[C++] set_union()の使い方 – 2つのコンテナ(範囲)から和集合を生成する
C++のstd::set_union()
は、2つのソート済み範囲から和集合を生成し、結果を指定した出力イテレータに格納します。
使用するには、ヘッダファイル<algorithm>
をインクルードします。
関数のシグネチャはset_union(first1, last1, first2, last2, result)
で、first1
~last1
とfirst2
~last2
が入力範囲、result
が出力先です。
入力範囲はソートされている必要があります。
結果には重複を除いた要素が格納されます。
set_union()の基本的な使い方
C++のset_union()
は、2つのソートされた範囲から和集合を生成するための関数です。
この関数は、<algorithm>
ヘッダーに含まれており、標準ライブラリの一部として利用できます。
和集合とは、2つの集合の要素をすべて含む新しい集合のことを指します。
重複する要素は1つだけ保持されます。
基本的な構文
set_union()
の基本的な構文は以下の通りです。
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>
int main() {
std::vector<int> set1 = {1, 2, 3, 4, 5};
std::vector<int> set2 = {3, 4, 5, 6, 7};
std::vector<int> result( set1.size() + set2.size() ); // 結果を格納するためのベクター
// 和集合を生成
auto it = std::set_union(set1.begin(), set1.end(),
set2.begin(), set2.end(),
result.begin());
// 結果を表示
result.resize(it - result.begin()); // 結果のサイズを調整
for (int num : result) {
std::cout << num << " "; // 和集合の要素を出力
}
std::cout << std::endl; // 改行
return 0;
}
このコードでは、set1
とset2
という2つの整数のベクターを定義し、set_union()
を使用して和集合を生成しています。
結果はresult
ベクターに格納され、最終的に出力されます。
1 2 3 4 5 6 7
この出力は、set1
とset2
の和集合を示しています。
重複する要素は1つだけ保持されていることが確認できます。
応用的な使い方
set_union()
は基本的な使い方だけでなく、さまざまな応用が可能です。
ここでは、異なるデータ型やカスタムオブジェクトを使用した例、さらに条件付きで和集合を生成する方法について解説します。
異なるデータ型の和集合
set_union()
は、整数だけでなく、他のデータ型でも使用できます。
以下の例では、文字列の和集合を生成します。
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>
#include <string>
int main() {
std::vector<std::string> set1 = {"apple", "banana", "cherry"};
std::vector<std::string> set2 = {"banana", "date", "fig", "grape"};
std::vector<std::string> result(set1.size() + set2.size()); // 結果を格納するためのベクター
// 和集合を生成
auto it = std::set_union(set1.begin(), set1.end(),
set2.begin(), set2.end(),
result.begin());
// 結果を表示
result.resize(it - result.begin()); // 結果のサイズを調整
for (const auto& fruit : result) {
std::cout << fruit << " "; // 和集合の要素を出力
}
std::cout << std::endl; // 改行
return 0;
}
apple banana cherry date fig grape
この出力は、set1
とset2
の文字列の和集合を示しています。
重複する要素は1つだけ保持されています。
カスタムオブジェクトの和集合
カスタムオブジェクトを使用する場合、比較演算子をオーバーロードする必要があります。
以下の例では、Person
クラスを定義し、名前で比較します。
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>
#include <string>
class Person {
public:
std::string name;
Person(std::string n) : name(n) {}
// 比較演算子のオーバーロード
bool operator<(const Person& other) const {
return name < other.name;
}
};
int main() {
std::vector<Person> set1 = { Person("Alice"), Person("Bob"), Person("Charlie") };
std::vector<Person> set2 = { Person("Bob"), Person("David"), Person("Eve") };
std::vector<Person> result(set1.size() + set2.size()); // 結果を格納するためのベクター
// 和集合を生成
auto it = std::set_union(set1.begin(), set1.end(),
set2.begin(), set2.end(),
result.begin());
// 結果を表示
result.resize(it - result.begin()); // 結果のサイズを調整
for (const auto& person : result) {
std::cout << person.name << " "; // 和集合の要素を出力
}
std::cout << std::endl; // 改行
return 0;
}
Alice Bob Charlie David Eve
この出力は、Person
オブジェクトの和集合を示しています。
名前で比較され、重複する要素は1つだけ保持されています。
条件付きで和集合を生成
