CS801～2000

C#のコンパイラエラーCS1910について解説：DefaultParameterValueAttributeの正しい使用法

2025-03-29更新日: 2025-03-29

CS1910は、C#のコンパイラエラーのひとつで、DefaultParameterValueAttributeに不適切な型の引数を指定した場合に発生します。

パラメーターがオブジェクトの場合、指定できる引数はnull、整数、浮動小数点、bool、string、enum、charなどに限定されています。

型や配列型を指定するとエラーとなるため、正しい引数型に修正してください。

目次から探す

エラーCS1910の原因
エラー発生の具体例
- 不適切な引数指定のケース
- エラー出力の内容
修正方法と対策
- 正しい引数型の指定方法
- 修正例による対応策
まとめ

エラーCS1910の原因

エラーCS1910は、DefaultParameterValueAttributeに不適切な引数型を指定した場合に発生します。

C#では、メソッドのパラメーターに対してデフォルト値を付与する際、特定の型のみが許容されています。

これ以外の型や、配列型などを指定すると、コンパイラがエラーを出力します。

DefaultParameterValueAttributeの仕様

DefaultParameterValueAttributeは、メソッドのパラメーターに対してデフォルト値を設定するための属性です。

この属性を使用する場合、引数に指定できる型は厳格に決まっており、次の条件に沿う必要があります。

パラメーターがオブジェクト型の場合、引数は null、整数型、浮動小数点型、bool、文字列、列挙型、または char に限定されます。
属性は、パラメーターのデフォルト値を明示的に指定して処理を簡単にするために用いられますが、型情報や配列をデフォルト値として指定することはできません。

この仕様により、型安全性が保たれることを目的としています。

許容される引数型の一覧

DefaultParameterValueAttributeで許容される引数型は以下の通りです。

null
整数型 (例: int, long など)
浮動小数点型 (例: float, double など)
bool
string
列挙型 (例: Enum型)
char

これらの型以外の値を指定すると、CS1910のエラーが発生します。

型や配列型指定時の制限事項

型の指定や配列型の使用に関しては、以下の点に注意する必要があります。

typeof(object)など、型を直接引数として指定することはできません。

たとえば、パラメーターに対して DefaultParameterValue(typeof(object)) と記述すると、コンパイラは型情報をデフォルト値として認めず、エラーを出力します。

配列型(例として int[] や string[])も、デフォルト値としての指定は許容されません。

配列の初期化リテラルを指定しても、コンパイラは許容する型ではないと判断し、エラーとなります。

これらの制限事項は、コンパイラがデフォルト値を格納する際の内部処理と型変換の安全性を確保するために設けられています。

エラー発生の具体例

エラーCS1910がどのような状況で発生するか、具体例を交えて解説します。

ここでは特に、typeof(object)の使用例と配列型int[]の使用例に焦点を当てます。

不適切な引数指定のケース

パラメーターに対して許容されない型をデフォルト値として指定すると、エラーCS1910が発生します。

以下の各例では、どのような記述がエラーに繋がるかを示します。

typeof(object)の使用例

次の例では、パラメーター o に対して typeof(object) をデフォルト値として指定しています。

この指定は許容範囲外となるため、CS1910のエラーが発生します。

// CS1910_example_typeof_object.cs
// ライブラリとしてコンパイルする必要があります
using System;
using System.Runtime.InteropServices;
public interface IExampleInterface
{
    // デフォルト値に型情報を指定しているためエラーとなる
    void ExampleMethod([DefaultParameterValue(typeof(object))] object o);
}
class Program
{
    static void Main()
    {
        Console.WriteLine("サンプルコード: typeof(object) の使用例");
    }
}

