CS0~400

C#コンパイラエラーCS0072の原因と対策について解説

CS0072は、C#のコンパイラエラーの一つです。

派生クラスで、元々イベントとして定義されていないメソッドをイベントのようにオーバーライドしようとすると発生します。

コード内でイベントとメソッドの区別を正しく行うことで、エラーの解消に役立ちます。

エラーの発生原因

C#コンパイラエラーCS0072は、イベントではないメソッドやメンバーをイベントとしてオーバーライドしようとする際に発生します。

イベントとメソッドは役割が異なるため、適切なキーワードやシグネチャを使用しないと、コンパイラがエラーとして検出します。

イベントとメソッドの基本

C#のイベントは、同じデリゲート型に基づいた処理を複数登録できる仕組みです。

イベントは基本的に加算(add)および削除(remove)処理を通じて、外部からハンドラを登録/解除することができます。

一方、メソッドは処理の実行単位であり、通常はオーバーライドにより振る舞いを変更できます。

イベントとメソッドは見た目には似ている場合もありますが、内部的な実装や用途は大きく異なります。

たとえば、イベントは「登録」と「解除」を明示的に定義できるのに対して、メソッドは呼び出し可能な単一の手続きとして定義されます。

そのため、誤ったキーワードやシグネチャで実装すると、コンパイラは正しい意図を判断できずエラーを出力します。

コンパイラエラーメッセージの詳細解析

エラーメッセージ「’event’ : オーバーライドできません。

‘method’ はイベントではありません」は、指定したメンバーが実際にはイベントでないためオーバーライドの対象にならないことを示しています。

実例として、以下のコードを考えてみます。

delegate void MyDelegate();  // デリゲート型の定義
class Test1 {
    public virtual event MyDelegate MyEvent;  // イベントとして宣言
    public virtual void VMeth() { }             // メソッドとして宣言
    public void FireAway() {
        if (MyEvent != null) {
            MyEvent();
        }
    }
}
class Test2 : Test1 {
    // 間違ったオーバーライド: VMethはメソッドであり、イベントとしてオーバーライドしようとしている
    public override event MyDelegate VMeth {  // CS0072エラー発生
        add {
            VMeth += value;
        }
        remove {
            VMeth -= value;
        }
    }
    public static void Main() {
        // Main関数は省略可能ですが、実行可能なサンプルコードにするため含めています。
    }
}

この例では、実際にはVMethはメソッドであるため、イベントとしてオーバーライドしようとするとエラーとなります。

オーバーライドの誤用事例

間違った実装例の検証

誤った実装では、イベントとして定義されていないメンバーに対してoverride eventを使用してしまうケースが見受けられます。

前述の例では、Test1クラスのVMethはメソッドとして宣言されているため、これをTest2クラスでイベントとしてオーバーライドしようとすると、コンパイラは対象がイベントではないと判断しCS0072エラーを出力します。

このような誤用は、イベントとメソッドの違いを十分に理解していない場合に発生することが多いです。

エラー発生の箇所と原因の特定

エラーが発生する箇所は、誤ったキーワードとシグネチャで宣言されている部分です。

具体的には、メソッドとして定義されたVMethに対してoverride eventを指定している部分が原因です。

原因は、オーバーライドの際に正しいキーワードを使用せず、イベントとメソッドの区別を誤ったためです。

そのため、コンパイラは「イベントではないものをイベントとして宣言している」と判断し、エラーCS0072を報告します。

エラー解消の対策

正しいイベントオーバーライドの実装方法

エラーを解消するためには、まずオーバーライド対象のメンバーがイベントであることを確認する必要があります。

正しくイベントをオーバーライドする場合、基底クラスでイベントとして宣言されているメンバーを、そのままイベントとしてオーバーライドする形に修正します。

以下のサンプルコードは、正しいイベントオーバーライドの例となります。

using System;
delegate void MyDelegate();  // デリゲート型の定義
class Test1 {
    // イベントとして宣言
    public virtual event MyDelegate MyEvent;
    // イベントを発火するメソッド
    public void FireEvent() {
        if (MyEvent != null) {
            MyEvent();
        }
    }
}
class Test2 : Test1 {
    // 基底クラスでイベントとして宣言されているMyEventを正しくオーバーライド
    public override event MyDelegate MyEvent {
        add {
            // addアクセサ内で登録処理を実行
            base.MyEvent += value;
        }
        remove {
            // removeアクセサ内で解除処理を実行
            base.MyEvent -= value;
        }
    }
    public static void Main() {
        Test2 instance = new Test2();
        // イベントハンドラを登録
        instance.MyEvent += () => { Console.WriteLine("イベントが発生しました"); };
        // イベント発火
        instance.FireEvent();
    }
}
output
イベントが発生しました

修正手順と実装上の注意点

エラー修正の具体的な手順は以下の通りです。

  • まず、オーバーライド対象が正しくイベントとして宣言されているか確認してください。
  • イベントとして宣言されていないメンバーに対してoverride eventを使用していないか確認します。
  • 正しいイベントオーバーライドを行うため、基底クラスで定義されているイベントメンバーと同じ名前、同じデリゲート型、および適切なアクセサ(addおよびremove)を使用してください。
  • addおよびremoveアクセサ内では、baseキーワードを利用して基底クラスのイベントに対する登録や解除を行います。

以下は、修正手順を反映したサンプルコードです。

using System;
delegate void MyDelegate();  // デリゲート型の定義
class Test1 {
    // 基底クラスでイベントを正しく宣言
    public virtual event MyDelegate MyEvent;
    public void TriggerEvent() {
        if (MyEvent != null) {
            MyEvent();
        }
    }
}
class Test2 : Test1 {
    // 基底クラスのイベントMyEventを正しくオーバーライド
    public override event MyDelegate MyEvent {
        add {
            // 正しくイベントハンドラを登録
            base.MyEvent += value;
        }
        remove {
            // 正しくイベントハンドラを解除
            base.MyEvent -= value;
        }
    }
    public static void Main() {
        Test2 instance = new Test2();
        // イベントに登録するハンドラを作成
        instance.MyEvent += () => { Console.WriteLine("正しい実装でイベントが発生しました"); };
        // イベントを発火
        instance.TriggerEvent();
    }
}
output
正しい実装でイベントが発生しました

まとめ

この記事では、C#で発生するコンパイラエラーCS0072の原因として、イベントとメソッドの違いを理解せずに誤ったオーバーライドを行う点を解説しています。

具体的な実例をもとに、正しいイベントの宣言方法およびオーバーライド方法を説明し、エラー修正の手順や注意点を示しました。

これにより、誤った実装を修正し、より適切なコード設計を実現できる知識が得られます。

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