C3909エラーについて解説 – C言語とC++におけるWinRTイベント宣言の注意点
コンパイラ エラー C3909は、Windows Runtimeイベントやマネージドイベントがネイティブ型内で宣言された場合に発生します。
C言語やC++で開発している場合、対象のイベントを正しいWinRT型やマネージド型内で宣言するようコードを修正してください。
開発環境が整っているなら、関連するドキュメントを参考に原因を確認するのも有効です。
エラー発生の背景
Windows Runtimeとマネージドイベントの仕様
Windows Runtime(WinRT)やマネージドイベントは、専用の型で宣言する必要があります。
たとえば、C++/CLIではref class
を使用してWinRT型を定義し、その中でevent
キーワードを用いてイベントを宣言します。
また、イベント宣言には専用の delegate が定義され、イベント発生時のコールバック処理が記述されます。
これにより、ランタイムや管理対象環境でのイベント通知機構が正しく動作するようになっています。
イベント宣言は、適切な型の中に記述しないと、コンパイラエラーが発生することがあるため、型の特性を正しく把握する必要があります。
ネイティブ型におけるイベント宣言の制約
C++のネイティブ型(通常のclass
やstruct
)内でWinRTやマネージドイベントを宣言することはできません。
ネイティブ型は、Windows Runtime の特殊な挙動やガーベジコレクションといった管理対象環境の機能を持たないため、イベント宣言に必要な内部処理がサポートされません。
そのため、WinRTまたはマネージドイベントを宣言する場合は、必ずref class
などの管理対象型内で宣言する必要があるという制約があります。
C3909エラーの原因と問題点
エラーコードC3909の意味
コンパイラエラーC3909は、WinRTまたはマネージドイベントがネイティブ型内で宣言された場合に発生します。
エラーメッセージは「WinRT またはマネージド イベント宣言は WinRT型またはマネージド型内で行わなければなりません」と表示されます。
このエラーは、イベント宣言が定義される型が適切でない場合に生じ、正しい型を使用しないとコンパイルに失敗する要因となります。
イベント宣言場所の誤り
イベント宣言がネイティブ型(通常のC++クラス)内に記述されていると、WinRTまたはマネージドイベントの仕様に違反するため、コンパイラがエラーを報告します。
たとえば、以下のように通常のclass
内にイベントを宣言するとエラーが発生します。
WinRT型とネイティブ型の違い
WinRT型ref class
は、マネージド環境で使用されるため、特殊な構文や内部メカニズムが実装されています。
一方、ネイティブ型は管理対象機能を持たないため、WinRTイベントの宣言を正しく処理できません。
この違いにより、イベント宣言を適切な型内に記述しない場合、エラーC3909が発生する原因となります。
C/C++におけるエラー発生シナリオ
C/C++でWinRTやマネージドイベントを宣言する際、以下のケースでエラーが発生する可能性があります。
- 通常の
class
内にevent
宣言を記述した場合 - ネイティブ型にWinRT用のdelegateやイベントを定義した場合
- C++/CLI環境で、正しく
ref class
を利用せずにイベントを実装した場合
これらのシナリオでは、コンパイラが型の不整合を検知し、C3909エラーを報告します。
コード例による検証
不正なコード例の提示
C++におけるネイティブ型での宣言例
以下のサンプルコードは、通常のclass
内にWinRTイベントを宣言している例です。
この場合、コンパイル時にエラーC3909が発生します。
#include <iostream>
#pragma managed(push, off) // managedモードの解除
// delegateの定義
delegate void Callback();
// ネイティブクラス内でのイベント宣言(誤った実装例)
class NativeClass {
// 以下のイベント宣言はC3909エラーを引き起こす
event Callback^ OnEvent;
};
int main() {
std::cout << "Error example in native class" << std::endl;
return 0;
}
// コンパイルエラー例
// C3909: WinRT またはマネージド イベント宣言は WinRT 型またはマネージド型内で行わなければなりません
エラーメッセージの具体的要因
上記のコードでは、ネイティブクラスNativeClass
内にevent
宣言を記述しているため、WinRT型として認識されず、エラーメッセージに示される通り、WinRTまたはマネージド型内で宣言する必要があると指摘されます。
コンパイラは、イベントが正しい型内で宣言されていない場合に、詳細なエラー情報を出力して問題の箇所を特定できるようにしています。
修正コード例の解説
正しいWinRT型またはマネージド型での宣言方法
正しくイベントを宣言するには、ネイティブクラスではなく、ref class
を用いてWinRT型として実装する必要があります。
以下のサンプルコードは、正しい実装例を示したものです。
#include <iostream>
using namespace System;
// delegateの定義
delegate void Callback();
// ref classを用いた正しいイベント宣言例
ref class ManagedClass {
public:
// 静的イベントとしての実装例
