C# コンパイラエラー CS0735の原因と対策について解説
CS0735エラーは、C#でTypeForwardedTo
属性に無効な型を引数として指定した際に発生するコンパイルエラーです。
たとえば配列型など、属性で許容されない型が指定されるとこのエラーが表示されます。
正しい型を指定することでエラーを解消できます。
TypeForwardedTo属性の基本
役割と利用目的
TypeForwardedTo属性は、アセンブリ間で型の移動があった場合に、型の新しい定義先を示すために利用されます。
従来のアセンブリとの互換性を維持するため、型の定義を別のアセンブリに移動した際に、型参照が正しく解決されるようにする仕組みです。
これにより、アセンブリのバージョンアップ時に発生する参照エラーを回避することができます。
属性の適用例とサンプルコード
TypeForwardedTo属性は、アセンブリの最上部で指定されるため、通常はソースコードの先頭で定義されます。
以下のサンプルでは、誤った型指定例と正しい型指定例を示しています。
using System;
using System.Runtime.CompilerServices;
// 以下のアセンブリ属性は誤った型指定の例であり、コンパイル時に CS0735 エラーが発生します。
// [assembly: TypeForwardedTo(typeof(int[]))] // CS0735 発生対象
// 正しい型指定例として、string型を指定
[assembly: TypeForwardedTo(typeof(string))]
namespace TypeForwardedToSample
{
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
// プログラム実行部分。アセンブリ属性の指定により、型の解決は正しく行われます。
Console.WriteLine("Hello, World! 正しい型指定によりプログラムが実行されました。");
}
}
}
Hello, World! 正しい型指定によりプログラムが実行されました。
サンプルコードのポイント
- アセンブリ属性はファイルの先頭に記述し、クラスや名前空間の外側に配置する必要があります。
- 無効な型(ここでは配列型)を指定すると、コンパイル時に CS0735 エラーが発生するため、正しい型を指定してください。
- Main関数を含めることで、実行可能なサンプルコードとなっており、出力結果を確認することができます。
指定可能な型と制限事項
TypeForwardedTo属性には、基本的に以下のような制限事項があります。
- 配列型、ポインタ型、または不完全な型は指定できません。
- 静的メンバーを持つ型や、特定のランタイム要件を満たさない型の場合、正しく動作しない可能性があります。
- 転送先の型は、元の型定義と同等の仕様(名前空間、型名、アクセス修飾子など)を持っている必要があります。
これらの制限により、アセンブリ間の型移動が円滑に行われ、互換性が確保されます。
CS0735エラーの発生メカニズム
エラーの定義と発生条件
CS0735エラーは、TypeForwardedTo属性の引数として無効な型を指定した場合に発生します。
具体的には、配列型やその他の不正な型を指定すると、コンパイラが型の転送先として認識できず、エラーとして報告されます。
エラーが発生する条件は、指定された型が転送可能な型の要件を満たしていない場合です。
無効な型指定の原因
無効な型指定は、主に次のような要因で発生します。
- 転送先として不適切な型(例:配列型やポインタ型など)を指定している場合。
- 型の完全な情報を提供できず、型解決ができない場合。
配列型指定の問題
配列型(例:int[]
)は、TypeForwardedTo属性の対象として許可されていません。
配列は内部的に特殊な型として扱われるため、アセンブリ間の型転送で正しく解釈されず、CS0735エラーが発生します。
その他の無効なケース
- ポインタ型や、一般的に使用されない型は転送先として指定できません。
- ジェネリック型など、一部の特殊な型は別途規定に基づいた対応が必要となる場合があります。
エラー発生の事例
配列型指定によるエラー例
配列型をそのままTypeForwardedTo属性に指定すると、CS0735エラーが発生します。
以下のサンプルコードは、配列型指定の誤った例を示しています。
using System;
using System.Runtime.CompilerServices;
// 以下のアセンブリ属性は、配列型である int[] を指定しているためエラー発生
[assembly: TypeForwardedTo(typeof(int[]))]
namespace InvalidTypeForwardSample
{
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
// このコードはコンパイルすらされないため、実行はできません。
Console.WriteLine("配列型の転送はサポートされません。");
}
}
}
エラーメッセージと発生タイミング
上記のコードをコンパイルすると、以下のようなエラーメッセージが表示されます。
「無効な型が TypeForwardedTo 属性の引数として指定されました。」
エラーはコンパイル時に出力され、アセンブリが生成される前に修正が必要であることが示されます。
正しい型指定の例
正しく型を指定する場合、配列ではなく、単一の型(例:string
)を指定する必要があります。
以下のサンプルコードは、正しい型指定例です。
using System;
using System.Runtime.CompilerServices;
// 正しい型指定例として、string型を転送先に指定
[assembly: TypeForwardedTo(typeof(string))]
namespace ValidTypeForwardSample
{
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
// 正常にコンパイル・実行が可能なコード例
Console.WriteLine("型転送が正しく行われています。");
}
}
}
コード修正のポイント
- 配列型やその他無効な型指定を避け、転送可能な型を指定する。
- 転送先の型は、元の型定義と一致することを確認する。
- コンパイルエラーが発生した場合は、エラーメッセージをもとに対象の型を見直す。
エラー解決の対策
修正手順の概要と注意点
エラーを解決するためには、以下の手順を踏みます。
- 対象のアセンブリ属性が指定している型を確認し、転送可能な型であるかを判断する。
- 無効な型(例:配列型)が指定されている場合、正しい型(例:シンプルなクラスや構造体)に修正する。
- 修正後は、コンパイルエラーが解消されたことを確認するために再ビルドする。
特に、誤って指定された配列型やポインタ型は必ず修正し、正しい型名を記述することが重要です。
コード修正の具体例
以下は、無効な配列型定義を正しい型指定に修正したサンプルコードです。
using System;
using System.Runtime.CompilerServices;
// 誤った型指定(配列型)を正しい型指定に変更
// 修正前: [assembly: TypeForwardedTo(typeof(int[]))]
[assembly: TypeForwardedTo(typeof(int))] // int型を転送先として指定(例)
namespace CorrectedTypeForwardSample
{
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
// 修正後のコードは、コンパイルエラーが解消されています。
Console.WriteLine("修正後の型転送により、エラーが発生していません。");
}
}
}
修正後の型転送により、エラーが発生していません。
エラー解消後の検証方法
エラー解消の確認は、以下の方法で行います。
- コンパイルして、CS0735エラーが発生していないことを確認する。
- 修正を反映したサンプルコードを実行し、期待する出力が得られることを確認する。
- アセンブリのメタデータを確認し、TypeForwardedTo属性による型転送が正しく適用されているかチェックする。
これにより、型転送に関するエラーが解決され、アセンブリ間の互換性が維持されることが確認できます。
まとめ
本記事では、TypeForwardedTo属性の役割と利用方法、ならびにCS0735エラーが発生する理由を詳説しています。
無効な型、特に配列型を指定した際の問題点を具体例と共に示し、正しい型指定への修正方法を解説。
コードサンプルを通じて、エラー解決の手順と検証方法が明確に理解できる内容となっています。