PHPのインストール方法について解説
PHPは、Web開発に欠かせないサーバーサイドのプログラミング言語です。
この記事では、各OSでのPHPインストール手順や必要なパッケージの設定方法を分かりやすく紹介します。
例えば、Debian系のシステムではsudo apt-get install php
というコマンドを使う手順も解説し、初心者がスムーズに導入できる情報を提供します。
インストール前の準備
システム環境の確認
OSと依存関係のチェック
環境のアップデート状況や依存するライブラリのバージョンを確認することが大切です。
まずご利用のOSのバージョンを確認し、PHPの実行に必要なライブラリ(libxml2、openssl、libcurlなど)がインストールされているかをチェックします。
以下は、Debian系のOSでバージョン情報と依存パッケージの確認を行うサンプルです。
# OSのバージョン情報を確認するコマンド
lsb_release -a
# 依存関係パッケージのインストール状況を確認するコマンド例
dpkg -l | grep libxml2
dpkg -l | grep libcurl
output
Distributor ID: Ubuntu
Description: Ubuntu 20.04.1 LTS
Release: 20.04
Codename: focal
ii libxml2:amd64 2.9.10+dfsg-5ubuntu0.20.04.1 amd64 GNOME XML library
ii libcurl4:amd64 7.68.0-1ubuntu2.12 amd64 easy-to-use client-side URL transfer library (OpenSSL flavour)
既存PHP環境の確認
システムに既にPHPがインストールされている場合、既存バージョンと設定内容に注意してください。
古いバージョンが残っていると、インストールや動作に影響を及ぼす可能性があります。
以下のコマンドで現在のPHPバージョンを確認できます。
php -v
output
PHP 7.4.3 (cli) (built: Feb 5 2020 12:34:56) ( NTS )
Copyright (c) The PHP Group
必要に応じて、不要なPHPバージョンのアンインストールや設定ファイルのバックアップを行ってください。
PHPインストール手順
パッケージマネージャによるインストール
Debian系の方法
Debian系OS(Ubuntuなど)では、APTパッケージマネージャを利用してPHPを手軽にインストールすることができます。
手順は以下の通りです。
- パッケージリストを更新します。
- PHPおよび必要なモジュールをインストールします。
以下はサンプルコマンドです。
# パッケージの更新
sudo apt update
# PHPと標準モジュールをインストール
sudo apt install php php-cli php-fpm
output
Reading package lists... Done
Building dependency tree
Reading state information... Done
The following NEW packages will be installed:
php php-cli php-fpm
...
Red Hat系の方法
Red Hat系OS(CentOS、Fedoraなど)では、yumやdnfを利用してPHPをインストールします。
以下はdnfを利用した手順のサンプルです。
# パッケージの更新
sudo dnf check-update
# PHPと主要モジュールをインストール
sudo dnf install php php-cli php-fpm
output
Dependencies resolved.
==================================================================================================
Package Architecture Version Repository Size
==================================================================================================
Installing:
php x86_64 8.0.x base XX M
php-cli x86_64 8.0.x base XX M
php-fpm x86_64 8.0.x base XX M
...
ソースコードからのインストール
ダウンロード方法とコンパイル手順
公式サイトから最新のPHPソースコードを取得し、コンパイルしてインストールする方法です。
柔軟な設定が可能となるため、特定の機能を有効にしたい場合に適しています。
以下の手順では、サンプルとしてopenssl
サポートを含めた構成例を示します。
# PHPソースコードのダウンロード
wget https://www.php.net/distributions/php-8.x.x.tar.gz
# ダウンロードしたアーカイブの展開
tar -xzvf php-8.x.x.tar.gz
# 展開されたディレクトリに移動
cd php-8.x.x
# コンフィギュアスクリプトの実行(必要なオプションを指定)
./configure --with-openssl
# コンパイル
make
# インストール(root権限が必要)
sudo make install
output
Configuration summary:
enabled options: OpenSSL support, ...
disabled options:
Making all in main...
make[1]: Entering directory '.../php-8.x.x'
...
