[C#] MIDIファイルを再生する方法

C#でMIDIファイルを再生するには、いくつかの方法があります。

オーディオファイルの再生には、WindowsのマルチメディアAPIであるSystem.Media名前空間を使用する方法が一般的ですが、MIDIファイルの再生には直接対応していないため、NAudioMidi.Netといったサードパーティライブラリを利用するのが一般的です。

これらのライブラリは、MIDIファイルの読み込みや再生、MIDIメッセージの送受信をサポートしています。

NAudioを使用する場合、MidiFileクラスを使ってファイルを読み込み、MidiOutクラスを使って再生します。

これにより、C#アプリケーションでMIDIファイルを簡単に再生することができます。

この記事でわかること
  • C#でMIDIファイルを再生するためのライブラリの選択とインストール方法
  • NAudioとMidi.Netを使用したMIDIファイルの読み込みと再生の手順
  • MIDIメッセージの送信やイベントのカスタマイズ方法
  • 複数のMIDIトラックを管理する方法
  • MIDI再生中のトラブルシューティングの方法

目次から探す

C#でのMIDI再生環境の準備

C#でMIDIファイルを再生するためには、適切なライブラリを使用することが重要です。

ここでは、MIDI再生に役立つライブラリとそのインストール方法について説明します。

必要なライブラリの紹介

C#でMIDIファイルを再生するために、以下のライブラリがよく使用されます。

スクロールできます
ライブラリ名概要
NAudioオーディオ処理を行うためのライブラリで、MIDIファイルの再生もサポートしています。
Midi.NetMIDIファイルの読み込みや再生、MIDIメッセージの送信を行うためのライブラリです。

これらのライブラリを使用することで、C#で簡単にMIDIファイルを再生することができます。

NAudioのインストール方法

NAudioをプロジェクトに追加するには、NuGetパッケージマネージャーを使用します。

以下の手順でインストールを行います。

  1. Visual Studioを開き、プロジェクトを選択します。
  2. メニューバーから「ツール」→「NuGet パッケージ マネージャー」→「ソリューションの NuGet パッケージの管理」を選択します。
  3. 「参照」タブで NAudio を検索し、インストールします。

これで、NAudioがプロジェクトに追加され、MIDIファイルの再生に使用できるようになります。

Midi.Netのインストール方法

Midi.NetもNuGetパッケージマネージャーを使用してインストールできます。

以下の手順でインストールを行います。

  1. Visual Studioを開き、プロジェクトを選択します。
  2. メニューバーから「ツール」→「NuGet パッケージ マネージャー」→「ソリューションの NuGet パッケージの管理」を選択します。
  3. 「参照」タブで Midi.Net を検索し、インストールします。

これで、Midi.Netがプロジェクトに追加され、MIDIファイルの読み込みや再生、MIDIメッセージの送信が可能になります。

NAudioを使用したMIDI再生

NAudioは、C#でオーディオ処理を行うための強力なライブラリで、MIDIファイルの再生もサポートしています。

ここでは、NAudioを使用してMIDIファイルを再生する方法について説明します。

NAudioの基本的な使い方

NAudioを使用するためには、まずプロジェクトにNAudioをインストールする必要があります。

インストール方法については前述の「NAudioのインストール方法」を参照してください。

インストール後、以下のように名前空間をインポートして使用します。

using NAudio.Midi; // NAudioのMIDI機能を使用するための名前空間

MIDIファイルの読み込み

MIDIファイルを読み込むには、MidiFileクラスを使用します。

以下のコードは、MIDIファイルを読み込む例です。

string filePath = "path/to/your/midi/file.mid"; // 読み込むMIDIファイルのパス
MidiFile midiFile = new MidiFile(filePath, false); // MIDIファイルを読み込む

このコードでは、指定したパスのMIDIファイルを読み込み、MidiFileオブジェクトとして取得します。

MIDIファイルの再生

MIDIファイルを再生するには、MidiOutクラスを使用します。

以下のコードは、MIDIファイルを再生する例です。

using System.Threading; // スレッドを使用するための名前空間
MidiOut midiOut = new MidiOut(0); // MIDI出力デバイスを初期化
foreach (MidiEvent midiEvent in midiFile.Events[0]) // MIDIイベントを順に処理
{
    midiOut.Send(midiEvent.GetAsShortMessage()); // MIDIイベントを送信
    Thread.Sleep(500); // 再生間隔を設定
}
midiOut.Close(); // MIDI出力デバイスを閉じる