特定の条件に基づいて和集合を生成することも可能です。
以下の例では、偶数の要素のみを和集合に含めます。
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>
int main() {
std::vector<int> set1 = {1, 2, 3, 4, 5};
std::vector<int> set2 = {2, 4, 6, 8};
std::vector<int> result(set1.size() + set2.size()); // 結果を格納するためのベクター
// 和集合を生成
auto it = std::set_union(set1.begin(), set1.end(),
set2.begin(), set2.end(),
result.begin());
// 偶数のみを出力
result.resize(it - result.begin()); // 結果のサイズを調整
for (int num : result) {
if (num % 2 == 0) { // 偶数の条件
std::cout << num << " "; // 和集合の偶数要素を出力
}
}
std::cout << std::endl; // 改行
return 0;
}
2 4 6 8
この出力は、和集合の中から偶数の要素のみを表示しています。
条件を追加することで、より柔軟な和集合の生成が可能です。
set_union()を使う際の注意点
set_union()
を使用する際には、いくつかの注意点があります。
これらを理解しておくことで、意図した通りに和集合を生成し、エラーを避けることができます。
以下に主な注意点を挙げます。
1. ソートされた範囲が必要
set_union()
は、2つの入力範囲がソートされていることを前提としています。
もしソートされていない場合、正しい結果が得られません。
ソートされていないデータを使用する場合は、事前にstd::sort()
を使ってソートする必要があります。
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>
int main() {
std::vector<int> set1 = {5, 3, 1, 4, 2};
std::vector<int> set2 = {7, 6, 8, 9, 10};
// ソート
std::sort(set1.begin(), set1.end());
std::sort(set2.begin(), set2.end());
std::vector<int> result(set1.size() + set2.size()); // 結果を格納するためのベクター
// 和集合を生成
auto it = std::set_union(set1.begin(), set1.end(),
set2.begin(), set2.end(),
result.begin());
// 結果を表示
result.resize(it - result.begin()); // 結果のサイズを調整
for (int num : result) {
std::cout << num << " "; // 和集合の要素を出力
}
std::cout << std::endl; // 改行
return 0;
}
2. 出力先のサイズに注意
set_union()
は、出力先のイテレータが指す範囲が十分なサイズを持っている必要があります。
出力先のサイズが不足していると、未定義の動作が発生する可能性があります。
出力先のサイズは、2つの入力範囲の合計サイズ以上である必要があります。
3. 重複要素の扱い
set_union()
は、重複する要素を1つだけ保持します。
したがって、入力範囲に重複がある場合でも、出力には重複が含まれません。
この特性を理解しておくことが重要です。
4. カスタム比較関数の使用
カスタムオブジェクトを使用する場合、比較演算子をオーバーロードする必要があります。
これを怠ると、正しい動作が保証されません。
以下の例では、Person
クラスの比較演算子をオーバーロードしています。
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>
#include <string>
class Person {
public:
std::string name;
Person(std::string n) : name(n) {}
// 比較演算子のオーバーロード
bool operator<(const Person& other) const {
return name < other.name;
}
};
int main() {
std::vector<Person> set1 = { Person("Alice"), Person("Bob") };
std::vector<Person> set2 = { Person("Bob"), Person("Charlie") };
std::vector<Person> result(set1.size() + set2.size()); // 結果を格納するためのベクター
// 和集合を生成
auto it = std::set_union(set1.begin(), set1.end(),
set2.begin(), set2.end(),
result.begin());
// 結果を表示
result.resize(it - result.begin()); // 結果のサイズを調整
for (const auto& person : result) {
std::cout << person.name << " "; // 和集合の要素を出力
}
std::cout << std::endl; // 改行
return 0;
}
5. 例外処理
set_union()
は、範囲が無効な場合や、イテレータが不正な場合に例外を投げることがあります。
これを考慮して、適切なエラーハンドリングを行うことが重要です。
特に、ユーザーからの入力を受け取る場合は、入力の検証を行うことが推奨されます。
これらの注意点を理解し、適切に対処することで、set_union()
を効果的に活用することができます。
実践例
ここでは、set_union()
を使用した実践的な例をいくつか紹介します。
これにより、和集合の生成がどのように行われるかを具体的に理解できるでしょう。
1. 整数の和集合を生成する
まずは、整数のベクターを使って和集合を生成する基本的な例です。
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>
int main() {
std::vector<int> set1 = {1, 3, 5, 7, 9};
