C言語におけるコンパイラ警告 C5037 の原因と対処法について解説
c言語の開発環境においても、まれに警告 C5037 が発生する場合があります。
Visual Studio 2017以降では、クラステンプレートのメンバー関数をアウトオブラインで定義する際に、既定引数を記述するとこの警告が出ます。
対策としては、既定引数を削除するか、警告を無効化する設定を用いる方法があります。
警告 C5037 の基本情報
警告 C5037 は、Visual Studio のコンパイラが出力する警告のひとつです。
主に、クラステンプレートのメンバー関数のアウトオブライン定義において既定引数を使用した場合に発生します。
これにより、意図しない動作や実行時のクラッシュを防ぐための注意喚起が行われています。
警告内容の説明
この警告は、「クラス テンプレートのメンバーのアウトオブライン定義において既定の引数を使用することはできません」という内容です。
つまり、テンプレートクラスのメンバー関数をクラス定義の外部で定義するときに、既定引数を指定すると警告が発生します。
警告が出た場合、コードの記述方法を見直す必要がありますが、既定引数を削除するだけで問題が解決することが多いです。
発生条件と Visual Studio の挙動
警告 C5037 が発生する主な条件は、テンプレートクラスのメンバー関数定義の際に既定引数が指定される場合です。
Visual Studio 2017 バージョン 15.3 以降では、このパターンに対して警告を発生させます。
なお、コンパイラの設定やバージョンにより挙動が異なるため、Visual Studio の環境設定が影響するケースがあります。
/permissive オプションの影響
Visual Studio の /permissive および /permissive- オプションは、コンパイラの互換性や標準準拠の度合いを調整するための設定です。
・/permissive オプションを指定した場合、警告レベルが低く設定されるため、警告 C5037 がレベル 3 の警告として出力されます。
・/permissive- オプションを指定すると、より厳密な標準準拠が求められ、同じコードがエラーとして扱われます。
これにより、既定引数の使用が原因でエラーとなる可能性があるため、開発者はコンパイラオプションに注意する必要があります。
警告発生の原因詳細
警告 C5037 は、コードがテンプレートクラスの使用方法における不適切な記述パターンに該当している場合に発生します。
特に、アウトオブライン定義で既定引数を使用する点に着目することが重要です。
アウトオブライン定義での既定引数使用
テンプレートクラスのメンバー関数をクラス本体の外で定義する際に、既定引数を再度指定することは許容されません。
クラス定義内で既定引数を設定すれば十分であり、アウトオブライン定義側で再度記述すると混乱を招く恐れがあります。
これが、警告 C5037 の直接の原因となります。
テンプレートクラスにおける注意点
テンプレートクラスにおいては、コードの再利用性や汎用性を高めるために特別な注意が必要です。
メンバー関数のアウトオブライン定義では、既定引数の扱いに関して明確なルールが存在します。
ルールを逸脱した場合、コンパイラは誤った解釈を避けるために警告を発する設計となっています。
こうした注意点を遵守することにより、予期せぬ動作やエラーを防ぐことができます。
コード例とエラー発生ケース
以下では、警告 C5037 が発生する具体的なコード例と、コンパイラから出力されるエラーメッセージの内容について解説します。
実際のシナリオに沿ったサンプルコードを用いて、どの部分が問題となっているのかを明示していきます。
サンプルコードによる解説
以下のサンプルコードは、テンプレートクラス内で既定引数を使用してアウトオブライン定義を行った場合の例です。
コード中のコメントには、日本語での説明を含めています。
#include <stdio.h>
// サンプルテンプレート(C++風の記述となっていますが、解説のためコード例を示しています)
template <typename T>
struct TemplateStruct {
// クラス定義内では既定引数を定義可能
T func(T value, bool flag = false);
};
// クラス定義の外でメンバー関数を定義する際に、既定引数を再度指定すると警告 C5037 が発生します。
template <typename T>
T TemplateStruct<T>::func(T value, bool flag = false) {
// サンプルのため、条件に応じた出力を行います
if (flag) {
// フラグが true の場合の処理
return value;
}
return value;
}
int main(void) {
TemplateStruct<int> ts;
// ここで func を呼び出します。既定引数により第2引数は自動的に false になります。
int result = ts.func(100);
printf("処理結果: %d\n", result);
return 0;
}
処理結果: 100
サンプルコード中の既定引数の再定義部分が、実際のコンパイル時に警告 C5037 を引き起こすポイントです。
コンパイラからのエラーメッセージ
Visual Studio 2017 以降のコンパイラでは、上記のようなコードをコンパイルすると、以下のようなメッセージが表示されることがあります。
エラーメッセージは、コード中の既定引数の再定義部分を指摘し、問題のある箇所を詳細に示します。
エラー出力例
エラーメッセージの具体例としては、以下のような内容が出力されることがあります。
C5037: 'TemplateStruct<T>::func': an out-of-line definition of a member of a class template cannot have default arguments
このメッセージは、テンプレートクラスのアウトオブライン定義において既定引数を使用した場合に発生する典型的なエラー内容を示しています。
警告 C5037 の対処法について解説
警告 C5037 を解決するための適切な対処法について説明します。
対処方法は大きく分けて、コードの修正による既定引数の削除と、警告を無効化する設定の利用の2つがあります。
既定引数の削除による解消
最も基本的な対処法は、アウトオブラインで定義するメンバー関数から既定引数を削除する方法です。
クラス定義内で既定引数を設定している場合、アウトオブライン定義側で再度指定する必要はありません。
既定引数を削除することで、コンパイラは正しくコードを解釈でき、警告 C5037 は発生しなくなります。
警告無効化設定の利用方法
開発環境や一部の状況によっては、あえて警告を無効化する設定を利用したい場合があります。
Visual Studio では以下のような手法で警告 C5037 を無効化することが可能です。
コンパイラオプション /wd:5037 の設定
コンパイル時にオプション /wd:5037 を指定することで、警告 C5037 の出力を無効化することができます。
例えば、コマンドラインでのコンパイル時に以下のように指定します。
cl /c /wd:5037 ソースファイル.cpp
この設定を利用すると、警告が表示されなくなりますが、根本的なコード修正を行っていないため、他の潜在的な問題を見逃す可能性もあります。
#pragma warning(disable:5037) の利用
コード内で特定の箇所に限定して警告を無効化する場合は、コンパイラ指示子 #pragma warning(disable:5037) を利用することができます。
コードの冒頭や問題のある部分に以下のように記述することで、警告の表示を抑制します。
#pragma warning(disable:5037)
この方法はプロジェクト全体ではなく、必要な箇所だけに適用できるため、他の重要な警告を見逃さないように管理することが可能です。
まとめ
本記事では、Visual Studio で発生する警告 C5037 の概要と原因、具体的なコード例を通して既定引数の扱いの落とし穴を解説しました。
アウトオブライン定義での既定引数の重複指定が問題となり、/permissive オプションによって警告やエラーが変わる点に注意が必要です。
また、既定引数の削除や警告無効化設定による対処法も紹介しています。