C言語のコンパイルエラー C3085の原因と対策について解説
コンパイラ エラー C3085は、C++のコードでコンストラクターに誤った指定子が付加された場合に発生します。
例えば、コンストラクターにabstract
やsealed
など使用できない修飾子を指定するとこのエラーが出ます。
宣言方法を見直して修正する必要があります。
エラー C3085の発生原因
エラー C3085 は、コンストラクターに対して不正な修飾子が使用されている際に発生します。
具体的には、abstract
や sealed
といったキーワードをコンストラクターに適用することで、このエラーが発生することがあります。
以下では、その原因について詳しく解説します。
不正な修飾子の使用
コンストラクターはクラスの初期化を行うための特殊な関数であり、通常のメンバ関数と同じように振る舞います。
したがって、コンストラクターに対して特定の修飾子(例:abstract
や sealed
)を適用することは仕様上認められていません。
abstract の使用例
abstract
修飾子をコンストラクターに適用すると、MSVC ではコンパイラ エラー C3085 が発生します。
以下のコードは、その誤った使用例を示しています。
#include <iostream>
// 以下の記述はエラー例です
ref struct ExampleAbstract {
// コンストラクターに 'abstract' を適用しており、エラー C3085 発生の原因となります
ExampleAbstract() abstract; // エラー: コンストラクターを 'abstract' にすることはできません
};
int main() {
return 0;
}
sealed の使用例
同様に、sealed
修飾子をコンストラクターに使用するとエラーが発生します。
以下はその誤用例です。
#include <iostream>
// 以下の記述はエラー例です
ref struct ExampleSealed {
// コンストラクターに 'sealed' を適用しており、エラー C3085 が発生します
ExampleSealed() sealed {} // エラー: コンストラクターを 'sealed' にすることはできません
};
int main() {
return 0;
}
宣言方法の不整合
エラー C3085 は、不正な修飾子の適用だけでなく、コンストラクターの宣言方法そのものに起因するケースもあります。
特に、クラス宣言とコンストラクターの定義が整合していない場合に発生しやすくなります。
クラス宣言における注意点
クラス宣言の際は、コンストラクターの宣言部分とそれに続く定義部分で使用する修飾子やシグネチャが一致していることを確認する必要があります。
例えば、ヘッダファイルでの宣言と実装ファイルでの定義において、余分なキーワードが含まれている場合、コンパイルエラーが生じる可能性があります。
コンストラクター定義での誤用
コンストラクターの定義時に、誤ってメンバ初期化リストの記述や修飾子の位置が異なると、エラー C3085 の原因となります。
特に、コンストラクターに対して本来不要なキーワードを付加してしまうことが主な原因となります。
エラー C3085の対策
エラー C3085 を解決するためには、コンストラクターに対して不正な修飾子を使用しないことが重要です。
以下では、正しいコンストラクターの記述方法とともに、環境設定に関するポイントについて解説します。
正しいコンストラクターの記述方法
コンストラクターを正しく定義するためには、不要な修飾子を省略し、シンプルな形式で記述する必要があります。
オブジェクトの初期化に専念するコードとして記述することで、エラー C3085 の発生を防ぐことができます。
コード例による解説
以下のサンプルコードは、正しく定義されたコンストラクターの例です。
不要なキーワードを使用せずに、クラスの初期化を正しく実装しています。
#include <iostream>
// 正しく定義されたクラス
struct CorrectSample {
// コンストラクターの定義(余計な修飾子は使用していません)
CorrectSample() {
std::cout << "コンストラクターが正しく定義されました" << std::endl;
}
};
int main() {
// クラスのインスタンスを作成
CorrectSample sample;
return 0;
}
コンストラクターが正しく定義されました
コンパイラ設定の確認
エラー C3085 はコードの記述のみならず、使用しているコンパイラの設定にも影響を受ける場合があります。
特に、Microsoft の C++/CLI など特定のモードでコンパイルする場合、不正な修飾子のチェックが厳格になることがあります。
そのため、以下の点にご注意ください。
環境構築時の留意点
- コンパイラのバージョンやビルドのオプション(例:/clr フラグ)が正しく設定されているかを確認することが重要です。
- IDE やビルドツールの設定画面で、不要な言語拡張モードが有効になっていないかチェックしてください。
- プロジェクト全体の設定が意図したとおりであるか、特にコンパイルオプションやリンク設定に不整合がないかを確認します。
エラーメッセージの解析
エラー C3085 に限らず、コンパイラから出力されるエラーメッセージは、問題箇所や原因を特定するための重要な手がかりです。
以下では、エラーメッセージの各要素について解説いたします。
各要素の意味の解説
コンパイラのエラーメッセージは、エラーが発生した箇所、問題となるキーワード、そしてエラーコードが含まれています。
エラーコード C3085 は、コンストラクターに対して不正な修飾子が使用されている際に出力されるため、このキーワードの使用を重点的に確認する必要があります。
キーワードに関する部分の確認
エラーに表示されるキーワード(例:abstract
や sealed
)は、コンストラクター定義において使用してはならないものです。
エラーメッセージ中の 'constructor'
という部分は、問題がコンストラクターに起因していることを示しており、これらのキーワードの使用が原因であることが明確になります。
エラー箇所の特定方法
エラーメッセージには、通常ソースコード内の該当箇所が示されます。
行番号やファイル名が出力されるため、まずはそれらの情報を基にコードを確認してください。
誤った修飾子が付加されている部分や、不整合な宣言方法が使用されている箇所を見直すことで、速やかに修正することが可能です。
開発環境での注意点
エラー C3085 は、コードの記述ミスだけでなく、開発環境全体の設定や使用している言語仕様の違いによっても発生する可能性があります。
ここでは、C言語とC++の仕様の違いや、コンパイラのバージョンに依存する点について解説いたします。
C言語とC++の仕様の違い
C言語ではクラスやコンストラクターの概念が存在しないため、エラー C3085 のようなコンストラクターに対する修飾子の誤用は発生しません。
一方、C++(特に C++/CLI など拡張仕様を使用する場合)では、クラスの初期化に関する記述方法や許容されるキーワードが厳密に定義されています。
そのため、C言語と C++ の仕様の違いを理解した上で、各言語に適した記述方法を採用することが重要です。
コンパイラバージョン依存の確認ポイント
コンパイラのバージョンや設定オプションが異なる場合、同じコードであってもエラーの発生条件が変化することがあります。
具体的には、最新のコンパイラではより厳格なチェックが行われるため、以前は警告やエラーにならなかった記述がエラーとして検出される可能性があります。
そのため、開発環境のコンパイラバージョンや設定オプションを定期的に確認し、ドキュメントに基づいた適切な記述方法を維持することが望ましいです。
まとめ
この記事では、コンストラクターに対して不正な修飾子abstract
や sealed
が付加された場合に発生するエラー C3085 の原因を解説しました。
また、正しいコンストラクター記述方法やコンパイラ設定の確認、エラーメッセージの読み方、C言語とC++の違いについても触れ、エラー解消に役立つ情報が理解できる内容となっています。