CS801～2000

C# コンパイラエラー CS1620 について解説

2025-03-29更新日: 2025-03-29

C#のコンパイラエラー CS1620 は、refまたはoutパラメーターを要求するメソッドの呼び出し時に、正しいキーワードが指定されなかった場合に発生します。

例えば、refパラメーターが必要なメソッドに対してoutキーワードを使用するとエラーが表示されます。

エラーメッセージには、必要なキーワードと誤った引数が示されるので、修正時の参考にしてください。

目次から探す

エラー内容の詳細
- エラーメッセージの構成
- 発生するエラー状況の説明
エラー発生の背景
- ref パラメーターと out パラメーターの違い
- キーワード誤用によるエラー発生理由
修正方法と対応策
実践的な注意点
- 修正後のコンパイル確認方法
- 再発防止のためのチェックポイント
まとめ

エラー内容の詳細

エラーメッセージの構成

エラー CS1620 のエラーメッセージは、通常「引数 ‘parameterName’ は ‘keyword’ キーワードと共に渡されなければなりません」と表示されます。

このメッセージでは、エラーとなった引数名と、渡すべきキーワードref または outが明示されています。

たとえば、関数が ref パラメーターを要求している場合に out キーワードを使用して引数を渡すと、このエラーが発生する仕組みです。

発生するエラー状況の説明

エラー CS1620 は、メソッド定義で ref または out キーワードが指定されているパラメーターに対して、呼び出し時に対応するキーワードが使われていない、または誤ったキーワードが使われた場合に発生します。

このエラーは、メソッド呼び出し時の引数渡しに関する基本的なルールが守られていないことを示しているため、コンパイル時に明確な指摘がされる設計になっています。

エラー発生の背景

ref パラメーターと out パラメーターの違い

ref パラメーターと out パラメーターは、どちらも引数を参照渡しするための仕組みですが、用途と動作に違いがあります。

ref は、引数がすでに初期化されていることが要求され、呼び出し先で値を参照・変更する用途で使われます。
out は、主にメソッドから複数の値を返すために使用され、呼び出し前に初期化されている必要がありません。ただし、メソッド内で必ず値が設定されなければなりません。

正しいキーワードの必要性

正しいキーワードを使用することは、コンパイラに対して引数の扱いを明確に伝えるために必要です。

メソッド定義に従ったキーワードを使うことで、予期せぬ動作やエラーを防ぐことができます。

たとえば、ref パラメーターの場合は必ず呼び出し時に ref を指定し、メソッド内での値の変更を正しく反映させる必要があります。

キーワード誤用によるエラー発生理由

誤ったキーワードの使用は、メソッドの意図しない動作につながるため、コンパイラはこれをエラーとして検知します。

たとえば、ref パラメーターを要求するメソッドに対して out キーワードを使用すると、コンパイラは「引数 ‘name’ は ‘ref’ キーワードと共に渡されなければなりません」とエラーを表示します。

この仕組みにより、プログラマは正しいパラメーター渡し方法を確認し、修正する機会が与えられるのです。

実際のコード例による検証

以下は、誤ったキーワードを使用してエラーが発生する例です。

// CS1620ErrorExample.cs
using System;
class SampleClass
{
    // メソッドはrefパラメーターを要求する
    static void ProcessData(ref int number)
    {
        // コメント：受け取った引数を2倍にします
        number *= 2;
    }
    public static void Main()
    {
        int value = 10;
        // エラーが発生する行: outキーワードを使用しているためCS1620が発生
        // ProcessData(out value);
        // 正しい呼び出しが以下となります：
        ProcessData(ref value);
        Console.WriteLine("結果: " + value);
    }
}

結果: 20

修正方法と対応策

正しい引数渡し方法の確認

メソッド呼び出し時に要求されるキーワードref または outを正しく指定することが重要です。

メソッド定義を確認して、要求されるキーワードに合った形で引数を渡す必要があります。

間違いがないか再度コードをチェックすることで、エラーの発生を未然に防ぐことができます。

ref と out の使い分け

ref を使用する場合は、呼び出し前に引数を必ず初期化する必要があります。

一方、out を使用する場合は、戻る前に必ず初期化されることが保証されなければなりません。

これらの違いを理解し、使用するシーンに応じたキーワードを選択することが大切です。

コード例を用いた修正プロセス

修正前のコードと修正後のコードを比較することで、正しい引数の渡し方を確認できます。

以下のサンプルでは、エラー発生前のコードと修正後のコードを示しています。

修正前後の比較検証

修正前のコード例

using System;
class DemoClass
{
    // メソッドはrefパラメーターを要求する
    static void Calculate(ref int number)
    {
        // コメント：与えられた数値に5を加算します
        number += 5;
    }
    public static void Main()
    {
        int result = 5;
        // 誤ったキーワード(out)を使用したためエラー CS1620 が発生します
        // Calculate(out result);
    }
}

修正後のコード例

using System;
class DemoClass
{
    // メソッドはrefパラメーターを要求する
    static void Calculate(ref int number)
    {
        // コメント：与えられた数値に5を加算します
        number += 5;
    }
    public static void Main()
    {
        int result = 5;
        // 正しいキーワード(ref)を使用しているためエラーは発生しません
        Calculate(ref result);
        Console.WriteLine("計算結果: " + result);
    }
}

計算結果: 10

実践的な注意点

修正後のコンパイル確認方法

修正後は、Visual Studio やコマンドラインでコンパイルを実行して、エラーが解消されたか確認してください。

また、IDE のビルド出力やエラーメッセージに注目し、コンパイルが正常に完了していることを確認することが推奨されます。

実際にコンパイルと実行を行い、意図した出力結果が得られているか確認することで、修正が正しく反映されていることが分かります。

再発防止のためのチェックポイント

メソッド定義に記載されたキーワードref または outに対して、呼び出し時に必ず同じキーワードを指定しているか確認する
IDE の警告やエラーメッセージを注意深く読み、指摘された箇所を見逃さない
チーム内でコーディング規約を設け、引数の参照渡しに関するルールを統一する
定期的にコードレビューを行い、誤ったキーワードの使用がないかチェックする

以上の点に注意することで、エラー CS1620 の原因となるキーワードの誤用を防ぐことができます。

まとめ

本記事では、コンパイラエラー CS1620 の原因として、ref と out パラメーターの違いを理解し、適切なキーワードを用いない場合に発生するエラーの内容を詳しく解説しました。

サンプルコードを通じて誤用の検証と正しい引数渡しの方法、修正後の確認手順や再発防止のチェックポイントを提示し、実践的な修正方法を学ぶことができます。