変数・型

PHPにおけるissetとemptyの使い分けを解説

2025-04-15更新日: 2025-04-15

PHPでは、issetとemptyは変数の状態をチェックする基本的な関数です。

この記事では、それぞれの特徴に沿った使い分け方を簡単な具体例を交えながら紹介します。

状況に応じた適切な選択方法を理解する手助けとなる内容です。

目次から探す

変数チェックの基本動作
- issetの特徴
- emptyの特徴
利用シーンに応じた使い分け
コード例で理解する実践的な使い分け
- フォーム入力の検証事例
- 配列・オブジェクトの確認方法
注意点と落とし穴
- 想定外の動作に注意
- 開発環境での検証ポイント
まとめ

変数チェックの基本動作

PHPでは、変数の状態を確認するために主にissetとemptyが使われます。

これらは状況に応じた変数チェックを行うための便利な関数です。

それぞれの動作特徴を理解することで、適切なチェック処理を行うことができます。

issetの特徴

issetは、変数が存在し、かつその値がnullでない場合にtrueを返します。

対して、変数が定義されていなかったり、nullである場合はfalseとなります。

チェック対象と条件

issetは次の条件をチェックします。

変数が宣言されているか
変数の値がnullではないか

たとえば、以下のコードでは変数$valueがセットされている場合のみtrueが返されます。

<?php
// 変数が存在し、その値がnullでない場合にtrueを返す
$value = "サンプル";
if (isset($value)) {
    echo "変数は定義され、nullではありません。";
} else {
    echo "変数が定義されていないか、nullです。";
}
?>

変数は定義され、nullではありません。

また、複数の変数を同時にチェックすることも可能です。

全ての変数が存在し、かつnullでなければtrueが返ります。

<?php
$a = "データA";
$b = "データB";
if (isset($a, $b)) {
    echo "両方の変数が定義されています。";
} else {
    echo "いずれかの変数が未定義またはnullです。";
}
?>

両方の変数が定義されています。

true返却の仕組み

issetは厳密に変数が存在しているかどうかを評価します。

そのため、変数に偽の値(例: 0、空文字、false)がセットされていても、issetはtrueを返します。

具体的には、以下の区別が行われます。

0、""(空文字)、falseはissetでは有効な値
nullのみが未設定として扱われる

<?php
$num = 0;
$str = "";
$flag = false;
if (isset($num, $str, $flag)) {
    echo "全ての変数は定義されています。";
}
?>

全ての変数は定義されています。

この仕組みにより、意図しない未定義エラーを防ぐことができ、コードの信頼性が向上します。

emptyの特徴

emptyは、変数の値が「空」とみなされる状態かどうかを評価します。

通常、数値の0、空文字、falseやnull、空の配列などを「空」として扱います。

空とみなされる値リスト

PHPにおいてemptyが「空」と判断する値は以下の通りです。

""(空文字)
0(整数および文字列としての"0")
0.0(浮動小数点数)
false
null
空の配列 array()
未定義の変数

たとえば、以下の例では、変数が「空」と見なされることが確認できます。

<?php
$var1 = "";
$var2 = 0;
$var3 = "0";
$var4 = false;
$var5 = null;
$var6 = array();
if (empty($var1)) { echo "var1 は空です。\n"; }
if (empty($var2)) { echo "var2 は空です。\n"; }
if (empty($var3)) { echo "var3 は空です。\n"; }
if (empty($var4)) { echo "var4 は空です。\n"; }
if (empty($var5)) { echo "var5 は空です。\n"; }
if (empty($var6)) { echo "var6 は空です。\n"; }
?>

var1 は空です。
var2 は空です。
var3 は空です。
var4 は空です。
var5 は空です。
var6 は空です。

false判定の仕組み

emptyは変数が未定義の場合も「空」と判定します。

これにより、変数が存在しない状態でのエラーを回避することができます。

また、issetとは異なり、emptyは値の意味に着目し評価するため、0や空文字の場合でも「空」として扱われます。

<?php
// 未定義の変数もemptyではtrueとなる
if (empty($undefinedVar)) {
    echo "未定義の変数も空と判断されます。";
}
?>

未定義の変数も空と判断されます。

この仕組みにより、フォームなどでの入力チェックに利用する際に特に有用です。

利用シーンに応じた使い分け

issetとemptyは状況に応じて使い分けることが重要です。

どちらも便利ですが、チェックしたい内容によって適切な関数を選ぶ必要があります。

issetが適しているケース

issetは変数が定義されていることを確認したい場合に適しています。

たとえば、変数が存在するかどうかを前提に処理を進める場合に利用されます。

変数の存在確認
複数の変数が必ずセットされている状態の保証

<?php
$name = "太郎";
if (isset($name)) {
    echo "名前がセットされています。";
}
?>

名前がセットされています。

また、フォーム送信後に値がエラーなく受信されているか確認する場合など、変数が存在するかどうかのチェックに効果的です。

emptyを選ぶケース

emptyは変数の値が実質的に「何も入っていない」状態かを確認するのに適しています。

ユーザーの入力チェックやデフォルト値の検証に利用されることが多いです。

ユーザー入力の未入力チェック
フォームなどで空文字の検出
数値の0やfalseも判定対象となるため、必要に応じた注意が必要

<?php
// ユーザーからの入力が空の場合の処理
$userInput = "";
if (empty($userInput)) {
    echo "入力が空です。値を入力してください。";
}
?>

