アルゴリズム

[C言語] qsort関数を使ってソートする方法を詳しく解説

2025-01-18更新日: 2025-01-18

C言語の標準ライブラリには、配列を効率的にソートするための関数としてqsortがあります。

この関数はクイックソートアルゴリズムを基にしており、汎用性が高く、任意のデータ型をソートすることが可能です。

使用する際には、ソート対象の配列、配列の要素数、各要素のサイズ、比較関数を引数として渡します。

比較関数は、二つの要素を比較し、その結果を整数で返す必要があります。

これにより、qsortは配列内の要素を昇順または降順に並べ替えることができます。

目次から探す

qsort関数とは

C言語の標準ライブラリには、配列を効率的にソートするための便利な関数がいくつか用意されています。

その中でも特に広く使われているのがqsort関数です。

この関数は、クイックソートアルゴリズムを基にした汎用的なソート関数で、さまざまなデータ型の配列をソートすることができます。

qsort関数の概要

qsort関数は、C言語の標準ライブラリに含まれており、配列の要素を指定された順序で並べ替えるために使用されます。

この関数は、配列の要素の型に依存しないため、整数、浮動小数点数、文字列、構造体など、さまざまなデータ型の配列をソートすることができます。

qsort関数のプロトタイプ

qsort関数のプロトタイプは、以下のように定義されています。

#include <stdlib.h>
void qsort(void *base, size_t num, size_t size, int (*compar)(const void *, const void *));

base: ソートする配列の先頭要素へのポインタ
num: 配列の要素数
size: 各要素のサイズ(バイト単位)
compar: 要素を比較するための関数へのポインタ

qsort関数の引数の説明

qsort関数は、4つの引数を取ります。

それぞれの引数の役割は以下の通りです。

base: ソート対象の配列の先頭を指すポインタです。

このポインタはvoid型であるため、任意のデータ型の配列を指すことができます。

num: 配列の要素数を指定します。

size_t型で表され、通常はsizeof演算子を使用して計算されます。

size: 配列の各要素のサイズをバイト単位で指定します。

これもsize_t型で、sizeof演算子を用いて要素のサイズを取得します。

compar: 要素を比較するための関数へのポインタです。

この関数は、2つの要素を引数として受け取り、比較結果を整数で返します。

返り値が負の場合は第1引数が第2引数より小さいことを示し、0の場合は等しいこと、正の場合は第1引数が第2引数より大きいことを示します。

このように、qsort関数は非常に柔軟で、さまざまなデータ型の配列をソートすることが可能です。

次のセクションでは、具体的な使い方について詳しく解説します。

qsort関数の使い方

qsort関数を使用して配列をソートするためには、いくつかの準備が必要です。

ここでは、qsort関数を使ったソートの手順を詳しく解説します。

配列のソートに必要な準備

qsort関数を使用するためには、まず比較関数を作成し、ソート対象の配列を準備する必要があります。

比較関数の作成

qsort関数は、要素を比較するための関数を必要とします。

この比較関数は、2つの要素を引数として受け取り、以下のように整数を返します。

負の値: 第1引数が第2引数より小さい
0: 第1引数と第2引数が等しい
正の値: 第1引数が第2引数より大きい

以下は、整数を昇順にソートするための比較関数の例です。

int compareIntegers(const void *a, const void *b) {
    return (*(int*)a - *(int*)b);
}

配列の準備

次に、ソート対象の配列を準備します。

ここでは、整数の配列を例にします。

int array[] = {5, 2, 9, 1, 5, 6};
size_t arraySize = sizeof(array) / sizeof(array[0]);

qsort関数の呼び出し

準備が整ったら、qsort関数を呼び出して配列をソートします。

以下のコードは、先ほど準備した配列をソートする例です。

qsort(array, arraySize, sizeof(int), compareIntegers);

