LINQ

[C#/LINQ] Firstメソッドの使い方 – 条件に合う最初の要素を取得する

2025-01-18更新日: 2025-01-18

C#のLINQにおけるFirstメソッドは、シーケンス内で条件に合う最初の要素を取得するために使用されます。

条件を指定しない場合は、シーケンスの最初の要素を返します。

条件に合う要素が存在しない場合、例外InvalidOperationExceptionがスローされます。

例外を避けたい場合は、FirstOrDefaultメソッドを使用すると、条件に合う要素がない場合にnullやデフォルト値を返します。

目次から探す

Firstメソッドとは
Firstメソッドの基本的な使い方
Firstメソッドの例
Firstメソッドの応用
FirstメソッドとFirstOrDefaultメソッドの使い分け
Firstメソッドの注意点
まとめ

Firstメソッドとは

C#のLINQ(Language Integrated Query)におけるFirstメソッドは、コレクションから条件に合う最初の要素を取得するためのメソッドです。

このメソッドは、特定の条件を満たす要素が存在する場合、その最初の要素を返します。

もし条件に合う要素が存在しない場合、例外(InvalidOperationException)がスローされるため、使用する際には注意が必要です。

Firstメソッドは、配列やリスト、その他のコレクションに対して使用でき、非常に便利な機能です。

特に、データベースから取得したデータや、フィルタリングされたリストから特定の要素を迅速に取得したい場合に役立ちます。

LINQを使用することで、コードが簡潔になり、可読性も向上します。

Firstメソッドの基本的な使い方

シーケンスの最初の要素を取得する

Firstメソッドを使用すると、シーケンス(配列やリストなど)の最初の要素を簡単に取得できます。

以下のサンプルコードでは、整数の配列から最初の要素を取得しています。

using System;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        int[] numbers = { 1, 2, 3, 4, 5 };
        int firstNumber = numbers.First(); // 最初の要素を取得
        Console.WriteLine(firstNumber); // 出力: 1
    }
}

出力:
1

条件に合う最初の要素を取得する

Firstメソッドは、条件を指定してその条件に合う最初の要素を取得することもできます。

以下の例では、配列から偶数の最初の要素を取得しています。

using System;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        int[] numbers = { 1, 3, 4, 6, 7 };
        int firstEvenNumber = numbers.First(n => n % 2 == 0); // 偶数の最初の要素を取得
        Console.WriteLine(firstEvenNumber); // 出力: 4
    }
}

出力:
4

存在しない要素を取得しようとした場合の挙動

条件に合う要素が存在しない場合、Firstメソッドは例外をスローします。

以下の例では、配列に存在しない条件を指定しています。

using System;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        int[] numbers = { 1, 3, 5 };
        
        try
        {
            int firstEvenNumber = numbers.First(n => n % 2 == 0); // 偶数が存在しない
        }
        catch (InvalidOperationException ex)
        {
            Console.WriteLine(ex.Message); // 出力: シーケンスに要素がありません。
        }
    }
}

出力:
Sequence contains no matching element

Firstメソッドのパフォーマンスに関する注意点

Firstメソッドは、条件に合う要素を見つけるとすぐに処理を終了しますが、シーケンスが大きい場合はパフォーマンスに影響を与えることがあります。

特に、条件が複雑な場合や、シーケンスの最初の要素が条件に合わない場合、全体をスキャンする必要があるため、注意が必要です。

最適化を行うためには、必要に応じてWhereメソッドを使用してフィルタリングを行い、その後にFirstメソッドを適用することが推奨されます。

Firstメソッドの例

配列でのFirstメソッドの使用例

配列に対してFirstメソッドを使用することで、最初の要素を簡単に取得できます。

以下の例では、整数の配列から最初の要素を取得しています。

using System;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        int[] numbers = { 10, 20, 30, 40, 50 };
        int firstNumber = numbers.First(); // 最初の要素を取得
        Console.WriteLine(firstNumber); // 出力: 10
    }
}

