コンパイラの警告

C言語 コンパイラ警告 C4698 の原因と抑制方法について解説

この資料では、C言語の開発環境で出るコンパイラ警告 C4698 について簡単に説明します。

評価目的の機能が理由で表示され、将来の更新で仕様が変更または削除される可能性があります。

警告を抑制する方法として、特定のコード行やファイル全体に対して#pragmaやコマンドラインオプションを使用する手段が紹介されています。

警告 C4698 の背景と原因

評価目的の機能と ExperimentalAttribute の役割

Windows SDK では、API の一部が評価目的のみで提供されるケースがあります。

これらの API には Windows.Foundation.Metadata.ExperimentalAttribute が付与され、将来的な変更や削除が予告なく行われる可能性があることを示しています。

この属性により、開発者は実験的な機能を利用する際のリスクを認識できるようになります。

特に、API の安定性が保証されない場合、その使用に伴う警告がコンパイラから発生する仕組みとなっています。

Windows SDK における API の記述例

例えば、Windows SDK では以下のように記述された API が存在します。

この API は評価目的でリリースされているため、呼び出すと警告 C4698 が出力される場合があります。

#include <stdio.h>
#include <windows.h>
// サンプル: 実験的なAPIの呼び出し例(実際のWindows Runtime APIではないが、概念を説明するためのコード)
#pragma warning(push)
#pragma warning(disable:4698) // 警告 C4698 を無効にする
void callExperimentalAPI(void) {
    // 注意: 以下の関数呼び出しは実験的なAPIの呼び出し例です。
    printf("評価目的のAPIを呼び出しました\n");
}
#pragma warning(pop)
int main(void) {
    callExperimentalAPI();
    return 0;
}
評価目的のAPIを呼び出しました

SDK バージョン間の違い

Windows SDK のバージョンによって、API の実装や属性の付与状況が変化しています。

古い SDK では評価目的の API に対して ExperimentalAttribute が付与されることが一般的でしたが、新しい SDK ではその属性が削除され、同じ警告が発生しなくなっています。

古い SDK での API 呼び出しと警告発生

古いバージョンの Windows SDK では、既に ExperimentalAttribute が付与された API を呼び出すと、コンパイラは必ず警告 C4698 を出力します。

これにより、将来のアップデートで API の仕様が変更されるリスクがあることを開発者に知らせていました。

新しい SDK における更新点と影響

一方で、新しい SDK は評価目的の API に対する属性を削除しており、同じコードでも警告が発生しないケースが多くなっています。

この更新により、プロジェクト内で同じ API を呼び出す場合でも、環境によって警告出力が異なる点に留意が必要です。

コンパイラの挙動と Visual Studio の対応状況

Visual Studio の各バージョンにおいて、評価目的の API に対する警告の出し方が異なります。

特に Visual Studio 2017 バージョン 15.3 以降では ExperimentalAttribute を持つ API 呼び出しに対して警告 C4698 が生成される仕組みが導入されました。

バージョン別の警告発生経緯

古いコンパイラでは、評価目的 API による警告が一律に表示されることが少なかったですが、VS2017 以降ではこれに対してより厳格な対応がなされるようになりました。

これに伴い、プロジェクトのターゲットとなる SDK バージョンやコンパイラ設定により、警告発生の有無や頻度が変動するため、バージョン管理が重要となります。

警告 C4698 の発生ケース

コード例による警告の確認

実際のコード例を用いると、評価目的 API に対する呼び出しが行われた際に警告 C4698 が出力される様子が確認できます。

以下のサンプルは、Windows::Storage::IApplicationDataStatics2::GetForUserAsync の呼び出し例をイメージしたものです。

C言語のサンプルとしてはコメントや出力文で警告発生の状況を再現しています。

Windows::Storage::IApplicationDataStatics2::GetForUserAsync の使用例

#include <stdio.h>
#include <windows.h>
// サンプル関数: 評価目的のAPI呼び出しシミュレーション
// Windows::Storage::IApplicationDataStatics2::GetForUserAsync() の使用例(擬似コード)
void callGetForUserAsync(void) {
    // この関数呼び出しは評価目的で提供されていると仮定
    printf("Windows::Storage::IApplicationDataStatics2::GetForUserAsync を呼び出しました\n");
}
int main(void) {
    callGetForUserAsync();
    return 0;
}
Windows::Storage::IApplicationDataStatics2::GetForUserAsync を呼び出しました

