータの読み書き、可視化、編集、変換、登録(アライメント)、法線推定、メッシュ生成、セグメンテーション、クラスタリングなどがあります。

PLYやOBJ形式のファイルを読み込んで操作可能で、open3d.geometryモジュールでデータ構造を扱い、open3d.visualizationで3Dビューアを利用できます。

Open3Dライブラリとは

Open3Dは、3Dデータの処理と可視化を簡単に行うためのオープンソースライブラリです。

主に点群データやメッシュデータの操作に特化しており、研究や産業界での利用が広がっています。

以下の特徴があります。

特徴説明
オープンソース無料で利用でき、コミュニティによるサポートがある。
多様なデータ形式点群、メッシュ、RGB-D画像など、さまざまな形式に対応。
高速な処理効率的なアルゴリズムを使用しており、大規模データの処理が可能。
シンプルなAPIPythonを用いた直感的なインターフェースで、学習コストが低い。
可視化機能3Dデータを簡単に可視化できるツールが豊富。

Open3Dは、特にコンピュータビジョンやロボティクスの分野での利用が進んでおり、3Dスキャンデータの処理や、シミュレーション、機械学習の前処理などに役立ちます。

Pythonでの実装が可能なため、データサイエンティストやエンジニアにとって非常に便利なツールです。

Open3Dで扱える3Dデータ形式

Open3Dは、さまざまな3Dデータ形式をサポートしており、特に以下の形式が一般的に使用されます。

これらのデータ形式は、3Dモデリングや点群処理において重要な役割を果たします。

データ形式説明
点群データ3D空間内の点の集合で、スキャンデータやセンサーから取得される。
メッシュデータ頂点と面から構成される3Dモデルで、ポリゴンで表現される。
RGB-D画像各ピクセルに色(RGB)と深度情報(D)を持つ画像データ。
ボリュームデータ3D空間内の体積情報を持つデータで、医療画像などに使用される。
3DモデルファイルOBJ、PLY、STLなどのフォーマットで保存された3Dモデル。

点群データ

点群データは、3DスキャンやLiDARセンサーから取得されるデータで、各点は位置情報を持っています。

これにより、物体の形状や構造を表現することができます。

メッシュデータ

メッシュデータは、3Dオブジェクトをポリゴンで表現したもので、頂点、エッジ、面から構成されます。

これにより、より詳細な形状を持つモデルを作成できます。

RGB-D画像

RGB-D画像は、カメラで取得した色情報と深度情報を組み合わせたデータです。

これにより、物体の色と距離を同時に取得することができます。

Open3Dを使用することで、これらのデータ形式を簡単に読み込み、処理、可視化することが可能です。

これにより、3Dデータの分析やアプリケーション開発が効率的に行えます。

Open3Dの基本的な使い方

Open3Dを使用するためには、まずライブラリをインストールし、基本的な操作を理解することが重要です。

以下に、Open3Dの基本的な使い方を示します。

インストール

Open3Dは、Pythonのパッケージマネージャであるpipを使用して簡単にインストールできます。

以下のコマンドを実行してください。

pip install open3d

基本的なサンプルコード

以下は、Open3Dを使用して点群データを読み込み、可視化する基本的なサンプルコードです。

import open3d as o3d
# 点群データを読み込む
point_cloud = o3d.io.read_point_cloud("sample.ply")
# 点群データを可視化する
o3d.visualization.draw_geometries([point_cloud])

このコードでは、sample.plyというファイル名の点群データを読み込み、Open3Dの可視化機能を使用して表示します。

“sample.ply” をダウンロード sample.ply – 14 回のダウンロード – 5.85 KB

上記のコードを実行すると、以下のようなウィンドウが表示され、点群データが3D空間で可視化されます。

基本的な操作

Open3Dでは、以下のような基本的な操作が可能です。

操作説明
読み込みo3d.io.read_point_cloud()o3d.io.read_triangle_mesh()を使用。
可視化o3d.visualization.draw_geometries()を使用。
保存o3d.io.write_point_cloud()o3d.io.write_triangle_mesh()を使用。
フィルタリング点群やメッシュのフィルタリング機能を使用。
幾何学的操作回転、スケーリング、移動などの幾何学的操作が可能。

