コンパイラエラー

【C言語】コンパイラエラー C3859の原因と対策について解説

コンパイラ エラー C3859は、プリコンパイル済みヘッダー(PCH)の仮想メモリ割当が失敗した場合に発生します。

システムのメモリ制限や割当アドレスの問題が原因で、/FpオプションによるPCHファイルの指定や、/Zmフラグによるメモリサイズの調整、並列コンパイル数の見直しなどで対処を試みることができます。

エラーの発生原因

PCHファイルの仮想メモリ予約失敗

PCHファイルの役割と基本仕様

PCH (プリコンパイル済みヘッダー) ファイルは、コンパイル時間の短縮を目的として作成されます。

大規模なプロジェクトでは、ヘッダーの読み込み処理が繰り返されるため、PCHファイルを利用することで、コンパイラは既にコンパイルされたヘッダー情報を再利用し、処理時間を短縮できます。

基本的な仕様として、PCHファイルはコンパイル時に一度生成され、その後のコンパイルプロセスで共通のヘッダー情報として扱われます。

このため、使用する際には正しいファイルパスや命名規則が求められます。

仮想メモリ割り当ての仕組み

PCHファイルはコンパイル時に仮想メモリ上に配置されます。

仮想メモリはオペレーティングシステムが管理し、プロセスごとに割り当てられる領域です。

割り当ての仕組みは、コンパイラがリクエストしたメモリサイズをもとに、システムが空きメモリブロックから適切な大きさの領域を確保するという方式です。

指定されたサイズがシステムの細分化(アライメント)に沿っていない場合、割り当てに失敗する可能性があります。

また、複数のプロセスが同時にPCHファイルのメモリを確保しようとすると、予期しないメモリ競合が発生することがあります。

Windowsアドレス空間の制約

DLL挿入による影響

Windowsでは、プロセス起動時にDLLが自動で挿入される仕組みがあります。

たとえば、ファイル追跡ツールなどのDLLが、CL.exe のようなコンパイラプロセスに挿入される例が見受けられます。

この場合、DLLが既にアドレス空間内の特定の領域を確保してしまい、その後に割り当てを試みるPCHファイルが使用可能な領域が不足することが原因でエラーが発生する可能性があります。

また、Windowsのアドレス空間レイアウトランダム化 (ASLR) により、DLLの挿入位置がプロセスごとに異なるため、エラーの発生が間欠的に現れる場合もあります。

メモリ競合の詳細

複数のプロセスが同時に仮想メモリを予約する場合、特に並列コンパイルが実行されると、各プロセスで予約されるメモリ領域が競合し、PCHファイル用の必要なメモリが確保できなくなることが考えられます。

各プロセス間でのメモリ消費が激しい環境では、OSが予め予約しているメモリブロックやDLLの挿入により、予約可能なメモリ空間が狭くなってしまいます。

この結果、エラーコードとして「ファイル マップ全体にメモリをコミットできません」などのエラーが発生するケースがあります。

エラー発生状況の詳細分析

コンパイル時のエラーメッセージ解説

OSエラーコードの意味

コンパイラが出力するエラーメッセージには、システムから返されたOSエラーコードが含まれることがあります。

これらのエラーコードは、OSのメモリ割り当てやリソース管理に関する問題を示しており、具体的な失敗原因を特定する手助けとなります。

たとえば、アドレスのアライメントに関するエラーや、コミットサイズが大きすぎるといったメッセージは、OSが予約できるメモリの上限を超えた要求があったことを意味しています。