発生パターンの比較

警告 C4698 は、コード全体で一括して出る場合と、特定の行に限定して発生する場合があります。

プロジェクト全体やファイル単位の設定により、警告が表示されるタイミングや範囲が変化するため、原因の特定が難しいケースもあります。

ファイル単位と行単位での警告発生

  • ファイル単位の場合: ファイル内のすべての評価目的 API の呼び出しに対して、一度だけ警告が表示されるケースがあります。
  • 行単位の場合: 特定の API 呼び出し直前に警告が表示され、該当コード行のみが対象となることもあります。

警告 C4698 の抑制方法

コード内での抑制方法

プロジェクト内のコード変更を行うことで、警告 C4698 を無視することが可能です。

以下は、コード内での抑制方法の例です。

#pragma warning(disable:4698) の利用例

#include <stdio.h>
#include <windows.h>
// 警告 C4698 をファイル全体で無効にする例
#pragma warning(push)
#pragma warning(disable:4698)
void callExperimentalAPI(void) {
    // 評価目的のAPI呼び出しのシミュレーション
    printf("実験的なAPIを呼び出しました (disable バージョン)\n");
}
#pragma warning(pop)
int main(void) {
    callExperimentalAPI();
    return 0;
}
実験的なAPIを呼び出しました (disable バージョン)

#pragma warning(suppress : 4698) の使い分け

特定の1行や数行のみ警告を無視する場合には、suppress 指定を用いることができます。

これにより、周囲のコードには影響を与えずに、問題のある箇所だけを対象にできます。

#include <stdio.h>
#include <windows.h>
void callExperimentalAPIWithSuppress(void) {
    // この行のみ警告 C4698 を抑制する例
#pragma warning(suppress : 4698)
    printf("実験的なAPIを呼び出しました (suppress バージョン)\n");
}
int main(void) {
    callExperimentalAPIWithSuppress();
    return 0;
}
実験的なAPIを呼び出しました (suppress バージョン)

ビルドオプションによる抑制

コンパイル時にコマンドラインオプションを設定することで、グローバルに警告 C4698 を無効にすることも可能です。

具体的には、/wd4698 オプションを利用します。

たとえば、ビルドコマンドに以下のように追加することで、該当警告を無視できます。

cl /wd4698 main.c

Visual Studio IDE での設定手順

Visual Studio のプロジェクト設定からも警告 C4698 の抑制が可能です。

設定手順は以下の通りです。

プロジェクトプロパティの編集手順

  1. Visual Studio でプロジェクトを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
  2. [構成プロパティ] → [C/C++] → [詳細] を選択します。
  3. 「特定の警告を無効にする」のプロパティに 4698 を追加します。

設定後のビルド確認方法

設定を保存した後、プロジェクトを再ビルドし、出力ウィンドウで警告 C4698 が表示されなくなっていることを確認します。

警告 C4698 に関する補足情報

将来の更新への注意点

評価目的の API は、将来的に仕様変更や削除される可能性があります。

現在の動作に依存せず、アップデートの影響を受けるリスクがあるため、実験段階であることを前提に利用することが重要です。

特に SDK やコンパイラのバージョンアップデート時には、再度検証を行うことが推奨されます。

評価目的 API の変更可能性

評価目的の API は試験的にリリースされる場合が多いため、リリース後に仕様変更が生じる可能性があります。

これに伴い、警告 C4698 が急に発生しなくなる場合や、新たな警告が追加される場合がある点に注意してください。

関連ドキュメントおよび参考情報

研究や実装の際には、公式ドキュメントや参考資料への目通しが重要です。

Microsoft Learn の解説情報

Microsoft Learn では、コンパイラ警告 C4698 に関する詳細な情報が提供されています。

公式解説を参照することで、仕様の背景や更新履歴を理解することができます。

他の関連 API の補足説明

同様に、他の評価目的の API にも ExperimentalAttribute が付与されている場合があります。

関連 API の仕様や注意点についても、公式ドキュメントやコミュニティでの議論を参考にすると良いでしょう。

まとめ

この記事では、評価目的の API に付与される ExperimentalAttribute の役割と、Windows SDK のバージョンによる影響から発生する警告 C4698 の背景について解説しました。

古い SDK での警告の発生例や、最新 SDK における変更点、Visual Studio やコマンドラインによる抑制方法を具体的なサンプルコードと共に示し、コンパイラの挙動や仕様変更のリスクについて理解を深められる内容となっています。

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