Open3Dを使うことで、3Dデータの処理や可視化が簡単に行えるため、さまざまなアプリケーションに応用できます。

点群データの操作

Open3Dを使用すると、点群データの読み込み、処理、可視化が簡単に行えます。

ここでは、点群データの基本的な操作方法について説明します。

点群データの読み込み

点群データは、さまざまなフォーマット(例:PLY、XYZなど)で保存されています。

以下のコードは、PLY形式の点群データを読み込む例です。

import open3d as o3d
# 点群データを読み込む
point_cloud = o3d.io.read_point_cloud("sample.ply")
# 読み込んだ点群データの情報を表示
print(point_cloud)

点群データの可視化

読み込んだ点群データを可視化するには、以下のコードを使用します。

# 点群データを可視化する
o3d.visualization.draw_geometries([point_cloud])

点群データのフィルタリング

点群データにはノイズが含まれることがあるため、フィルタリングを行うことが重要です。

以下のコードは、ボクセルグリッドフィルタを使用して点群をダウンサンプリングする例です。

# ボクセルグリッドフィルタを適用
voxel_size = 0.05  # ボクセルのサイズ
downsampled_point_cloud = point_cloud.voxel_down_sample(voxel_size)
# フィルタリング後の点群データを可視化
o3d.visualization.draw_geometries([downsampled_point_cloud])

点群データの法線推定

点群データの法線を推定することで、表面の情報を得ることができます。

以下のコードは、法線を推定する例です。

# 法線を推定
downsampled_point_cloud.estimate_normals(search_param=o3d.geometry.KDTreeSearchParamHybrid(radius=0.1, max_nn=30))
# 法線を可視化
o3d.visualization.draw_geometries([downsampled_point_cloud], point_show_normal=True)

点群データの保存

処理した点群データを保存するには、以下のコードを使用します。

# 点群データをPLY形式で保存
o3d.io.write_point_cloud("filtered_sample.ply", downsampled_point_cloud)

上記の操作を実行することで、点群データの読み込み、フィルタリング、法線推定、可視化、保存が行えます。

これにより、点群データの品質を向上させ、さらなる分析や処理に役立てることができます。

Open3Dを使用することで、点群データの操作が直感的に行えるため、さまざまなアプリケーションに応用可能です。

メッシュデータの操作

Open3Dを使用すると、メッシュデータの読み込み、処理、可視化が簡単に行えます。

ここでは、メッシュデータの基本的な操作方法について説明します。

メッシュデータの読み込み

メッシュデータは、一般的にOBJ、PLY、STLなどのフォーマットで保存されています。

以下のコードは、PLY形式のメッシュデータを読み込む例です。

import open3d as o3d
# メッシュデータを読み込む
mesh = o3d.io.read_triangle_mesh("sample_mesh.ply")
# 読み込んだメッシュデータの情報を表示
print(mesh)

メッシュデータの可視化

読み込んだメッシュデータを可視化するには、以下のコードを使用します。

# メッシュデータを可視化する
o3d.visualization.draw_geometries([mesh])

メッシュデータの法線推定

メッシュデータの法線を推定することで、表面の情報を得ることができます。

以下のコードは、法線を推定する例です。

# 法線を推定
mesh.compute_vertex_normals()
# 法線を可視化
o3d.visualization.draw_geometries([mesh], mesh_show_back_face=True)

メッシュデータのリダクション

メッシュデータの頂点数を減らすことで、処理を軽量化することができます。

以下のコードは、メッシュのリダクションを行う例です。

# メッシュデータをリダクション
decimated_mesh = mesh.simplify_vertex_clustering(voxel_size=0.05)
# リダクション後のメッシュデータを可視化
o3d.visualization.draw_geometries([decimated_mesh])

メッシュデータの保存

処理したメッシュデータを保存するには、以下のコードを使用します。

# メッシュデータをPLY形式で保存
o3d.io.write_triangle_mesh("filtered_mesh.ply", decimated_mesh)

上記の操作を実行することで、メッシュデータの読み込み、法線推定、リダクション、可視化、保存が行えます。

これにより、メッシュデータの品質を向上させ、さらなる分析や処理に役立てることができます。

Open3Dを使用することで、メッシュデータの操作が直感的に行えるため、さまざまなアプリケーションに応用可能です。

3Dデータの変換と登録

3Dデータの変換と登録は、異なる座標系やスケールのデータを統合するために重要なプロセスです。

Open3Dでは、点群やメッシュデータの変換、登録を簡単に行うことができます。

以下に、基本的な操作方法を説明します。

3Dデータの変換

3Dデータの変換には、平行移動、回転、スケーリングが含まれます。

以下のコードは、点群データを平行移動する例です。

import open3d as o3d
import numpy as np
# 点群データを読み込む
point_cloud = o3d.io.read_point_cloud("sample.ply")
# 平行移動行列を定義
translation = np.array([1.0, 0.0, 0.0])  # x軸方向に1.0移動
point_cloud.translate(translation)
# 変換後の点群データを可視化
o3d.visualization.draw_geometries([point_cloud])

