CS401～800

C# コンパイラエラー CS0721の原因と対処法について解説

2025-03-29更新日: 2025-03-29

CS0721は、C#で静的な型をメソッドのパラメータに使用しようとすると発生するコンパイルエラーです。

静的な型はインスタンス化できないため、呼び出し元で引数として扱えません。

エラーメッセージを確認して、非静的な型に変更するなど対応することで解決できます。

目次から探す

エラー概要
- CS0721エラーの定義
- エラーメッセージの内容
原因の詳細
- 静的型の性質と制限
- 発生する状況
コード例による解説
- エラー発生例の検証
対処法の解説
- 非静的型への変更方法
- その他の回避策
まとめ

エラー概要

CS0721エラーの定義

エラー CS0721 は、静的型をパラメーターとして使用しようとした際に発生するコンパイルエラーです。

このエラーは、静的クラスにはインスタンスを生成する手段がないため、パラメーターとして渡す意味がないことを示しています。

つまり、静的クラスは常に同じ状態と振る舞いを保持するため、変化するインスタンス情報を受け取る用途には適していません。

エラーメッセージの内容

エラーメッセージには「type: スタティック型をパラメーターとして使用することはできません」と表示されます。

このメッセージは、static キーワードが付いたクラスをメソッドの引数に指定しているコード部分に対して出力されます。

インラインコード例: public void F(SC sc) のように記述している箇所が問題となります。

原因の詳細

静的型の性質と制限

静的クラスの特徴

静的クラスは、クラス全体が静的メンバーで構成され、インスタンス化されることを前提としていません。

以下のポイントが特徴として挙げられます：

インスタンス生成ができない
すべてのメンバーが static である
主にユーティリティ機能やグローバル設定の管理に利用される

パラメーターとして不適格な理由

静的クラスはインスタンスを持たないため、その情報を参照または変更する必要があるパラメーターとして利用することはできません。

具体的には、関数呼び出し時に変化する値(インスタンスのデータ)を渡すことが期待されるため、生成不可能な静的型を渡しても意味がありません。

また、静的クラスであれば、クラス名を直接参照してその静的メンバーへアクセスすることが可能なため、パラメーターとして引き渡す必要がないと考えられています。

発生する状況

エラー CS0721 は、たとえば以下のような状況で発生します：

静的クラスを定義した後、その型をメソッドの引数として利用しようとした場合
ユーティリティクラスとして設計された静的クラスを間違ってインスタンスとして扱おうとした場合

シンプルなコード例では、静的クラス SC をパラメーター型として指定するとエラーが出力されるため、期せずしてこのエラーに遭遇する可能性が高いです。

コード例による解説

エラー発生例の検証

サンプルコードの構造

以下はエラー CS0721 を発生させるサンプルコードです。

コード内では、静的クラス SC を定義し、インスタンスをパラメーターとして受け取る Fメソッドを用いています。

Main関数も含み、実行可能な状態になっていますが、コンパイル時にエラーが発生します。

using System;
public static class SC
{
    // 静的クラスの例。インスタンス生成はできません。
}
public class CMain
{
    // 静的クラスをパラメーターとして使用しているためエラーが発生します。
    public void F(SC sc)  // CS0721エラー発生箇所
    {
        Console.WriteLine("関数Fが呼び出されました。");
    }
    public static void Main()
    {
        CMain obj = new CMain();
        // コンパイルエラーの原因となる引数の渡し方を確認できます。
        // SCクラスは静的であるため、new演算子でインスタンス生成はできません。
        obj.F(null);  // 本来は正しい型のインスタンスが必要ですが、ここではエラー確認のためnullを渡しています。
    }
}

※ このコードはコンパイルエラー CS0721 を発生させるため、実行結果は存在しません。

エラー箇所の解説

問題が発生している箇所は、メソッド F のパラメーター宣言部分です。

記述例として public void F(SC sc) としてありますが、ここで SC は静的クラスとして定義されているため、実際のインスタンスを受け取ることができません。

静的クラスはインスタンス生成が許可されていないため、メソッドの引数として意味がなく、結果としてコンパイル時にエラーが出力されます。

対処法の解説

非静的型への変更方法

コード修正の手順

エラーを解消するためには、対象となるクラスを静的クラスから通常のクラスに変更する必要があります。

以下に手順を示します：

1. クラス宣言から static キーワードを削除する
1. 必要であれば、クラス内メンバーの定義を変更してインスタンスメンバーとして扱う
1. メソッドの引数として正しいインスタンスを渡すようにコード修正する

修正例を以下に示します。

using System;
public class SC  // static キーワードを削除して通常のクラスに変更
{
    // 必要に応じてフィールドやメソッドを定義することができます。
    public string Message { get; set; } = "SC のメッセージ";
}
public class CMain
{
    // 非静的型をパラメーターとして使用する正しい例
    public void F(SC sc)
    {
        // nullチェックを行い、適切な処理を実施します。
        if (sc != null)
        {
            Console.WriteLine(sc.Message);
        }
    }
    public static void Main()
    {
        CMain obj = new CMain();
        // SC のインスタンス生成が可能になったため、適切な引数を渡せます。
        SC instance = new SC();
        obj.F(instance);
    }
}

SC のメッセージ

変更後の確認ポイント

修正後のコードでは以下の点を確認することが推奨されます：

クラス SC が通常のクラスとして正しく定義されていることを確認する
Main 関数内で適切にインスタンス生成が行われ、エラーメッセージが出ないことを確認する
F メソッドが正しくインスタンスを受け取って処理が行われることを確認する

その他の回避策

開発環境での設定見直し

開発環境の設定により、エディターのインテリセンスがエラーを事前に警告するため、発生箇所を特定しやすくなります。

ソリューションエクスプローラーやビルドログの確認も併せて行うことが効果的です。

コードレビューの実施ポイント

コードレビューの際には、静的な宣言が適切に使用されているかを重点的に確認することが役立ちます。

特に以下の点に注意してください：

静的クラスをパラメーターとして渡していないか
インスタンス生成が必要なケースで、静的クラスが誤って使用されていないか
メソッドのシグネチャが設計意図に合致しているか

以上、エラー CS0721 の概要から発生の理由、そして具体的なコード例と対処法について解説いたしました。

まとめ

本記事では、コンパイラエラー CS0721 の概要と原因、エラーメッセージの具体的意味について解説しています。

静的クラスの特性とそれをパラメーターに使用できない理由、実際のコード例を通じたエラー箇所の確認方法を確認しました。

また、静的型を通常の型に変更する手順や開発環境やコードレビューでの注意点も紹介しており、エラー解決の具体的な対処方法がわかる内容となっています。