入力が空です。値を入力してください。

両者の併用事例

場合によっては、issetとemptyを併用することで、変数が定義されているかつ、かつその値が適切な内容かどうかをチェックできます。

特に、未定義の変数エラーを回避しつつ値の有無を精査したいときに有用です。

<?php
// 変数が定義されており、さらに空でない状態をチェック
if (isset($userInput) && !empty($userInput)) {
    echo "ユーザーからの入力が正しく定義され、かつ空ではありません。";
} else {
    echo "ユーザー入力に問題があります。";
}
?>

ユーザー入力に問題があります。

このように、入力チェックやデータ確認など、用途に応じた使い分けをすることで、より堅牢なコードが実現できます。

コード例で理解する実践的な使い分け

実際のシーンに応じたコードサンプルを通して、issetとemptyの使い分けを確認します。

サンプルコード内に分かりやすいコメントを含めています。

フォーム入力の検証事例

フォームから送信されたデータを検証する際、emptyを使用して未入力かどうかをチェックする例です。

入力が正常にセットされているかどうかをissetで確認することもできます。

<?php
// サンプルフォーム入力データ
$name = isset($_POST['name']) ? $_POST['name'] : null;
$email = isset($_POST['email']) ? $_POST['email'] : null;
// 名前とメールが未入力でないかを確認
if (empty($name)) {
    echo "名前が入力されていません。";
} elseif (empty($email)) {
    echo "メールアドレスが入力されていません。";
} else {
    echo "送信されたデータは有効です。";
}
?>

名前が入力されていません。

この例では、$_POSTからのデータ取得時にissetで存在を確認し、さらにemptyで空文字等のチェックを行っています。

配列・オブジェクトの確認方法

配列やオブジェクトに対して、issetやemptyを使って特定のキーやプロパティが存在し、かつ適切な値がセットされているかを確認する方法です。

<?php
// サンプル配列の定義
$data = [
    "username" => "user123",
    "age" => 0, // 数値の0もセットされている状態
    "email" => ""
];
// usernameの存在と値をチェック
if (isset($data["username"]) && !empty($data["username"])) {
    echo "ユーザー名は：" . $data["username"];
} else {
    echo "ユーザー名が未設定または空です。";
}
echo "\n";
// ageは存在しているが、0はemptyとして扱われる
if (isset($data["age"]) && !empty($data["age"])) {
    echo "年齢は：" . $data["age"];
} else {
    echo "年齢が未設定または0です。";
}
echo "\n";
// emailについては、emptyで入力されていないと判断される
if (isset($data["email"]) && empty($data["email"])) {
    echo "メールアドレスが入力されていません。";
} else {
    echo "メールアドレス：" . $data["email"];
}
?>

ユーザー名は：user123
年齢が未設定または0です。
メールアドレスが入力されていません。

このサンプルでは、配列内の各要素に対してissetとemptyの併用により、適切な値が設定されているかどうかの確認を行っています。

注意点と落とし穴

issetとemptyを使う際には、いくつか注意すべき点があります。

不意なバグを避けるために、使用上の特性をしっかりと把握しておくことが大切です。

想定外の動作に注意

issetは、変数が存在しているかどうかしか確認しないため、値がfalseや空文字の場合でもtrueを返すため、入力チェックとしては注意が必要です。
emptyは、0や空文字も「空」と判断するため、数値の0など実際には有効な値が意図せず「空」とみなされる可能性があります。

これらの特性は、入力データの意味に応じたチェックを行う際に、場合によっては条件の見直しが必要になることがあります。

開発環境での検証ポイント

実際にコードを開発する際には、以下の点について検証することが推奨されます。

変数が未定義の場合の挙動
フォームなどから送信されたデータが正しく受け取れているか
配列やオブジェクトに対するキー・プロパティチェックで、意図した結果が得られているか

開発環境で十分なテストケースを用意することで、実際の運用時に想定外の動作を未然に防ぐことができます。

まとめ

この記事では、PHPにおける変数チェックの基本動作や、issetとemptyの特徴、使い分け方を解説しました。

各関数の挙動や注意点を理解し、状況に応じた適切なチェック方法が分かるようになりました。

ぜひ自分のプロジェクトに活かして、コードの堅牢性向上に取り組んでください。