3Dデータの回転

点群データを回転させるには、回転行列を使用します。

以下のコードは、点群データをZ軸周りに90度回転させる例です。

# 回転行列を定義(Z軸周りに90度回転)
R = point_cloud.get_rotation_matrix_from_xyz((0, 0, np.pi / 2))  # ラジアンで指定
point_cloud.rotate(R, center=(0, 0, 0))
# 回転後の点群データを可視化
o3d.visualization.draw_geometries([point_cloud])

3Dデータの登録

異なる視点から取得した点群データを統合するためには、データの登録が必要です。

以下のコードは、ICP(Iterative Closest Point)アルゴリズムを使用して2つの点群データを登録する例です。

# 2つの点群データを読み込む
source = o3d.io.read_point_cloud("source.ply")
target = o3d.io.read_point_cloud("target.ply")
# ICPアルゴリズムを使用して登録
reg_result = o3d.pipelines.registration.registration_icp(
    source, target, max_correspondence_distance=0.02,
    estimation_method=o3d.pipelines.registration.TransformationEstimationPointToPoint())
# 登録結果を適用
source.transform(reg_result.transformation)
# 登録後の点群データを可視化
o3d.visualization.draw_geometries([source, target])

上記の操作を実行することで、3Dデータの変換(平行移動、回転)や登録(ICPアルゴリズムによる統合)が行えます。

これにより、異なるデータセットを統合し、より正確な3Dモデルを作成することが可能です。

Open3Dを使用することで、3Dデータの変換と登録が直感的に行えるため、さまざまなアプリケーションに応用可能です。

Open3Dを使った応用例

Open3Dは、さまざまな分野での3Dデータ処理に利用されています。

以下に、Open3Dを使った具体的な応用例をいくつか紹介します。

3Dスキャンデータの処理

3Dスキャナーから取得した点群データを処理し、メッシュモデルを生成することができます。

これにより、物体の形状をデジタル化し、CADソフトウェアでの利用が可能になります。

# 点群データを読み込み、メッシュに変換
point_cloud = o3d.io.read_point_cloud("scan.ply")
mesh, densities = o3d.geometry.TriangleMesh.create_from_point_cloud_poisson(point_cloud, depth=9)
# メッシュを可視化
o3d.visualization.draw_geometries([mesh])

自動運転車の環境認識

自動運転車では、LiDARセンサーから取得した点群データを使用して周囲の環境を認識します。

Open3Dを用いて、障害物の検出や地図の生成が行えます。

# LiDARデータを読み込み、障害物を検出
lidar_data = o3d.io.read_point_cloud("lidar_data.ply")
# フィルタリングやクラスタリングを行い、障害物を特定
# (具体的な処理は省略)

ロボティクスにおけるマッピングとナビゲーション

ロボットが移動する際に、周囲の環境を3Dマップとして構築することができます。

Open3Dを使用して、点群データを統合し、リアルタイムでマッピングを行うことが可能です。

# 複数の点群データを統合
combined_point_cloud = o3d.geometry.PointCloud()
for data in point_clouds:  # point_cloudsは複数の点群データのリスト
    combined_point_cloud += data
# 統合した点群データを可視化
o3d.visualization.draw_geometries([combined_point_cloud])

医療画像処理

医療分野では、CTやMRIから得られた3Dデータを処理し、可視化することが重要です。

Open3Dを使用して、ボリュームデータをメッシュに変換し、医療診断に役立てることができます。

# 医療画像データを読み込み、メッシュに変換
volume_data = o3d.io.read_image("medical_image.nii")
mesh = o3d.geometry.TriangleMesh.create_from_volume(volume_data)
# メッシュを可視化
o3d.visualization.draw_geometries([mesh])