このコードでは、MIDIファイルのイベントを順に再生し、各イベントをMIDI出力デバイスに送信します。

再生の停止と一時停止

再生を停止するには、MidiOutオブジェクトのCloseメソッドを呼び出します。

一時停止機能はNAudioには直接用意されていないため、再生の制御はスレッドの管理で行います。

以下は、再生を停止する例です。

midiOut.Close(); // MIDI出力デバイスを閉じることで再生を停止

このコードを実行することで、MIDIの再生を停止することができます。

再生の一時停止を実装する場合は、スレッドの一時停止と再開を制御する必要があります。

Midi.Netを使用したMIDI再生

Midi.Netは、C#でMIDIファイルの読み込みや再生、MIDIメッセージの送信を行うためのライブラリです。

ここでは、Midi.Netを使用してMIDIファイルを再生する方法について説明します。

Midi.Netの基本的な使い方

Midi.Netを使用するためには、まずプロジェクトにMidi.Netをインストールする必要があります。

インストール方法については前述の「Midi.Netのインストール方法」を参照してください。

インストール後、以下のように名前空間をインポートして使用します。

using Commons.Music.Midi; // Midi.Netの機能を使用するための名前空間

MIDIファイルの読み込み

MIDIファイルを読み込むには、MidiMusicクラスを使用します。

以下のコードは、MIDIファイルを読み込む例です。

string filePath = "path/to/your/midi/file.mid"; // 読み込むMIDIファイルのパス
var midiMusic = MidiMusic.Read(filePath); // MIDIファイルを読み込む

このコードでは、指定したパスのMIDIファイルを読み込み、MidiMusicオブジェクトとして取得します。

MIDIファイルの再生

MIDIファイルを再生するには、MidiPlayerクラスを使用します。

以下のコードは、MIDIファイルを再生する例です。

var midiAccess = MidiAccessManager.Default; // デフォルトのMIDIアクセスを取得
var output = midiAccess.OpenOutputAsync(midiAccess.Outputs.First().Id).Result; // MIDI出力デバイスを開く
var player = new MidiPlayer(midiMusic, output); // MIDIプレイヤーを初期化
player.Play(); // MIDIファイルを再生

このコードでは、MIDIファイルを再生するためにMidiPlayerを使用し、指定したMIDI出力デバイスに音を出力します。

再生の停止と一時停止

再生を停止するには、MidiPlayerオブジェクトのStopメソッドを呼び出します。

一時停止機能はMidi.Netには直接用意されていないため、再生の制御はプレイヤーの状態管理で行います。

以下は、再生を停止する例です。

player.Stop(); // MIDIファイルの再生を停止

このコードを実行することで、MIDIの再生を停止することができます。

再生の一時停止を実装する場合は、プレイヤーの状態を管理し、再生位置を記録して再開する必要があります。

MIDI再生の応用

MIDI再生の基本を理解したら、さらに応用的な操作を行うことができます。

ここでは、MIDIメッセージの送信、MIDIイベントのカスタマイズ、複数のMIDIトラックの管理について説明します。

MIDIメッセージの送信

MIDIメッセージを送信することで、外部のMIDIデバイスを制御することができます。

以下のコードは、MIDIノートオンメッセージを送信する例です。

using Commons.Music.Midi; // Midi.Netの機能を使用するための名前空間
var midiAccess = MidiAccessManager.Default; // デフォルトのMIDIアクセスを取得
var output = midiAccess.OpenOutputAsync(midiAccess.Outputs.First().Id).Result; // MIDI出力デバイスを開く
byte channel = 0; // チャンネル番号
byte note = 60; // ノート番号(C4)
byte velocity = 127; // ベロシティ(音の強さ)
output.Send(new byte[] { (byte)(0x90 | channel), note, velocity }, 0, 3, 0); // ノートオンメッセージを送信

このコードでは、指定したチャンネル、ノート、ベロシティでノートオンメッセージを送信します。

MIDIイベントのカスタマイズ

MIDIイベントをカスタマイズすることで、独自の音楽表現を作成することができます。

以下のコードは、MIDIイベントをカスタマイズして再生する例です。

var midiMusic = new MidiMusic(); // 新しいMIDI音楽オブジェクトを作成
var track = new MidiTrack(); // 新しいMIDIトラックを作成
// カスタムMIDIイベントを追加
track.Events.Add(new MidiEvent(0, MidiEvent.NoteOn, 0, 60, 127)); // ノートオンイベント
track.Events.Add(new MidiEvent(480, MidiEvent.NoteOff, 0, 60, 0)); // ノートオフイベント
midiMusic.Tracks.Add(track); // トラックを音楽に追加

このコードでは、ノートオンとノートオフのイベントをカスタマイズしてトラックに追加しています。

複数のMIDIトラックの管理

複数のMIDIトラックを管理することで、より複雑な音楽を作成することができます。

以下のコードは、複数のトラックを管理する例です。

var midiMusic = new MidiMusic(); // 新しいMIDI音楽オブジェクトを作成
// トラック1を作成
var track1 = new MidiTrack();
track1.Events.Add(new MidiEvent(0, MidiEvent.NoteOn, 0, 60, 127)); // トラック1のノートオン
track1.Events.Add(new MidiEvent(480, MidiEvent.NoteOff, 0, 60, 0)); // トラック1のノートオフ
midiMusic.Tracks.Add(track1); // トラック1を音楽に追加
// トラック2を作成
var track2 = new MidiTrack();
track2.Events.Add(new MidiEvent(0, MidiEvent.NoteOn, 0, 64, 127)); // トラック2のノートオン
track2.Events.Add(new MidiEvent(480, MidiEvent.NoteOff, 0, 64, 0)); // トラック2のノートオフ
midiMusic.Tracks.Add(track2); // トラック2を音楽に追加