オプション設定の確認
ソースからインストールする場合、./configure
実行時のオプションによりビルドされる機能が大きく異なります。
例えば、MySQLやGDライブラリ、mbstringなどのオプションを追加したい場合は、以下のようにオプションを付加します。
# 複数のオプションを利用したサンプル
./configure --with-openssl --with-mysqli --with-gd --enable-mbstring
記述したオプションに応じて、必要なライブラリがシステムにインストールされていることを確認してください。
インストール後の設定
php.iniの調整
エラー表示とログの設定
php.iniファイル内でエラー表示とログ記録の設定を行うことで、開発中のトラブルシュートがしやすくなります。
以下のサンプルは、エラー出力をオンにし、エラーログのファイルパスを設定した例です。
; php.ini 内の設定例
error_reporting = E_ALL
display_errors = On
log_errors = On
error_log = /var/log/php_errors.log
各項目は、必要な環境に合わせた値に調整してください。
変更後は、WebサーバやPHP-FPMを再起動することで設定が反映されます。
拡張モジュールの有効化
PHPの機能拡張モジュールは、必要に応じてphp.ini内で有効化します。
たとえば、zipやGD拡張機能を利用する場合は、以下のように記載します。
; php.ini における拡張モジュールの有効化例
extension=zip
extension=gd
また、インストール済みのモジュールが正しく認識されるかを確認するために、php -m
コマンドで有効なモジュールの一覧を表示するとよいでしょう。
環境変数とパス設定の確認
CLI環境の調整
CLI環境でPHPをスムーズに実行するため、環境変数PATHにPHPのインストールディレクトリが含まれているか確認してください。
例えば、以下のコマンドでPATHを確認できます。
echo $PATH
output
/usr/local/bin:/usr/bin:/bin:...
もし、PHPのパスが含まれていない場合は、シェルの設定ファイル(例:.bashrcや.zshrc)にパスを追記し、設定を反映させるようにしてください。
動作確認とエラー対応
CLIでのPHPバージョン確認
php -vコマンドの使用
CLI上でPHPのバージョンが正しくインストールされているかを確認するために、php -v
コマンドを実行します。
結果として、利用しているPHPのバージョンやビルド情報が表示されるため、インストールが成功しているかを判断できます。
php -v
output
PHP 8.x.x (cli) (built: ...)
Copyright (c) The PHP Group
ウェブサーバ連携の確認
テストPHPファイルの作成と実行
ウェブサーバ経由でPHPが正しく動作しているかを確認するために、シンプルなテストファイルを作成します。
例として、test.php
ファイルを下記のように作成してください。
<?php
// test.php
echo "Hello PHP!";
このファイルをウェブサーバのドキュメントルートに配置し、ブラウザからアクセスします。
画面上にHello PHP!
と表示されれば正常に動作していることが確認できます。
エラーログのチェック
ウェブサーバ側でエラーが発生していないかを確認するため、サーバのエラーログを定期的にチェックしてください。
Apacheの場合は通常、/var/log/apache2/error.log
、Nginxの場合は/var/log/nginx/error.log
にログが出力されます。
以下は、エラーログの内容を簡単に確認するコマンドのサンプルです。
# Apacheの場合
sudo tail -n 20 /var/log/apache2/error.log
# Nginxの場合
sudo tail -n 20 /var/log/nginx/error.log
output
[Wed Oct 06 10:23:45.123456 2023] [php:error] [pid 1234] [client 192.168.0.1:54321] PHP Notice: Undefined variable: sample in /var/www/html/test.php on line 3
一般的なエラーへの対応
設定変更時のトラブルシュート
PHPの設定変更後に問題が発生した場合は、以下のポイントを確認してください。
- php.iniの記述ミスがないか
- 拡張モジュールのロードに失敗していないか
- WebサーバやPHP-FPMの再起動が正しく行われたか
エラー内容に応じて、該当するログや設定ファイルを見直すことで、迅速に原因の特定と解決を図ることができます。
必要に応じて、設定ファイルのバックアップを活用すると、元の状態に戻しやすくなります。
まとめ
この記事では、PHPの環境確認、インストール、設定、動作確認まで一連の手順を具体例を交えて解説しました。
丁寧な説明でした。
全体の流れや各手法の要点が整理され、作業の全体像が把握しやすくなっています。
ぜひ、自身の環境で手順を実践し、PHP導入の作業に取り組んでみてください。