動作確認・サーバー設定

PHPサーバーの基本構造と最適な環境構築方法を解説

PHPサーバーは、Web上でPHPスクリプトを実行し、動的なコンテンツを生成できる環境です。

PHPを利用することで、リクエストに応じた処理やデータベースとの連携が容易になり、柔軟なWebアプリケーションの構築が可能になります。

この記事では、PHPサーバーの基本仕組みと運用方法について解説します。

環境確認とphp.ini設定

PHPバージョンと拡張モジュールの検証

コマンドラインでのバージョン確認

コマンドラインからPHPのバージョンや拡張モジュールを確認する方法を紹介します。

ターミナルで以下のコマンドを実行することで、現在利用しているPHPのバージョン情報が表示されます。

php -v
PHP 8.1.2 (cli) (built: Jan  1 2023 12:00:00) ( NTS )
Copyright (c) The PHP Group
Zend Engine v4.1.2, Copyright (c) Zend Technologies

拡張モジュールの確認は、php -m コマンドを利用することで、ロードされているモジュール一覧を確認できます。

php -m
[PHP Modules]
ctype
curl
date
dom
...

phpinfo()の利用方法

PHPの詳細な設定情報を確認するには、phpinfo()関数を使用します。

以下のサンプルコードをPHPファイルに記述してブラウザ上で確認してください。

<?php
// phpinfo() を呼び出してPHP環境の詳細情報を出力するサンプルコード
phpinfo();
?>
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
  <title>phpinfo()</title>
</head>
<body>
  <!-- PHPの設定情報が表形式で出力されます -->
</body>
</html>

php.iniの主要設定項目

エラーログと通知の設定

PHPのエラーログ出力や通知設定は、php.ini の設定で管理されます。

エラーログは運用中の不具合把握に役立つため、下記のような設定を記述することが一般的です。

error_reporting = E_ALL
display_errors = Off
log_errors = On
error_log = /var/log/php_error.log

設定後、ログファイル /var/log/php_error.log にエラー情報が出力されるか確認してください。

リソース制限 (max_execution_time, memory_limit) の調整

PHPでは実行時間やメモリ使用量を制限することができます。

これにより、無限ループや過剰なリソース消費を防止できます。

設定例は下記の通りです。

max_execution_time = 30   ; 最大実行時間を30秒に設定
memory_limit = 128M       ; メモリ使用上限を128MBに設定

これらの設定を変更後、各種スクリプトの挙動を確認し、適切にリソース制限が適用されているかテストしてください。

Webサーバ連携設定

Apache連携の基本構成

mod_phpの設定確認

Apacheと連携する場合、mod_php を利用することでPHPが直接Apacheと統合されます。

Apacheの設定ファイル(例:httpd.confapache2.conf)に次のような記述があるか確認してください。

LoadModule php_module modules/libphp.so
AddHandler php-script .php

PHPとApacheが正しく連携している場合、.php ファイルに記述されたPHPコードが適切に処理されます。

.htaccessを活用した補助設定

個別のディレクトリごとに設定変更を行いたい場合、.htaccess ファイルを活用します。

例えば、ディレクトリ単位でエラーログの出力先を変更する場合、以下のような記述が可能です。

# .htaccess内に記述する設定例

php_value error_log "/path/to/custom_error.log"
php_flag display_errors Off

この設定により、対象ディレクトリ内でのみカスタムエラーログが適用され、セキュリティと運用面での柔軟な管理が可能となります。

NginxとPHP-FPMの連携

PHP-FPMのプロセスマネージメント確認

NginxとPHP-FPMの連携では、PHP-FPMがFastCGIプロセスとして機能します。

PHP-FPMの設定ファイル(例:/etc/php/8.1/fpm/php-fpm.conf やプール設定ファイル)を確認し、プロセスマネージメントに関するパラメータが適切に設定されているか確認してください。

主要な設定項目は下記となります。

pm = dynamic
pm.max_children = 50
pm.start_servers = 5
pm.min_spare_servers = 5
pm.max_spare_servers = 35

これらの設定により、リクエスト数に応じたプロセスの動的な調整が可能となります。

接続方法とソケット設定の確認

NginxとPHP-FPMは、UnixソケットまたはTCP/IPで接続することができます。

Unixソケットの場合、FPM側の設定とNginx側の設定が一致しているか確認してください。

例:PHP-FPM側の設定(プール設定ファイル)

listen = /var/run/php/php-fpm.sock

そして、Nginx側の設定例は以下の通りです。

例:Nginx設定ファイル(serverブロック内)

location ~ \.php$ {
    fastcgi_pass unix:/var/run/php/php-fpm.sock;
    fastcgi_index index.php;
    include fastcgi_params;
}

