C言語におけるC3798コンパイラエラーの原因と対処法について解説

C3798エラーはプロパティの宣言において誤った指定子の使用が原因で発生します。

オーバーライド、abstract、sealedなどの指定子をプロパティ宣言内に直接記述すると起こり、各指定子はgetまたはsetメソッド内に記述する必要があります。

サンプルコードではProp_1やProp_2でエラーが確認されるため、記述位置に注意してください。

エラー原因の詳細解説

C3798エラーは、C++/CLIにおけるプロパティ宣言時の指定子の使い方に関連しています。

プロパティは、getおよびsetのアクセサを持つ特殊なメンバであり、指定子はアクセサ内に記述しなければならないというルールがあります。

このルールに違反するとコンパイラがエラーを出力してしまいます。

プロパティ宣言における指定子の役割

プロパティ宣言では、オーバーライド、抽象化、シールなどの動作を指定するために、指定子(例：abstractやsealed)を用います。

• getおよびsetアクセサに指定子を適切に配置することで、継承階層におけるメソッドの動作をコントロールできます。
• 指定子は、直接プロパティ宣言に付与することはできず、必ずgetまたはsetメソッド内に記述する必要があります。

これにより、プロパティとしての振る舞いを正しく実装し、クラスの設計意図を反映させることが可能となります。

誤った指定子配置の例

誤った指定子配置の場合、指定子がプロパティの宣言部分に直接付与されるため、コンパイラはどのアクセサに対して指定子を適用すべきか判断できず、エラーC3798が発生します。

例えば、以下のようなコードではabstractやsealedがプロパティ宣言部に直接記述されているためエラーになります。

// 誤ったプロパティの宣言例
#include <cliext/utility>
ref struct ErrorExample {
    property int Prop_1 abstract;   // エラー C3798: abstract指定子が直接指定されている
    property int Prop_2 sealed;     // エラー C3798: sealed指定子が直接指定されている
};
int main() {
    return 0;
}

上記の例では、Prop_1およびProp_2の宣言でプロパティに対して直接指定子を使用しており、正しくアクセサ内に記述されていません。

C3798エラー発生のメカニズム

C3798エラーは、指定子がプロパティ宣言部分ではなく、getまたはsetアクセサの内部に記述されるべきであるというC++/CLIの規則に反している場合に発生します。

• プロパティ宣言に直接指定子を書いた場合、オーバーライドの意図や抽象性の管理が不明瞭になるため、コンパイラが安全性を確保できずにエラーを返します。
• 正しい方法としては、次のようにアクセサブロック内で指定子を記述する方法が求められます。

これにより、アクセサごとに異なる指定子(例：abstractであるgetメソッド、sealed指定のsetメソッドなど)を明確に区別し、コンパイラが正しく動作を判断できるようになります。

具体例のコード解析

C3798エラーが発生する状況と、その修正例について具体的なコードを見ていきます。

サンプルコードを通して、エラーの原因と正しい記述方法の違いを確認していただけます。

エラーが発生するサンプルコードの紹介

以下のサンプルコードは、誤ったプロパティ宣言によってC3798エラーが発生する例です。

コード内のコメントでどの部分が問題となっているかを示しています。

Prop_1およびProp_2で発生するエラーの詳細

// C3798_ErrorSample.cpp
#include <cliext/utility>
// 誤ったプロパティ宣言の例
ref struct ErrorExample {
    // エラー: プロパティ宣言部に直接abstract指定子を記述している
    property int Prop_1 abstract;
    // エラー: プロパティ宣言部に直接sealed指定子を記述している
    property int Prop_2 sealed;
    // ※正しくない指定子の配置のため、コンパイル時にエラー C3798 を発生します
};
int main() {
    return 0;
}

上記のコードでは、Prop_1とProp_2のプロパティ宣言に対して直接abstractおよびsealedが付与されているため、正しいアクセサ内に記述しなければならないという規則に反しております。

正しいプロパティ記述の具体例

次のサンプルコードは、正しい記述方法によりプロパティを定義したものです。

アクセサブロック内に指定子を記述することで、エラーを回避し、意図した動作を実現しています。

Prop_3およびProp_4のケース分析

// C3798_CorrectSample.cpp
#include <cliext/utility>
ref struct CorrectExample {
    // Prop_3: getとsetアクセサにabstract指定子を正しく記述
    property int Prop_3 {
        virtual int get() abstract; // getアクセサにabstract指定
        virtual void set(int value) abstract; // setアクセサにabstract指定
    }
    // Prop_4: getとsetアクセサにsealed指定子を正しく記述
    property int Prop_4 {
        virtual int get() sealed; // getアクセサにsealed指定
        virtual void set(int value) sealed; // setアクセサにsealed指定
    }
};
int main() {
    // ここではインスタンス化やメソッドの呼び出しは行わず、構文の正しさを確認する目的です。
    return 0;
}

この正しい記述例では、各プロパティのgetおよびsetアクセサ内に必要な指定子を記述しているため、コンパイルエラーが発生せず正しく動作します。

サンプルコード内でそれぞれのアクセサに対する指定子の意味をコメントで補足しているので、コーディングの参考になるかと思います。

修正方法と対応手順

C3798エラーを解消するためには、エラー原因を正確に把握し、指定子の記述場所を正しく修正する必要があります。

以下では、エラー原因の特定方法と具体的なコード修正の手法について説明します。

エラー原因の特定と確認方法

• エラーメッセージに記載される「’specifier’: プロパティ宣言は、オーバーライド指定子を含むことはできません」という文言から、指定子の記述場所に問題があることが分かります。
• プロパティ宣言部にabstractやsealedが直接記述されていないか、getまたはsetアクセサの内部に正しく配置されているかを確認します。
• コード修正前後で、コンパイルエラーが解消されることを確認するため、ビルドログをチェックしてください。

コード修正の具体的手法

エラーの原因が特定できたら、次の手順でコードを修正します。

• 該当するプロパティ宣言から、指定子を削除する。
• getおよびsetアクセサの内部に、指定子を正しく記述する。
• コード全体を再コンパイルし、エラーが解消されたことを確認する。

指定子の正しい配置方法と記述例

以下は、正しい指定子の配置方法のサンプルコードです。

もともとのエラー発生コードから、指定子をgetおよびsetアクセサ内に移動しています。

// C3798_FixedSample.cpp
#include <cliext/utility>
ref struct FixedExample {
    // 正しいプロパティ宣言: 指定子はアクセサ内で記述
    property int Prop {
        virtual int get() abstract;       // getアクセサにabstractを付与
        virtual void set(int value) abstract; // setアクセサにabstractを付与
    }
};
int main() {
    // FixedExampleのインスタンス生成や利用例は含まず、構文の正しさを確認する目的です。
    return 0;
}

// コンパイル成功

この修正例により、指定子は正しい場所に記述されているため、コンパイルエラーC3798が解消されます。

エラー原因を正しく理解し、修正手順に従うことで、同じエラーの再発を防止できるでしょう。

まとめ

この記事を読むことで、C++/CLIにおけるプロパティ宣言の基本構造が理解できます。

特に、プロパティ宣言に直接指定子を記述した場合に発生するC3798エラーの原因と、そのエラーを回避するために各アクセサ内にabstractやsealedを正しく記述する方法が把握できます。

具体例を通じ、誤った指定子配置と正しい記述方法の違いが明確になります。