CS801~2000

C# コンパイラ エラー CS0840 について解説

CS0840のエラーは、C#でプロパティの本体やアクセサーが指定されていない場合に発生します。

自動実装プロパティでは、getとsetのアクセサーを両方定義する必要があります。

abstract、extern、partialの修飾子を使うか、アクセサー本体を明示することで解消できます。

エラー概要

CS0840エラーの定義

エラーメッセージの詳細

CS0840エラーは、プロパティに対して本体(実装)が不足している場合に発生するエラーです。

具体的には、プロパティがabstractまたはexternとして宣言されていない場合、本体(アクセサーの実装)を記述する必要があります。

例えば、自動実装プロパティにおいては、getsetの両方を定義しなければならないため、一方だけを記述するとこのエラーが発生します。

発生条件の説明

このエラーは、以下の条件下で発生します。

  • プロパティに対して、本体(アクセサーのブロック {} )が指定されていない場合
  • プロパティがabstractextern、またはpartial型のメンバーとして定義されていないのに、自動実装プロパティとして一方のアクセサーのみが記述されている場合

CS0840エラーは、プロパティの宣言における不備を意味しており、正しい構文で宣言しないとコンパイルエラーとなります。

典型的な発生例

自動実装プロパティの制約

自動実装プロパティでは、両方のアクセサーgetsetの指定が必要となります。

以下のサンプルコードは、getのみを記述しているため、CS0840エラーが発生する例です。

using System;
class Program
{
    // CS0840エラーが発生する例:getのみの記述
    public int MyProperty { get; }
    static void Main(string[] args)
    {
        Console.WriteLine("プログラム開始");
    }
}
// コンパイルエラー: 'MyProperty' は abstract または extern に指定されていないため、本体を宣言する必要があります。

不完全なプロパティ実装

また、手動でアクセサーの実装を書く場合に、getまたはsetの一方を省略してしまうと、CS0840エラーが発生することがあります。

プロパティの実装が不完全な状態では、コンパイラが正しく本体を認識できないためです。

エラーの原因

プロパティ実装不足

abstract、extern修飾子の必要性

プロパティに対してアクセサーの本体が記述されていない場合、そのプロパティにはabstractまたはexternの修飾子のいずれかを付与する必要があります。

例えば、抽象クラス内で本体を持たないプロパティ宣言をする場合は、プロパティにabstractキーワードを付ける必要があります。

また、外部実装を持たせる場合にはextern修飾子を使用するケースがあります。

partial 型のメンバーに関する注意点

クラスがpartialとして宣言されている場合、プロパティの完全な実装は全てのパートを合算して初めて成立します。

各パートで実装が分断されていると、プロパティが不完全なものと判断され、CS0840エラーが発生する可能性があるため、パート間で実装内容を正しく統一する必要があります。

アクセサー定義の不備

get と set の双方未定義の問題

自動実装プロパティにおいては、通常、getsetの両方を定義する必要があります。

片方のアクセサーしか記述されていないと、プロパティとしての一貫性が保たれないため、CS0840エラーが発生します。

プロパティが読み取り専用の場合でも、setアクセサーに対してアクセス修飾子(例:private)を指定することで実装が完結するように記述する必要があります。

エラー解消方法

本体実装による修正

アクセサー本体の明示的記述

このエラーを解消する最も直接的な方法は、プロパティに対してgetsetのアクセサー本体を明示的に記述することです。

例えば、次のようなコードでプロパティの本体を実装することでエラーが解消されます。

using System;
class Program
{
    private int _value;
    // ここでは、プロパティに対して明示的なアクセサー本体を記述している
    public int MyProperty
    {
        get { return _value; }  // 値を返す処理
        set { _value = value; } // 値を設定する処理
    }
    static void Main(string[] args)
    {
        Program program = new Program();
        // プロパティに値を設定する例
        program.MyProperty = 100;
        Console.WriteLine($"MyPropertyの値: {program.MyProperty}");
    }
}
MyPropertyの値: 100