出力:
10

リストでのFirstメソッドの使用例

List<T>に対してもFirstメソッドを使用できます。

以下の例では、文字列のリストから最初の要素を取得しています。

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        List<string> fruits = new List<string> { "りんご", "バナナ", "オレンジ" };
        string firstFruit = fruits.First(); // 最初の要素を取得
        Console.WriteLine(firstFruit); // 出力: りんご
    }
}

出力:
りんご

カスタムオブジェクトでのFirstメソッドの使用例

カスタムオブジェクトのリストに対してもFirstメソッドを使用できます。

以下の例では、Personクラスのリストから年齢が20歳以上の最初の人物を取得しています。

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
class Person
{
    public string Name { get; set; }
    public int Age { get; set; }
}
class Program
{
    static void Main()
    {
        List<Person> people = new List<Person>
        {
            new Person { Name = "太郎", Age = 18 },
            new Person { Name = "次郎", Age = 22 },
            new Person { Name = "三郎", Age = 25 }
        };
        Person firstAdult = people.First(p => p.Age >= 20); // 年齢が20歳以上の最初の人物を取得
        Console.WriteLine(firstAdult.Name); // 出力: 次郎
    }
}

出力:
次郎

Firstメソッドとラムダ式の組み合わせ

Firstメソッドはラムダ式と組み合わせて使用することで、条件に合う要素を柔軟に取得できます。

以下の例では、整数の配列から3の倍数の最初の要素を取得しています。

using System;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        int[] numbers = { 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9 };
        int firstMultipleOfThree = numbers.First(n => n % 3 == 0); // 3の倍数の最初の要素を取得
        Console.WriteLine(firstMultipleOfThree); // 出力: 3
    }
}

出力:
3

Firstメソッドの応用

FirstメソッドとWhereメソッドの組み合わせ

FirstメソッドはWhereメソッドと組み合わせて使用することで、特定の条件に合う要素をフィルタリングした後、その中から最初の要素を取得できます。

以下の例では、整数の配列から偶数の最初の要素を取得しています。

using System;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        int[] numbers = { 1, 3, 4, 6, 7 };
        int firstEvenNumber = numbers.Where(n => n % 2 == 0).First(); // 偶数の最初の要素を取得
        Console.WriteLine(firstEvenNumber); // 出力: 4
    }
}

出力:
4

FirstメソッドとOrderByメソッドの組み合わせ

FirstメソッドはOrderByメソッドと組み合わせて、特定の条件でソートした後、最初の要素を取得することもできます。

以下の例では、整数の配列を昇順にソートし、最初の要素を取得しています。

using System;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        int[] numbers = { 5, 3, 8, 1, 4 };
        int smallestNumber = numbers.OrderBy(n => n).First(); // 昇順にソートして最初の要素を取得
        Console.WriteLine(smallestNumber); // 出力: 1
    }
}

出力:
1

FirstメソッドとSelectメソッドの組み合わせ

FirstメソッドはSelectメソッドと組み合わせて、特定のプロパティを持つ最初の要素を取得することができます。

以下の例では、Personクラスのリストから最初の人物の名前を取得しています。

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
class Person
{
    public string Name { get; set; }
    public int Age { get; set; }
}
class Program
{
    static void Main()
    {
        List<Person> people = new List<Person>
        {
            new Person { Name = "太郎", Age = 18 },
            new Person { Name = "次郎", Age = 22 },
            new Person { Name = "三郎", Age = 25 }
        };
        string firstAdultName = people
            .Where(p => p.Age >= 20) // 年齢が20歳以上の人物をフィルタリング
            .Select(p => p.Name) // 名前を選択
            .First(); // 最初の名前を取得
        Console.WriteLine(firstAdultName); // 出力: 次郎
    }
}

