CS0~400

C# コンパイラエラー CS0281 の原因と対処法について解説

CS0281 のエラーは、フレンドアクセスの設定で指定したアセンブリ名と、実際に生成される出力アセンブリ名が一致しない場合に発生します。

参照先や出力アセンブリの名前が一致するように設定を見直してください。

フレンドアクセス機能の基本

フレンドアクセスの役割と特徴

フレンドアクセスは、あるアセンブリ内のパブリック以外の型やメンバーを、別のアセンブリから参照できるようにする仕組みです。

この機能を利用すると、テスト用の内部クラスやメソッドに対してアクセス権を付与することが可能となります。

通常、内部メンバーは同じアセンブリ内でしかアクセスできませんが、フレンド属性を使うことでアクセス制限を緩和できる点が特徴です。

アセンブリ間のアクセス制御の仕組み

アセンブリ間のアクセス制御は、C#の[InternalsVisibleTo]属性を利用して実現されます。

この属性は、特定のアセンブリに対して内部メンバーへのアクセス権を許可するための設定です。

例えば、プロジェクトAの内部クラスにプロジェクトBからアクセスしたい場合、プロジェクトAのAssemblyInfo.csに以下のように記述することで実現できます。

using System.Runtime.CompilerServices;
// プロジェクトBに対して内部メンバーへのアクセスを許可する
[assembly: InternalsVisibleTo("ProjectB")]

このように、正しいアセンブリ名を指定することが求められ、誤った名前の指定は後述するCS0281エラーの原因となります。

フレンド属性の実装方法

フレンド属性は、[InternalsVisibleTo]を利用して実装します。

実際のコード実装例は以下のようになります。

using System.Runtime.CompilerServices;
[assembly: InternalsVisibleTo("FriendAssemblyName")]
// 内部クラスやメンバーを定義
internal class InternalClass
{
    internal void DisplayMessage()
    {
        // コンソールにメッセージを表示する
        System.Console.WriteLine("このメッセージはフレンドアセンブリからアクセス可能です。");
    }
}
// エントリポイントの定義
public class Program
{
    public static void Main(string[] args)
    {
        InternalClass sample = new InternalClass();
        sample.DisplayMessage();
    }
}
output
このメッセージはフレンドアセンブリからアクセス可能です。

CS0281 エラーの原因詳細

出力アセンブリ名の不一致

設定項目のポイント

CS0281エラーは、フレンドアクセスを許可するアセンブリ名と、実際の出力アセンブリ名が一致しない場合に発生します。

主な調査ポイントは以下の通りです。

  • 出力ファイルに指定したアセンブリ名(例:/out:AssemblyName.dll)
  • フレンド属性に記述したアセンブリ名

一致していなければ、コンパイラは名前の不一致としてエラーを出力します。

エラーメッセージの解析

エラーメッセージには、許可されたアセンブリ名と実際の出力アセンブリ名が明記されます。

たとえば、次のようなメッセージが出る場合があります。

「フレンド アクセスは AssemblyName1 に許可されましたが、出力アセンブリは AssemblyName2 という名前です。」

このエラー文を確認することで、どちらの名前が不一致であるかを把握し、設定項目の再確認が必要であると理解できます。

誤ったフレンド属性の記述

コード例に見る名前指定ミス

コード内で誤った名前を指定すると、フレンド属性の効果が正しく適用されません。

以下の例を参考にしてください。

using System.Runtime.CompilerServices;
// ここで"WrongAssemblyName"と誤った名前を指定している場合
[assembly: InternalsVisibleTo("WrongAssemblyName")]
internal class SecretClass
{
    internal void ShowSecret()
    {
        System.Console.WriteLine("秘密のメッセージ。");
    }
}
public class Program
{
    public static void Main(string[] args)
    {
        SecretClass secret = new SecretClass();
        secret.ShowSecret();
    }
}

このコードでは、本来アクセスを許可するべきアセンブリ名とは異なる名前が指定されているため、実際にフレンドアセンブリからアクセスできなくなり、CS0281エラーが発生する可能性があります。

設定ミスの事例

あるプロジェクトでは、出力アセンブリをPrimaryAssembly.dllとしているにもかかわらず、フレンド属性に[InternalsVisibleTo("SecondaryAssembly")]と記述してしまった事例があります。

この場合、正しいアセンブリ名と一致していないため、内部メンバーへアクセスしようとするとCS0281エラーが発生します。

設定ファイルやプロジェクトの出力オプションを再確認することが重要です。

CS0281 エラーの対処法

出力アセンブリ名の修正方法

CS0281エラーの対処法の一つは、出力アセンブリの名前を正しいものに修正することです。

開発環境におけるプロジェクト設定やビルドスクリプトで出力アセンブリ名が指定されている場合、

フレンド属性に記述している名前と一致するように修正します。

Visual Studioの場合、プロジェクトのプロパティから「アセンブリ名」を修正することで対応できます。

正しいフレンド属性の記述

出力アセンブリ名が正しい場合、友達アクセスのために設定した[InternalsVisibleTo]属性も同一名で記述する必要があります。

以下の例は正しい記述の一例です。

using System.Runtime.CompilerServices;
// 正しいアセンブリ名を指定している例
[assembly: InternalsVisibleTo("PrimaryAssembly")]
internal class InternalComponent
{
    internal void ExecuteTask()
    {
        System.Console.WriteLine("タスクが実行されました。");
    }
}
public class Program
{
    public static void Main(string[] args)
    {
        InternalComponent component = new InternalComponent();
        component.ExecuteTask();
    }
}
output
タスクが実行されました。