AR/VRアプリケーション

Open3Dを使用して、3DモデルをAR(拡張現実)やVR(仮想現実)環境で表示することができます。

これにより、ユーザーはインタラクティブな体験を得ることができます。

# 3Dモデルを読み込み、AR/VR環境で表示
model = o3d.io.read_triangle_mesh("3d_model.obj")
o3d.visualization.draw_geometries([model])

Open3Dは、3Dデータの処理や可視化において非常に強力なツールです。

さまざまな応用例を通じて、研究や産業界での利用が進んでおり、今後も多くの分野での活用が期待されます。

Open3Dの可視化機能の詳細

Open3Dは、3Dデータの可視化に特化した機能を提供しており、点群やメッシュデータを直感的に表示することができます。

以下に、Open3Dの可視化機能の詳細を説明します。

基本的な可視化機能

Open3Dでは、draw_geometries関数を使用して、さまざまな3Dオブジェクトを簡単に可視化できます。

以下のコードは、点群データとメッシュデータを同時に表示する例です。

import open3d as o3d
# 点群データとメッシュデータを読み込む
point_cloud = o3d.io.read_point_cloud("sample.ply")
mesh = o3d.io.read_triangle_mesh("sample_mesh.ply")
# 点群とメッシュを可視化
o3d.visualization.draw_geometries([point_cloud, mesh])

カスタマイズ可能な表示オプション

Open3Dでは、可視化時にさまざまな表示オプションを設定できます。

例えば、点のサイズや色、メッシュの表示方法を変更することが可能です。

以下のコードは、点のサイズを変更する例です。

# 点のサイズを変更
point_cloud.paint_uniform_color([1, 0, 0])  # 赤色に設定
o3d.visualization.draw_geometries([point_cloud], point_show_normal=True, mesh_show_back_face=True)

インタラクティブな操作

Open3Dの可視化ウィンドウでは、マウスやキーボードを使用してインタラクティブに操作できます。

ズーム、回転、平行移動が可能で、ユーザーは3Dシーンを自由に探索できます。

法線の表示

点群やメッシュの法線を表示することで、表面の向きを視覚的に理解することができます。

以下のコードは、点群の法線を表示する例です。

# 法線を推定
point_cloud.estimate_normals(search_param=o3d.geometry.KDTreeSearchParamHybrid(radius=0.1, max_nn=30))
# 法線を可視化
o3d.visualization.draw_geometries([point_cloud], point_show_normal=True)

アニメーションの作成

Open3Dでは、可視化の際にアニメーションを作成することも可能です。

これにより、データの変化を視覚的に表現できます。

以下のコードは、点群を回転させるアニメーションの例です。

import time
# 点群データを回転させるアニメーション
for i in range(100):
    point_cloud.rotate(o3d.geometry.get_rotation_matrix_from_axis_angle([0, 0, np.pi / 50]), center=(0, 0, 0))
    o3d.visualization.draw_geometries([point_cloud])
    time.sleep(0.1)  # 0.1秒待機

カラーマッピング

Open3Dでは、点群やメッシュにカラーマッピングを適用することができます。

これにより、データの特定の属性(例:深度、強度など)を視覚的に表現できます。

以下のコードは、点群にカラーマッピングを適用する例です。

# 深度に基づいて色を設定
colors = np.asarray(point_cloud.points)[:, 2]  # Z座標を取得
colors = (colors - colors.min()) / (colors.max() - colors.min())  # 正規化
point_cloud.colors = o3d.utility.Vector3dVector(np.array([[c, 0, 1 - c] for c in colors]))  # グラデーション
# カラーマッピングを可視化
o3d.visualization.draw_geometries([point_cloud])

Open3Dの可視化機能は、3Dデータの理解を深めるための強力なツールです。

基本的な可視化からカスタマイズ、インタラクティブな操作、アニメーション、カラーマッピングまで、多様な機能を活用することで、データの分析やプレゼンテーションがより効果的に行えます。

まとめ

この記事では、Open3Dライブラリを使用した3Dデータの処理や可視化に関する基本的な知識と実践的なテクニックを紹介しました。

特に、点群データやメッシュデータの操作、3Dデータの変換と登録、さらには可視化機能の詳細について詳しく解説しました。

これを機に、Open3Dを活用して自分のプロジェクトに3Dデータ処理を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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