各エラーメッセージの内容

以下は、よく見受けられるエラーメッセージの例です。

  • 「PCH: アドレスがシステムの割り当て細分性の倍数になっていません」

このエラーは、PCHファイルのアドレスがシステムの要求する境界に沿っていない場合に発生します。

  • 「PCH: 要求したメモリブロックを取得できません」

これは、必要なメモリ量を確保できなかった場合に表示され、仮想メモリが不足していることを示唆します。

  • 「PCH: ファイル マップは既に導入されています」

このエラーは、同一プロセス内で既にPCHに関するファイルマップが存在する場合に出力され、競合が原因と考えられます。

並列コンパイルプロセスの影響

プロセス間の仮想メモリ消費

並列コンパイルを行う場合、複数プロセスが同時に実行されるため、各プロセスが個別に仮想メモリの確保を行います。

この際、システム全体で予約可能なメモリ量が限られているため、各プロセスが必要とするメモリ領域が重複して競合する可能性が高まります。

その結果、一部のプロセスでは、PCHファイル用に十分な仮想メモリが予約できず、エラーが発生するケースが目立ちます。

特に大規模プロジェクトや多数の並列コンパイルが有効になっている環境では、この現象が顕著になる傾向があります。

エラー回避と対策

/FpオプションによるPCHファイル指定

オプション利用方法のポイント

/Fp オプションは、PCHファイルの名前および配置先を明示的に指定することができます。

このオプションを使用すると、コンパイラはプロセス起動時に即座にPCH用のメモリ予約を試みるため、後続で挿入されるDLLの影響を受けにくくなります。

具体的には、コマンドラインに以下のようにオプションを追加することで、PCHファイルの名前を指定できます。

cl /Fp"MyProject.pch" /Yu"MyHeader.h" MySource.cpp

DLL挿入リスク軽減の方法

/Fp オプションを利用することで、コンパイラがプロセス起動時にPCHファイルのためのメモリを予約し、DLLがメモリを確保する前に必要な領域を確保できるようになります。

これにより、DLLの挿入によって発生するアドレス空間の競合を回避し、メモリ不足エラーのリスクを低減する効果が期待できます。

以下は、/Fp オプションを利用したサンプルコードです。

コンパイル時に /Fp"Sample.pch" オプションを追加することで、PCHファイルの予約を先行させる例です。

#include <stdio.h>
#include "pch_header.h"  // 事前にコンパイルされたヘッダーファイル
int main(void) {
    // PCHファイル指定を有効にしてコンパイルしています。
    printf("PCHファイル /Fp オプションを利用したサンプルコードです\n");
    return 0;
}
PCHファイル /Fp オプションを利用したサンプルコードです

/Zmフラグによるメモリ割り当て拡張

設定値の調整方法と注意点

/Zm フラグは、PCH用に予約されるメモリのサイズを拡張するためのコンパイラオプションです。

デフォルト値より大きな値を指定することで、予想以上のメモリ要求に対して柔軟に対応することができます。

たとえば、次のように設定値を変更することで、メモリの割り当て上限を引き上げることが可能です。

cl /Zm200 MySource.cpp

この例では、200 パーセントのメモリをPCHのために予約する設定となります。

ただし、指定する値が大きすぎる場合は、他のシステムリソースとの調整が必要になるため、適切な値に設定するよう注意が必要です。

並列コンパイル数の調整

コンパイルプロセス数の最適化方法

並列コンパイルを実施する際、コンパイルプロセスの数が多すぎると、各プロセスが必要とする仮想メモリが競合し、PCHファイル用の十分なメモリが予約できなくなる場合があります。

この問題に対処するため、並列コンパイルのプロセス数を制限する方法があります。

Microsoftのコンパイラでは、/MP オプションで並列実行のプロセス数を指定できます。

たとえば、以下のようにしてプロセス数を制限することが可能です。

cl /MP2 MySource.cpp

この設定では、並列コンパイルプロセスを最大2個までに制限します。

これにより、各プロセスが確保できる仮想メモリ量が増え、PCHファイル用の予約が成功しやすくなるため、エラー発生のリスクが低減されます。

まとめ

この記事では、コンパイラエラー C3859 の原因と対策について解説しています。

PCHファイルの役割や仮想メモリ割り当ての仕組み、DLL挿入によるアドレス空間の影響、並列コンパイルによるメモリ競合の問題など、エラー発生の詳細な背景が理解できます。

また、/FpオプションによるPCHファイル指定や/ Zmフラグでのメモリ割り当て拡張、さらに並列コンパイル数の調整といった具体的な対策方法も示しており、コンパイル時のエラー回避や原因把握に役立つ内容となっています。

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