この呼び出しにより、arrayが昇順にソートされます。

ソート結果の確認

ソートが完了したら、結果を確認します。

以下のコードは、ソートされた配列を出力する例です。

#include <stdio.h>
for (size_t i = 0; i < arraySize; i++) {
    printf("%d ", array[i]);
}
printf("\n");

1 2 5 5 6 9

このようにして、qsort関数を使って配列をソートすることができます。

比較関数を変更することで、異なるデータ型やソート順序にも対応可能です。

qsort関数の実例

ここでは、qsort関数を使った具体的なソートの例をいくつか紹介します。

整数配列、文字列配列、構造体配列のソート方法をそれぞれ解説します。

整数配列のソート

整数配列をソートするには、整数用の比較関数を用意し、qsort関数を呼び出します。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
// 比較関数
int compareIntegers(const void *a, const void *b) {
    return (*(int*)a - *(int*)b);
}
int main() {
    int array[] = {5, 2, 9, 1, 5, 6};
    size_t arraySize = sizeof(array) / sizeof(array[0]);
    // qsort関数の呼び出し
    qsort(array, arraySize, sizeof(int), compareIntegers);
    // ソート結果の表示
    for (size_t i = 0; i < arraySize; i++) {
        printf("%d ", array[i]);
    }
    printf("\n");
    return 0;
}

1 2 5 5 6 9

この例では、整数配列が昇順にソートされます。

文字列配列のソート

文字列配列をソートするには、文字列用の比較関数を用意します。

strcmp関数を利用して文字列を比較します。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <string.h>
// 比較関数
int compareStrings(const void *a, const void *b) {
    return strcmp(*(const char **)a, *(const char **)b);
}
int main() {
    const char *array[] = {"banana", "apple", "orange", "grape"};
    size_t arraySize = sizeof(array) / sizeof(array[0]);
    // qsort関数の呼び出し
    qsort(array, arraySize, sizeof(char*), compareStrings);
    // ソート結果の表示
    for (size_t i = 0; i < arraySize; i++) {
        printf("%s ", array[i]);
    }
    printf("\n");
    return 0;
}

apple banana grape orange

この例では、文字列配列がアルファベット順にソートされます。

構造体配列のソート

構造体配列をソートするには、構造体のメンバを基にした比較関数を用意します。

ここでは、構造体の整数メンバを基にソートします。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
// 構造体の定義
typedef struct {
    int id;
    char name[20];
} Person;
// 比較関数
int comparePersons(const void *a, const void *b) {
    return ((Person*)a)->id - ((Person*)b)->id;
}
int main() {
    Person array[] = {{3, "Alice"}, {1, "Bob"}, {2, "Charlie"}};
    size_t arraySize = sizeof(array) / sizeof(array[0]);
    // qsort関数の呼び出し
    qsort(array, arraySize, sizeof(Person), comparePersons);
    // ソート結果の表示
    for (size_t i = 0; i < arraySize; i++) {
        printf("%d: %s\n", array[i].id, array[i].name);
    }
    return 0;
}

1: Bob
2: Charlie
3: Alice

この例では、構造体配列がidメンバを基に昇順にソートされます。

qsort関数を使うことで、さまざまなデータ型の配列を柔軟にソートすることが可能です。

qsort関数の応用

qsort関数は、基本的なソートだけでなく、さまざまな応用が可能です。

ここでは、降順ソート、部分的なソート、カスタムデータ型のソートについて解説します。

降順ソートの実装

qsort関数を使って降順にソートするには、比較関数を変更します。

比較関数の戻り値を反転させることで、降順ソートを実現できます。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
// 降順ソート用の比較関数
int compareIntegersDescending(const void *a, const void *b) {
    return (*(int*)b - *(int*)a);
}
int main() {
    int array[] = {5, 2, 9, 1, 5, 6};
    size_t arraySize = sizeof(array) / sizeof(array[0]);
    // qsort関数の呼び出し
    qsort(array, arraySize, sizeof(int), compareIntegersDescending);
    // ソート結果の表示
    for (size_t i = 0; i < arraySize; i++) {
        printf("%d ", array[i]);
    }
    printf("\n");
    return 0;
}

