コンパイラの警告

C言語におけるコンパイラ警告C4535の解説:_set_se_translatorと/EHaオプションの使用方法

C言語やC++で開発する際、Microsoft Visual C++で警告C4535が表示される場合があります。

これは、_set_se_translator関数を利用する際に、異常な例外処理を補うため/EHaオプションの指定が必要なために発生します。

コード例を通して、警告の原因と対策を確認できる内容です。

警告C4535の発生原因

Visual Studioのコンパイラで表示される警告C4535は、_set_se_translator関数を使用する場合に発生します。

これは、Windowsのストラクチャード例外(Structured Exception)をC++例外に変換するための仕組みですが、標準の例外処理オプション/EHsではなく、/EHaオプションを利用する必要があるためです。

警告は、正しいコンパイラオプションが指定されていない場合に、意図しない例外の取り扱いとなる可能性を知らせる目的で出力されます。

_set_se_translatorの役割と動作

_set_se_translatorは、Windowsのストラクチャード例外をC++例外に変換するための関数です。

この関数により、OSが発生させる例外(例えば、アクセス違反やゼロ除算など)が発生した場合に、専用の変換関数が呼び出され、その中で新たなC++例外を投げることができます。

こうすることで、try-catchブロックを用いたC++の例外処理フローに組み込むことが可能となります。

例外処理との連動

Windowsの例外処理とC++の例外処理は異なる仕組みですが、_set_se_translatorを利用することで連動させることができます。

ここでは、Windowsのストラクチャード例外とC++例外の連携方法について説明します。

__try/__finally構文の動作

Windows環境では、__try__finally構文を用いて、例外が発生しても必ず実行されるクリーンアップ処理を記述することができます。

  • __tryブロック内でエラーとなる命令が実行されると、対応する__finallyブロックが必ず実行されます。
  • この仕組みは、C++のtry/catchとは異なり、エラーの発生に関わらず後処理を行う目的で用いられます。

Windows例外処理の挙動

Windowsのストラクチャード例外処理は、OSレベルで例外を管理します。

  • メモリアクセス違反やゼロでの除算などのエラーが発生すると、Windowsは即座に制御を専用の例外処理ルーチンに渡します。
  • _set_se_translatorを利用することで、これらの例外情報を取得し、C++の例外に変換できます。
  • 変換後はC++のcatchブロックで受け取ることができるため、例外処理の流れが統一されます。

/EHaオプションの必要性

/EHaオプションは、コンパイラに対してストラクチャード例外も含むすべての例外をキャッチするよう指示するためのオプションです。

これに対して、/EHsは標準のC++例外のみを対象とするため、_set_se_translatorによる変換処理と整合性が取れなくなります。

/EHsとの違い

  • /EHs

標準のC++例外(throwによって投げられる例外)のみを対象とします。

Windowsのストラクチャード例外はこのオプションでは捕捉できません。

  • /EHa

ストラクチャード例外を含むすべての例外をキャッチ対象にします。

これにより、_set_se_translatorが変換した例外もC++のcatchブロックで捕捉できます。

コンパイラオプション指定時の影響

コンパイラオプションにより、例外処理の挙動が変化します。

以下の点に注意が必要です。

エラー回避の仕組み

/EHaオプションを利用すると、OSが発生させるストラクチャード例外もキャッチされるため、

予期しない例外に対するエラー回避が容易になります。

その結果、処理を中断せずにエラーハンドリングが実現できます。

コード実行時の変化

  • 通常、例外が発生すると即座にプログラムが終了する恐れがありますが、

/EHaオプションを利用することで例外をキャッチして処理するため、実行中のプログラムが安定します。

  • ただし、全ての例外をキャッチ対象とするため、後続の処理がどのように動作するか、注意深い設計が求められます。

コード例の解析

ここでは、具体的なサンプルコードを通して、どのようにしてエラーが発生し、例外が変換およびキャッチされるかを解説します。

サンプルコードに見るエラー発生の流れ

以下のサンプルコードは、_set_se_translatorを利用してWindows例外をC++例外に変換する例です。

コード中のコメントにより、各処理の流れが理解しやすくなっています。

関数呼び出しの順序

  1. main関数でまず_set_se_translatorが呼ばれ、例外変換関数としてtrans_funcが登録されます。
  2. その後、SEFunc関数が呼び出され、__tryブロック内の処理が実行されます。

