コンパイラエラー

C言語コンパイルエラー C3904 の原因と対策について解説

2025-03-29更新日: 2025-03-29

Microsoft Visual C++で管理対象コードを使用する際、プロパティのgetterやsetterメソッドのパラメーター数が定義された次元数と一致しないとエラー C3904が発生します。

getterはプロパティの次元数と同じ数のパラメーター(またはインデックス指定がない場合は0)、setterはその次元数より1つ多いパラメーターを指定する必要があります。

目次から探す

エラーC3904の基礎知識
- エラーの概要と発生条件
- エラーメッセージの具体例
エラーC3904の原因解説
- プロパティ定義におけるパラメーターの不一致
- プロパティディメンションとパラメーター関係
エラーC3904の対策手法
エラー発生時の調査方法
- コンパイラエラーメッセージの分析方法
- デバッグ手法と確認ポイント
まとめ

エラーC3904の基礎知識

エラーの概要と発生条件

エラーC3904は、C++/CLI環境でプロパティを定義する際に発生するコンパイルエラーです。

主に、プロパティのgetterもしくはsetterのパラメーターの数が、プロパティディメンションに対応していない場合に起こります。

具体的には、getterメソッドの場合はプロパティの次元数と同じパラメーターが必要であるか、もしくはインデックスが設定されていないプロパティであればパラメーターが0でなければなりません。

一方、setterメソッドはプロパティの次元数より1つ多いパラメーターが必要です。

このエラーは、プロパティ定義の書き方に注意が必要であることを示しており、実装時にパラメーターの個数が正確かどうかを確認することが重要です。

エラーメッセージの具体例

エラーメッセージとしては、「’property_accessor’: 数パラメーターを指定しなければなりません。」と表示されます。

例えば、以下のようなコードでエラーが発生します。

#include <iostream>
// コンパイルオプション: /clr /c
ref class X {
public:
    property int P {
        // setterのパラメーターが不足している例
        void set() { /* 処理 */ }   // パラメーターが必要
        // 正しくは void set(int value);
        // getterのパラメーターが余分な例
        int get(int, int) { return 0; }   // 不要なパラメーターがある場合にエラー
        // 正しくは int get();
    }
};
int main() {
    // Xクラスのインスタンス生成など通常の処理
    return 0;
}

(出力例はありません)

エラーC3904の原因解説

プロパティ定義におけるパラメーターの不一致

エラーC3904が発生する原因は、プロパティに対して定義されたgetterまたはsetterのパラメーターの数が、プロパティディメンションに対応していない場合に起こります。

プロパティの場合、ディメンション(配列のようなインデックス指定)がある場合は、getterとsetterそれぞれで必要なパラメーターの個数が厳密に決められています。

getterメソッドのパラメーター数の誤り

getterメソッドでは、プロパティディメンションの個数に合わせたパラメーターが必要となります。

たとえば、インデックスがないプロパティの場合はパラメーターは一切必要ありません。

しかし、間違った実装例として、不要なパラメーターを定義するとエラーC3904が発生します。

具体例：

// 誤ったgetterの実装例
int get(int index1, int index2) { return 0; }  // プロパティが単一の場合にパラメーターが多すぎる

setterメソッドのパラメーター数の誤り

setterメソッドにおいては、プロパティディメンションの個数にさらに1つ分の値(設定する値)を加えたパラメーターが必要です。

つまり、ディメンションがない場合はsetterは1つのパラメーター、ディメンションが1つの場合は2つのパラメーターが必要となります。

たとえば、設定する値が抜けている場合や、逆に余計なパラメーターが指定されている場合に、エラーが発生します。

具体例：

// 誤ったsetterの実装例
void set() { /* 処理 */ } // 設定する値がないためエラーが発生する

プロパティディメンションとパラメーター関係

プロパティのディメンションは、プロパティが配列や多次元のインデックスを持つかどうかを示します。

たとえば、以下のようなプロパティ定義がある場合、パラメーターの個数は以下のように計算されます。

プロパティ定義:

property int Q[double, double, float, float, void*, int]

この場合、ディメンションは6とみなされ、getterは6個、setterは7個のパラメーターが必要となります。

一般に、プロパティのgetterは、プロパティディメンションの個数と同じパラメーターを持つ必要があり、setterはその個数に加えてもう1つのパラメーター(設定する値)を定義しなければなりません。

この関係は、数式で表すと以下のようになります。

$P_{g e t t e r} = n$

$P_{s e t t e r} = n + 1$

ここで $n$ はプロパティディメンションの個数です。

エラーC3904の対策手法

正しいプロパティ定義のポイント

エラーC3904を回避するためには、プロパティ定義時のgetterおよびsetterで指定するパラメーターの数が、プロパティディメンションに正しく対応していることを確認する必要があります。

