【C言語】グローバル変数にexternを付ける意味について解説

この記事では、C言語におけるグローバル変数とexternキーワードの使い方について解説します。

グローバル変数が何か、どのように使うのか、そしてexternを使うことで複数のファイル間で変数を共有する方法を学ぶことができます。

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グローバル変数とは

グローバル変数は、プログラム全体でアクセス可能な変数のことを指します。

これに対して、ローカル変数は特定の関数内でのみ有効な変数です。

グローバル変数は、プログラムのどの部分からでも参照できるため、特に複数の関数で同じデータを共有したい場合に便利です。

グローバル変数の定義

グローバル変数は、関数の外で宣言された変数です。

C言語では、グローバル変数はファイルの先頭で宣言され、プログラム全体で使用することができます。

以下は、グローバル変数の例です。

#include <stdio.h>
// グローバル変数の宣言
int globalVar = 10;
void displayGlobalVar() {
    printf("グローバル変数の値: %d\n", globalVar);
}
int main() {
    displayGlobalVar();
    return 0;
}

この例では、globalVarというグローバル変数が定義されており、displayGlobalVar関数からアクセスされています。

グローバル変数の特徴

グローバル変数にはいくつかの特徴があります。

  1. スコープ: グローバル変数はプログラム全体で有効であり、どの関数からでもアクセスできます。
  2. ライフタイム: プログラムが実行されている間、グローバル変数はメモリに保持され続けます。

プログラムが終了するまでその値は保持されます。

  1. 初期化: グローバル変数は、明示的に初期化しない場合でも自動的に0で初期化されます。

グローバル変数の利点と欠点

グローバル変数には、利点と欠点があります。

利点

  • データの共有: 複数の関数で同じデータを簡単に共有できるため、プログラムの構造がシンプルになります。
  • 可読性の向上: グローバル変数を使用することで、関数間でのデータの受け渡しが明確になり、コードの可読性が向上します。

欠点

  • 予測不可能な変更: グローバル変数はどの関数からでも変更可能なため、意図しない変更が行われるリスクがあります。

これにより、バグが発生しやすくなります。

  • デバッグの難しさ: グローバル変数が多くなると、どの関数がその変数を変更しているのか追跡するのが難しくなり、デバッグが困難になります。
  • メモリの無駄遣い: プログラムが終了するまでメモリに保持されるため、必要のないデータがメモリを占有することになります。

このように、グローバル変数は便利な一方で、注意が必要な要素でもあります。

プログラムの設計時には、グローバル変数の使用を慎重に検討することが重要です。

externキーワードの基本

externの定義

externはC言語において、変数や関数の宣言に使用されるキーワードです。

このキーワードを使うことで、他のファイルやスコープで定義された変数や関数を参照することができます。

具体的には、externを付けた変数は、その変数が他の場所で定義されていることをコンパイラに伝えます。

例えば、以下のようにexternを使って変数を宣言することができます。

extern int globalVar; // 他のファイルで定義されているグローバル変数

この宣言は、globalVarが他のファイルで定義されていることを示していますが、実際のメモリの割り当ては行いません。

externの使用目的

externの主な目的は、異なるソースファイル間で変数や関数を共有することです。

C言語では、プログラムが複数のファイルに分かれていることが一般的です。

この場合、あるファイルで定義された変数や関数を他のファイルから利用するためにexternを使用します。

例えば、以下のように2つのファイルがあるとします。

#include <stdio.h>
int globalVar = 10; // グローバル変数の定義
void printGlobalVar() {
    printf("Global Variable: %d\n", globalVar);
}
#include <stdio.h>
extern int globalVar; // file1.cで定義されたグローバル変数を参照
int main() {
    printf("Global Variable from file2: %d\n", globalVar);
    return 0;
}

