数値処理

[C++] 乱数が同じになるのはシードを変更していないのが原因

C++で乱数を生成する際、乱数生成器(例: std::mt19937)はシード値を基に乱数を計算します。

同じシード値を使用すると、生成される乱数列も同じになります。

シード値を変更しない場合、プログラムを実行するたびに同じ乱数列が得られるため、乱数が「同じになる」と感じられます。

これを防ぐには、シード値を動的に設定する必要があります。

例えば、現在時刻std::time(nullptr)をシード値に使用することで、毎回異なる乱数列を生成できます。

なぜ乱数が同じになるのか

乱数生成において、同じシード値を使用すると、生成される乱数の列も同じになります。

これは、乱数生成アルゴリズムが決定論的であるためです。

つまり、同じ入力(シード値)に対しては、常に同じ出力(乱数列)が得られるという特性があります。

これにより、プログラムのデバッグやテストが容易になりますが、意図しない場合には問題を引き起こすこともあります。

以下に、C++での乱数生成の基本的な例を示します。

#include <iostream>
#include <random>
int main() {
    // シード値を固定
    std::mt19937 mt(123); // メルセンヌ・ツイスタの初期化
    // 乱数生成
    for (int i = 0; i < 5; ++i) {
        int randomNumber = mt() % 100; // 0から99の乱数
        std::cout << randomNumber << std::endl; // 乱数を出力
    }
}
82
89
2
10
80

このコードでは、シード値を123に設定しています。

これにより、毎回同じ乱数列が生成されます。

シード値を変更しない限り、プログラムを実行するたびに同じ結果が得られます。

シード値を変更する方法

乱数生成において、シード値を変更することで異なる乱数列を生成することができます。

C++では、std::random_deviceを使用して、よりランダムなシード値を取得することが可能です。

これにより、プログラムを実行するたびに異なる乱数を得ることができます。

以下に、シード値を変更する方法の例を示します。

#include <iostream>
#include <random>
int main() {
    // std::random_deviceを使用してシード値を取得
    std::random_device rd; // ハードウェア乱数生成器
    std::mt19937 mt(rd()); // メルセンヌ・ツイスタの初期化
    // 乱数生成
    for (int i = 0; i < 5; ++i) {
        int randomNumber = mt() % 100; // 0から99の乱数
        std::cout << randomNumber << std::endl; // 乱数を出力
    }
}
45
12
78
34
67

このコードでは、std::random_deviceを使用してシード値を取得しています。

これにより、プログラムを実行するたびに異なるシード値が生成され、毎回異なる乱数列が得られます。

シード値を変更することで、より多様な乱数を生成することが可能になります。

シード値の選び方とベストプラクティス

シード値の選び方は、乱数生成の結果に大きな影響を与えます。

適切なシード値を選ぶことで、より多様な乱数を生成し、プログラムの挙動を予測不可能にすることができます。

以下に、シード値の選び方とベストプラクティスを示します。

シード値の選び方

方法説明
std::random_deviceハードウェア乱数生成器を使用して、真の乱数を取得する。
時刻を利用現在の時刻をシード値として使用する。例: std::chrono::system_clock::now().time_since_epoch().count()
ユーザー入力ユーザーからの入力をシード値として使用する。

ベストプラクティス

  1. 毎回異なるシードを使用する: 同じシード値を使用すると、同じ乱数列が生成されるため、毎回異なるシードを使用することが重要です。
  2. シード値の範囲を考慮する: シード値は通常、整数型であるため、適切な範囲を選ぶことが重要です。

特に、std::mt19937のようなアルゴリズムでは、シード値の範囲が制限されていることがあります。

  1. テスト用のシードを用意する: デバッグやテストの際には、特定のシード値を使用して再現性のある結果を得ることが有効です。

これにより、問題の特定が容易になります。

以下に、シード値を選ぶ際のサンプルコードを示します。

#include <iostream>
#include <random>
#include <chrono>
int main() {
    // 現在の時刻をシード値として使用
    auto seed = std::chrono::system_clock::now().time_since_epoch().count();
    std::mt19937 mt(seed); // メルセンヌ・ツイスタの初期化
    // 乱数生成
    for (int i = 0; i < 5; ++i) {
        int randomNumber = mt() % 100; // 0から99の乱数
        std::cout << randomNumber << std::endl; // 乱数を出力
    }
}
23
57
89
12
34

このコードでは、現在の時刻をシード値として使用しています。

これにより、プログラムを実行するたびに異なる乱数列が生成されます。

シード値の選び方とベストプラクティスを守ることで、より効果的な乱数生成が可能になります。

まとめ

この記事では、C++における乱数生成の基本的な仕組みや、シード値が同じ場合に乱数が同じになる理由について解説しました。

また、シード値を変更する方法や、適切なシード値の選び方、ベストプラクティスについても触れました。

乱数生成の理解を深めることで、プログラムの挙動をより効果的に制御できるようになります。

次回のプログラミングにおいて、シード値の選び方を意識し、より多様な乱数を生成することに挑戦してみてください。

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