出力:
次郎

FirstメソッドとAnyメソッドの違いと使い分け

FirstメソッドとAnyメソッドは、どちらもコレクションの要素を扱いますが、目的が異なります。

Firstメソッドは条件に合う最初の要素を取得するのに対し、Anyメソッドは条件に合う要素が存在するかどうかを確認します。

以下の例では、Anyメソッドを使用して、配列に偶数が存在するかどうかを確認しています。

using System;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        int[] numbers = { 1, 3, 5, 7 };
        bool hasEvenNumber = numbers.Any(n => n % 2 == 0); // 偶数が存在するか確認
        Console.WriteLine(hasEvenNumber); // 出力: False
    }
}

出力:
False

このように、Firstメソッドは特定の要素を取得するために使用し、Anyメソッドは条件に合う要素の存在を確認するために使用します。

状況に応じて使い分けることが重要です。

FirstメソッドとFirstOrDefaultメソッドの使い分け

FirstOrDefaultメソッドの基本的な使い方

FirstOrDefaultメソッドは、Firstメソッドと似ていますが、条件に合う要素が存在しない場合に例外をスローするのではなく、デフォルト値(通常はnull)を返します。

以下の例では、整数の配列から偶数の最初の要素を取得しています。

using System;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        int[] numbers = { 1, 3, 5 }; // 偶数が存在しない配列
        int firstEvenNumber = numbers.FirstOrDefault(n => n % 2 == 0); // 偶数の最初の要素を取得
        Console.WriteLine(firstEvenNumber); // 出力: 0 (デフォルト値)
    }
}

出力:
0

FirstOrDefaultメソッドでnullを返すケース

FirstOrDefaultメソッドは、参照型のコレクションに対して使用した場合、条件に合う要素が存在しないときにnullを返します。

以下の例では、Personクラスのリストから年齢が30歳以上の最初の人物を取得しています。

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
class Person
{
    public string Name { get; set; }
    public int Age { get; set; }
}
class Program
{
    static void Main()
    {
        List<Person> people = new List<Person>
        {
            new Person { Name = "太郎", Age = 25 },
            new Person { Name = "次郎", Age = 28 }
        };
        Person firstSenior = people.FirstOrDefault(p => p.Age >= 30); // 年齢が30歳以上の最初の人物を取得
        if (firstSenior == null)
        {
            Console.WriteLine("該当する人物は存在しません。"); // 出力: 該当する人物は存在しません。
        }
    }
}

出力:
該当する人物は存在しません。

FirstメソッドとFirstOrDefaultメソッドのパフォーマンス比較

FirstメソッドとFirstOrDefaultメソッドは、基本的には同じアルゴリズムを使用しているため、パフォーマンスに大きな違いはありません。

ただし、Firstメソッドは条件に合う要素が存在しない場合に例外をスローするため、例外処理のオーバーヘッドが発生します。

一方、FirstOrDefaultメソッドはデフォルト値を返すため、例外処理のコストがかからず、パフォーマンスが向上する場合があります。

例外処理を避けるためのFirstOrDefaultの活用

FirstOrDefaultメソッドは、条件に合う要素が存在しない場合に例外をスローしないため、例外処理を避けるために非常に便利です。

特に、データが不確実な場合や、条件に合う要素が存在しない可能性がある場合に使用することが推奨されます。

以下の例では、FirstOrDefaultメソッドを使用して、条件に合う要素が存在しない場合でも安全に処理を行っています。

using System;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        int[] numbers = { 1, 3, 5 }; // 偶数が存在しない配列
        int firstEvenNumber = numbers.FirstOrDefault(n => n % 2 == 0); // 偶数の最初の要素を取得
        if (firstEvenNumber == 0) // デフォルト値をチェック
        {
            Console.WriteLine("偶数は存在しません。"); // 出力: 偶数は存在しません。
        }
    }
}

