リンカー

C言語 LNK4039 警告について解説

C言語の開発時にリンカーツールから表示される警告「LNK4039」は、/SECTIONオプションで指定されたセクション名が入力ファイル内に存在しないため発生します。

Dumpbinなどの補助ツールを使用してセクションの状況を確認し、指定内容が正しいか再確認することをおすすめします。

LNK4039警告の原因

LNK4039警告は、リンク時に指定されたセクション名が入力ファイル内に存在しない場合に発生します。

コンパイラやリンカーが生成するオブジェクトファイルは、複数のセクション(例:.text, .data, .rdataなど)に分割されています。

/SECTIONオプションを用いると特定のセクションに対して属性の変更などが指定できますが、実際にオブジェクトファイルに含まれていないセクションを参照した場合、リンクツールはその一致を確認できず警告が表示されます。

/SECTIONオプションの役割と仕様

/SECTIONオプションは、リンク時に各セクションの属性(読み取り専用、書き込み可能、実行可能など)を明示的に設定するために使用されます。

たとえば、以下のように使用されます。

  • セクションの名前を指定し、属性を変更する
  • セクション毎の動作を細かく制御する

ただし、指定されたセクションが入力ファイルに存在しなければLNK4039警告が出力され、その結果、リンクが意図通りに進まない場合があります。

入力ファイル内のセクション構成

オブジェクトファイルは、コンパイル後にリンカーに渡す際、以下のようなセクションに区分されることが一般的です。

  • .text:プログラムの実行コード
  • .data:初期化済みのグローバル変数
  • .bss:初期化されていないグローバル変数
  • .rdata:読み取り専用データ

これらのセクション構成は、Microsoft Visual C/C++の標準として定義されているため、仕様に沿って作られたオブジェクトファイルには、ほとんどの場合標準的な名前が付与されます。

セクション名の不一致が発生する理由

セクション名の不一致は、以下のようなケースで発生します。

  • コンパイラが生成する標準セクション名と、/SECTIONオプションで指定された名称が異なる場合
  • プロジェクト内でカスタムセクションを定義しているが、設定ミスで誤ったセクション名を指定している場合
  • 複数のオブジェクトファイルを結合する際に、セクション名に一貫性がない場合

これにより、リンクツールは対象のセクションを特定できず、LNK4039警告を発生させます。

エラー解析の方法

エラー解析は、入力ファイル内のセクション情報を確認することから始まります。

正しいセクション名と、/SECTIONオプションで設定した名前が一致しているかをチェックすることが重要です。

Dumpbinの利用と/HEADERSオプション

MicrosoftのDumpbinツールは、オブジェクトファイルや実行ファイルの詳細な情報を表示できます。

特に、/HEADERSオプションを利用することで、対象ファイルに含まれるセクション一覧を出力できます。

使用例は以下の通りです。

dumpbin /headers MyProgram.obj

この出力結果を確認することで、実際のセクション名を把握でき、/SECTIONオプションで指定すべき名前が明確になります。

Editbinの利用方法

Editbinは、既に生成済みの実行ファイルやDLLのセクション属性を修正するためのツールです。

/SECTIONオプションで誤った名前を指定してしまった場合でも、Editbinを使用して正しい属性に修正するケースが存在します。

使用例としては、以下のように実行します。

editbin /SECTION:.data,R MyProgram.exe

この例では、.dataセクションの属性を読み取り専用(R)に変更する操作を行っています。

正しいセクション名を把握した上で、Editbinを活用すれば、リンク後の問題を一部緩和できる可能性があります。

エラー対応手順

エラー発生時は、まず入力ファイルのセクション情報を確認し、/SECTIONオプションで指定されたセクション名と一致しているかどうかを検証することが求められます。

入力ファイルの検証と修正

Dumpbinなどのツールを用いて入力ファイルのヘッダー情報を確認し、実際に存在するセクション名と照合します。

この検証により、誤ったセクション名を指定している場合や、必要なセクションがオブジェクトファイルに含まれていない場合が明らかになります。

セクション指定の見直し

入力ファイル内に存在する正しいセクション名を把握したら、リンク時に使用している/SECTIONオプションの指定内容を修正する必要があります。

以下は、入力ファイルのセクション情報と/SECTIONオプションの調整を確認するためのサンプルコードです。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <string.h>
// セクション情報を表す構造体
typedef struct {
    char sectionName[32];  // セクション名(例:".text"、".data")
    unsigned int flags;    // セクション属性を表すフラグ
} Section;
int main(void) {
    Section sec;
    // サンプルとして、オブジェクトファイルに実際に存在するセクション名を設定
    strcpy(sec.sectionName, ".text");  // 実際のセクション名は".text"です
    // リンカで /SECTIONオプションが誤って".data"と指定された場合のチェック例
    if (strcmp(sec.sectionName, ".data") == 0) {
        // 警告発生のシミュレーション
        printf("LNK4039 警告: 指定されたセクション名 '.data' は存在しません。\n");
    } else {
        // 正常な場合の処理
        printf("正しいセクションが指定されています: %s\n", sec.sectionName);
    }
    return 0;
}
正しいセクションが指定されています: .text

この例では、実際のオブジェクトファイルに存在するセクション名(.text)と、誤って指定されたセクション名(.data)の違いをシンプルに表現しています。

実際のプロジェクトでは、Dumpbinで確認した結果をもとに、正しいセクション名に合わせた/SECTIONオプションの見直しが必須です。

まとめ

この記事では、LNK4039警告の原因(/SECTIONオプションで指定されたセクション名が入力ファイルに存在しない場合の問題)とその仕組み、入力ファイル内のセクション構成、セクション名の不一致の発生理由を解説しました。

また、DumpbinとEditbinの具体的な使い方を通じてエラー解析方法と対応手順、必要なセクション指定の見直し方法についても詳述。

Microsoft Learnドキュメントの活用例により、正しい対処法と他のリンクエラーとの違いについても理解できる内容となっています。

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