アルゴリズム

[C++] binary_search()の使い方 – ニ分探索

C++のbinary_search()は、ソート済みの範囲で二分探索を行い、指定した値が存在するかを判定する関数です。

#include <algorithm>をインクルードして使用します。

形式はbinary_search(start, end, value)で、startendは範囲を示すイテレータ、valueは検索対象の値です。

戻り値はbool型で、値が見つかればtrue、見つからなければfalseを返します。

範囲は昇順にソートされている必要があります。

binary_search()とは?

binary_search()は、C++の標準ライブラリに含まれるアルゴリズムの一つで、ソートされた配列やベクター内で特定の値を効率的に検索するための関数です。

この関数は、二分探索アルゴリズムを使用しており、検索対象のデータがソートされていることが前提条件です。

二分探索は、データの中央の要素を比較し、目的の値がその要素より小さいか大きいかによって探索範囲を半分に絞り込むことで、効率的に検索を行います。

この関数を使用することで、線形探索に比べて大幅に検索時間を短縮することが可能です。

特に、大きなデータセットに対しては、その効果が顕著に現れます。

以下に、binary_search()の基本的な使い方を示します。

binary_search()の基本的な使い方

binary_search()を使用するためには、まず対象のデータがソートされている必要があります。

C++の標準ライブラリに含まれる<algorithm>ヘッダをインクルードすることで、この関数を利用できます。

以下に、binary_search()の基本的な使い方を示すサンプルコードを示します。

#include <iostream>
#include <algorithm> // binary_searchを使用するために必要
#include <vector>
int main() {
    // ソートされた整数のベクターを作成
    std::vector<int> numbers = {1, 3, 5, 7, 9, 11, 13, 15};
    // 探索する値
    int target = 7;
    // binary_searchを使用して値が存在するか確認
    bool found = std::binary_search(numbers.begin(), numbers.end(), target);
    // 結果を出力
    if (found) {
        std::cout << "値 " << target << " は配列に存在します。" << std::endl;
    } else {
        std::cout << "値 " << target << " は配列に存在しません。" << std::endl;
    }
    return 0;
}
値 7 は配列に存在します。

このコードでは、整数のベクターnumbersを作成し、その中にソートされた値を格納しています。

binary_search()関数を使用して、指定したtargetがベクター内に存在するかどうかを確認し、結果を出力しています。

binary_search()は、探索範囲を指定するために、イテレータを使用します。

begin()end()を使って、ベクターの最初と最後の位置を指定しています。

binary_search()の応用例

binary_search()は、単純な値の検索だけでなく、さまざまな状況で応用することができます。

以下にいくつかの具体的な応用例を示します。

1. 文字列の検索

文字列の配列やベクターに対してもbinary_search()を使用できます。

以下のサンプルコードでは、ソートされた文字列のベクター内で特定の文字列を検索します。

#include <iostream>
#include <algorithm> // binary_searchを使用するために必要
#include <vector>
#include <string>
int main() {
    // ソートされた文字列のベクターを作成
    std::vector<std::string> names = {"Alice", "Bob", "Charlie", "David", "Eve"};
    // 探索する文字列
    std::string target = "Charlie";
    // binary_searchを使用して文字列が存在するか確認
    bool found = std::binary_search(names.begin(), names.end(), target);
    // 結果を出力
    if (found) {
        std::cout << "文字列 \"" << target << "\" は配列に存在します。" << std::endl;
    } else {
        std::cout << "文字列 \"" << target << "\" は配列に存在しません。" << std::endl;
    }
    return 0;
}
文字列 "Charlie" は配列に存在します。

2. カスタムデータ型の検索

binary_search()は、カスタムデータ型に対しても使用できます。

この場合、比較関数を定義する必要があります。

以下のサンプルコードでは、構造体を使用して特定の条件で検索を行います。

#include <iostream>
#include <algorithm> // binary_searchを使用するために必要
#include <vector>
struct Person {
    std::string name;
    int age;
};
// 比較関数
bool compareByName(const Person& a, const Person& b) {
    return a.name < b.name;
}
int main() {
    // ソートされたPersonのベクターを作成
    std::vector<Person> people = {{"Alice", 30}, {"Bob", 25}, {"Charlie", 35}};
    // 探索する人物
    Person target = {"Bob", 0}; // 年齢は無視
    // binary_searchを使用して人物が存在するか確認
    bool found = std::binary_search(people.begin(), people.end(), target, compareByName);
    // 結果を出力
    if (found) {
        std::cout << "人物 \"" << target.name << "\" は配列に存在します。" << std::endl;
    } else {
        std::cout << "人物 \"" << target.name << "\" は配列に存在しません。" << std::endl;
    }
    return 0;
}
人物 "Bob" は配列に存在します。