出力:
偶数は存在しません。

このように、FirstOrDefaultメソッドを使用することで、例外処理を避けつつ、条件に合う要素を安全に取得することができます。

Firstメソッドの注意点

例外処理の重要性

Firstメソッドは、条件に合う要素が存在しない場合にInvalidOperationExceptionをスローします。

このため、Firstメソッドを使用する際には、例外処理を適切に行うことが重要です。

特に、データが不確実な場合や、条件に合う要素が存在しない可能性がある場合には、try-catchブロックを使用して例外をキャッチし、適切なエラーメッセージを表示することが推奨されます。

using System;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        int[] numbers = { 1, 3, 5 }; // 偶数が存在しない配列
        try
        {
            int firstEvenNumber = numbers.First(n => n % 2 == 0); // 偶数の最初の要素を取得
        }
        catch (InvalidOperationException ex)
        {
            Console.WriteLine(ex.Message); // 出力: シーケンスに要素がありません。
        }
    }
}

出力:
Sequence contains no matching element

空のシーケンスに対するFirstメソッドの挙動

空のシーケンスに対してFirstメソッドを呼び出すと、必ずInvalidOperationExceptionがスローされます。

これは、シーケンスに要素が存在しないためです。

空の配列やリストに対してFirstメソッドを使用する場合は、事前にシーケンスが空でないことを確認するか、例外処理を行う必要があります。

using System;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        int[] emptyArray = { }; // 空の配列
        try
        {
            int firstElement = emptyArray.First(); // 空の配列に対してFirstメソッドを呼び出す
        }
        catch (InvalidOperationException ex)
        {
            Console.WriteLine(ex.Message); // 出力: シーケンスに要素がありません。
        }
    }
}

出力:
Sequence contains no elements

複数の条件を指定する場合の注意点

Firstメソッドを使用して複数の条件を指定する場合、すべての条件を満たす要素が存在しないと、例外がスローされます。

条件を組み合わせる際には、どの条件が満たされているかを確認し、必要に応じてWhereメソッドを使用してフィルタリングを行うことが推奨されます。

using System;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        int[] numbers = { 1, 3, 5 }; // 偶数が存在しない配列
        try
        {
            int firstEvenAndGreaterThanTwo = numbers.First(n => n % 2 == 0 && n > 2); // 複数条件
        }
        catch (InvalidOperationException ex)
        {
            Console.WriteLine(ex.Message); // 出力: シーケンスに要素がありません。
        }
    }
}

出力:
Sequence contains no matching element

FirstメソッドとSingleメソッドの違い

FirstメソッドとSingleメソッドは、どちらもコレクションから要素を取得するためのメソッドですが、挙動が異なります。

Firstメソッドは条件に合う最初の要素を返しますが、Singleメソッドは条件に合う要素が1つだけ存在する場合にその要素を返し、複数の要素が存在する場合にはInvalidOperationExceptionをスローします。

以下の例では、Singleメソッドを使用して、条件に合う要素が1つだけ存在する場合の挙動を示しています。

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
class Program
{
    static void Main()
    {
        List<int> numbers = new List<int> { 1, 2, 3, 11, 13 };
        try
        {
            int singleEvenNumber = numbers.Single(n => n % 2 == 0); // 偶数が1つだけ存在する場合
            Console.WriteLine(singleEvenNumber); // 出力: 2
        }
        catch (InvalidOperationException ex)
        {
            Console.WriteLine(ex.Message);
        }
        try
        {
            int singleGreaterThanFive = numbers.Single(n => n > 5); // 条件に合う要素が存在しない場合
        }
        catch (InvalidOperationException ex)
        {
            Console.WriteLine(ex.Message); // 出力: シーケンスに要素がありません。
        }
    }
}

出力:
2
Sequence contains more than one matching element

このように、Firstメソッドは条件に合う最初の要素を取得するのに対し、Singleメソッドは条件に合う要素が1つだけであることを前提に使用するため、使い分けが重要です。

まとめ

この記事では、C#のLINQにおけるFirstメソッドの基本的な使い方や応用、注意点について詳しく解説しました。

Firstメソッドは、条件に合う最初の要素を取得するための便利な機能ですが、例外処理やシーケンスの状態を確認することが重要です。

これらの知識を活用して、より効率的なプログラミングを行うために、Firstメソッドやその関連メソッドを積極的に使ってみてください。