std::vector<int> set2 = {2, 3, 5, 6, 8};
std::vector<int> result(set1.size() + set2.size()); // 結果を格納するためのベクター
// 和集合を生成
auto it = std::set_union(set1.begin(), set1.end(),
set2.begin(), set2.end(),
result.begin());
// 結果を表示
result.resize(it - result.begin()); // 結果のサイズを調整
for (int num : result) {
std::cout << num << " "; // 和集合の要素を出力
}
std::cout << std::endl; // 改行
return 0;
}
1 2 3 5 6 7 8 9
この出力は、set1
とset2
の和集合を示しています。
重複する要素は1つだけ保持されています。
2. 文字列の和集合を生成する
次に、文字列のベクターを使った和集合の例です。
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>
#include <string>
int main() {
std::vector<std::string> set1 = {"apple", "banana", "cherry"};
std::vector<std::string> set2 = {"banana", "date", "fig", "grape"};
std::vector<std::string> result(set1.size() + set2.size()); // 結果を格納するためのベクター
// 和集合を生成
auto it = std::set_union(set1.begin(), set1.end(),
set2.begin(), set2.end(),
result.begin());
// 結果を表示
result.resize(it - result.begin()); // 結果のサイズを調整
for (const auto& fruit : result) {
std::cout << fruit << " "; // 和集合の要素を出力
}
std::cout << std::endl; // 改行
return 0;
}
apple banana cherry date fig grape
この出力は、set1
とset2
の文字列の和集合を示しています。
重複する要素は1つだけ保持されています。
3. カスタムオブジェクトの和集合を生成する
カスタムオブジェクトを使用した和集合の例です。
Person
クラスを定義し、名前で比較します。
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>
#include <string>
class Person {
public:
std::string name;
Person(std::string n) : name(n) {}
// 比較演算子のオーバーロード
bool operator<(const Person& other) const {
return name < other.name;
}
};
int main() {
std::vector<Person> set1 = { Person("Alice"), Person("Bob") };
std::vector<Person> set2 = { Person("Bob"), Person("Charlie") };
std::vector<Person> result(set1.size() + set2.size()); // 結果を格納するためのベクター
// 和集合を生成
auto it = std::set_union(set1.begin(), set1.end(),
set2.begin(), set2.end(),
result.begin());
// 結果を表示
result.resize(it - result.begin()); // 結果のサイズを調整
for (const auto& person : result) {
std::cout << person.name << " "; // 和集合の要素を出力
}
std::cout << std::endl; // 改行
return 0;
}
Alice Bob Charlie
この出力は、Person
オブジェクトの和集合を示しています。
名前で比較され、重複する要素は1つだけ保持されています。
4. 偶数の和集合を生成する
特定の条件に基づいて和集合を生成する例です。
ここでは、偶数の要素のみを和集合に含めます。
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>
int main() {
std::vector<int> set1 = {1, 2, 3, 4, 5};
std::vector<int> set2 = {2, 4, 6, 8};
std::vector<int> result(set1.size() + set2.size()); // 結果を格納するためのベクター
// 和集合を生成
auto it = std::set_union(set1.begin(), set1.end(),
set2.begin(), set2.end(),
result.begin());
// 偶数のみを出力
result.resize(it - result.begin()); // 結果のサイズを調整
for (int num : result) {
if (num % 2 == 0) { // 偶数の条件
std::cout << num << " "; // 和集合の偶数要素を出力
}
}
std::cout << std::endl; // 改行
return 0;
}
2 4 6 8
この出力は、和集合の中から偶数の要素のみを表示しています。
条件を追加することで、より柔軟な和集合の生成が可能です。
これらの実践例を通じて、set_union()
の使い方や応用方法を理解し、さまざまなデータ型や条件に基づいて和集合を生成する方法を学ぶことができます。
まとめ
この記事では、C++のset_union()
関数を使用して、2つのソートされた範囲から和集合を生成する方法について詳しく解説しました。
基本的な使い方から応用的な利用法、注意点、実践例までを通じて、和集合の生成に関するさまざまな側面を取り上げました。
これを機に、実際のプログラムにset_union()
を取り入れて、データ処理の効率を向上させてみてはいかがでしょうか。