C言語のコンパイラエラー C2128 の原因と対策を解説
この記事は、Microsoftコンパイラで発生するエラー C2128 に注目し、#pragma alloc_text
がCリンケージを持つ関数にのみ有効である点について解説します。
Cリンケージが適切に指定されていない場合にエラーが発生し、コードの修正例も併せて示されています。
なお、Cリンク指定の際にはextern "C"
の利用が重要なポイントとなります。
Cリンケージと #pragma alloc_text の関係
Cリンケージの基本
定義と役割
Cリンケージとは、関数名の名前修飾(マングリング)を行わず、C言語の規約に基づいた呼び出し方法を適用するための指定です。
C++で標準以外の言語(C言語)との互換性を保持する際に、関数名の参照方法が変わってしまう問題を防止する役割があります。
例えば、C++で定義した関数に対してextern "C"
を付加することで、Cコンパイラと相互運用可能な形式となります。
宣言方法と効果
Cリンケージを指定するには、関数宣言や定義の前にextern "C"
を記述します。
典型的な記述例は以下の通りです。
#include <stdio.h>
#ifdef __cplusplus
extern "C" {
#endif
// Cリンケージを持つ関数の宣言
void myFunction(void);
#ifdef __cplusplus
}
#endif
int main(void) {
myFunction();
return 0;
}
// Cリンケージを持つ関数の定義
#ifdef __cplusplus
extern "C" {
#endif
void myFunction(void) {
printf("Cリンケージの関数呼び出し\n");
}
#ifdef __cplusplus
}
#endif
このように記述することで、関数名のマングリングが行われず、Cスタイルの呼び出し規約が適用されるため、リンカエラーの回避につながります。
#pragma alloc_text の仕様
適用可能な関数の条件
#pragma alloc_text
は、関数コードを特定のセグメントに配置するためのプリプロセッサディレクティブです。
ただし、このディレクティブは、Cリンケージで宣言された関数のみに適用可能です。
すなわち、関数がextern "C"
として宣言されていない場合には、この操作を適用できず、コンパイルエラー(C2128)が発生する可能性があります。
また、セグメント名は文字列として指定する必要があり、リンカやコンパイラのバージョンに依存する動作があるため、仕様の詳細は使用環境のドキュメントを確認する必要があります。
制限事項と注意点
#pragma alloc_text
は下記の点に注意する必要があります。
・関数がCリンケージになっていないと、エラーC2128が発生します。
・セグメント名は正しく指定しなければならず、誤った指定は予期しない動作やリンクエラーにつながる可能性があります。
・使用するコンパイラのバージョンやリンカの実装により、サポートされる機能や制限が異なる場合があるため、公式ドキュメントの内容を遵守してください。
エラー C2128 の発生原因
非Cリンケージ関数への適用
Cリンケージ指定不足の問題点
#pragma alloc_text
は、Cリンケージが指定された関数でのみ有効です。
もし関数がCリンケージではなく、C++のデフォルトのリンケージ(名前マングリングが行われる状態)で宣言されていると、ディレクティブの適用に失敗し、コンパイルエラーC2128が発生します。
このエラーは、プリプロセッサディレクティブがCリンケージの関数にのみ適用されるというルールに起因しています。
不適切な関数宣言
宣言方法の誤り
エラーの原因として、関数の宣言時にextern "C"
を記述しなかった場合が挙げられます。
C++コード内でCリンケージを必要とする関数を定義する場合、正しくextern "C"
を付加していないと、関数はC++の名前マングリングが適用されるため、#pragma alloc_text
との整合性が取れずエラーとなります。
この場合、関数宣言と定義において、一貫してextern "C"
を使用することが重要です。
エラー発生時のコード例
エラーを引き起こすコードパターン
問題箇所の解説
以下のサンプルコードは、extern "C"
によるCリンケージの指定がない状態で#pragma alloc_text
を適用している例です。
このコードでは、関数func
がC++のリンケージにより定義されているため、ディレクティブが適用できず、コンパイル時にエラーC2128が発生します。
#include <stdio.h>
// Cリンケージ指定がないため、名前マングリングが行われる
void func();
// このディレクティブはCリンケージ関数にのみ有効
#pragma alloc_text("mySegment", func)
void func() {
printf("エラーC2128発生の例\n");
}
int main(void) {
func();
return 0;
}
修正後のコード例
extern “C” の正しい使用方法
次のサンプルコードは、extern "C"
によって関数func
がCリンケージで宣言されている正しい例です。
この記述により、#pragma alloc_text
が正しく適用され、エラーが回避されます。
#include <stdio.h>
#ifdef __cplusplus
extern "C" {
#endif
// Cリンケージを持つ関数の宣言
void func();
#ifdef __cplusplus
}
#endif
// 正しいCリンケージが指定された状態で#pragma alloc_textを適用
#pragma alloc_text("mySegment", func)
#ifdef __cplusplus
extern "C" {
#endif
void func() {
printf("エラー回避済みの関数呼び出し\n");
}
#ifdef __cplusplus
}
#endif
int main(void) {
func();
return 0;
}
修正コードの構造説明
上記の修正コードでは、以下の点が改善されています。
・関数宣言と定義の両方でextern "C"
を使用してCリンケージを明示。
・#pragma alloc_text
は宣言済みのCリンケージ関数func
に対して正しく適用。
これにより、コンパイル時のエラーC2128が回避され、意図したセグメント配置が実現されます。
対策と修正方法
正しい関数宣言の記述手法
Cリンケージ指定の注意点
関数をCリンケージで記述する際は、以下の点に注意してください。
・C++コード内でCの関数と互換性を持たせるため、必ず宣言と定義の双方にextern "C"
を適用する。
・ヘッダファイルを利用する場合は、#ifdef __cplusplus
と#endif
で囲むことで、CおよびC++の両方で正しく動作するようにする。
・記述の一貫性を確保することで、#pragma alloc_text
の適用エラーC2128を回避できるため、コードレビュー時に確認することが大切です。
エラー回避の具体的な対策
コード修正のポイント
エラーC2128を回避するための具体的なポイントは以下の通りです。
・関数を定義する際に、必ずextern "C"
を使用してCリンケージで宣言する。
・#pragma alloc_text
を適用する位置を、関数宣言後かつ定義前に配置し、リンケージ情報が正しく設定されていることを確認する。
・コード内にCリンケージ指定が不足している箇所がないか、コンパイルオプションを見直す。
・必要に応じて、既存のコードに対してヘッダファイルやマクロを活用し、Cリンケージの指定を統一的に適用する。
以上の対策を講じることで、Cリンケージの指定に関するエラーを未然に防ぐことができ、#pragma alloc_text
の正しい利用が可能となります。
まとめ
この記事では、Cリンケージの基本的な意味やその指定方法、さらに#pragma alloc_text
がCリンケージを持つ関数にのみ適用可能である点について解説しています。
エラーC2128の原因として、Cリンケージ指定不足や不適切な関数宣言が挙げられ、具体的なコード例で問題点と修正方法を示しました。
これにより、正しい関数宣言の記述方法とエラー回避の具体策が理解できます。