9 6 5 5 2 1

この例では、整数配列が降順にソートされます。

部分的なソート

配列の一部だけをソートすることも可能です。

qsort関数の引数で、ソートする範囲を指定することで実現できます。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
// 比較関数
int compareIntegers(const void *a, const void *b) {
    return (*(int*)a - *(int*)b);
}
int main() {
    int array[] = {5, 2, 9, 1, 5, 6};
    size_t start = 1; // ソート開始位置
    size_t end = 4;   // ソート終了位置
    size_t numElements = end - start + 1;
    // 部分的なqsort関数の呼び出し
    qsort(&array[start], numElements, sizeof(int), compareIntegers);
    // ソート結果の表示
    for (size_t i = 0; i < sizeof(array) / sizeof(array[0]); i++) {
        printf("%d ", array[i]);
    }
    printf("\n");
    return 0;
}

5 1 2 5 9 6

この例では、配列の一部(インデックス1から4まで)がソートされます。

カスタムデータ型のソート

カスタムデータ型のソートもqsort関数で可能です。

ここでは、構造体の文字列メンバを基にソートする例を示します。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <string.h>
// 構造体の定義
typedef struct {
    int id;
    char name[20];
} Person;
// 名前でソートするための比較関数
int comparePersonsByName(const void *a, const void *b) {
    return strcmp(((Person*)a)->name, ((Person*)b)->name);
}
int main() {
    Person array[] = {{3, "Alice"}, {1, "Bob"}, {2, "Charlie"}};
    size_t arraySize = sizeof(array) / sizeof(array[0]);
    // qsort関数の呼び出し
    qsort(array, arraySize, sizeof(Person), comparePersonsByName);
    // ソート結果の表示
    for (size_t i = 0; i < arraySize; i++) {
        printf("%d: %s\n", array[i].id, array[i].name);
    }
    return 0;
}

3: Alice
1: Bob
2: Charlie

この例では、構造体配列がnameメンバを基にアルファベット順にソートされます。

qsort関数を使うことで、さまざまな応用が可能であり、柔軟なソート処理を実現できます。

qsort関数の注意点

qsort関数を使用する際には、いくつかの注意点があります。

これらのポイントを理解しておくことで、正しく効率的にソートを行うことができます。

比較関数の戻り値

qsort関数の動作は、比較関数の戻り値に大きく依存します。

比較関数は、2つの要素を比較し、以下のように整数を返す必要があります。

負の値: 第1引数が第2引数より小さい
0: 第1引数と第2引数が等しい
正の値: 第1引数が第2引数より大きい

この戻り値が正しくないと、qsort関数は正しく動作しません。

特に、戻り値が0の場合は、要素が等しいと判断されるため、注意が必要です。

配列のサイズと要素数

qsort関数を使用する際には、配列のサイズと要素数を正しく指定することが重要です。

配列のサイズ: sizeof演算子を使用して、配列全体のサイズを取得します。
要素数: 配列の要素数は、配列のサイズを各要素のサイズで割ることで計算します。

size_t arraySize = sizeof(array) / sizeof(array[0]);

この計算が誤っていると、qsort関数は配列の一部しかソートしない、またはメモリの範囲外をアクセスする可能性があります。

メモリ管理の注意

qsort関数は、配列の要素を直接並べ替えます。

そのため、以下の点に注意が必要です。

配列の内容が変更される: qsort関数を呼び出すと、配列の内容が変更されるため、元の順序を保持したい場合は、事前に配列をコピーしておく必要があります。
メモリの確保と解放: 動的に確保したメモリをソートする場合、mallocやcallocで確保したメモリは、qsort関数の後も適切に解放する必要があります。

qsort関数自体はメモリの確保や解放を行わないため、メモリリークを防ぐためにfreeを使用して解放します。

これらの注意点を理解し、適切に対処することで、qsort関数を安全かつ効果的に利用することができます。