これらの例からもわかるように、binary_search()は多様なデータ型や条件に対して柔軟に使用できるため、非常に便利な関数です。

binary_search()と他の関連関数

binary_search()は、C++の標準ライブラリにおける検索アルゴリズムの一つですが、他にも関連する関数がいくつか存在します。

これらの関数は、データの検索や操作を行う際に非常に役立ちます。

以下に、binary_search()と関連する関数を紹介します。

関数名説明
lower_bound()指定した値以上の最初の要素の位置を返します。
upper_bound()指定した値より大きい最初の要素の位置を返します。
equal_range()指定した値と等しい要素の範囲を返します。
find()指定した値を持つ最初の要素の位置を返します(線形探索)。

1. lower_bound()

lower_bound()は、指定した値以上の最初の要素の位置を返します。

これにより、特定の値が挿入されるべき位置を知ることができます。

以下にサンプルコードを示します。

#include <iostream>
#include <algorithm> // lower_boundを使用するために必要
#include <vector>
int main() {
    std::vector<int> numbers = {1, 3, 5, 7, 9, 11, 13, 15};
    int target = 10;
    // lower_boundを使用して指定した値以上の最初の要素の位置を取得
    auto it = std::lower_bound(numbers.begin(), numbers.end(), target);
    // 結果を出力
    if (it != numbers.end()) {
        std::cout << "値 " << target << " 以上の最初の要素は " << *it << " です。" << std::endl;
    } else {
        std::cout << "値 " << target << " 以上の要素は存在しません。" << std::endl;
    }
    return 0;
}
値 10 以上の最初の要素は 11 です。

2. upper_bound()

upper_bound()は、指定した値より大きい最初の要素の位置を返します。

これにより、特定の値より大きい要素の位置を知ることができます。

以下にサンプルコードを示します。

#include <iostream>
#include <algorithm> // upper_boundを使用するために必要
#include <vector>
int main() {
    std::vector<int> numbers = {1, 3, 5, 7, 9, 11, 13, 15};
    int target = 10;
    // upper_boundを使用して指定した値より大きい最初の要素の位置を取得
    auto it = std::upper_bound(numbers.begin(), numbers.end(), target);
    // 結果を出力
    if (it != numbers.end()) {
        std::cout << "値 " << target << " より大きい最初の要素は " << *it << " です。" << std::endl;
    } else {
        std::cout << "値 " << target << " より大きい要素は存在しません。" << std::endl;
    }
    return 0;
}
値 10 より大きい最初の要素は 11 です。

3. equal_range()

equal_range()は、指定した値と等しい要素の範囲を返します。

この関数は、指定した値が配列内に存在するかどうかを確認するのに便利です。

以下にサンプルコードを示します。

#include <iostream>
#include <algorithm> // equal_rangeを使用するために必要
#include <vector>
int main() {
    std::vector<int> numbers = {1, 3, 5, 5, 5, 7, 9};
    int target = 5;
    // equal_rangeを使用して指定した値と等しい要素の範囲を取得
    auto range = std::equal_range(numbers.begin(), numbers.end(), target);
    // 結果を出力
    std::cout << "値 " << target << " は " << (range.second - range.first) << " 個存在します。" << std::endl;
    return 0;
}
値 5 は 3 個存在します。

4. find()

find()は、指定した値を持つ最初の要素の位置を返します。

線形探索を行うため、ソートされていないデータに対しても使用できます。

以下にサンプルコードを示します。

#include <iostream>
#include <algorithm> // findを使用するために必要
#include <vector>
int main() {
    std::vector<int> numbers = {1, 3, 5, 7, 9};
    int target = 5;
    // findを使用して指定した値を持つ最初の要素の位置を取得
    auto it = std::find(numbers.begin(), numbers.end(), target);
    // 結果を出力
    if (it != numbers.end()) {
        std::cout << "値 " << target << " は配列に存在します。" << std::endl;
    } else {
        std::cout << "値 " << target << " は配列に存在しません。" << std::endl;
    }
    return 0;
}
値 5 は配列に存在します。

これらの関連関数を使い分けることで、さまざまな検索ニーズに対応することができます。

binary_search()と組み合わせて使用することで、より効率的なデータ操作が可能になります。

binary_search()を使う際の注意点

binary_search()を使用する際には、いくつかの注意点があります。

これらを理解しておくことで、正確かつ効率的にデータを検索することができます。

以下に主な注意点を示します。

1. データがソートされていること

  • binary_search()は、ソートされたデータに対してのみ機能します。
  • ソートされていないデータに対して使用すると、正しい結果が得られません。
  • 必ず事前にデータをソートしてから使用する必要があります。

2. 同一の値が複数存在する場合

  • binary_search()は、指定した値が存在するかどうかを確認するための関数です。
  • 同じ値が複数存在する場合、どの位置にあるかは保証されません。
  • 値の出現回数を知りたい場合は、equal_range()を使用することを検討してください。

3. 比較関数の使用

  • カスタムデータ型を検索する場合、比較関数を正しく定義する必要があります。
  • 比較関数は、二つの要素を比較し、どちらが小さいかを判断する必要があります。
  • 比較関数が正しくないと、binary_search()の結果が不正確になる可能性があります。