static event Callback^ OnEvent {
void add(Callback^ handler) {
// イベントハンドラの追加処理(例として出力)
Console::WriteLine("Handler added");
}
void remove(Callback^ handler) {
// イベントハンドラの削除処理(例として出力)
Console::WriteLine("Handler removed");
}
void raise() {
// イベント呼び出し時の処理(例として出力)
Console::WriteLine("Event raised");
}
}
};
int main(array<System::String ^> ^args) {
// ManagedClassのイベントを利用する例
ManagedClass::OnEvent += gcnew Callback([]() {
Console::WriteLine("Event handler called");
});
// イベントの発火
ManagedClass::OnEvent();
// 実行結果が表示される
return 0;
}
Handler added
Event raised
Event handler called
上記のコードに示すように、ref class
内でイベントを定義することで、WinRTまたはマネージドイベントの仕様に準拠しエラーC3909を回避することができます。
正しいイベント宣言方法と修正ポイント
WinRTイベント宣言の基本ルール
WinRTイベント宣言では、必ずref class
などの管理対象型内でイベントを定義する必要があります。
また、イベントの追加、削除、発火の各操作に対応するメソッドを用意することで、イベント機能が正しく動作するようになります。
イベント宣言時には、delegate型によるコールバック定義と、イベントの各操作のオーバーロードを適切に実装する点に注意する必要があります。
ref classを用いた適切な実装例
以下は、ref class
を用いたWinRTイベントの実装例です。
サンプルコード内にコメントでそれぞれのポイントを記述しています。
#include <iostream>
using namespace System;
// WinRT専用の delegate を定義
delegate void Callback();
// ref classで定義することで、WinRTイベントとして適切に宣言
ref class WinRTClass {
public:
// イベントの宣言とその操作の実装
event Callback^ OnEvent {
// イベントハンドラを追加するメソッド
void add(Callback^ handler) {
Console::WriteLine("Handler added");
// 実際のハンドラ追加処理をここに記述
}
// イベントハンドラを削除するメソッド
void remove(Callback^ handler) {
Console::WriteLine("Handler removed");
// 実際のハンドラ削除処理をここに記述
}
// イベントを呼び出す際の処理
void raise() {
Console::WriteLine("Event raised");
// 実際のイベント発火処理をここに記述
}
}
};
int main(array<System::String ^> ^args) {
// WinRTClass のインスタンスを生成
WinRTClass^ instance = gcnew WinRTClass();
// イベントにハンドラを追加
instance->OnEvent += gcnew Callback([]() {
Console::WriteLine("Event handler called");
});
// イベントを発火させるために、直接raiseメソッドが呼び出される(サンプルのため)
instance->OnEvent;
// 実行結果が表示される
return 0;
}
Handler added
Event raised
Event handler called
マネージドイベント実装の正しい手順
マネージドイベントを実装する際は、以下の手順を守る必要があります。
- まず、delegate型を定義してイベントハンドラのプロトタイプを決定します。
- 次に、
ref class
などの管理対象型内にevent
キーワードを用いてイベントを宣言します。 - イベントの追加、削除、発火の各操作に対する実装を記述します。
修正時に留意するポイントと検証方法
イベント宣言を修正する際には、次の点に特に留意します。
- イベントが宣言される型がWinRTやマネージド型になっているか確認する
- delegateの定義が正しく行われているかチェックする
- イベント追加や削除の処理で、コールバックハンドラの登録・解除が正しく実装されているか検証する
修正後、サンプルコードを実行し、イベントハンドラの呼び出しが期待通りに行われるかどうかを確認します。
これにより、型の不一致に起因するコンパイラエラー(C3909)を回避し、正しいイベント宣言が実現されます。
まとめ
この記事では、Windows Runtimeとマネージドイベントの仕様および、ネイティブ型でのイベント宣言が原因となるエラーC3909の発生要因について解説しています。
エラーの原因は、WinRTまたはマネージドイベントが適切な管理対象型(ref class等)内で宣言されていないことに起因します。
不正なコード例と修正例を通して、正しいイベント宣言方法と実装手順、修正時の留意点が理解できる内容となっています。