C# コンパイラエラー CS0053 の原因と対策について解説

CS0053は、C#で発生するコンパイラエラーです。

たとえば、プロパティの戻り値型のアクセス修飾子が、プロパティ自体の修飾子よりも低く設定されている場合にエラーが報告されます。

正しいアクセシビリティが適用されるよう修正する必要があります。

詳細はMicrosoft Learnのドキュメントで確認できます。

エラー内容の詳細

エラーメッセージの検証

C# のコンパイラから発生する CS0053 エラーは、プロパティの戻り値の型のアクセスレベルが、プロパティ自体のアクセスレベルよりも低い場合に発生します。

エラーメッセージは以下のように表示されます。

「アクセシビリティに一貫性がありません。

プロパティ型 type のアクセシビリティはプロパティ property よりも低く設定されています」

このメッセージは、プロパティがパブリックなのに対し、戻り値の型が非公開になっている場合などに表示され、アクセスレベルの不整合を示しています。

発生箇所の具体例

例えば、クラスが暗黙的に内部クラスとして定義されている場合、同一アセンブリ内でもアクセスできないケースがあります。

下記の例は CS0053 エラーが発生するコードの一例です。

• MyClass はアクセス修飾子を指定していないため内部クラスとなる
• MyClass2 にあるプロパティは public でありながら、戻り値の型 MyClass のアクセスレベルが低いためエラーとなる

このような状態が CS0053 エラーの主な原因です。

アクセシビリティ設定の基本原則

C#におけるアクセス修飾子の概要

C# では以下のようなアクセス修飾子が存在しており、クラスやメンバーの表示範囲を決定します。

• public：どの場所からでもアクセス可能
• internal：同一アセンブリ内からアクセス可能
• protected：派生クラスからアクセス可能
• private：クラス内部のみアクセス可能

各修飾子には用途に応じた役割があり、クラスやプロパティで使用する際に、アクセスレベルが整合している必要があります。

クラスとプロパティの関係性

クラスのアクセシビリティ設定

クラスにアクセス修飾子が指定されない場合、暗黙的に internal(またはネストされたクラスの場合は private)となります。

そのため、パブリックなプロパティでそのクラスを返す場合、クラス自体のアクセス修飾子も明示的に public とする必要があります。

プロパティの戻り値アクセシビリティ

プロパティはその戻り値の型に依存します。

プロパティが public に設定されている場合、戻り値の型も最低限 public でなければなりません。

例えば、プロパティが public な場合に戻り値に含まれるクラスが internal や private であると、CS0053 エラーが発生します。

原因の具体的検証

型とプロパティ間の不一致事例

このエラーは、型のアクセス修飾子とプロパティのアクセス修飾子に不整合がある場合に起こります。

例えば、以下のようなコードが考えられます。

• プロパティは public に設定されているのに、戻り値の型となるクラスのアクセス修飾子が明示的に指定されておらず、デフォルトの internal もしくは private となっている状況。
• その結果、パブリックなプロパティから非公開な型を返そうとするため、コンパイラがアクセスレベルの不一致を検出します。

不適切なアクセスレベルの設定

場合によっては、意図的に低いアクセスレベルに設定した型をパブリックなプロパティで返す設計をしてしまうこともあります。

この場合、プロパティ側のアクセスレベルか、戻り値の型のアクセスレベルを調整する必要があります。

アクセス修飾子が一致するようにコードを見直すことで、このエラーを解消することが可能です。

修正方法の詳細解説

コード例による修正手順

以下に、CS0053 エラーを解消するためのサンプルコードを示します。

このサンプルコードでは、コンストラクタとプロパティ定義の調整、およびアクセスレベルの統一が行われます。

コンストラクタとプロパティ定義の調整

元のコードでは、戻り値の型となるクラスにアクセス修飾子が付与されていなかったため、明示的に public を追加します。

アクセシビリティの統一確認

プロパティの型とプロパティ自体のアクセス修飾子を同一に設定する必要があります。

以下のコードはこの点を反映した修正版の例です。

using System;
// 戻り値の型として利用するクラスに public を明示
public class MyClass
{
    public MyClass()
    {
        // コンストラクタ: 初期化処理
    }
}
// プロパティ型とアクセス修飾子を統一
public class MyContainer
{
    // プロパティの型も public となっているためエラーは解消
    public MyClass MyProperty { get; set; }
}
public class Program
{
    public static void Main()
    {
        // コンテナと返却型のオブジェクト生成例
        MyContainer container = new MyContainer();
        container.MyProperty = new MyClass(); // 正常に生成
        Console.WriteLine("CS0053 エラーの修正例です");
    }
}

CS0053 エラーの修正例です

コンパイル検証と確認手順

修正後のコンパイルチェック

修正後は、以下の点を確認してください。

• プロパティのアクセス修飾子と戻り値の型のアクセス修飾子が一致しているか
• コード全体がコンパイルエラーなくビルドできるか

Visual Studio やコマンドラインの dotnet build でコンパイルを行い、エラーが解消されているか確認を実施してください。

再発防止のための確認ポイント

再発を防止するためには、以下のポイントに注意してください。

• クラスや構造体のアクセス修飾子が意図した通りに設定されているか
• 公開するプロパティやメソッドが依存する型も公開範囲が同一またはより広いかどうか確認する
• 設計段階で API の公開範囲を明確に決定し、実装時にそのルールに沿っているか見直す

以上の確認を行うことで、CS0053 エラーの原因を早期に発見しやすくなります。

まとめ

本記事では、CS0053 エラーの原因としてプロパティの戻り値型とプロパティ自体のアクセス修飾子が一致していない点を解説しています。

具体例を通してエラーメッセージの意味や発生箇所を確認し、アクセス修飾子の基本とクラス・プロパティ間の関係性を整理しました。

さらに、具体的な修正方法とコンパイルチェックの手順を示し、再発防止のポイントもまとめました。