コンパイルエラー: 型 'System.Type' の引数は DefaultParameterValue 属性には適用できません。

配列型(int[])の使用例

次の例では、パラメーター arr に対して [DefaultParameterValue(new int[] { 1, 2 })] と配列を指定しています。

配列型での指定は許容されないため、こちらも同様にエラーとなります。

// CS1910_example_int_array.cs
// ライブラリとしてコンパイルする必要があります
using System;
using System.Runtime.InteropServices;
public interface IExampleInterface
{
    // 配列型の初期化リテラルを使用しているためエラーとなる
    void ExampleMethod([DefaultParameterValue(new int[] { 1, 2 })] int[] arr);
}
class Program
{
    static void Main()
    {
        Console.WriteLine("サンプルコード: int[] の使用例");
    }
}

コンパイルエラー: 型 'System.Int32[]' の引数は DefaultParameterValue 属性には適用できません。

エラー出力の内容

実際に上記の例をコンパイルすると、エラーメッセージは次のような形で出力されます。

たとえば、型 System.Type をデフォルト値として指定した場合、出力は以下の通りです。

「型 ‘System.Type’ の引数は DefaultParameterValue 属性には適用できません。」

また、配列型についても同様のエラーが表示され、指定された型が属性の規定と一致しないことを示します。

修正方法と対策

エラーCS1910を回避するためには、パラメーターのデフォルト値として許容される型を正しく指定する必要があります。

ここでは、正しい指定方法と実際に修正するための具体例を説明します。

正しい引数型の指定方法

パラメーターにデフォルト値を設定する際には、以下のような型を使用してください。

null
整数型 (例: int, long)
浮動小数点型 (例: float, double)
bool
string
列挙型 (例: enum)
char

正しい指定方法により、コンパイラエラーを回避でき、プログラムの動作も予期した通りとなります。

たとえば、整数型の場合、デフォルト値として 0 や 1 のような値を指定することが推奨されます。

修正例による対応策

先ほどのエラー例を修正する方法として、デフォルト値に正しい型を使用する例を次に示します。

以下のサンプルコードでは、配列や型情報をデフォルト値に指定するのではなく、null または許容される値を使用しています。

修正コード例の解説

以下のコードは修正された例です。

ここでは、DefaultParameterValueAttributeを使用せず、代わりにオーバーロードやオプショナルパラメーターの標準機能を利用することでエラーを回避しています。

// FixedDefaultParameterValue.cs
// 通常のC#コンパイル設定で動作可能なサンプルコード
using System;
public interface IExampleInterface
{
    // 正しいデフォルト値として null を指定
    void CorrectExampleMethod(object o = null);
}
class ExampleImplementation : IExampleInterface
{
    public void CorrectExampleMethod(object o = null)
    {
        // パラメーター o が null の場合の処理
        if (o == null)
        {
            Console.WriteLine("オブジェクトは null です");
        }
        else
        {
            Console.WriteLine("オブジェクトの値: " + o.ToString());
        }
    }
}
class Program
{
    static void Main()
    {
        // インターフェース実装クラスのインスタンス作成
        IExampleInterface example = new ExampleImplementation();
        // 引数を省略して呼び出し
        example.CorrectExampleMethod();
        // 引数に正しい値を渡して呼び出し
        example.CorrectExampleMethod(42);
    }
}

オブジェクトは null です
オブジェクトの値: 42

上記のコード例では、DefaultParameterValueAttributeを用いずに、オプショナルパラメーターの標準機能である object o = null を使用しています。

これにより、C#コンパイラは正しくデフォルト値を認識し、エラーCS1910を回避できます。

また、数値を渡す場合にも問題なく動作することが確認できます。

まとめ

この記事では、エラーCS1910の原因と、DefaultParameterValueAttributeに指定可能な型(null、整数、浮動小数点、bool、string、enum、char)について説明しました。

型情報や配列型を指定した場合に発生するエラーの具体例を示し、正しいデフォルト値設定方法と修正例を通じて、コンパイラエラーを回避する手法を解説しました。

これにより、C#でのオプショナルパラメーター使用時の注意点が明確になります。