CS0~400

C# コンパイラ エラー CS0211 の原因と対策を解説

C# のアンセーフコードで発生するコンパイル エラー CS0211は、式から直接アドレスを取得しようとすると出ます。

例えば、複数のローカル変数を使った計算結果など、変数自体ではない値のアドレス取得は許可されません。

そのため、アドレスを取得する際は対象の変数自体を指定する必要があります。

エラー CS0211 の基本情報

エラーメッセージの内容

エラー CS0211 は「式のアドレスを取得できません」という内容です。

つまり、ポインタを使用する際に、単一の変数ではなく演算結果などの計算式から直接アドレスを取得しようとすると発生するエラーです。

C# の構文上、演算子 & は変数やフィールドなどのアドレスを取得するために使用されますが、計算式の結果は一時的な値であるため、アドレスを取得することはできません。

発生する状況

このエラーは、アンセーフコードブロック内で変数ではなく、計算式や間接参照の結果に対してアドレス演算子 & を使おうとする場合に発生します。

例えば、次のようなケースが考えられます。

// サンプルコード:エラーが発生する例
using System;
public class Sample
{
    unsafe public void ComputeAddress()
    {
        int num1 = 10, num2 = 20;
        // 以下のコードは CS0211 エラーを発生させます
        int* ptr = &(num1 + num2);
    }
    public static void Main()
    {
        Sample sample = new Sample();
        sample.ComputeAddress();
    }
}
// コンパイル時に「エラー CS0211: 式のアドレスを取得できません。」と表示されます

原因の詳細解説

アンセーフコードにおける制約

C# ではアンセーフコードを利用することでポインタ操作が可能ですが、その際に取得可能なアドレスは厳密に制限されています。

基本的に、直接参照できるフィールドやローカル変数のアドレスは取得できても、計算式や複数の変数の演算結果からはアドレスを取得できません。

単一変数と計算式の違い

単一の変数のアドレスは、メモリ上の確定した位置を示すため取得が可能です。

一方、計算式は一時的な値を生成するため、どのメモリ領域に配置されるか明確になりません。

そのため、計算式に対して & を使用するとコンパイラは適切なアドレスを割り出せず、エラーが発生します。

式評価時の制限事項

式評価の段階で、C# のコンパイラは計算結果が一時的な値であることを判定します。

このため、演算式全体に対してのアドレス取得が意味をなさず、コンパイル時にチェックが行われエラーとなります。

数式として表される a + b のような演算結果は、変数に保存される前に評価されるため、変数としてのアドレスを持たないと判断されます。

C# のポインタ機能の基本ルール

C# のポインタ操作はアンセーフコード内でのみ許可され、厳格な型安全性と制約を遵守する設計となっています。

これにより、誤ったメモリアクセスや予期せぬ動作を防止し、セキュリティと信頼性を確保しています。

型安全性とコンパイル時チェックの役割

C# は型安全性を重視しており、コンパイル時にポインタ操作の正当性をチェックします。

例えば、アドレス取得における誤った操作(計算式から直接アドレス取得するなど)があった場合、即座にエラーとして検出されます。

これにより、実行時に発生する可能性のあるメモリ破損や不具合を事前に防ぐ狙いがあります。

対策と解決方法

正しいアドレス取得の手法

エラー CS0211 を回避するためには、アドレスを取得する対象が明確な変数やフィールドであることを確認する必要があります。

もし計算結果のアドレスが必要な場合は、一旦変数に結果を代入してから、その変数のアドレスを取得する方法が適切です。

単一変数からのアドレス取得例

次のコードは、直接変数 num のアドレスを取得する正しい例です。

using System;
public class AddressExample
{
    unsafe public void GetAddress()
    {
        int num = 30;
        // 単一変数からアドレスを取得する正しい方法
        int* ptr = #
        Console.WriteLine("num のアドレス: {0}", (int)ptr);
    }
    public static void Main()
    {
        AddressExample example = new AddressExample();
        // アンセーフコードを実行するために unsafe コンテキストを指定
        unsafe
        {
            example.GetAddress();
        }
    }
}
// 出力例(環境により異なる値)
num のアドレス: 140733193