このコードでは、2つのトラックを作成し、それぞれに異なるノートイベントを追加しています。

これにより、複数のトラックを同時に再生することが可能になります。

MIDI再生のトラブルシューティング

MIDI再生中に問題が発生することがあります。

ここでは、よくある問題とその対処法について説明します。

音が出ない場合の対処法

MIDI再生中に音が出ない場合、以下の点を確認してください。

  1. MIDIデバイスの接続
  • MIDI出力デバイスが正しく接続されているか確認します。

デバイスが接続されていない場合、音が出ません。

  1. デバイスの選択
  • 正しいMIDI出力デバイスが選択されているか確認します。

コード内でMidiAccessManager.Defaultを使用してデバイスを取得している場合、デフォルトのデバイスが正しく設定されているか確認してください。

  1. 音量設定
  • MIDIデバイスやコンピュータの音量がミュートになっていないか確認します。

音量が低すぎる場合も音が聞こえません。

  1. MIDIメッセージの確認
  • 送信しているMIDIメッセージが正しいか確認します。

例:output.Send(new byte[] { (byte)(0x90 | channel), note, velocity }, 0, 3, 0);のように正しいメッセージを送信しているか確認します。

再生が途中で止まる場合の対処法

MIDI再生が途中で止まる場合、以下の点を確認してください。

  1. スレッドの管理
  • 再生中にスレッドがブロックされていないか確認します。

スレッドが他の処理でブロックされると、再生が止まることがあります。

スレッドの管理を適切に行い、再生中に他の重い処理を行わないようにします。

  1. MIDIイベントの確認
  • MIDIイベントが正しく設定されているか確認します。

イベントのタイミングや順序が不適切な場合、再生が途中で止まることがあります。

  1. エラーハンドリング
  • 再生中に発生する可能性のある例外を適切にハンドリングしているか確認します。

例外が発生すると再生が止まることがありますので、例外処理を追加してエラーをキャッチし、適切に対処します。

これらの対処法を試すことで、MIDI再生中の問題を解決できる可能性があります。

問題が解決しない場合は、デバイスやコードの設定を再度確認し、必要に応じてデバッグを行ってください。

よくある質問

C#でMIDIファイルを再生するのに最適なライブラリは?

C#でMIDIファイルを再生するためのライブラリとしては、NAudioとMidi.Netがよく使用されます。

どちらのライブラリもMIDIファイルの再生に対応しており、用途に応じて選択することができます。

  • NAudio: オーディオ処理全般に強く、MIDI以外のオーディオフォーマットも扱いたい場合に適しています。
  • Midi.Net: MIDIファイルの読み込みや再生、MIDIメッセージの送信に特化しており、MIDI関連の機能をシンプルに実装したい場合に適しています。

MIDIファイルの再生速度を変更できますか?

はい、MIDIファイルの再生速度を変更することは可能です。

再生速度を変更するには、MIDIイベントのタイミングを調整する必要があります。

具体的には、MIDIイベントのタイムスタンプを変更することで、再生速度を速くしたり遅くしたりすることができます。

例:midiEvent.DeltaTime = (int)(midiEvent.DeltaTime * speedFactor);

ここで、speedFactorは再生速度の倍率です。

1.0より大きい値で速く、1.0より小さい値で遅くなります。

MIDIファイルをオーディオファイルに変換できますか?

MIDIファイルを直接オーディオファイルに変換することはできませんが、MIDIファイルを再生し、その出力を録音することでオーディオファイルを作成することができます。

これには、MIDI再生ソフトウェアとオーディオ録音ソフトウェアを組み合わせて使用する方法があります。

  • ソフトウェアシンセサイザー: MIDIファイルを再生するためのソフトウェアシンセサイザーを使用し、音声出力を生成します。
  • オーディオ録音: 生成された音声をオーディオ録音ソフトウェアで録音し、WAVやMP3などのオーディオファイルとして保存します。

この方法により、MIDIファイルをオーディオファイルに変換することが可能です。

まとめ

この記事では、C#でMIDIファイルを再生するための環境準備から、NAudioやMidi.Netを使用した具体的な再生方法、さらに応用的な操作やトラブルシューティングについて詳しく解説しました。

これにより、MIDIファイルの再生に関する基本的な操作から応用的なテクニックまでを一通り学ぶことができ、実際のプロジェクトで活用するための基礎を築くことができたのではないでしょうか。

ぜひ、この記事を参考にして、C#でのMIDI再生を実際に試してみてください。

新たな音楽表現の可能性を探求する一歩を踏み出しましょう。

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