コンパイラの警告

C言語におけるC4959警告の原因と対策について解説

Visual Studio環境で/ clr:safe オプションを利用してc言語のコードをコンパイルすると、アンマネージ構造体のメンバーアクセスにより検証不可能なコードが生成され、警告 C4959が発生することがあります。

この警告は実行時の安全性に影響する可能性があるため、該当箇所の修正や#pragma warning(disable:4959)による対策を検討する必要があります。

警告C4959の発生条件

警告C4959は、/clr:safeオプションを使用してコンパイルする際に、アンマネージ構造体のメンバーへアクセスした場合に発生します。

この警告は、生成されるコードが検証不可能なものになり、安全性が保証されなくなる可能性があるためです。

以下では、/clr:safeオプションの概要とアンマネージ構造体の取り扱いについて詳しく説明します。

/clr:safeオプションの概要

/clr:safeオプションは、コードの安全性を確保するために、検証可能な中間言語(MSIL)を生成する目的で指定されます。

指定された場合、コード内でアンマネージな操作が行われると、検証ツールであるpeverify.exeで不具合が検出される可能性が高くなります。

たとえば、以下のサンプルコードは/clr:safeを有効にしてコンパイルすると、アンマネージ構造体のメンバーアクセスにより警告C4959が発生します。

#include <stdio.h>
// /clr:safe コンパイルオプションを有効にしてビルドしてください
// アンマネージ構造体の定義
struct NativeStruct {
    int data;
};
int main(void) {
    struct NativeStruct ns;
    ns.data = 10;  // ここで警告C4959が発生する可能性があります
    printf("data = %d\n", ns.data);
    return 0;
}

このオプションはVisual Studio 2015では推奨されず、2017以降ではサポートされなくなっているため、使用する際は注意が必要です。

アンマネージ構造体の取り扱い

アンマネージ構造体は、C言語やネイティブC++で記述される構造体を意味し、ガーベジコレクションやその他の管理機構の対象外となります。

/clr:safeオプションを指定すると、アンマネージ構造体のメンバーにアクセスするコードは、検証ツールであるpeverify.exeによって検査が行われ、その結果、安全性が保証されないコードとして扱われ、警告C4959が発生します。

つまり、管理対象外のコード部分が混在すると検証不可能なコードが生成されるリスクがあるということです。

警告C4959の原因解析

メンバーアクセスによる検証不可能なコード生成

アンマネージ構造体のメンバーにアクセスする処理では、内部でアンマネージメモリの扱いやポインタ操作が行われるため、検証ツールが安全なコードとして認識できません。

具体的には、アンマネージ構造体のメンバー操作は、暗黙の型変換やメモリアクセスの扱いにおいて検証ルールに適合しないコードを生成します。

検証不可能なコードが生成されると、セキュリティ上の問題や実行時の予測不可能な挙動を引き起こす可能性があるため、/clr:safe環境下ではコンパイルエラーとして扱われるケースがあります。

peverify.exeによる検証エラーの詳細

peverify.exeは、生成された中間言語(MSIL)の検証ツールとして利用されます。

警告C4959が発生する場合、peverify.exeは以下のようなエラーを出力することがあります。

  • アンマネージ型のメンバーアクセスに起因する検証失敗のエラーコード
  • 安全性の保証ができないために、検証可能なコードとして認められなかった旨のメッセージ

たとえば、アンマネージ構造体NativeStructdataメンバーにアクセスするコードでは、MSILレベルで検証ルールに違反していることが検出され、エラーが報告されます。

数式で表すと、検証の条件が

検証可能管理対象コードルールを満たす

となり、アンマネージ構造体のメンバーアクセスはこの条件を満たさないため、警告が発生します。

Visual Studio環境での対策方法

Visual Studio環境で警告C4959に対処する方法には、コードの修正による安全な移行と、警告の無効化というアプローチがあります。

ここでは、具体的な対策方法について解説します。

コード修正による警告回避

検証可能なコードを生成するためには、アンマネージ型を管理型へ移行する方法が有効です。

これにより、アンマネージなメモリ管理から解放され、.NETのメモリ管理機能を利用することにより、検証対象コードとして認められるようになります。

アンマネージ型から管理型への移行方法

アンマネージな構造体を管理型へ移行するためには、C++/CLIを利用して管理型の構造体(ref structなど)に書き換えます。

以下は、アンマネージ構造体から管理型の構造体へ移行したサンプルコードです。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
// 管理型の構造体定義。C++/CLIプロジェクトでコンパイルしてください。
public ref struct ManagedStruct {
    int data;
};
int main(void) {
    // 管理型オブジェクトの生成
    ManagedStruct^ ms = gcnew ManagedStruct();
    ms->data = 100;  // 管理対象のメンバーアクセス
    printf("data = %d\n", ms->data);
    return 0;
}
data = 100

この方法により、検証可能なMSILコードが生成され、警告C4959を回避することが可能になります。

警告の無効化設定

場合によっては、コードの大幅な改修が困難なケースもあるため、警告C4959を一時的に抑制する方法もあります。

Visual Studioでは、プリプロセッサディレクティブやコンパイラオプションを使用して警告を無効化することができます。

#pragma warning(disable:4959)の利用例

特定のソースコード領域で警告C4959を無効化する場合は、#pragma warning(disable:4959)を使用します。

以下のサンプルコードはアンマネージ構造体の使用部分で警告を無効化しています。

#include <stdio.h>
// 警告C4959を無効化
#pragma warning(disable:4959)
// アンマネージ構造体の定義
struct NativeStruct {
    int data;
};
int main(void) {
    struct NativeStruct ns;
    ns.data = 10;  // この部分では警告が表示されません
    printf("data = %d\n", ns.data);
    return 0;
}
data = 10

/wdコンパイラオプションの活用方法

ソースコード全体で警告C4959を無効化する場合、コンパイラオプションとして/wd4959を指定する方法も利用できます。

Visual Studioのプロジェクト設定またはビルドスクリプトに以下のように追加することで対応できます。

  • コマンドラインでコンパイルする場合:

コンパイルコマンドに以下のオプションを追加してください。

cl /clr:safe /wd4959 ソースファイル名.c

この方法により、ソースコードを変更せずに警告C4959を抑制することが可能です。

まとめ

本記事では、/clr:safeオプション使用時にアンマネージ構造体のメンバーアクセスが原因で発生する警告C4959について解説しました。

検証不可能なコード生成がpeverify.exeでエラーとなる仕組みと、その対策として管理型への移行や、#pragma warning(disable:4959)および/wd4959オプションを用いる方法が具体例を交えて説明されています。

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