修飾子の適切な使用

本体を持たないプロパティを使う場合には、必ずabstractもしくはexternの修飾子を正しく指定する必要があります。

例えば、抽象クラス内でプロパティを記述する場合は以下のようにabstractキーワードを追加します。

using System;
abstract class AbstractExample
{
    // 抽象プロパティとして定義する例
    public abstract int AbstractProperty { get; set; };
}
class ConcreteExample : AbstractExample
{
    private int _abstractValue;
    public override int AbstractProperty
    {
        get { return _abstractValue; }
        set { _abstractValue = value; }
    }
    static void Main(string[] args)
    {
        ConcreteExample example = new ConcreteExample();
        example.AbstractProperty = 200;
        Console.WriteLine($"AbstractPropertyの値: {example.AbstractProperty}");
    }
}
AbstractPropertyの値: 200

読み取り専用プロパティの対応策

private set の導入例

読み取り専用のプロパティを実装する場合、一方のアクセサーのアクセス修飾子にprivateを指定して実体を提供することが可能です。

これにより、外部からの設定は制限しつつ、内部実装では値の変更が可能となります。

以下の例はその実装方法を示しています。

using System;
class Program
{
    // 読み取り専用プロパティの例
    public int ReadOnlyProperty { get; private set; }
    public Program()
    {
        // コンストラクタ内でプロパティに値を設定する
        ReadOnlyProperty = 300;
    }
    static void Main(string[] args)
    {
        Program program = new Program();
        // 外部からの値変更はできず、読み取りのみ可能
        Console.WriteLine($"ReadOnlyPropertyの値: {program.ReadOnlyProperty}");
    }
}
ReadOnlyPropertyの値: 300

コード例と改善パターン

エラー発生例の提示

問題のあるコード事例

次のサンプルコードは、getのみ記述された自動実装プロパティが原因でCS0840エラーとなる例です。

using System;
class ErrorExample
{
    // CS0840エラーが発生する例:アクセサーの本体が不足している
    public int FaultyProperty { get; }
    static void Main(string[] args)
    {
        Console.WriteLine("エラー発生例の実行");
    }
}
// コンパイル時にCS0840エラーが発生

修正後のコード例

正しい実装例の紹介

問題となるプロパティを正しく実装するためには、アクセサー本体を明示的に記述するか、読み取り専用のプロパティの場合はprivate setを導入します。

以下は、正しい実装例です。

using System;
class CorrectExample
{
    private int _value;
    // 両方のアクセサーを明示的に実装した例
    public int CompleteProperty
    {
        get { return _value; }   // 値を取得する処理
        set { _value = value; }  // 値を設定する処理
    }
    // 読み取り専用プロパティとして実装する例
    public int ReadOnlyProperty { get; private set; }
    public CorrectExample()
    {
        // コンストラクタで値を初期化
        CompleteProperty = 150;
        ReadOnlyProperty = 250;
    }
    static void Main(string[] args)
    {
        CorrectExample example = new CorrectExample();
        Console.WriteLine($"CompletePropertyの値: {example.CompleteProperty}");
        Console.WriteLine($"ReadOnlyPropertyの値: {example.ReadOnlyProperty}");
    }
}
CompletePropertyの値: 150
ReadOnlyPropertyの値: 250

エラー対応時の確認ポイント

コンパイル時のチェック方法

開発環境でのテスト手法

CS0840エラーの修正後は、必ず開発環境上でコンパイルを行い、エラーが解消されているかを確認する必要があります。

Visual Studioや.NET CLIなどを利用して、以下の手順でテストを行ってください。

  • コードを保存し、ビルドを実行する
  • エラーメッセージが表示されないか確認する
  • 実行して、期待通りの結果が得られるか検証する

他のコンパイラエラーとの関連性

実装変更時の留意点

CS0840エラーの修正にあたっては、プロパティ宣言以外の実装変更も影響することがあります。

下記の点に注意して対応してください。

  • プロパティの修飾子(publicprivateなど)が正しく設定されているか
  • 他のコンパイラエラーと混同しやすいため、エラーメッセージを十分に確認する
  • コード全体の一貫性を保つために、変更箇所が他の部分に影響を与えていないかテストする

まとめ

本記事では、CS0840エラーが発生する理由とその解決方法について解説しています。

プロパティが正しく実装されていない場合にエラーが起こる仕組みや、abstractextern、およびpartialの修飾子の必要性、さらにgetset両方の定義が求められる理由を説明しました。

具体例を用いて、エラー発生時のコードと修正後の正しいコード例を示し、エラー解消のための確認ポイントも整理しています。

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