この設定により、PHPリクエストが正しくPHP-FPMへ転送される仕組みとなります。

パフォーマンス最適化ポイント

キャッシュ機能の活用

OPcache利用の設定確認

PHPにはスクリプトの実行速度向上を図るためにOPcacheが組み込まれています。

php.ini にてOPcache関連の設定項目が有効になっているか確認してください。

opcache.enable=1
opcache.memory_consumption=128
opcache.max_accelerated_files=10000

これらの設定を反映することで、PHPコードのコンパイル済みスクリプトがメモリ上にキャッシュされ、パフォーマンスが向上します。

セッション管理とキャッシュの連携

PHPセッションは、キャッシュや他のストレージシステムと組み合わせることで、より高速にアクセスできるようになります。

例えば、Redisを利用してセッションデータを管理する方法があります。

サンプルコードsession_redis.php

<?php
// Redisセッションハンドラ利用例
ini_set('session.save_handler', 'redis');
ini_set('session.save_path', 'tcp://127.0.0.1:6379');
// セッション開始
session_start();
// セッション変数への値のセット例
$_SESSION['username'] = 'ユーザー名';
echo 'セッションに値が保存されました。';
?>
セッションに値が保存されました。

このようにキャッシュ機能と連携することで、セッション処理の高速化が期待できます。

リソース管理の最適化

スクリプト実行時間の調整方法

長時間実行されるスクリプトは、max_execution_time の設定により中断される可能性があります。

処理の内容に応じて、実行時間の制限を調整することが重要です。

例えば、長時間かかるバッチ処理では以下のように設定変更することができます。

<?php
// 現在の最大実行時間を確認
echo 'Before change: ' . ini_get('max_execution_time');
// max_execution_time の変更
ini_set('max_execution_time', '120');
echo "\nAfter change: " . ini_get('max_execution_time');
?>
Before change: 30
After change: 120

このように、処理に合わせた実行時間の調整が可能です。

メモリ制限の最適設定

スクリプトが必要とするメモリ量が増加すると、memory_limit の設定によりスクリプトが強制終了する可能性があります。

リソースを多用する処理においては、適切なメモリ上限を設定し、エラーを回避することが大切です。

<?php
// 現在のメモリ制限を表示
echo 'Current memory_limit: ' . ini_get('memory_limit');
// メモリ上限の変更
ini_set('memory_limit', '256M');
echo "\nUpdated memory_limit: " . ini_get('memory_limit');
?>
Current memory_limit: 128M
Updated memory_limit: 256M

以上の設定を通じて、リソース消費の最適化とエラーの予防が図れます。

セキュリティ対策

基本設定の見直し

不要な拡張モジュールの無効化

PHPの動作に不要な拡張モジュールは、php.ini から無効化することで攻撃のリスクを低減できます。

利用していない拡張モジュールを把握し、下記のように設定変更してください。

; 無効化したい拡張モジュールはコメントアウトする
;extension=some_module.so

これにより、予期せぬ脆弱性を防ぐことができます。

エラーメッセージ表示の制御

本番環境では、エラーメッセージがユーザーにそのまま表示されると情報漏洩の危険性があるため、エラーメッセージの表示を制御する必要があります。

php.ini の設定にて以下のように設定されているか確認してください。

display_errors = Off

この設定により、エラー発生時でもユーザーに詳細情報が表示されず、攻撃リスクが軽減されます。

ファイル・ディレクトリの保護

アクセス権限の適切な設定

重要なファイルやディレクトリに対して適切なアクセス権限を設定することで、不正アクセスから保護します。

サーバ上で実行する場合、UNIXのパーミッション設定が有効です。

一般的な設定例は下記の通りです。

  • PHPスクリプト:ファイル権限 644、ディレクトリ権限 755
  • 設定ファイル:ファイル権限 600

このように権限を制限することで、不要な情報露出を防止します。

外部アクセスの制限方法

Webサーバ側でファイルやディレクトリへの外部からのアクセスを制限する方法も効果的です。

Apacheでは、以下のように記述することで直接アクセスを禁止できます。

例:.htaccess に記述する場合

# 秘密ファイルへのアクセスを禁止する設定例

<FilesMatch "\.(ini|log)$">
  Order deny,allow
  Deny from all
</FilesMatch>

Nginxでも同様に、location ブロックを利用して特定のファイルへのアクセスをブロックできます。

例えば、以下のような設定を追加することで、設定ファイルへの直接アクセスを防止できます。

例:Nginx設定ファイル

location ~* \.(ini|log)$ {
    deny all;
}

これらの設定を反映することで、外部から重要なファイルにアクセスされるリスクを減らすことができます。

まとめ

この記事では、PHPの環境確認、php.ini設定、Webサーバ連携、パフォーマンス最適化、セキュリティ対策について、各設定項目の確認と調整方法を具体例とともに説明しました。

全体として、PHPサーバー運用に必要な基本知識が整理され、各設定変更の要点が把握できました。

ぜひ、この記事の方法を参考に、実際の環境改善に取り組んでみてください。

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