コンパイラエラー

C言語におけるOpenMP C3042エラー:copyprivateとnowait句の併用不可について解説

C3042エラーは、OpenMPディレクティブ内で同時に使用できない ‘copyprivate’ 句と ‘nowait’ 句を併用した場合に発生します。

エラーが表示された場合は、対象ディレクティブからどちらか一方、または両方の句を削除して対応する必要があります。

エラー内容と原因

C3042エラーの詳細

C3042エラーは、OpenMPディレクティブ内でcopyprivate句とnowait句を同時に使用すると発生するコンパイルエラーです。

エラーメッセージは「’copyprivate’ 句および ‘nowait’ 句は、OpenMP ‘directive’ ディレクティブで併用できません」と表示され、どちらか一方または両方を削除する必要があると示しています。

copyprivate句の機能

copyprivate句は、singleディレクティブと組み合わせて使用されることが多く、特定の変数の値をsingleブロックの実行後にすべてのスレッドへコピーするための機能です。

これにより、あるスレッドが計算した結果を他のスレッドでも利用可能にする意図があります。

たとえば、以下のように一つのスレッドで計算した値を全体に反映できます。

  • 変数のスコープ管理が適切に行われるように設計されています。

nowait句の機能

nowait句は、スレッド間の同期を不要にするための句です。

通常、singleforディレクティブの後には暗黙のバリアが設けられますが、nowaitを指定することでそのバリアを取り除き、各スレッドが独立して処理を続行できるようにすることができます。

これにより、不要な待機時間を削減でき、パフォーマンスの向上が期待されます。

併用不可となる理由

copyprivate句は、あるスレッドが計算した値を全スレッドに伝播するための同期が必要です。

一方、nowait句はその同期処理を省略するので、両者は機能的に矛盾してしまいます。

つまり、copyprivate句は正しい値の共有を保証するためにバリアを必要としますが、nowait句がそのバリアを省略するため、同時に使用すると処理の整合性が失われ、コンパイラがエラーを出す仕組みになっています。

エラー発生箇所とコード例

該当OpenMPディレクティブの構造

OpenMPの構文では、parallelディレクティブなどの中でsingleディレクティブを利用する場合に、copyprivate句とnowait句が同時に指定されるとエラーが発生します。

具体的には、以下のようなディレクティブ構造でエラーが確認されます。

  • parallelブロック内でsingleディレクティブを使用
  • singleディレクティブにcopyprivate句とnowait句を同時指定

指示句の組み合わせによる影響

以下のサンプルコードでは、singleディレクティブにcopyprivate句とnowait句を同時に指定しているため、コンパイル時にC3042エラーが発生します。

#include <stdio.h>
#include <omp.h>
double sharedValue;
int main() {
    // 並列実行するための領域を作成
    #pragma omp parallel private(sharedValue)
    {
        // singleブロックで計算し、結果を各スレッドへコピーしようとするが、nowaitが指定されているためエラーが発生
        #pragma omp single copyprivate(sharedValue) nowait
        {
            sharedValue = 100.0;  // あるスレッドで計算した値
        }
    }
    return 0;
}
コンパイル時に「'copyprivate' 句および 'nowait' 句は、OpenMP 'directive' ディレクティブで併用できません」というエラーメッセージが表示されます。

エラーコードの検出パターン

エラーコードC3042は、特定のディレクティブに対してcopyprivatenowaitが同時に使用されている場合に発生します。

以下の検出パターンが確認されています。

  • singleディレクティブでの利用時に発生
  • parallelディレクティブ内での変数のスコープの設定に伴い発生
  • コンパイル環境で/openmpオプションが有効な場合にのみ問題が顕在化

これらのパターンは、実際のコードレビューやデバッグ時に注意深くチェックすることで、意図しないエラーを未然に防ぐ助けとなります。

修正方法と対処手順

回避策の選択

エラーを解消するためには、copyprivate句とnowait句を同一ディレクティブから削除する必要があります。

既存の設計やコードの目的に応じて、どちらかの句を省略するか、あるいはコードのロジックを見直す必要があります。

copyprivate句の削除方法

もしnowait句による非同期動作が優先される場合、copyprivate句を削除して同期処理を無くす方法が考えられます。

以下のサンプルコードは、copyprivate句を取り除いた例です。

#include <stdio.h>
#include <omp.h>
double sharedValue;
int main() {
    #pragma omp parallel private(sharedValue)
    {
        // nowaitのみ指定してスレッドの待機を省略
        #pragma omp single nowait
        {
            sharedValue = 100.0;  // 計算処理(コピー処理は省略される)
        }
    }
    // 全スレッドへの値の伝播は保証されないため注意
    return 0;
}
(出力内容はプログラムにより異なりますが、C3042エラーは発生しません)

nowait句の削除方法

一方、copyprivate句による変数の値の伝播が重要な場合、nowait句を削除してバリアを確実に有効にする方法があります。

以下のサンプルコードは、nowait句を取り除いた例です。

#include <stdio.h>
#include <omp.h>
double sharedValue;
int main() {
    #pragma omp parallel private(sharedValue)
    {
        // copyprivateのみ指定して、計算結果を全スレッドへ伝播させる
        #pragma omp single copyprivate(sharedValue)
        {
            sharedValue = 100.0;  // 計算結果の代入を一つのスレッドで実施
        }
    }
    // すべてのスレッドでsharedValueの値が100.0になっている
    return 0;
}
(出力内容はプログラムにより異なりますが、C3042エラーは発生しません)

修正後のビルド確認

コンパイルオプションの再確認

修正後は、必ずコンパイルオプションに/openmpが正しく指定されているかを確認してください。

これにより、OpenMP機能が有効になり、修正が正しく反映されることが確認できます。

また、変更したコードに対してコンパイル時に発生する他のエラーや警告がないかをチェックすることも重要です。

エラー再現防止のチェック事項

修正後のコードに関しては、以下の項目を確認することが推奨されます。

  • スレッド間で正しく変数が共有または非共有になっているかを確認する
  • 期待した動作(変数の値の伝播や非同期実行)が実現されているかをテストする
  • コンパイル時および実行時に不具合が発生しないことを確認する

これらの手順を通じて、コンパイルエラーC3042の再発を防止し、安定した並列処理が実現できるように注意してください。

まとめ

本記事では、OpenMPディレクティブで発生するC3042エラーについて解説しています。

エラーは、copyprivate句とnowait句が併用されることで発生し、各句の機能や役割、使用時の影響について説明しました。

また、どちらか片方を削除することでエラーが解消できる修正方法とその対処手順を、具体的なサンプルコードを通じて示しました。

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