C言語 C3764エラーの原因と修正方法について解説

2025-03-29更新日: 2025-03-29

この記事では、コンパイラエラー C3764 について簡単に説明します。

C++/CLI環境で、基底クラスの関数がvirtual指定されていない状態で、派生クラスでoverrideを使用すると発生するエラーです。

サンプルコードを参考に、原因や修正方法を確認できます。

目次から探す

エラーの概要
- エラー発生の背景
- エラーメッセージの詳細
エラーの原因
エラーの修正方法
トラブルシューティング
- よくあるケースの対処方法
まとめ

エラーの概要

エラー発生の背景

C3764エラーは、基底クラスのメソッドを派生クラスでオーバーライドしようとした際に、基底クラス側で適切にvirtual指定が行われていない場合に発生します。

C++において、派生クラスで正しくオーバーライドを行うためには、基底クラスの関数にvirtual指定が必要です。

指定が不足していると、コンパイラはオーバーライドの意図を正しく解釈できず、エラーメッセージを出力します。

エラーメッセージの詳細

エラーメッセージは次のように表示されます。

「'override_function': 基底クラスメソッド 'base_class_function' をオーバーライドできません」

このメッセージは、指定された基底クラスの関数がvirtualではないため、派生クラスでのオーバーライドが不正であるとコンパイラが判断したことを示しています。

エラーメッセージには、基底クラスの関数名と問題のある派生クラスの関数名が明示的に示されるため、原因の特定がしやすい設計になっています。

エラーの原因

オーバーライドの基本ルール

基底クラスと派生クラスの関係

C++において、クラスの継承関係は基底クラスと派生クラスの間での関数の振る舞いに大きな影響を与えます。

基底クラスのメソッドがデフォルトで非仮想関数の場合、派生クラスで同じ名前の関数を作成しても、それは単なる隠蔽となり、オーバーライドとは認識されません。

そのため、意図的にオーバーライドを行う場合は、基底クラス側でvirtualを指定する必要があります。

virtual指定の必要性

virtualを指定することで、コンパイラは基底クラスの関数が動的連関をサポートすることを認識します。

この指定が行われると、派生クラスで同名の関数を記述する場合、コンパイラはそれをオーバーライドとして解釈し、正しい動的バインディングが行われます。

また、C++11以降では、派生クラスでのオーバーライドを明示するためにoverrideキーワードを併用することが推奨されています。

サンプルコードによる解析

正常なオーバーライド例

以下は、基底クラスでvirtualを使用して定義された関数を派生クラスで正しくオーバーライドした例です。

#include <iostream>
class Base {
public:
    // virtual指定により派生クラスでのオーバーライドが可能になる
    virtual void displayMessage(int num) {
        std::cout << "Base message: " << num << std::endl;
    }
};
class Derived : public Base {
public:
    // override指定により、意図的なオーバーライドであることを明確にしている
    virtual void displayMessage(int num) override {
        std::cout << "Derived message: " << num << std::endl;
    }
};
int main() {
    Base* ptr = new Derived();
    ptr->displayMessage(10);  // Derivedの関数が呼ばれる
    delete ptr;
    return 0;
}

Derived message: 10

エラー発生例

次は、基底クラス側でvirtual指定がされていないために、派生クラスでoverrideを使用した結果、C3764エラーが発生する例です。

#include <iostream>
class Base {
public:
    // virtual指定がないため、Derivedでのオーバーライドが不正となる
    void displayMessage(int num) {
        std::cout << "Base message: " << num << std::endl;
    }
};
class Derived : public Base {
public:
    // 基底クラスのdisplayMessageがvirtualではないため、エラー C3764 が発生する
    virtual void displayMessage(int num) override {
        std::cout << "Derived message: " << num << std::endl;
    }
};
int main() {
    Derived obj;
    obj.displayMessage(10);
    return 0;
}

// コンパイル時に以下のようなエラーメッセージが表示される可能性があります。
// error C3764: 'Derived::displayMessage': 基底クラス メソッド 'Base::displayMessage' をオーバーライドできません