コンパイルおよび検証手順

修正後のコンパイルチェック

修正後は、再度コンパイルしてCS0281エラーが解消されているか確認してください。

Visual Studioの場合はビルド結果を、コマンドラインからの場合は指定したオプションでコンパイル時のメッセージをチェックします。

以下は、コマンドラインでコンパイルチェックをする場合の例です。

  • 正しい出力アセンブリ名を指定してコンパイル

例:csc /target:library /out:PrimaryAssembly.dll /reference:FriendAssembly.dll SourceFile.cs

デバッグ時の確認ポイント

デバッグ時は、エラーメッセージだけでなく、プロジェクトファイル(.csproj)やビルドスクリプトの設定も確認してください。

チェックリストとしては以下が役立ちます。

  • 出力アセンブリ名とフレンド属性の名前が一致しているか
  • キーファイルの指定が正しいか(署名付きアセンブリの場合)
  • 依存関係に問題がないか

コードサンプルの検証と実践例

エラー発生例のコード分析

以下にCS0281エラーが発生する例を示します。

このコードはフレンド属性で指定したアセンブリ名と出力アセンブリ名が一致していないケースです。

using System.Runtime.CompilerServices;
// 誤ったアセンブリ名を指定
[assembly: InternalsVisibleTo("MisnamedAssembly")]
internal class ErrorComponent
{
    internal void ProcessData()
    {
        System.Console.WriteLine("データ処理中...");
    }
}
public class Program
{
    public static void Main(string[] args)
    {
        ErrorComponent error = new ErrorComponent();
        error.ProcessData();
    }
}
output
(コンパイル時にCS0281エラーが発生)

この例では、出力アセンブリが実際にはCorrectAssemblyなどとなっている場合、フレンド属性の名前MisnamedAssemblyが不一致となります。

正しいサンプルコードとの比較

アセンブリ属性の記述例

正しい例では、出力アセンブリ名とフレンド属性に記述された名前が一致しています。

以下のコードはその一例です。

using System.Runtime.CompilerServices;
// 正しいアセンブリ名を指定
[assembly: InternalsVisibleTo("CorrectAssembly")]
internal class CorrectComponent
{
    internal void ProcessData()
    {
        System.Console.WriteLine("正しくデータを処理しています。");
    }
}
public class Program
{
    public static void Main(string[] args)
    {
        CorrectComponent component = new CorrectComponent();
        component.ProcessData();
    }
}
output
正しくデータを処理しています。

出力アセンブリ設定例

コマンドラインでコンパイルする場合は、出力アセンブリ名を正しく指定する必要があります。

以下はその設定例です。

  • コンパイル例

csc /target:library /out:CorrectAssembly.dll /reference:AnotherAssembly.dll SourceFile.cs

この指定により、出力されるアセンブリ名がフレンド属性で記述した名前と一致し、エラーを防ぐことができます。

修正例による検証結果

変更前後の比較

変更前は、出力アセンブリ名とフレンド属性の名前が一致せず、CS0281エラーが発生していました。

変更後は、以下の通り正しい名前に統一しました。

  • 変更前

フレンド属性:[InternalsVisibleTo("MisnamedAssembly")]

出力アセンブリ名:CorrectAssembly.dll

  • 変更後

フレンド属性:[InternalsVisibleTo("CorrectAssembly")]

出力アセンブリ名:CorrectAssembly.dll

この修正により、コンパイルエラーが解消され、内部メンバーへのアクセスが正しく行えるようになりました。

検証手順の詳細

検証手順は以下の通りです。

  1. プロジェクト設定またはビルドスクリプトで出力アセンブリ名を確認する。
  2. ソースコード内の[InternalsVisibleTo]属性に記述されたアセンブリ名が出力アセンブリ名と一致しているか確認する。
  3. コマンドラインまたはIDE上でプロジェクトをビルドし、CS0281エラーの発生有無をチェックする。
  4. エラーが発生した場合、設定項目や記述内容を再度見直し、名前の一致を確認する。
  5. 正しい設定となったことを確認後、実行環境で内部メンバーへのアクセスが期待通りに動作するかテストする。

以上の手順により、CS0281エラーを解消し、フレンドアクセス機能を正しく活用できるようになります。

まとめ

この記事では、フレンドアクセス機能の基本的な役割や内部メンバーへのアクセス制御の仕組み、及びその実装方法について解説しています。

また、CS0281エラーの発生原因として出力アセンブリ名の不一致や誤ったフレンド属性の記述がある点を具体例と共に示し、エラー発生時の対処方法と検証手順、正しいコード例の比較まで詳しく紹介しています。

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