C言語コンパイラ警告 C4986 の原因と対処法について解説

c言語で見かけるコンパイラ警告 C4986 は、関数の宣言と実装で例外指定が一致しない場合に表示されます。

Microsoftのコンパイラでは既定で無効になっていますが、コードの整合性を確認したいときに有用な情報です。

実例を参考に修正方法を検討する際に役立ちます。

警告 C4986 とは

警告 C4986 は、関数の宣言と実装で例外指定が一致しない場合に発生する警告です。

特に、宣言側に例外指定が記述されているのに対し、実装側で記載が省略されている、またはその逆の場合に起こります。

Microsoft のコンパイラでは既定でオフになっているため、プロジェクトのコンパイラ設定によっては表示されないこともあります。

定義と発生条件

この警告は、以下のような場合に発生します。

• 関数の宣言と実装で、例外指定の内容が異なるとき
• 片方で例外指定を記述しているのに、もう片方で記述が抜けているとき

例えば、関数の宣言で void f() throw(X*) と記述されている場合、実装側も同様に throw(X*) を記述しなければ C4986 の警告が発生する可能性があります。

これは、関数のインターフェースが統一されていないと、予期しない動作を引き起こす可能性があるためです。

例外指定の役割

例外指定は、関数がどのような例外を投げる可能性があるかを示すために利用されます。

これにより、プログラムの利用者は関数使用時に例外の取り扱いをあらかじめ考慮することができます。

また、例外指定はコンパイラに対して警告を生成する要因ともなり、宣言と実装とで矛盾がある場合に警告 C4986 を通じて開発者に注意を促す役割も担っています。

原因の詳解

警告 C4986 の根本的な原因は、関数宣言と実装において例外指定の不一致があることです。

以下、それぞれのケースについて詳しく説明します。

関数宣言と実装の不一致

関数の宣言側と実装側で例外指定の内容が異なる場合、コンパイラは不一致があると判断し警告を出します。

これにより、コードの整合性を保つために修正を促す仕組みとなっています。

宣言側の例外指定

関数宣言で例外指定を行う場合、関数の使用者に対して「この関数は特定の例外を投げる可能性がある」という情報を提供します。

たとえば、以下のような宣言があるとします。

void f1() throw(X*);

この場合、関数 f1 は型 X* の例外を投げる可能性があることが明示されます。

しかし、この宣言と実装で例外指定が一致していない場合、警告が発生します。

実装側の例外指定

実装側で例外指定を省略してしまうと、宣言側との乖離が生じ警告 C4986 の原因となります。

関数実装に例外指定を記述しないケースは、宣言と異なる動作を引き起こすリスクも伴います。

このため、実装側も宣言側と同じ例外指定を記述するよう注意が必要です。

コンパイラ設定と影響

コンパイラによってはこの警告が既定でオフになっている場合があります。

しかし、プロジェクト全体のコード整合性や例外処理の一貫性を保つためには、以下の点に気をつけるとよいでしょう。

• コンパイラの警告設定を確認し、不一致がないかチェックする
• Visual Studio などの環境では、例外指定の一貫性がコンパイラ警告の有無に影響するため、ドキュメントを参考に設定を見直す

対処法の解説

警告 C4986 に対しては、関数の宣言と実装で例外指定を統一することが基本的な対処法です。

記述方法を正しく統一すれば、警告は解消されます。

正しい例外指定の記述方法

正しい記述例としては、関数の宣言と実装の両方に同じ例外指定を記載する方法があります。

たとえば、関数 f1 が型 X* の例外を投げる場合、以下のように統一して記述します。

• 宣言側: void f1() throw(X*);
• 実装側: void f1() throw(X*) { … }

また、例外指定自体を削除するという手法も考えられますが、例外の管理が必要な場合は適切な例外指定の記述が推奨されます。

コード例による修正手順

修正前のコード例

以下は、例外指定に不一致があるために警告 C4986 が発生するサンプルコードです。

#include <iostream>
using namespace std;
// クラス X の定義
class X { };
void f1() throw(X*); // 宣言側で例外指定を記述
// 実装側で例外指定が省略されているため警告が発生する
void f1() {
    cout << "Function f1 is called." << endl;
}
int main() {
    try {
        f1();
    } catch (X* e) {
        cout << "Caught exception" << endl;
    }
    return 0;
}

Function f1 is called.

修正後のコード例

以下は、宣言側と実装側で例外指定を統一したサンプルコードです。

これにより、警告 C4986 は解消されます。

#include <iostream>
using namespace std;
// クラス X の定義
class X { };
void f1() throw(X*); // 宣言側で例外指定を記述
// 実装側も同じ例外指定を記述する
void f1() throw(X*) {
    cout << "Function f1 is called." << endl;
}
int main() {
    try {
        f1();
    } catch (X* e) {
        cout << "Caught exception" << endl;
    }
    return 0;
}

Function f1 is called.

まとめ

この記事では、警告 C4986 の定義や発生条件、例外指定の役割について説明しています。

関数の宣言と実装で例外指定が不一致の場合に警告が発生する原因を解説し、宣言側と実装側で同一の例外指定を記述する方法を示しました。

これにより、例外指定の統一が警告解消に重要であることが理解できます。