誤った実装パターン

virtual宣言不足

基底クラスの関数に対してvirtual指定を忘れると、派生クラスで同名の関数を実装してもオーバーライドとは認識されません。

この場合、意図せず関数の隠蔽が発生し、プログラムの挙動が予期せぬものになってしまいます。

特にoverrideキーワードを利用すると、コンパイラが自動的に不整合を検出してくれるため、virtual指定が保証されていないとエラーが明確に発生します。

メソッドのシグネチャ不一致

基底クラスと派生クラスで、オーバーライド対象の関数のシグネチャ(引数の型や順序、定数修飾子など)が一致しない場合も、オーバーライドが成立しません。

たとえば、パラメータの型が異なる、あるいはconst指定の有無が異なるなどの理由で、意図したオーバーライドが正しく行われなくなります。

このような場合、コンパイラはエラーメッセージを出力し、修正が必要であると通知します。

エラーの修正方法

修正手法の基本手順

virtual指定の追加方法

エラーを解消するためには、まず基底クラスの対象関数にvirtual指定を追加する必要があります。

オーバーライドを意図する関数にvirtualを付加することで、コンパイラはその関数が動的バインディング用であると認識し、派生クラスで正しくオーバーライドが行えます。

具体的には、基底クラスの関数定義を以下のように修正します。

#include <iostream>
class Base {
public:
    // 修正：virtual指定を追加して動的バインディングを有効にする
    virtual void displayMessage(int num) {
        std::cout << "Base message: " << num << std::endl;
    }
};

メソッド定義の見直し

次に、派生クラス側で、関数シグネチャが正確に一致しているか確認します。

オーバーライドする際は、基底クラスと同じ引数リスト、戻り値の型、修飾子(例えばconstや例外仕様など)を使用する必要があります。

修正前後で、関数定義が完全に一致していることを再確認してください。

修正後のコード例

修正前後の比較

以下に、修正前と修正後のコード例を示します。

修正前

#include <iostream>
class Base {
public:
    // virtual指定がないため、派生クラスでのoverrideが不正となる
    void displayMessage(int num) {
        std::cout << "Base message: " << num << std::endl;
    }
};
class Derived : public Base {
public:
    // override指定を使っているが、基底クラス側がvirtualでないためエラーが発生する
    virtual void displayMessage(int num) override {
        std::cout << "Derived message: " << num << std::endl;
    }
};
int main() {
    Derived obj;
    obj.displayMessage(20);
    return 0;
}

修正後

#include <iostream>
class Base {
public:
    // 修正：virtual指定を追加して、動的バインディングを有効にする
    virtual void displayMessage(int num) {
        std::cout << "Base message: " << num << std::endl;
    }
};
class Derived : public Base {
public:
    // override指定により、意図的なオーバーライドであることが明確になる
    virtual void displayMessage(int num) override {
        std::cout << "Derived message: " << num << std::endl;
    }
};
int main() {
    Base* ptr = new Derived();
    ptr->displayMessage(20);  // DerivedのdisplayMessageが呼ばれる
    delete ptr;
    return 0;
}

Derived message: 20

トラブルシューティング

よくあるケースの対処方法

デバッグ時の確認ポイント

基底クラスのメソッド定義にvirtual指定が含まれているかどうかを確認してください。
派生クラス側でoverrideキーワードを利用している場合、基底クラスの対応する関数のシグネチャが一致しているか確認してください。
複数の継承関係が存在する場合、オーバーライドの階層構造が期待通りになっているか確認してください。

エラーチェックの留意点

コンパイラが出力するエラーメッセージをよく読み、どの関数に対してエラーが発生しているかを特定してください。
コーディングスタイルを統一し、オーバーライドすべき関数には必ずvirtualとoverrideを組み合わせると、エラーの早期発見につながります。
頻繁に使われるパターンについては、テンプレート化するなどの工夫を行い、ミスを減らすのも有効です。

まとめ

この記事では、C3764エラーがなぜ発生するのか、その原因として基底クラスのメソッドに「virtual」指定がないことや、シグネチャの不一致があることを解説しました。

オーバーライドの基本ルールや、正しく修正するための具体的な手法、サンプルコードを通じた実例を示し、トラブルシューティングのポイントについても説明しています。

この記事を読むと、エラー発生の背景と修正手順が明確になり、今後同様のエラーに対処する際の参考になります。