C言語の警告C4075の原因と対策について解説

Microsoft Visual C++で見られる警告 C4075は、#pragma init_segにおいて認識できないセクション名を指定したときに表示されます。

コンパイラは指定されたセクションを無視するため、意図しない初期化順序が発生する可能性があります。

C言語やC++の開発時にこの警告が出た場合は、セクション名を再確認するなどの対策を行うと良いでしょう。

警告C4075の基本情報

このセクションでは、警告C4075に関する基本的情報を分かりやすく解説します。

警告C4075は、#pragma init_segで認識できないセクション名を指定した場合に発生する警告です。

ここでは、警告メッセージの具体的な内容と、どのコンパイラや開発環境で発生するかについて解説します。

警告メッセージの内容

警告C4075が発生したときのメッセージは以下のような内容となります。

• 「初期化子が不明な初期化領域にあります。」
• 「#pragma init_segが認識できないセクション名を使用しています。コンパイラはこの#pragmaコマンドを無視します。」

この警告は、コンパイラが指定された文字列に対して正しいイニシャライゼーションセクションを認識できなかったことを示しています。

結果として、意図した初期化順序が保証されず、プログラム実行時に予期せぬ動作が生じる可能性があります。

対象コンパイラと環境

警告C4075は主にMicrosoft Visual StudioのC/C++コンパイラにおいて発生します。

以下のポイントに注意してください。

• 開発環境がVisual Studioの場合、プロジェクト設定で警告レベルが「/W1」など低い警告レベルに設定されていると、警告として表示されます。
• 他のコンパイラやクロスプラットフォーム環境では同様の警告が出ない場合もありますが、初期化セクションの指定ミスが意図した処理順序に影響を与える可能性があるため、開発時には注意する必要があります。

発生原因の詳細

このセクションでは、警告C4075の発生原因に関する技術的な背景を解説します。

特に、#pragma init_segの仕様と初期化順序への影響について説明します。

#pragma init_segの基本仕様

#pragma init_segは、グローバルオブジェクトの初期化順序を制御するためのプリプロセッサディレクティブです。

これを利用することで、生成されるコードの初期化順序を明示的に指定できます。

初期化順序は、特に複数のグローバルオブジェクトが関係する場合に重要です。

指定可能なセクション名

Microsoftのドキュメントによると、#pragma init_segで指定できるセクション名には以下のような指定が認められています。

• compiler
• lib
• user

これらのセクション名は、コンパイラ内部で固定の初期化領域に対応しており、正しい順序で初期化が実行されます。

誤ったセクション名の指定例

誤ったセクション名を指定する例として、以下のコードが挙げられます。

#include <cstdio>
// 間違ったセクション名を指定している例
#pragma init_seg("mysegg")   // C4075の警告が発生
int main() {
    printf("警告C4075の確認プログラムです。\n");
    return 0;
}

上記のコードでは、"mysegg"というセクション名を指定しているため、コンパイラはこれを認識せず、警告C4075が発生します。

初期化領域と初期化順序への影響

正しく指定されたセクション名により、グローバルオブジェクトの初期化は以下の順序で行われます。

1. compilerセクションの初期化
2. libセクションの初期化
3. userセクションの初期化

もし誤ったセクション名が使われた場合、コンパイラは該当のセクションを無視するため、デフォルトの初期化順序に従うことになります。

この結果、意図しないタイミングでの初期化が行われ、プログラムの動作に影響を与える可能性があります。

対策方法の検討

このセクションでは、警告C4075を回避するための対策方法を検討します。

主に正しいセクション名の指定と環境設定の見直しについて解説します。

正しいセクション名の指定方法

誤ったセクション名を指定すると警告C4075が発生するため、正しいセクション名を指定することが重要です。

Visual Studio環境では、以下のセクション名のどれかに指定する必要があります。

• compiler
• lib
• user

コード修正のポイント

具体例として、誤ったコードを修正する方法は以下の通りです。

ここでは、userセクションを正しく指定した例を示します。

#include <cstdio>
// 正しいセクション名 "user" を指定している例
#pragma init_seg("user")
int main() {
    // グローバルオブジェクトの初期化が正しく行われるようにするためのコード例
    printf("正しいセクション名が使用されています。\n");
    return 0;
}

正しいセクション名が使用されています。

上記のコードでは、#pragma init_seg("user")を用いて正しい初期化領域を指定しているため、警告C4075は発生しません。

環境設定での留意点

Visual Studioのバージョンやプロジェクト設定により、初期化領域の挙動が変わる場合があります。

以下の点に留意してください。

• プロジェクト設定で警告レベルが適切に設定されているか確認する。警告レベルが低すぎると、細かい警告が出ることがあります。
• 同一ソリューション内で複数のプロジェクトが連携している場合、各プロジェクトで一貫した初期化順序が保持されるよう環境設定を統一する。
• 必要に応じて、ドキュメントを参照し正しいセクション名の使用例や制約事項を確認する。

コンパイラ挙動の検証

このセクションでは、複数のコンパイラバージョンにおける警告C4075の動作比較と、修正後の確認手順について紹介します。

バージョン別の動作比較

Visual Studioの各バージョンで、#pragma init_segの動作がどのように変化しているかを以下にまとめます。

• Visual Studio 2017以前

古いバージョンでは、誤ったセクション名を指定した場合に確実に警告C4075が表示されます。

• Visual Studio 2019以降

最新バージョンでは、警告メッセージの出し方や初期化順序の管理が改善されている場合がありますが、誤ったセクション名を指定すると依然として警告が発生します。

このように、バージョン間で微妙な差異があるため、プロジェクトで使用しているコンパイラのバージョンに合わせた確認が必要です。

修正後の実行確認手順

警告C4075を解消した後、以下の手順でプログラムが正しく動作しているか確認してください。

1. プロジェクト設定でコンパイラの警告レベルを再確認する。
2. 修正後のコードをビルドし、警告が表示されないかチェックする。
3. サンプルコードなどを用いて、初期化の順序が期待通りになっているか実行時に確認する。

例として、先ほど示した正しいセクション名を指定したサンプルコードを実行することで、コンパイラの動作を検証できます。

上述のコード例で警告が出ず、期待した出力が得られた場合、初期化順序の問題も解決していると判断できます。

まとめ

この記事では、警告C4075が発生する原因や具体的な警告メッセージ、対象となるVisual Studio環境での挙動について解説しています。

また、#pragma init_segの基本仕様と正しいセクション名compiler、lib、userの指定方法を具体例とサンプルコードを交えて説明しました。

さらに、初期化順序の影響や、コンパイラバージョンごとの挙動の違い、修正後の動作確認手順についても紹介しており、適切な対策方法を理解できる内容となっています。