4. イテレータの範囲

  • binary_search()を使用する際は、イテレータの範囲を正しく指定することが重要です。
  • begin()end()を使用して、検索範囲を明確に指定する必要があります。
  • 範囲が正しくないと、意図しない結果が得られることがあります。

5. パフォーマンスの考慮

  • binary_search()は、O(log n)の時間計算量で動作しますが、データのソートにはO(n log n)の時間がかかります。
  • 大量のデータを頻繁に検索する場合は、データ構造やアルゴリズムの選択を慎重に行う必要があります。
  • 一度ソートしたデータに対しては、binary_search()を使用することで効率的に検索が可能です。

これらの注意点を理解し、適切にbinary_search()を使用することで、効率的かつ正確なデータ検索が実現できます。

実践的な例

ここでは、binary_search()を用いた実践的な例をいくつか紹介します。

これにより、実際のプログラミングにおける使い方を具体的に理解することができます。

1. 整数の配列から特定の値を検索する

以下の例では、整数の配列から特定の値を検索し、その結果を出力します。

配列は事前にソートされています。

#include <iostream>
#include <algorithm> // binary_searchを使用するために必要
#include <vector>
int main() {
    // ソートされた整数の配列を作成
    std::vector<int> numbers = {2, 4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20};
    
    // 探索する値
    int target = 14;
    // binary_searchを使用して値が存在するか確認
    bool found = std::binary_search(numbers.begin(), numbers.end(), target);
    // 結果を出力
    if (found) {
        std::cout << "値 " << target << " は配列に存在します。" << std::endl;
    } else {
        std::cout << "値 " << target << " は配列に存在しません。" << std::endl;
    }
    return 0;
}
値 14 は配列に存在します。

2. 学生の成績を検索する

次の例では、学生の成績を格納した構造体を使用し、特定の学生の成績を検索します。

学生の名前で検索を行うため、比較関数を定義します。

#include <iostream>
#include <algorithm> // binary_searchを使用するために必要
#include <vector>
#include <string>
struct Student {
    std::string name;
    int score;
};
// 比較関数
bool compareByName(const Student& a, const Student& b) {
    return a.name < b.name;
}
int main() {
    // ソートされた学生のベクターを作成
    std::vector<Student> students = {{"Alice", 85}, {"Bob", 90}, {"Charlie", 78}, {"David", 92}};
    // 探索する学生
    Student target = {"Bob", 0}; // スコアは無視
    // binary_searchを使用して学生が存在するか確認
    bool found = std::binary_search(students.begin(), students.end(), target, compareByName);
    // 結果を出力
    if (found) {
        std::cout << "学生 \"" << target.name << "\" は配列に存在します。" << std::endl;
    } else {
        std::cout << "学生 \"" << target.name << "\" は配列に存在しません。" << std::endl;
    }
    return 0;
}
学生 "Bob" は配列に存在します。

3. 商品の価格を検索する

次の例では、商品の価格を格納した構造体を使用し、特定の価格帯にある商品を検索します。

#include <algorithm> // binary_searchを使用するために必要
#include <iostream>
#include <vector>
#include <string>

struct Product {
    std::string name;
    double price;
};

// 比較関数
bool compareByPrice(const Product& a, const Product& b) {
    return a.price < b.price;
}

int main() {
    // 商品のベクターを作成
    std::vector<Product> products = {
        {"Apple",  100.0},
        {"Banana", 80.0 },
        {"Cherry", 150.0},
        {"Date",   120.0}
    };

    // 価格でソート
    std::sort(products.begin(), products.end(), compareByPrice);

    // 探索する価格
    double targetPrice = 120.0;

    // binary_searchを使用して価格が存在するか確認
    auto it = std::lower_bound(products.begin(), products.end(), Product{"", targetPrice}, compareByPrice);

    // lower_boundで見つかった位置が範囲内であり、価格が一致するか確認
    if (it != products.end() && it->price == targetPrice) {
        std::cout << "価格 " << targetPrice << " の商品 " << it->name << " は存在します。" << std::endl;
    } else {
        std::cout << "価格 " << targetPrice << " の商品は存在しません。" << std::endl;
    }

    return 0;
}
価格 120 の商品 Date は存在します。

これらの実践的な例を通じて、binary_search()の使い方や、さまざまなデータ型に対する応用方法を理解することができます。

実際のプログラミングにおいて、これらの技術を活用することで、効率的なデータ検索が可能になります。

まとめ

この記事では、C++のbinary_search()関数について、その基本的な使い方や応用例、関連する関数との違い、使用時の注意点を詳しく解説しました。

特に、ソートされたデータに対して効率的に検索を行う方法や、カスタムデータ型に対する適用方法についても触れました。

これらの知識を活用して、実際のプログラミングにおいてデータ検索をより効率的に行うことができるでしょう。

ぜひ、実際のプロジェクトや課題にbinary_search()を取り入れて、効果的なデータ操作を実践してみてください。

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