具体的には、以下の点に注意して実装することがポイントです。

getterメソッドの正しい実装方法

getterメソッドでは、プロパティがディメンションを持たない場合はパラメーターを一切定義せず、インデックス指定がある場合はインデックスと同数のパラメーターのみを使用します。

たとえば、単一の値を返すプロパティの場合は以下のように実装します。

#include <iostream>
// コンパイルオプション: /clr /c
ref class X {
public:
    property int Value {
        // パラメーターは不要なgetterの正しい実装
        int get() {
            return 100;  // 値を返す
        }
        void set(int val) {
            // 値を設定する処理
        }
    }
};
int main() {
    X^ obj = gcnew X();
    // Valueプロパティのテスト出力
    std::cout << "Value: " << obj->Value << std::endl;
    return 0;
}

Value: 100

setterメソッドの正しい実装方法

setterメソッドの場合、ディメンションがない場合は設定するための1つのパラメーターを、インデックス指定がある場合はディメンション分のパラメーターに加えて設定する値のパラメーターを定義します。

以下は単一の値を設定する正しい例です。

#include <iostream>
// コンパイルオプション: /clr /c
ref class Y {
public:
    property int Data {
        int get() {
            return m_data;
        }
        void set(int value) {
            m_data = value;  // 正しいsetterの実装
        }
    }
private:
    int m_data;
};
int main() {
    Y^ obj = gcnew Y();
    obj->Data = 250;  // setterで値を設定
    std::cout << "Data: " << obj->Data << std::endl;
    return 0;
}

Data: 250

修正例と具体的なコード手順

誤ったプロパティ定義を修正するためには、まずエラーメッセージをもとにgetterとsetterのパラメーター数を確認する必要があります。

以下は、誤ったコード例を修正した具体的な手順です。

誤ったコード例

#include <iostream>
// コンパイルオプション: /clr /c
ref class X {
public:
    property int P {
        // setter: パラメーターが不足している例
        void set() { /* 処理 */ }
        // getter: パラメーターが余分な例
        int get(int, int) { return 0; }
    }
};
int main() {
    // インスタンス生成等の処理
    return 0;
}

修正後のコード例

以下のコードは、getterで不要なパラメーターを削除し、setterには設定値用の1つのパラメーターを指定した正しい実装例です。

#include <iostream>
// コンパイルオプション: /clr /c
ref class X {
public:
    property int P {
        // 正しいsetterの実装: 設定値を受け取るため、1つのパラメーターが必要
        void set(int value) {
            m_P = value;  // 設定する値をメンバ変数に格納
        }
        // 正しいgetterの実装: プロパティが単一の場合はパラメーター不要
        int get() {
            return m_P;
        }
    }
private:
    int m_P;
};
int main() {
    X^ obj = gcnew X();
    obj->P = 500;  // setterによって値を設定
    std::cout << "P: " << obj->P << std::endl;  // getterによって値を取得
    return 0;
}

P: 500

このように、各メソッドのパラメーター数をプロパティディメンションに合わせることで、エラーC3904を回避できます。

エラー発生時の調査方法

コンパイラエラーメッセージの分析方法

エラーが発生した場合、コンパイラが出力するエラーメッセージを注意深く確認することが重要です。

エラーメッセージは、どのプロパティのgetterまたはsetterでパラメーターの不一致が発生しているかを示しており、次の点に着目します。

・エラーメッセージに記載されている関数名(例：property_accessor)

・不足または余分なパラメーターの数

・参照すべきプロパティディメンションの情報

この情報をもとに、実装しているプロパティのパラメーターの数が正しいかどうかを確認してください。

デバッグ手法と確認ポイント

エラーの原因を特定するためには、以下のデバッグ手法を利用すると良いです。

・コード内のプロパティ定義部分を重点的にレビューし、getterとsetterのパラメーター数がプロパティディメンションと一致しているか確認する。

・コンパイル時の警告メッセージやエラー番号に基づいて、該当箇所を細かくチェックする。

・サンプルプロジェクトや小さなテストケースを作成し、エラーの再現性を確認する。

・必要であれば、コンパイルコマンドラインオプションやプロジェクト設定を見直し、環境依存の問題がないかをチェックする。

以上の調査手法を用いることで、エラー発生時に迅速に問題箇所を特定し、正しいパラメーターの定義へと修正できるようになります。

まとめ

この記事では、エラーC3904の発生条件や原因を解説し、プロパティ定義におけるgetterとsetterのパラメーター数が正しく設定されていない場合にエラーが発生することを説明しました。

また、正しいパラメーター数の設定方法や具体的なコード例を通して、エラー修正の手順や調査・デバッグ手法について理解できるようになっています。