例外投げとキャッチの処理

  • __tryブロック内で、ゼロ除算などのエラーが発生すると、OSはストラクチャード例外を生成します。
  • 登録されたtrans_funcが呼ばれ、ストラクチャード例外がC++例外として投げられます。
  • この例外はmain関数内のcatchブロックで捕捉され、適切なエラーメッセージが表示されます。

以下に、サンプルコードを示します。

#include <stdio.h>
#include <windows.h>
#include <eh.h>
// 例外情報を保持するクラス
class SE_Exception {
public:
    explicit SE_Exception(unsigned int code) : seCode(code) {}
    unsigned int getCode() { return seCode; }
private:
    unsigned int seCode;
};
// Windows例外をC++例外に変換する関数
void trans_func(unsigned int code, EXCEPTION_POINTERS* pExp) {
    // 変換関数内でメッセージを表示
    printf("In trans_func.\n");
    // C++例外として投げる
    throw SE_Exception(code);
}
// エラーを発生させる関数
void SEFunc() {
    __try {
        // 意図的なゼロ除算によるエラー発生
        int a = 5, b = 0;
        int result = a / b;
    }
    __finally {
        // 必ず実行されるクリーンアップ処理
        printf("In finally\n");
    }
}
int main(void) {
    // ストラクチャード例外をC++例外に変換する関数を設定
    _set_se_translator(trans_func);
    try {
        SEFunc();
    }
    catch(SE_Exception e) {
        // 例外を捕捉し、エラーコードを表示
        printf("Caught exception with code: %u\n", e.getCode());
    }
    return 0;
}
In trans_func.
In finally
Caught exception with code: [例外のコード]

C言語とC++の例外処理の違い

C言語とC++では、例外処理の仕組みおよび実装方法に違いがあります。

ここでは、それぞれの言語における例外処理の実装方法について解説します。

言語仕様による差異

C++は言語仕様に例外処理が組み込まれており、trycatchthrowを用いることができます。

一方、C言語には標準の例外処理機構は存在しないため、エラー処理は関数の戻り値のチェックや、setjmp/longjmpによる実装が主流です。

また、Windows環境では、C言語でもストラクチャード例外処理がOSレベルで提供されているため、特定のAPIを利用して類似の挙動を実現することが可能です。

C言語での例外処理の実装

C言語では、例外処理機構が標準で用意されていないため、主に以下の方法でエラー処理が行われます。

  • 戻り値によるエラーコードの管理
  • setjmp/longjmpを用いた非局所的ジャンプ
  • Windows環境下でのストラクチャード例外処理(SEH)の利用

これらの方法は、プログラム全体の設計に合わせて適用されるため、一律の例外処理フローを構築することは難しい場合があります。

C++での例外処理の実装

C++では、例外処理が言語仕様の一部として組み込まれているため、

  • tryブロック内で発生した例外は、catchブロックで捕捉できる
  • throwキーワードを用いて例外を明示的に投げることができる

さらに、Windows環境で発生するストラクチャード例外については、_set_se_translator/EHaオプションの組み合わせにより、

OSが発生させる例外もC++の例外として扱えるため、統一的なエラーハンドリングが可能となります。

まとめ

この記事では、Visual Studioにおける警告C4535の原因を解説するとともに、_set_se_translatorの役割やWindowsのストラクチャード例外をC++の例外に変換する仕組みについて理解できます。

また、/EHaオプションが必要な理由と、標準例外処理オプション/EHsとの違いを具体例とともに学ぶことができます。

C言語とC++での例外処理の実装差異についても触れており、コード例を通して実際の動作を確認できる構成となっています。

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