C#コンパイラエラーCS0837の原因と対策について解説

C# の CS0837 エラーは、ラムダ式や匿名メソッド、メソッドグループを is や as 演算子の左側に使用したときに発生します。

これらは参照変換やボックス化変換が行えず、意図した型変換が適用されないためエラーとなります。

適切なキャスト方法に変更することで解決してください。

エラーCS0837の原因の詳細

isおよびas演算子の基本動作

C#では、is演算子は渡された値が指定の型へ変換できるかを判定するために使用されます。

この変換には主に参照変換やボックス化変換、またはその逆の変換が関与します。

一方、as演算子は安全なキャストを行うために使われ、変換が成功すれば指定の型の値が返され、失敗した場合はnullが返されます。

参照変換とボックス化変換の違い

参照変換では、継承関係にある型間での変換が行われます。

たとえば、派生クラスのオブジェクトを基底クラスとして扱う場合などが該当します。

一方、ボックス化変換は値型(例：intやstruct)をobject型またはインターフェース型へ変換する場合に発生します。

具体的には、数式で表すと変換が成立する条件は

$$\text{value}\stackrel{\text{参照変換}}{\to }\text{BaseClass}$$

または

$$\text{value type}\stackrel{\text{ボックス化}}{\to }\text{object}$$

といった形になります。

これらの変換に対して、ラムダ式や匿名メソッドは該当しません。

ラムダ式、匿名メソッド、メソッドグループの特徴

ラムダ式、匿名メソッド、そしてメソッドグループは、通常の値やオブジェクトとは異なり、そのままでは直接的な型変換(参照変換、ボックス化変換など)の対象になりません。

これらは、実行時にメソッドとして解釈される特殊な表現であり、コンパイラがそのまま変換を試みるとエラーが発生する原因となります。

各要素の変換挙動と制限

ラムダ式や匿名メソッドは、通常は明示的な変換やキャストを行うことで特定のデリゲート型に変換することが可能です。

しかし、is演算子やas演算子の最初のオペランドとして使用する場合、これらの変換挙動は適用されず、コンパイラはError CS0837を出力します。

たとえば、次のようなコードは変換が認められません。

bool result = (() => { /* 処理 */ }) is Del;

この理由は、ラムダ式が参照変換やボックス化変換の条件を満たさないためであり、演算子の左側では評価できる「値」として認識されないためです。

エラー発生時のコード例と分析

誤ったコード例の紹介

以下は、is演算子およびas演算子を用いてラムダ式や匿名メソッドの変換を試みた誤ったコード例です。

これにより、コンパイラはCS0837エラーを出力します。

CS0837が発生する具体例

using System;
namespace TestNamespace
{
    public delegate void Del();
    class Test
    {
        static int Main()
        {
            // ラムダ式でCS0837エラーが発生する例
            bool b1 = (() => { /* 処理 */ }) is Del;
            // 匿名メソッドでCS0837エラーが発生する例
            bool b2 = delegate() { /* 処理 */ } is Del;
            // ラムダ式をas演算子で変換しようとしてエラー発生
            Del d1 = (() => { /* 処理 */ }) as Del;
            // 匿名メソッドをas演算子で変換しようとしてエラー発生
            Del d2 = delegate() { /* 処理 */ } as Del;
            return 0;
        }
    }
}

output
コンパイラ エラー CS0837: 演算子 'is' または 'as' の最初のオペランドにラムダ式、匿名メソッド、またはメソッドグループを使用することはできません。

エラーメッセージの解釈

コンパイラが出力するエラーメッセージは、「演算子 ‘is’ または ‘as’ の最初のオペランドを、ラムダ式、匿名メソッド、またはメソッドグループにすることはできません」といった内容です。

これは、これらの要素は値としての評価を行う際の参照変換やボックス化変換の対象にならないためです。

発生条件の確認と検証

エラーが発生する条件としては、isまたはas演算子の左側に、直接値として評価されないラムダ式、匿名メソッド、またはメソッドグループが配置される場合です。

型のキャストが可能な通常の値とは異なり、これらの構文はコンパイラによって特殊扱いされ、該当する変換がサポートされないことを確認できます。

対策の選択肢と修正方法

正しいキャスト方法の適用例

エラーを解消するためには、isやas演算子ではなく、明示的なキャストを行う方法が考えられます。

各ラムダ式や匿名メソッドが対象のデリゲート型に変換可能な場合、キャスト演算子(T)を利用する方法を選択してください。

これにより、コンパイラは正しく変換処理を行うことができます。

修正後のコード例

以下は、明示的なキャストを利用してエラーを回避するサンプルコードです。

using System;
namespace TestNamespace
{
    public delegate void Del();
    class Test
    {
        static int Main()
        {
            // 明示的なキャストにより、ラムダ式を正しいデリゲート型に変換
            Del d1 = (Del)(() => { /* サンプル処理 */ });
            // 明示的なキャストにより、匿名メソッドを正しいデリゲート型に変換
            Del d2 = (Del)(delegate() { /* サンプル処理 */ });
            return 0;
        }
    }
}

output
(コンパイル成功)

is演算子使用時の注意点

is演算子は、通常の型の変換に対して有効に動作するため、変換可能な値を評価する用途で使用してください。

ラムダ式や匿名メソッドの場合には、値としての変換がサポートされないため、代替手段として明示的なキャストが必要となります。

as演算子使用時の変更点

as演算子は、変換が失敗した場合にnullを返す安全なキャスト方法ですが、ラムダ式や匿名メソッドは対象の変換条件を満たさないため、使用するとエラーとなります。

これらの構文では、キャスト演算子(T)を用いることで、明示的に変換を試みる方法に変更してください。

まとめ

この記事では、C#のコンパイラエラーCS0837の原因と、エラー回避のための適切なキャスト方法について解説しています。

isおよびas演算子と参照変換やボックス化変換の違い、そしてラムダ式、匿名メソッド、メソッドグループの特徴を理解することで、エラーの発生条件を把握できます。

また、誤ったコード例と正しい修正後のコード例を比較することで、今後同様のエラーに直面した際の的確な対応方法が身につきます。