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C言語 LNK1164エラーについて解説:/ALIGNオプションとセクションアラインメントの調整方法

C言語で開発中にLNK1164エラーが発生する場合、リンカがオブジェクトファイル内のセクションのアラインメント値がコマンドラインで指定された/ALIGNの値を超えていると判断しています。

/ALIGNには2の累乗の値を設定する必要があり、セクションのアラインメントはこれと同じかそれ以下にする必要があります。

エラー解消には、ソース側でアラインメントを調整し再コンパイルするか、/ALIGNの値を増やす対策が考えられます。

エラー概要と原因

LNK1164エラー発生の背景

LNK1164エラーは、リンカがオブジェクトファイル内の特定のセクションのアラインメント値が、リンカに指定された/ALIGNオプションの値を超えていると判断した場合に発生します。

エラーが報告されると、セクションのメモリアラインメントが正しく設定されていない可能性があり、最終的な実行ファイルが意図通りに動作しない恐れがあります。

これは、外部ライブラリや特殊なアラインメント属性を持つソースコードから発生する場合があり、実際の開発環境では、各コンパイルユニット間の整合性を確認する必要があります。

/ALIGNオプションの仕様と制限

/ALIGNオプションは、リンカが生成する実行ファイル全体のセクションアラインメントを指定する役割を持っています。

しかし、この値にはいくつかの制限があり、必ずオブジェクトファイル内で指定されるセクションのアラインメント値以上の値を指定しなければなりません。

適切な設定がなされない場合、LNK1164エラーが発生し、リンク処理が停止される場合があるため、正しい理解と設定が求められます。

2の累乗ルールの説明

/ALIGNオプションで指定する値は、2n(nは非負整数)という形式でなければなりません。

たとえば、/ALIGN:4096という指定は、4096=212として正しい値ですが、これより小さい値や2の累乗でない値では正しく設定できません。

正確な数値設定は、エラーを回避する上で重要な要素となります。

オブジェクトファイル内のセクションアラインメント

各オブジェクトファイルには、コンパイラが生成する複数のセクション(例:.text、.data、.rdataなど)が含まれており、それぞれのセクションには固有のアラインメントが設定されています。

リンカはこれらのセクション情報を参照し、/ALIGNオプションの指定と照合して最終的な実行ファイルのメモリレイアウトを決定します。

万一、オブジェクトファイル内のセクションのアラインメントが/ALIGNの指定より大きい場合、LNK1164エラーが発生するのです。

セクションアラインメントの詳細

セクションアラインメントの基本

セクションアラインメントは、プログラムの各セクションがメモリ上のどの境界に配置されるかを決定するための仕組みです。

正しいアラインメントが設定されることで、CPUのメモリアクセス効率が向上し、実行時のパフォーマンスが改善される場合があります。

また、特定のアーキテクチャやハードウェア要求に合わせたメモリ配置を実現するためにも、アラインメントは重要な役割を果たします。

オブジェクトファイルにおけるセクション配置

オブジェクトファイルは、コンパイラによって生成される中間ファイルであり、複数のセクションが含まれています。

各セクションは、データやコード、リソースなどの情報をまとめた部分で、固有のアラインメントを持っています。

リンカはこれらオブジェクトファイルを統合する際に各セクションの配置を最適化し、実行ファイルにまとめます。

コンパイラとリンカの連携

コンパイラはソースコードを解析し、要求に応じたアラインメント情報を各オブジェクトファイルに埋め込む役割を果たします。

一方、リンカはこれらの情報を基に最終的な実行ファイルを生成する際、/ALIGNオプションで指定された値と整合性が取れるよう調整を行います。

コンパイラとリンカ間の連携が適切に行われない場合、セクションアラインメントに関する不一致が原因でLNK1164エラーが発生する場合があります。

対策と調整方法

ソースコード側でのアラインメント調整

ソースコード側でアラインメントを明示的に指定することにより、オブジェクトファイル内のセクションのアラインメントが調整され、LNK1164エラーを回避する方法も存在します。

適切なアラインメント属性を設定することで、リンカが要求する/ALIGNオプションの条件を満たすように対策を行います。

対象セクションの特定と再コンパイル手法

まずは、どのセクションが問題となっているかを特定するため、dumpbinなどのツールでオブジェクトファイルを解析することが有用です。

その後、ソースコード側でアラインメント指定を行い、再コンパイルして効果を確認します。

以下にサンプルコードを示します。

#include <stdio.h>
// 4096バイトにアラインされたバッファを定義するサンプルコードです。
__declspec(align(4096)) char alignedBuffer[1024];
int main(void) {
    // alignedBuffer のアドレスを出力してアラインメントを確認する
    printf("Address of alignedBuffer: %p\n", (void*)alignedBuffer);
    return 0;
}
Address of alignedBuffer: 0x0000000000402000

/ALIGNオプションの変更手順

場合によっては、ソースコード側の変更だけではなく、リンカに渡す/ALIGNオプションの値を見直すことでエラーを解消することが可能です。

必要なアラインメント値がオブジェクトファイルの各セクションの要件を満たすように、/ALIGNオプションの設定を変更します。

コマンドラインによる設定変更

プロジェクトをコマンドラインからビルドする場合、リンカに対して直接/ALIGNオプションを指定できます。

例えば、以下のように指定してコンパイルする方法があります。

cl /c sample.c
link sample.obj /ALIGN:4096

この指定により、リンカは出力ファイル全体のアラインメントを4096バイトに設定し、オブジェクトファイル内のセクションと整合性が取れるよう調整されます。

開発環境でのリンカ設定確認

統合開発環境(IDE)を利用している場合、プロジェクトのリンカ設定を確認し、/ALIGNオプションが希望の値になっているかチェックすることが重要です。

IDEのプロジェクト設定画面から、リンカオプションにアクセスし、適切な値(例:4096)が設定されているかどうかを確認することで、LNK1164エラーの発生を予防できます。

トラブルシューティング

エラー原因のチェックポイント

LNK1164エラーが発生した場合、まずは以下のチェックポイントを確認してください。

設定ミスの見直し

コンパイルやリンカ設定に不整合がないか、ソースコード側のアラインメント指定やプロジェクト設定を再確認してください。

設定ミスが原因でエラーが発生しているケースも多いため、各設定値を慎重に確認することが大切です。

リンカバージョンの確認

リンカのバージョンが古い場合、特定のオプションや仕様に対応していない可能性があります。

最新のリンカにアップデートすることで、問題が解決される場合があります。

リンカの更新履歴やドキュメントを参考に、必要なアップデートがあるかを確認してください。

修正効果の検証方法

再コンパイル後の動作チェック

設定変更が正しく反映されることを確認するために、システム全体を再ビルドして動作確認を行います。

再コンパイル後、実行ファイルのセクションアラインメントを再度dumpbinなどで検証し、期待するアラインメント値になっているかどうかを確認してください。

また、実行時の動作に異常がないかをチェックすることも重要です。

まとめ

本記事では、LNK1164エラー発生の背景や/ALIGNオプションの仕様に加え、2の累乗ルールやオブジェクトファイル内のセクションアラインメントについて解説しています。

また、ソースコード上でのアラインメント指定と、コマンドラインやIDEによるリンカ設定変更の手順を実例付きで説明しており、エラーのチェックポイントや再ビルド時の動作確認方法についても触れております。

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