このように、file2.cではexternを使ってfile1.cで定義されたglobalVarを参照しています。

externとスコープの関係

externはスコープに関連する重要な概念です。

C言語では、変数や関数のスコープは、その変数や関数が有効な範囲を示します。

externを使うことで、スコープを超えて変数や関数を参照することが可能になります。

通常、変数はその定義されたブロック内でのみ有効ですが、externを使うことで、他のファイルやスコープからもアクセスできるようになります。

これにより、プログラム全体で一貫したデータを扱うことができ、コードの再利用性が向上します。

ただし、externを使う際には注意が必要です。

変数がどこで定義されているかを明確に理解しておかないと、未定義の変数を参照しようとしてエラーが発生することがあります。

したがって、externを使用する際は、変数の定義と宣言の関係をしっかりと把握しておくことが重要です。

グローバル変数にexternを付ける意味

複数ファイルでの変数の共有

C言語では、プログラムを複数のソースファイルに分割して管理することが一般的です。

この場合、異なるファイル間で同じグローバル変数を使用したいことがあります。

ここでexternキーワードが役立ちます。

externを使うことで、他のファイルで定義されたグローバル変数を参照することができます。

例えば、file1.cで定義された変数をfile2.cで使用する場合、次のように記述します。

// file1.c
#include <stdio.h>
int globalVar = 10; // グローバル変数の定義
void display() {
    printf("Global Variable: %d\n", globalVar);
}
// file2.c
#include <stdio.h>
extern int globalVar; // externを使って他のファイルの変数を参照
void modify() {
    globalVar = 20; // 変数の値を変更
}

このように、file2.cではexternを使ってfile1.cglobalVarを参照しています。

これにより、異なるファイル間で変数を共有することが可能になります。

リンク時の解決

C言語では、プログラムがコンパイルされる際に、各ソースファイルが個別にコンパイルされます。

その後、リンク時にこれらのファイルが結合され、最終的な実行可能ファイルが生成されます。

このリンク時に、externを使って宣言された変数は、他のファイルで定義された変数と結びつけられます。

例えば、上記の例でfile1.cfile2.cをコンパイルしてリンクすると、globalVarfile1.cで定義されたものとして解決されます。

これにより、プログラム全体で一貫した変数の使用が可能になります。

コードの可読性と保守性の向上

externを使用することで、コードの可読性と保守性が向上します。

明示的に変数が他のファイルで定義されていることを示すことで、プログラムの構造が明確になります。

これにより、他の開発者がコードを理解しやすくなり、将来的な修正や拡張が容易になります。

例えば、externを使わずにグローバル変数を直接使用すると、どのファイルで定義されているのかが不明瞭になり、バグの原因となることがあります。

しかし、externを使うことで、変数のスコープが明確になり、どのファイルでその変数が定義されているのかを簡単に追跡できます。

このように、externを使うことは、プログラムの可読性と保守性を高めるための重要な手段となります。

externを使った具体例

基本的な使用例

externキーワードは、他のファイルで定義された変数を参照するために使用されます。

以下に、基本的な使用例を示します。

#include <stdio.h>
// グローバル変数の定義
int globalVar = 10;
// externを使ってグローバル変数を参照
void printGlobalVar() {
    extern int globalVar; // 他のファイルで定義された変数を参照
    printf("グローバル変数の値: %d\n", globalVar);
}
int main() {
    printGlobalVar(); // 関数を呼び出してグローバル変数の値を表示
    return 0;
}

この例では、globalVarというグローバル変数を定義し、printGlobalVar関数内でexternを使ってその変数を参照しています。

プログラムを実行すると、グローバル変数の値が表示されます。

複数ファイルでの使用例

externは、複数のソースファイル間で変数を共有する際にも非常に便利です。

以下に、2つのファイルを使った例を示します。

#include <stdio.h>
// グローバル変数の定義
int sharedVar = 20;
void displaySharedVar();
#include <stdio.h>
// externを使って他のファイルで定義された変数を参照
extern int sharedVar;
void displaySharedVar() {
    printf("共有変数の値: %d\n", sharedVar);
}
#include <stdio.h>
// 関数のプロトタイプ宣言
void displaySharedVar();
int main() {
    displaySharedVar(); // 共有変数の値を表示
    return 0;
}

