C#コンパイラエラーCS0107について解説
C#のコンパイラエラーCS0107は、クラスメンバーに複数の保護修飾子が記述されると発生します。
通常、public、private、protected、internalの中から1つを選んで使用する必要がありますが、protected internalやprivate protectedは例外として認められています。
コード内の修飾子の使い方に注意してください。
エラーの発生背景
アクセス修飾子の基本
アクセス修飾子の種類と役割
C#ではクラスやメンバーのアクセス範囲を指定するために、主に次のアクセス修飾子が用意されています。
public
: どこからでもアクセス可能となります。private
: 定義されたクラス内からのみアクセス可能です。protected
: 定義されたクラスおよびその派生クラスからアクセスが可能です。internal
: 同一アセンブリ内でのみアクセス可能です。
各修飾子は、コードの安全性と設計意図に応じて適切に利用されます。
たとえば、外部に公開する必要があるメソッドにはpublic
を、クラス内部でのみ利用するユーティリティなメソッドにはprivate
を指定します。
protected internal と private protected の特殊性
protected internal
と private protected
は、通常のアクセス修飾子と異なり、複数のアクセス制御の要素が組み合わされています。
protected internal
は、クラス外部であっても同一アセンブリ内にあればアクセスでき、また、派生クラスからもアクセスできます。private protected
は、同一アセンブリ内かつ派生クラスからのみアクセスできるため、アクセス制限がより厳格です。
これらの組み合わせ修飾子は、設計方針によって柔軟性を持たせつつも、不必要なアクセスが行われないようにするために利用されます。
複数修飾子記述による問題点
複数指定が発生する状況
通常、C#ではクラスメンバーに対して単一の基本修飾子public
、private
、protected
、internal
を指定しますが、
protected internal
や private protected
のように、例外的に2つの要素が併用できる場合が存在します。
しかし、基本修飾子が1つ以上重複して記述されると、コンパイラはどの修飾子を適用すべきか判断できず、エラーとなります。
CS0107エラーの原因
CS0107エラーは、メンバーに対して基本アクセス修飾子private
、public
、protected
、internal
を複数指定した場合に発生します。
例として、private
と internal
を同時に記述するケースがあり、この場合は「複数の保護修飾子があります」とのエラーメッセージが表示されます。
正しくは、protected internal
のように特定の組み合わせのみ許されるケースに限定して利用する必要があります。
エラー内容の詳細解析
エラーメッセージの内容
エラーCS0107が発生した場合、コンパイラは「複数の保護修飾子があります」というメッセージを通知します。
このメッセージは、1つのクラスメンバーに対して2種類以上の基本アクセス修飾子が指定された場合に出力されます。
エラーメッセージを正しく読み解くためには、指定された修飾子の組み合わせが正しいかどうかを確認することが重要です。
メッセージの読み方と解釈
メッセージ中の「複数の保護修飾子があります」という記述は、標準的なアクセス修飾子の組み合わせルールに違反していることを示しています。
たとえば、private internal
と記述した場合、正しい組み合わせであればprotected internal
やprivate protected
を明示的に使用する必要があるため、この表現は誤りと解釈されます。
発生ケースの検証
問題が生じるコード例
以下のサンプルコードは、CS0107エラーが発生する典型的な例です。
この例では、private
とinternal
を同時に指定しており、エラーの原因となります。
// CS0107エラーが発生するサンプルコード
using System;
public class SampleClass
{
// 以下のメソッドは、privateとinternalの両方が指定されているためエラーになります。
// コンパイルエラー: CS0107 - "複数の保護修飾子があります。"
// private internal void FaultyMethod()
// {
// Console.WriteLine("このメソッドはエラーを引き起こします");
// }
// Main関数はエラー確認用に空の動作を記述します。
public static void Main()
{
Console.WriteLine("CS0107エラーが発生する例のコードです");
}
}
CS0107エラーが発生する例のコードです
エラー発生条件の確認
上記のコードでは、基本修飾子としてprivate
とinternal
を同時に指定しているため、明確にCS0107エラーが発生します。
C#の仕様では、アクセス修飾子は1つのみ指定するか、例外的に認められる組み合わせprotected internal
とprivate protected
とする必要があるため、他の組み合わせはエラーとなります。
エラー修正の具体例
正しい修飾子の使用方法
修正前のコード解析
修正前の典型的なコード例では、複数の基本修飾子が誤って指定されるためコンパイルエラーが発生します。
たとえば、以下のコードはprivate internal
と記述されており、エラーが出力されます。
// 修正前: エラーが発生するコード例
using System;
public class SampleClass
{
// 修飾子が重複しているためCS0107エラーが発生します
// private internal void FaultyMethod()
// {
// Console.WriteLine("エラーを引き起こすメソッド");
// }
public static void Main()
{
Console.WriteLine("修正前のコード例 (実際はエラーのためコンパイルできません)");
}
}
修正前のコード例 (実際はエラーのためコンパイルできません)
修正後のコード例
正しい記述としては、許容される組み合わせに修正する必要があります。
たとえば、もしメソッドを同一アセンブリかつ派生クラスからのみアクセス可能としたい場合、private protected
を用いるのが適切です。
また、外部からのアクセスが不要であれば単一の修飾子で済ませることができます。
以下は、private protected
を用いた修正例です。
コード内にはわかりやすいコメントを含めています。
// 修正後: 正しいアクセス修飾子を使用したコード例
using System;
public class SampleClass
{
// メソッドは同一アセンブリ内かつ派生クラスからのみアクセス可能となります
private protected void CorrectMethod()
{
Console.WriteLine("正しく修正されたメソッドです");
}
public static void Main()
{
// SampleClassのインスタンスを生成し、CorrectMethodを呼び出します
SampleClass instance = new SampleClass();
instance.CorrectMethod();
}
}
正しく修正されたメソッドです
修正時の注意点
コーディング上のポイント
修正を行う際は、修飾子が複数記述されていないか、また現在のデザイン意図に沿ったアクセス制限が適用されているかを確認する必要があります。
以下の点に注意してください。
- 使用するアクセス修飾子は1つのみとする。
- 例外的に許容される
protected internal
あるいはprivate protected
の使用に限定する。 - メソッドやプロパティごとのアクセスレベルを明確に整理する。
将来的なトラブル回避のために
将来の拡張やメンテナンスを考慮して、アクセス修飾子の指定は初期段階から一貫性を持たせることが重要です。
たとえば、クラスの設計段階で各メンバーの利用範囲を明確にし、過剰なアクセス権を与えない設計を行うことで、後のトラブルを予防することができます。
また、リファクタリングの際には、アクセス修飾子の適切な変更がコード全体の挙動にどのような影響を与えるかを十分に確認すると良いでしょう。
まとめ
本記事では、C#のCS0107エラーについて、アクセス修飾子の基本的な種類と役割、特に「protected internal」と「private protected」の特殊性を解説しました。
不適切な複数指定が引き起こす問題、エラーメッセージの読み方、エラー例およびその修正方法の具体例を通して、正しい修飾子の使用とエラー回避策を理解することができます。