複数変数利用時の注意点

複数の変数を用いた計算式の場合、一度計算結果を変数に代入し、その変数からアドレスを取得する必要があります。

例えば、変数 ab の合計値を変数 sum に代入し、そのアドレスを取得すればエラーは解消されます。

using System;
public class SumAddressExample
{
    unsafe public void GetSumAddress()
    {
        int a = 10, b = 20;
        // 計算結果を変数に保存
        int sum = a + b;
        int* ptr = ∑
        Console.WriteLine("sum のアドレス: {0}", (int)ptr);
    }
    public static void Main()
    {
        SumAddressExample example = new SumAddressExample();
        unsafe
        {
            example.GetSumAddress();
        }
    }
}
// 出力例(環境により異なる値)
sum のアドレス: 140733220

コード修正例の検証

コード修正例では、エラーを発生させる原因となった演算式からアドレスを取得する部分を修正し、正しい変数からアドレスを取得する手法に変更しています。

以下に、具体的な修正例の検証を示します。

サンプルコードの問題点解析

初期のコードでは、計算式 (a + b) のアドレスを取得しようとしたため CS0211 エラーが発生しました。

アドレス演算子 & は直接変数、あるいはフィールドにしか使用できないため、このような記述は不適切です。

// 修正前のコード例(エラーが発生する例)
using System;
public class ErrorExample
{
    unsafe public void Calculate()
    {
        int a = 5, b = 15;
        // 以下はエラー CS0211 を発生させる
        int* ptr = &(a + b);
    }
    public static void Main()
    {
        ErrorExample example = new ErrorExample();
        unsafe
        {
            example.Calculate();
        }
    }
}

修正後コードとの比較

上記の問題点を修正するため、計算結果を一度変数 result に代入し、そのアドレスを取得する方法に改めた例を示します。

using System;
public class FixedExample
{
    unsafe public void Calculate()
    {
        int a = 5, b = 15;
        // 計算結果をまず変数に保存する
        int result = a + b;
        // 結果変数のアドレスを取得
        int* ptr = &result;
        Console.WriteLine("result のアドレス: {0}  その値: {1}", (int)ptr, result);
    }
    public static void Main()
    {
        FixedExample example = new FixedExample();
        unsafe
        {
            example.Calculate();
        }
    }
}
// 出力例(環境により異なる値)
result のアドレス: 140733258  その値: 20

エラー発生例の検証

不適切な記述の具体例

エラーが発生する不適切な記述例として、計算式自体に対してアドレス演算子を適用している例が挙げられます。

以下のサンプルコードは、コンパイル時に CS0211 エラーが発生する具体例です。

using System;
public class InvalidExample
{
    unsafe public void InvalidAddressUsage()
    {
        int x = 3, y = 7;
        // 不適切な記述:計算式 (x + y) からアドレスを取得しようとしている
        int* ptr = &(x + y);
    }
    public static void Main()
    {
        InvalidExample example = new InvalidExample();
        unsafe
        {
            example.InvalidAddressUsage();
        }
    }
}

コード内の誤記述の指摘

上記コードでは、&(x + y) の部分が誤りです。

演算結果は一時的な値であるため、直接アドレスを取得することができません。

このため、コンパイラは「式のアドレスを取得できません」というエラーを出力します。

正しくは、まず演算結果を変数に代入し、その変数のアドレスを取得すべきです。

コンパイルエラー発生の流れ

エラー発生時の流れは以下の通りです。

  1. コード中の &(x + y) がコンパイルされる段階で、コンパイラはこの式が一時的な計算結果であると判断します。
  2. アドレス演算子は変数やフィールドにのみ使用可能なため、計算式に対しては適用できないと判断されます。
  3. その結果、「式のアドレスを取得できません」という内容の CS0211 エラーが生成され、コンパイルが中断されます。

まとめ

この記事では、C# のコンパイラエラー CS0211 の原因と対策について解説しています。

主に、計算式の結果から直接アドレスを取得できない理由、アンセーフコード内での制約、型安全性やコンパイル時チェックの仕組みを説明しました。

また、エラーを回避するための正しいアドレス取得手法や、具体例を通して修正方法・検証プロセスを示しました。

これにより、誤ったポインタ操作によるエラーを防止する方法が理解できる内容となっています。

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