この例では、file1.csharedVarというグローバル変数を定義し、file2.cexternを使ってその変数を参照しています。

main.cからdisplaySharedVar関数を呼び出すことで、sharedVarの値を表示します。

これにより、異なるファイル間で変数を共有することができます。

externを使った関数の宣言

externは、関数の宣言にも使用されます。

関数が他のファイルで定義されている場合、その関数を使用するためにexternを使って宣言することができます。

以下にその例を示します。

#include <stdio.h>
// 関数の定義
void greet() {
    printf("こんにちは、世界!\n");
}
#include <stdio.h>
// externを使って他のファイルで定義された関数を宣言
extern void greet();
int main() {
    greet(); // 他のファイルで定義された関数を呼び出す
    return 0;
}

この例では、file1.cgreet関数を定義し、main.cexternを使ってその関数を宣言しています。

これにより、main.cからgreet関数を呼び出すことができ、プログラムを実行すると「こんにちは、世界!」と表示されます。

このように、externを使うことで、異なるファイル間での変数や関数の共有が容易になり、コードの再利用性が向上します。

externの注意点

C言語において、externキーワードを使用する際にはいくつかの注意点があります。

これらの注意点を理解することで、プログラムの品質や可読性を向上させることができます。

変数の初期化

externを使って宣言された変数は、他のファイルで定義されていることを示しますが、初期化は行われません。

つまり、externを使って宣言した変数は、必ずどこかで定義され、初期化されている必要があります。

初期化を行わない場合、変数の値は未定義となり、プログラムの動作に予期しない影響を与える可能性があります。

例えば、以下のようにexternを使って変数を宣言した場合を考えます。

// file1.c
#include <stdio.h>
int globalVar; // ここで定義されているが初期化されていない
void printGlobalVar() {
    printf("globalVar: %d\n", globalVar); // 未定義の値が出力される可能性がある
}

この場合、globalVarは初期化されていないため、printGlobalVar関数を呼び出すと、未定義の値が出力されることになります。

初期化を行う場合は、次のようにします。

// file1.c
#include <stdio.h>
int globalVar = 10; // 初期化を行う
void printGlobalVar() {
    printf("globalVar: %d\n", globalVar); // 10が出力される
}

externとstaticの違い

externstaticは、変数のスコープやリンクの仕組みが異なります。

externは、変数が他のファイルからもアクセス可能であることを示します。

一方、staticは、変数のスコープをそのファイル内に限定し、他のファイルからはアクセスできないようにします。

以下の例を見てみましょう。

// file1.c
#include <stdio.h>
static int staticVar = 5; // この変数はfile1.c内でのみ有効
void printStaticVar() {
    printf("staticVar: %d\n", staticVar);
}
// file2.c
#include <stdio.h>
extern int globalVar; // 他のファイルで定義された変数を参照
void printGlobalVar() {
    printf("globalVar: %d\n", globalVar); // file1.cで定義されたglobalVarにアクセス
}

このように、staticで定義された変数はそのファイル内でのみ有効であり、他のファイルからはアクセスできません。

これに対して、externで宣言された変数は、他のファイルからもアクセス可能です。

グローバル変数の管理

グローバル変数は、プログラム全体で共有されるため、適切に管理することが重要です。

無秩序にグローバル変数を使用すると、プログラムの可読性や保守性が低下し、バグの原因となることがあります。

以下のポイントに注意してグローバル変数を管理しましょう。

  1. 必要最小限の使用: グローバル変数は必要な場合にのみ使用し、可能な限りローカル変数を使用するように心がけましょう。
  2. 命名規則の統一: グローバル変数には一貫した命名規則を適用し、他の変数と区別しやすくします。

例えば、g_というプレフィックスを付けることで、グローバル変数であることを明示できます。

  1. ドキュメントの整備: グローバル変数の使用目的や影響範囲をドキュメントに記載し、他の開発者が理解しやすいようにします。
  2. アクセス制御: グローバル変数へのアクセスを制限するために、必要に応じて関数を通じてアクセスするようにします。

これにより、変数の変更が意図しない影響を与えることを防ぎます。

これらの注意点を考慮することで、externを使ったグローバル変数の管理がより効果的になり、プログラムの品質を向上させることができます。

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