C言語のコンパイラエラー C3828の原因と解消方法について解説
このエラーは、Visual Studio等でマネージドクラスやWinRTクラスのインスタンスを作成する際に、仮引数付きのnewやgcnewを使用すると発生します。
たとえば、オブジェクト作成時にメモリアドレスを指定するとエラーC3828が表示されます。
正しくは、単にgcnewを使用してインスタンス化する方法が推奨されます。
エラー C3828の概要
エラー内容の基本説明
エラー C3828は、マネージドクラスや WinRTクラスのインスタンス生成時に、仮引数付きのコンストラクタ呼び出しを行おうとすると発生します。
具体的には、コンパイラはオブジェクト生成時に仮引数を用いる記述が行われた場合、適切なインスタンス生成方法ではないと判断してエラーを出すため、このエラーが発生します。
エラーメッセージには「‘object type’: マネージドクラスまたは WinRTクラスのインスタンス作成時に仮引数を使用することはできません」と記載され、これはコンパイラがマネージドオブジェクトのライフサイクル管理の問題を回避するために設定されているルールに沿ったものです。
マネージドクラスとWinRTクラスの特徴
マネージドクラスは、.NET FrameworkやCLR(共通言語ランタイム)環境内で動作するため、ガーベジコレクションによりメモリ管理が自動化されています。
このため、通常のC++でのクラス生成とは異なり、gcnew
を用いてインスタンス生成を行います。
一方、WinRTクラスはWindowsのランタイム環境に特化した仕様であり、同様にガーベジコレクションやランタイムによる管理が導入されています。
どちらの場合も、オブジェクトの生成方法が厳密に管理されており、通常のC++で使用される仮引数付きの配置new(placement new)の利用が制限されています。
エラー発生の原因
仮引数付きインスタンス生成の問題点
仮引数付きのインスタンス生成は、従来のC++で許容される配置newの考え方に基づいています。
しかし、マネージドクラスやWinRTクラスの場合は、オブジェクトのライフサイクルはランタイムによって管理されるため、開発者が手動でメモリ領域を指定することはできません。
これにより、仮引数を使用してインスタンスを生成しようとすると、コンパイラは不整合性を検出しエラーを出力します。
仮引数使用時に発生するエラーの具体例
例えば、メモリアドレスを引数として渡す場合、次のようなコードが記述されるとエラー C3828が発生します。
新しい演算子にメモリ領域を指定する記述はマネージド環境では許容されないため、コンパイラがエラーとして検出します。
以下はエラーが発生する例です。
#include <cliext/array>
using namespace System;
ref struct M {
};
ref struct N {
static array<char>^ bytes = gcnew array<char>(256);
};
int main() {
// 仮引数として &N::bytes を利用した配置newによりエラー発生
M^ m1 = new (&N::bytes) M(); // エラー C3828
return 0;
}
メモリアドレス指定による影響
仮引数としてアドレスを指定することで、メモリ領域を直接操作できる印象がありますが、マネージド環境においてはガーベジコレクションが動作するため、メモリの配置が常に固定されているとは限りません。
そのため、アドレス指定が不適切なオブジェクト生成方法となり、コンパイラエラーを引き起こす原因となります。
コンパイラが検出するエラー条件
コンパイラはマネージド型やWinRT型に対して、以下のような条件が成立する場合にエラー C3828を出します。
- 仮引数付きの配置newやgcnew、ref newが利用されていること
- 引数として渡された値が、オブジェクトの正しい初期化を行えない場合
これらの条件下では、オブジェクトの生成方法がマネージド環境の規定に合致していないと判断され、エラーが強制されます。
エラー解消方法
正しいオブジェクト生成の手法
エラー C3828を解消するためには、マネージドクラスやWinRTクラスのインスタンスを生成する際に、仮引数を渡さない正しい手法を用いる必要があります。
通常、gcnew
を使用してインスタンスを生成すれば、ランタイムにより適切な初期化が行われます。
gcnewの利用方法
マネージドクラスのインスタンス生成には、new
演算子の代わりにgcnew
演算子を使用します。
例えば、クラスM
のインスタンスを生成する場合は、以下のように記述します。
#include <cliext/array>
using namespace System;
ref struct M {
};
int main() {
// gcnewを利用してオブジェクトを生成
M^ m1 = gcnew M();
return 0;
}
この方法でオブジェクト生成を行うことで、仮引数を用いる問題が発生せず、エラーを回避できます。
メモリアドレス指定回避の方法
マネージド環境では、オブジェクト生成時にメモリアドレスを指定して初期化することは不要です。
したがって、配置newやアドレス指定の記述を削除し、標準のgcnew
による生成方法を利用することで、エラー回避が可能です。
ライブラリやフレームワークに依存する初期化が必要な場合でも、それに対応する適切なファクトリーメソッドや初期化ルーチンを利用することが推奨されます。
エラー解消例によるコード比較
修正前のコード例
以下は、仮引数付きインスタンス生成が原因でエラー C3828 が発生するコード例です。
#include <cliext/array>
using namespace System;
// マネージドクラスの定義
ref struct M {
};
// WinRTクラスのように振る舞うクラスの定義
ref struct N {
static array<char>^ bytes = gcnew array<char>(256);
};
int main() {
// 仮引数として &N::bytes を利用する不正なオブジェクト生成
M^ m1 = new (&N::bytes) M(); // エラー C3828 発生
return 0;
}
コンパイラエラー C3828: 'object type': マネージド クラスまたは WinRT クラスのインスタンス作成時に仮引数を使用することはできません
修正後のコード例
以下のコードは、gcnew
を利用して正しくオブジェクト生成を行う例です。
#include <cliext/array>
using namespace System;
// マネージドクラスの定義
ref struct M {
};
int main() {
// gcnewを用いることで、仮引数を使用せずに正しくインスタンス生成
M^ m1 = gcnew M();
return 0;
}
(プログラムが正しく実行され、標準出力に出力結果はありません)
参考情報
公式ドキュメントの参照方法
公式ドキュメントは Microsoft Learn のサイトにて確認できます。
ドキュメントにはエラー C3828 の詳細な説明や、推奨されるオブジェクト生成方法が記載されているため、エラー解決における参考資料として活用することができます。
検索キーワードとして「コンパイラ エラー C3828」と入力することで、関連情報に迅速にアクセスすることが可能です。
関連エラーの比較解説
エラー C3828と似た性質を持つエラーとして、他のマネージドクラス特有の初期化エラーが挙げられます。
これらのエラーは、いずれもマネージド環境におけるオブジェクト生成ルールの違反により発生するため、エラー内容や発生条件を比較することで、全体的なルールの理解が深まります。
特に、仮引数の扱いや初期化方法について、公式ドキュメントや他のエラー解消例を参照することで、如何にして正しい実装方法に統一すべきかを確認することが推奨されます。
まとめ
本記事では、エラー C3828 の原因となる仮引数付きのインスタンス生成について説明しています。
マネージドクラスや WinRTクラスではライフサイクル管理のために通常の配置newが禁止され、コンパイラがこの点を検出してエラーを発生させます。
その解消方法として、gcnew
を利用した正しいオブジェクト生成手法と修正前後のサンプルコードを通じて、具体的なエラー回避策を紹介しています。