CS801~2000

C# コンパイラエラー CS1750の原因と対策について解説

CS1750は、C#のコンパイル時に発生するエラーです。

既定のパラメーターに適用される標準変換が存在しない場合に発生し、例えば構造体に整数定数を直接指定するとエラーとなります。

このエラーを解決するには、適切な型変換の定義やパラメーターの取り扱い方法に注意が必要です。

エラーの発生条件

デフォルトパラメーターの仕様

C#では、メソッドのパラメーターに既定値(デフォルト値)を設定する場合、その値はコンパイル時定数でなければなりません。

たとえば、int型やstring型の場合、直接定数リテラルを指定することができます。

しかし、構造体などの場合、その型の既定値としてリテラル値を割り当てることはできないため、注意が必要です。

定数をパラメーターに設定するルール

既定パラメーターに設定できる値は、以下のルールに従います。

  • リテラル値、もしくはコンパイル時定数であること
  • パラメーターの型に対して、暗黙の型変換が可能な値であること

たとえば、int型の既定値として42を設定するのは問題ありませんが、構造体型の場合、直接42を設定しようとすると、自動的な型変換がサポートされないためエラーが発生します。

型変換が存在しないケース

C#では、リテラル値や変数の型間で明示的または暗黙的な変換がサポートされていない場合、そのまま使用するとコンパイラエラーが発生します。

特に、int型の値を使って構造体の既定値を設定しようとした場合、暗黙の変換が定義されていなければ、変換エラーとなる可能性が高いです。

int型と構造体間の変換不可の問題

例として、構造体Sintリテラル42を既定値として設定する場合を考えます。

C#の標準変換では、intからユーザー定義の構造体Sへの変換は存在しません。

そのため、以下のようなコードではコンパイラエラー CS1750が発生します。

public struct S
{
    public override string ToString() { return "S::ToString"; }
}
public class A
{
    // int型のリテラル42を構造体Sの既定値として設定しようとするとエラーになる
    public static S Goo(S p = 42) { return p; }
}

原因の詳細解説

ユーザー定義変換と標準変換の違い

C#において、標準変換とはコンパイラが自動的に認識する暗黙または明示的な変換を指します。

一方、ユーザー定義変換はプログラマが独自に実装できる変換機能です。

しかし、既定値の設定やコンパイル時の型チェックにおいては、ユーザー定義変換は考慮されません。

ユーザー定義変換が標準変換に追加されない理由

ユーザー定義変換は、あくまでプログラム実行時に適用される変換ロジックであり、

コンパイル時における「標準変換」の一部として認識されるものではありません。

そのため、既定値の評価時にユーザー定義変換が適用されず、結果としてコンパイラエラー CS1750が発生します。

サンプルコードに見るエラーの要因

C#のコンパイラは、既定値として渡される定数値がパラメーターの型に対して安全に変換できるかどうかを厳密に評価します。

構造体に対してintリテラルの42を既定値として使用する場合、標準変換が存在しないためエラーとなります。

この点が、C#でコンパイラエラー CS1750が生じる主要な原因です。

intリテラルと構造体の不整合点

以下のコードは、intリテラルと構造体Sとの間に互換性がないため、エラーが発生する例です。

public struct S
{
    public override string ToString() { return "S::ToString"; }
}
public class A
{
    // int型リテラル42を既定値として使用しようとするが、変換が存在しないためエラーとなる
    public static S Goo(S p = 42) { return p; }
}

この例のように、構造体Sにはint型リテラルを直接代入できる変換が存在しないため、CS1750が発生します。

エラー対策と解決方法

型変換の明示的な実装方法

ユーザー定義変換を利用しても、既定値の設定時には適用されないため、別の対策が必要です。

その中でも有効な方法のひとつは、明示的変換演算子を利用し、明示的に変換する方法です。

こうすることで、実行時に正しい変換が行われることを保証できます。

明示的変換演算子の追加方法

以下のサンプルコードは、構造体Sに対してintからの明示的変換演算子を追加し、変換を明示的に行う方法を示しています。

using System;
public struct S
{
    public string Message;
    public S(string message)
    {
        this.Message = message;
    }
    public override string ToString()
    {
        return Message;
    }
    // 明示的変換演算子の追加
    public static explicit operator S(int n)
    {
        // ここでint型の値からS型のインスタンスへの変換を定義
        return new S("変換した値: " + n);
    }
}
public class Program
{
    public static void Main()
    {
        // int値を明示的に変換する必要がある
        S s = (S)42;
        Console.WriteLine(s);
    }
}
変換した値: 42

この方法では、既定値として使用するのではなく、必要な箇所で明示的に変換演算子を呼び出す実装となっています。

パラメーター型の見直し

既定値の設定においては、パラメーターの型自体を見直すことも一つの解決方法です。

すなわち、既定値として利用可能な型に変更するか、既定のインスタンスを別途用意して引数として渡す方法が考えられます。

既定値設定の代替案

以下のサンプルコードは、既定値として直接リテラル値を使用するのではなく、

あらかじめ生成したS型のインスタンスを引数として渡す実装例です。

using System;
public struct S
{
    public string Message;
    public S(string message)
    {
        this.Message = message;
    }
    public override string ToString()
    {
        return Message;
    }
}
public class Program
{
    // 既定値を指定する代わりに、S型のインスタンスを受け取るメソッド
    public static S Goo(S p)
    {
        return p;
    }
    public static void Main()
    {
        // 既定値としてS型のインスタンスを生成して渡す
        S defaultS = new S("既定の値です");
        S s = Goo(defaultS);
        Console.WriteLine(s);
    }
}
既定の値です

この方法では、引数の型が既にS型であり、コンパイル時に型の不整合が発生しないため、CS1750のエラーを回避できます。

まとめ

本記事では、C#のエラーCS1750が発生する状況を、既定パラメーターの仕様や型変換の制限という観点から解説しています。

さらに、ユーザー定義変換が既定値設定時に利用されない理由と、明示的変換演算子の活用やパラメーター型の見直しによる解決策について説明しました。

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